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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 土木施工単価 > 平成25年の出水状況をふりかえって

 

独立行政法人 水資源機構

 

1.はじめに

本年も本格的な洪水期を迎え、水資源の確保とともに洪水調節の役割を担うダム等が機能を発揮する時期となっている。
 
ところで、去る平成25年は、台風18号による被害をはじめとして多くの自然災害が発生し、
改めて自然災害の恐ろしさを認識した年となった。
水資源機構は、複数の都府県に効果を及ぼす公共性の高い施設を管理しており、
風水害などの自然災害に適切に対処し、その被害を最小限にとどめる役割を担っている。
 
本稿では、平成25年9月に発生した台風18号および10月に発生した台風26号における出水の状況と水資源機構の対応を振り返る。
この報告を通じ、ダム等の役割を身近に感じて頂ければ幸いである。
 
 

2.水資源機構の防災対応

水資源機構が事業を実施している水資源開発水系は、多くの都府県にまたがり人口および資産が集中する地域となっており、
各ダムは下流河川の洪水被害の防止・軽減に大変重要な役割を担っている。
 
各水系の上流に位置するダムでは、大雨により川の流量が大幅に増え、浸水等の大きな被害が発生するおそれがある場合に、
ダム貯水池に洪水の一部を貯め込んで、
安全な水量を下流へ流すことによりダム下流の洪水被害の防止・軽減を図る防災操作(洪水調節)を行う。
 
水資源機構では、ダム管理所、水系ごとの支社局(中部支社、関西支社、吉野川局、筑後川局)、
および本社が連携して防災対応を行っている。
 
 

3.平成25年の主な降雨および出水状況

平成25年に発生した台風は31個(平年25.6個)であり、このうち日本に上陸した台風は17号、18号の2個(平年2.7個)、
日本本土に接近した台風は14個(平年11.4個)であった。
一方、全国で平成25年に発生した主な豪雨災害は、
9月の台風18号、10月の台風26号による災害であり、これらに係る状況は次のとおりである。
 

3-1.台風18号での対応

平成25 年9 月13 日3時に小笠原諸島近海で発生した台風18号は、発達しながら日本の南海上を北上し、
14日9時に強風域の半径が500kmを超える大型の台風となった。
この台風と前線によって長時間にわたり強い降雨が記録されたため、
9月16日5時5分、京都府、滋賀県、福井県に、気象庁で運用後初めて『大雨特別警報』が発表され、記録的な大雨となった。
 
(1)淀川水系のダムにおける防災対応
 

図-1 淀川水系のダム等の施設 位置図

図-1 淀川水系のダム等の施設 位置図


 
台風18号の降雨により、淀川水系では大規模な出水となった。
特に日吉ダムでは計画最大流入量を上回る流入量を記録し、管理開始以来最大の洪水調節を実施したほか、
一庫(ひとくら)ダムと布目(ぬのめ)ダムでは管理開始以来最大の流入量を記録した。
 
水資源機構が同水系において管理する7ダムでは、防災操作を実施し、ダム下流河川の水位低減、洪水被害軽減を図った。
 
日吉ダムでは、ダムの容量を最大限活用して洪水の大半を貯留する操作を行い、下流への流量を低減した。
 
木津川上流ダム群では、5ダムの連携操作により名張(なばり)川および淀川本川の水位低下に努めた。
各ダムでの観測雨量、最大流入量等は表-1のとおりである。
 
表-1 各ダムにおける出水と防災操作(洪水調節)の状況

表-1 各ダムにおける出水と防災操作(洪水調節)の状況


 
(2)日吉ダムにおける防災対応
日吉ダムでは、台風18号により流域平均の1時間雨量で最大34mm、降り始めからの総雨量は345mmを観測した。
これにより、計画最大流入量1,510㎥/sを超える約1,690㎥/sの最大流入量があり、
このうち、流入量の約9割(約1,540㎥/s、管理開始以来最大)を貯め込み、
ダム下流の残流域からの出水による桂川渡月橋(とげつきょう)付近の浸水と
桂川下流右岸羽束師(はづかし)地点での堤防越水の状況等に鑑み、
ダムの洪水時最高水位を超えて約4,460万㎥(京セラドーム大阪約37杯分)をダムに貯留した。
 
(3)木津川上流5ダム(高山(たかやま)ダム・青蓮寺(しょうれんじ)ダム・室生(むろう)ダム・布目ダム・比奈知(ひなち)ダム)防災対応
 
図-2 木津川上流5ダムの効果

図-2 木津川上流5ダムの効果


 
平成25年9月15日から16日にかけて、台風18号により淀川水系名張川3ダムの流域では、流
域平均の1時間雨量で最大33mm、
降り始めからの総雨量は青蓮寺ダムで368mm、 室生ダムで226mm、比奈知ダムで440mmを観測した。
 
この降雨により、名張川下流市街地において、はん濫被害のおそれがあったため、3ダムの統合操作※1を実施した。
この結果、ダム下流の名張地点(名張大橋下流)で名張川の水位は約0.7m低下し、
名張地点でのはん濫危険水位を0.7m下回ることが出来たと考えている。
 
また、高山ダムでは、台風18号により流域平均の1時間雨量で最大22mm、降り始めからの総雨量は290mmを観測した。
 
この降雨に対して、高山ダムでは、ダム下流木津川の水位を低下させるため、他の木津川上流ダムと連携した操作を行い、
最大流入量約1,600㎥/sの洪水に対して、最大で流入量の約7割(約1,130㎥/s)を貯め込み、
総量で約2,370万㎥(京セラドーム大阪約20杯分)をダムに貯留した。
この結果、ダム下流の有市(ありいち)地点(笠置(かさぎ)町)では水位を約1.1m低下させ、
国道163号の冠水時間および通行止め時間を短縮した。
 
そして、木津川上流5ダムでは、淀川本川の水位を低下させるために木津川上流ダム群の連携による操作を行い、
ダムからの放流量を抑えてダムでの貯留量を増やし、淀川三川合流部の流量低減に努めた。
この操作により、9月16日9時時点において、木津川上流5ダムへの流入量、合わせて約2,840㎥/sに対して、
約7割(2,020㎥/s)をダムに貯め込んだ。
 
(4)琵琶湖開発施設での内水排除
図-3 琵琶湖開発施設の排水機場 位置図

図-3 琵琶湖開発施設の排水機場 位置図


 
台風18号に伴う降雨によって、琵琶湖の水位は9月17日午前7時に最高値に達し、琵琶湖基準水位(B.S.L.)プラス77cmを記録した。
 
これは、平成4年4月の琵琶湖開発施設の管理開始以来2番目に高い水位であった(最高水位は平成7年5月16
日の琵琶湖基準水位(B.S.L.)プラス93cm)。
また、9月15日の降り始めから最高値に達するまでの琵琶湖の水位上昇量は、102cmを記録したが、これは平成4 年4月の琵琶湖開発施設の管理開始以来最大の上げ幅であった。
 
琵琶湖開発総合管理所では、この水位の急激な上昇に対し、水門等の閉操作と併せ、平成7年以来18年ぶりに14箇所全ての排水機場のポンプを運転して内水排除※2を実施し、琵琶湖沿岸の低い土地の浸水被害を軽減させた。
今回の内水排除によって、琵琶湖沿岸の低い土地の浸水日数を最大8日間程度短縮する効果があったと考えている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

3-2.台風26号(印旛(いんば)沼(千葉県)での防災対応)

図-4 印旛沼開発施設 位置図

図-4 印旛沼開発施設 位置図


 
平成25年10月11日3時にマリアナ諸島付近で発生した台風26号は、発達しながら日本の南海上を北上し、
大型で強い勢力のまま、16日明け方に暴風域を伴って関東地方沿岸に接近した。
この台風および台風から変わった温帯低気圧により、
15日と16日を中心に西日本から北日本の広い範囲で暴風、大雨となった。
 
台風26号の影響で、10月15日午後から降り始めた大雨は、千葉県内に多大な被害をもたらした。
印旛沼流域でも記録的な大雨となり、
1日の雨量としては過去最大の264mm(流域平均、15日14時〜16日10時の21時間雨量)、
また1時間雨量としては、同じく印旛沼開発計画の38mmを上回る45mm(流域平均、10月16日5時〜6時)を記録した。
 
この大雨により15日18時頃から上昇し始めた印旛沼の水位は、
同日21時頃に常時満水位であるY.P.(江戸川工事基準面)2.30mを超え、
16日23時に管理開始以来最高のY.P. 4.17mを記録した。
これにより一部の堤防において溢水(いっすい)する事態となったことから、
機構職員自ら関係機関、水防団、地元役員と共同して土のうを積む等の応急対応を行い、堤防の損傷を回避した。
 
千葉用水総合管理所では、
印旛沼の洪水を防ぐため15日12時から23日18時まで酒直(さかなお)水門から利根川への放流を開始するとともに、
15日21時から19日13時まで利根川に排水する印旛機場と東京湾に排水する大和田機場から、
印旛沼湛水量の3倍に相当する約6,600万㎥を排水して印旛沼の水位低下に努めた。
 
また、印旛沼周辺にある土地改良区の排水機場が冠水したため、
機構が備蓄機材として保有しているポンプ車を出動させ、冠水した水の早期排除にも協力した。
 

3-3.防災操作等の対応状況

平成25年は台風による影響で、年間を通じた防災操作の回数は42回を記録した。
特に台風18号では、利根川水系、荒川水系、木曽川水系、淀川水系の15ダムにおいて防災操作を実施した。
 
さらに、風水害以外では、
ダム貯水池や水路等の水資源機構施設やその周辺において発生した第三者等
(工場等の事業者、不法投棄、交通事故による油漏れ等)に起因する油流出等の水質事故が発生した。
水資源機構は、利水者、関係機関等と迅速な連絡調整を図って情報共有に努めるとともに、
オイルフェンスやオイルマット設置等の対策を実施し、水質被害の拡大防止に努めた。
 
 

4.終わりに

近年、台風の大型化や集中豪雨の発生等による自然災害が頻発している。
水資源機構では引き続き、ダムの治水能力を最大限活用できる操作に努めるなど、
ダム等施設を適切に操作・管理し、洪水被害の防止・軽減に努めて参りたい。
 
 
本稿で紹介した内容を含め、水資源機構の様々な取り組みを広報誌「水とともに」で紹介しています。
是非当機構のホームページ(http://www.water.go.jp/honsya/honsya/pamphlet/kouhoushi/index.html)をご覧下さい。
 
 
 
※1 統合操作 降雨予測技術と流出解析技術を活用し、予測の幅を認識しながら河川管理者(国土交通省)と連携して適切な操作を実施することで、ダムの貯留能力を有効活用して名張川の水位上昇を抑制する操作。
※2 内水排除 大雨が降って河川の水位が上昇すると、堤内地(堤防によって守られる住居や農地のある側)から堤外地(堤防に挟まれて水が流れている側)への自然排水が困難となり、堤内地に浸水被害が生じる。
内水排除とは、樋門や水門を閉め、堤内地に溜まった水や堤内地を流れる河川や水路の水を堤外地へポンプ等で排水する操作。

 
 
 
【出典】


季刊土木施工単価2014年夏号
季刊土木施工単価2014年夏号
 
 

 

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