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ホーム > 建設情報クリップ > 建築施工単価 > JIL5004:2021 (2022 年版)公共施設用照明器具規格改正の概要

1. はじめに

(一社)日本照明工業会(JLMA)では,公共建築物で使用する照明器具について「公共施設用照明器具標準委員会」を設置し,「公共施設用照明器具(JIL5004)」を制定,改正を重ねてきた。
前回の2019年版の改正においては,省エネルギー化推進のための固有エネルギー消費効率の見直しや微動検知人感センサとそれに対応する照明器具の追加を行った。
今回の2022年版の改正においては,政府目標である2030年度「ストック市場でLED化率100%達成」を目指し,日本照明工業会の「照明成長戦略 Lighting Vision 2030」に掲げた既施設のSSL(Solid State Lighting)化改修方針に合わせ,さらなる省エネルギー化の推進と使用用途に合わせたLED照明器具の新器種追加および必要な仕様の見直しを行い,公共施設用照明器具標準委員会(委員長小野隆)の承認を得て,2021年12月20日に刊行した。
 
今回の改正概要を以下に紹介する。

 
 

2. 改正の概要

2.1 JIL5004:2021(2022年版)の構成について

2019年版で「本体」に記載していた器種別一覧表,器具の最大器具取付間隔および固有照明率,保守率および非常用照明器具設置間隔表などの各データは,共通する一般事項,構造および部品の規格とともに「附属書A器種別仕様」とし,公共形式ごとの個別の性能要求については,「附属書B個別仕様」を参照する構成とした。

【表-1 2019年版と2022年版の器種構成比較】
2019年版と2022年版の器種構成比較


2.2 器種の全体構成

消費電力の低減とエネルギー消費効率向上による省エネルギー化を目的にLED照明器具の器種構成を見直した結果,2019年版に対し35器種増加し,422器種となった。

 

2.3 器種全体に共通する見直しについて
2.3.1 グリーン購入法への適合化

消費電力(入力容量)は主要なメーカーの実力値を調査し,最新の実力値に見直した。
また,ユニバーサルダウンライト,屋外街路灯,駐車場灯を除く主要な器具をグリーン購入法の固有エネルギー消費効率の基準値2以上へ適合させた。

【表-2 グリーン購入法への適合化(器種別定格値の例)】
ベースライト形
グリーン購入法への適合化(器種別定格値の例)

 
ダウンライト形
グリーン購入法への適合化(器種別定格値の例)

 
高天井形
グリーン購入法への適合化(器種別定格値の例)


2.3.2 LED制御装置の仕様(表-3)
【表-3 LED制御装置の仕様】
LED制御装置の仕様


2.3.3 照明カバーと発光面の定義

2019年版では器具本体と一体化した透光性カバーを「拡散カバー・発光部・照明カバー」としていたが,用語を全て「発光面」に統一し,「照明カバー:器具本体から取り外せるもの,発光面:器具本体又は発光部から取り外せないもの」と定義し,発光面を照明カバーとすることができる器種については,附属書Bの(摘要)において明確化した。

照明カバーと発光面の定義


2.3.4 照明カバーと発光面の定義

2022年版で変更の必要となった器種の見直しおよび追加された「確認外」器種を含むベースライト形5器種,ダウンライト形4器種についてデータを追加した。
また,公共建築の照明制御装置による消費電力削減効果の評価における天井や壁面の輝度算出に対応するため,天井・壁・床の反射率0(%)における照明率データを追加した(表-4)。

LED制御装置の仕様


2.4 新器種の追加および見直しについて
2.4.1 ベースライト

a)LRS20 リニューアル対応ベースライト器具
2030年までに「ストック市場でLED化率100%達成」の目標に向け,普及をさらに促進するため,既設の蛍光灯器具を天井改修せずにLED照明器具に交換できる埋込穴幅寸法300タイプのリニューアル用器具を追加した。

LRS20 リニューアル対応ベースライト器具

LRS20



 

b)LRS28/LRS29 グリッドシステム天井器具
高層ビルで多く採用されることが多い,工期の短縮と省施工を目的とした基本配置間隔1800×1800,1800×2400に対応した600グリッドタイプシステム天井用器具を追加した。

LRS28 グリッドシステム天井器具

LRS28

LRS29 グリッドシステム天井器具

LRS29



 

c)LSS12 内装に木材を使用した施設向け器具(建築化照明用)
内装材の色の見えの自然さに好ましいと考えられる,光源の色温度30K電球色(2600~3250K)および40K白色(3800~4500K)タイプを追加した。

LSS12 内装に木材を使用した施設向け器具(建築化照明用)

LSS12



 

d)LRS4F1/LRS9F1 スクエア器具(下面カバー付)
2019年版での形式の記号「F1」は,下面カバー付を示す記号であったが,2022年版において,器具一体形構造でカバーの着脱が不可能な器種は「発光面」と定義したため,LRS9「下面開放形」として形式を見直し統合した。

LRS4F1/LRS9F1 スクエア器具(下面カバー付)



 

e)LRS4/LRS15 スクエア器具(下面開放形)のグレア分類
□600タイプのLRS15-6-58,LRS15-6-80の2器種のグレア分類をG2からG1bへ変更するとともに,見直しによりLRS15と仕様が重複したLRS4を廃止した。

LRS4/LRS15 スクエア器具(下面開放形)のグレア分類

LRS4/LRS15 スクエア器具(下面開放形)のグレア分類

LRS4(廃止)



 

f)LSS13 直付け黒板灯
2019年版でLSR12は,器具の種類を「反射かさ付き」としていたが,現状の器具構造を考慮し,じか付け天井灯の形式であるLSSに見直した。
合わせてLSRは器具の種類を「じか付け高天井灯」に見直した。

 
 

g)LBF3MP/RP ブラケット
器種選定のための追加情報として,「附属書B個別仕様」に電力・入力容量・エネルギー消費効率の規格値を追加した。

 
 

h)DS1/DS2 照明制御器仕様の見直し
センサの基準取付け高さにおける感知範囲の明確化と制御台数見直し,および微動検知人感センサ(NC)は,明るさセンサ付とした(表-5)。

【表-5 照明制御器の仕様】
照明制御器の仕様
照明制御器の仕様



 

2.4.2 ダウンライト

a)LRS13
首振り角度30°/水平回転角度 355°以上可能なユニバーサルダウンライトを追加した。

 
 

b)LRS14/LRS16(-30K,-40K)
光源の色温度30K電球色(2600~3250K)および40K白色(3800~4500K)タイプを追加した。

 
 

c)LRS17(-30K,-40K)
JIL5002の断熱施工対応形器具(S形)で,光源の色温度30K電球色(2600~3250K)および40K白色(3800~4500K)タイプを追加した。

LRS13

LRS13

LRS14/LRS16

LRS14/LRS16

LRS17

LRS17



 

2.4.3 高天井形器具

a)LSR1(丸形タイプ)
体育館での使用によるカバーの割れなど安全面を考慮し,下面カバーの材質の規格からガラス「GR」を削除するとともに,附属書A器種別仕様において光源の設計光束維持率を0.85以上と明確化した。

 
 

b)LSR2(角形タイプ)
器具質量の規格見直しによる軽量化と「附属書A器種別仕様」において,光源の設計光束維持率を0.85以上と明確化した。

 
 

c)LSR3W
制御装置別置タイプ(質量3kg以下)はLRS2(角形タイプ)の軽量化により対応可能となったため廃止した。

LSR

LSR

LSR2

LSR2

LSR3W

LSR3W



 

2.4.4 非常用照明器具(専用形)

a)K1-LRS11/K1-LSS11/K1-LSS14MP(専用形非常用照明器具)
主要寸法の規格化と個別制御方式自動点検機能付への仕様見直し,および形式ごとに器具の取付け高さの目安を記載した。
(例)K1-LRS11-2

 
 

【表-6 非常用照明器具の光源の種類と大きさ】
非常用照明器具の光源の種類と大きさ



 

b)K1-LSS1/K1-LSS9/K1-LSS10(組込形非常用照明器具)
直付形ベースライトと同意匠の電池内蔵形組込形非常用照明器具(個別制御方式自動点検機能付)3器種を追加した。

K1-LSS1

K1-LSS1

K1-LSS9/K1-LSS10

K1-LSS9/K1-LSS10



 

c)K1-LBF11/SK1-LBF11/K1-LSS10(階段通路誘導灯兼用形非常用照明器具)
直管LEDランプを使用していた器種を廃止するとともに,個別制御方式自動点検機能付を前提とする規格に見直した。

K1-LBF11/SK1-LBF11(廃止)

K1-LBF11/SK1-LBF11(廃止)



 

2.4.5 屋外用器具

a)LPJ1 投光器
角形タイプの形状の多様化に合わせ,外形寸法の規格を見直した。

 
 

b)LSA1 ソーラーライト(電池内蔵形)
JIL5510のソーラーライト技術基準に適合し,リチウムイオン蓄電池の使用を可能とした屋外灯として規格を見直した。

 
 

c)LBF4RP 屋外用非常灯(電池内蔵形)
JIL5510の屋外用非常灯技術基準に適合し,災害時における避難活動を支援する明かりとして有効点灯時間違いで2タイプ(S/L)の屋外灯を規格化した。

LPJ1

LPJ1

LSA1

LSA1

LBF4RP

LBF4RP



 

2.5 器種の廃止について

2019年版に掲載していた以下の器種を,固有エネルギー消費効率がグリーン購入法に未適合,また新器種への切り替えおよび旧仕様の見直しにより置き換えが可能となったため,廃止した。

 
 

2.5.1 ベースライト形

a)LRS3L3G0 220幅 ルーバ付器具
b)LRS6L3G0 220幅 ルーバ付器具
c)LRS6L5G0 220幅 ルーバ付器具
d)LRS3F1 220幅 下面カバー付器具
e)LRS6F1 220幅 下面カバー付器具
f)LRS4 下面開放形器具
g)LBS5 片反射形器具

LRS3L3G0/LRS6L3G0

LRS3L3G0/LRS6L3G0

LRS3F1/LRS6F1

LRS3F1/LRS6F1

LRS3F1/LRS6F1

LRS3F1/LRS6F1


LRS3F1/LRS6F1

LRS3F1/LRS6F1

KO-IRS5

KO-IRS5

LSR3W

LSR3W



 

2.5.2 電源別置(専用形)非常用照明器具

a)K0-IRS5 白熱電球40Wタイプ

 
 

2.5.3 高天井形器具

a)LRS3W LED制御装置別置形

 
 

3. おわりに

JIL5004:2021(2022年版)公共施設用照明器具の改正説明ビデオおよび関連資料,また2019年版と2022年版における公共施設用照明器具形式の新旧対比およびメーカーの対応状況については,下記日本照明工業会のホームページにて(認証→公共施設用照明器具)より参照いただきたい。
https://www.jlma.or.jp/hyotei/koukyou/index.htm

 
 

参考

1.JIL5004公共施設用照明器具 改正説明ビデオおよび関連資料について
https://www.jlma.or.jp/hyotei/koukyou/jil5004-2021kaisei.htm

JIL5004公共施設用照明器具 改正説明ビデオおよび関連資料



 

2.JIL5004公共施設用照明器具 確認図申請対象器種形式の新旧対比について

【表-7 確認図申請対象器種形式の新旧対比】
注)1.表中の№が白抜きされた器種は,2022年版で新規追加,又は形式変更された器種を示す。
  2.表中の様式2整理№が白抜きされた器種は,JNLA登録機関での光学特性確認対象器種を示す。
確認図申請対象器種形式の新旧対比



 

3.JIL5004:2021(2022年版)公共施設用照明器具対応器種一覧表について

【表-8 公共施設用照明器具対応器種一覧表(例)】
注)1. 公共施設用器具形式の各制御装置の種類に対し同一の製造者型番が記載されている器種は,設定により各制御装置の種類に対応可能であることを示す。
  2. No.の欄で白抜きで示す器種は,2022年度版で新規追加されたことを示す。
  3. 本表に記載のデータは確認日時点のものであり,確認図申請に合わせて適宜更新しますので,最新の対応情報は各申請者に問い合わせください。
公共施設用照明器具対応器種一覧表(例)



 

 
 
 

一般社団法人 日本照明工業会

 
 
 
【出典】


建築施工単価2022年秋号
建築施工単価2022年秋号


 

最終更新日:2023-02-16

 

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