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准教授 山本 義幸 氏

工学部 都市環境学科
准教授 山本 義幸 氏


愛知工業大学 工学部
所在地:愛知県豊田市
 
 
愛知工業大学 工学部 都市環境学科では、3Dレーザースキャナで3次元計測を行い、
点群データを使った解析処理を行っていた。
しかし、計測を重ねていくうち、スキャンしたデータを結合するための参照点設置など、
想定外に多くの事前準備やそのノウハウが必要なことが分かってきた。
そんな時、白球の設置を必要としない計測ソフト「JRC 3D Reconstructor」
と出会ったことで、一気に作業が効率化されたという。
 
 

3Dレーザースキャナとの出会い

10年ほど前から3Dレーザースキャナに興味を持っていましたが、なかなか利用できずにいたところ、
本学の情報科学科の中村栄治教授から3DレーザースキャナFAROを使用させていただけるという幸運に恵まれました。
そして、自分で3Dレーザースキャナで計測し表示して、
明瞭でリアルな空間を再現する美しい点群をいかようにも俯瞰できる再現力に興奮したことを今でも覚えています。
それ以来、自分たちで計測した3Dレーザースキャンデータを使用して解析処理を行う研究スタイルに変貌し、
さまざまな対象を計測してきました。
 
 

計測時の問題:白球の設置の問題

しかしながら、計測を重ねていくうちに、3Dレーザースキャン計測での大きな課題にぶつかりました。
レーザースキャンデータを結合するための参照点(白球)の設置に関わる問題です。
ある程度の広さの空間を3Dレーザースキャナで計測するには1回の計測では全範囲を計測しきれないことがほとんどです。
3Dレーザースキャン計測では計測方向に障害物があったら障害物の裏側は死角となり、レーザーが届かず計測ができません。
結果的に3Dレーザースキャナを移動して新たな位置から計測をして、後処理でそれらの計測データを結合する必要があります。
 
私が使用している3DレーザースキャナFAROでは、付属の処理ソフトウェアSCENEで計測データを結合することが可能ですが、
そのためには基本的に参照点として白球を設置しておいて計測し、後処理でSCENEで白球を使用して結合する手法となっています。
この白球の利用は計測時の手間と時間を要するもので、よって計測計画に制限をつけてしまうものです。
例えば、風で転がらないようにや通行人にとって邪魔にならない箇所に白球を設置しなければなりません。
万一、白球が倒れたり動いてしまうと再測になってしまいます。
また、白球の位置が点群を結合する際の計算の係数を決定し後の精度を左右するため、
空間内において互い違いになるように配置するような工夫が必要となります。
さらにSCENEでの処理においては、白球に充分なレーザースキャン点群の密度がないと自動的に白球の選定ができないときがあります。
よって、ある程度の点群密度を確保するために3Dレーザースキャナはあまり長い間隔をとって計測することはできません。
そのため計測回数は増えてしまい時間がかかってしまいます。
計測中も白球が倒れると計測がやり直しとなるため注視し続ける必要があり、計測中は神経がすり減るものでした。
計測がスタートしたら後は待っているだけと高を括っていましたが、前準備等が大変なのは予想外でした。
 
 

JRC 3D Reconstructorとの出会い:白球の設置の問題の解決

このような計測における白球設置の課題を抱えている時、
参加していたSPAR2014J 3次元計測フォーラムにて(株)エス・ジー・エスの久松秀雄氏と出会って
JRC 3D Reconstructorを紹介していただき、3Dレーザースキャン計測の課題が一気に解決いたしました。
たった3点の同一箇所を選定するだけで結合できる簡易さや操作の手軽さは大変衝撃でした。
ソフトによっては処理過程がブラックボックス的で処理結果に疑問が起きることが多いのですが、
JRC 3D Reconstructorは処理過程で精度に関わる情報が明示され結果に対して納得できる仕組みとなっています。
このJRC 3D Reconstructorの存在が計測の制限をなくし、あらゆる計測を具現化でき私の研究領域を広げてくれました。
 

橋梁の3Dレーザースキャンデータ。

橋梁の3Dレーザースキャンデータ。計測の当日は風が強く、従来通り白球を設置していたら白球が転倒するなど再測の可能性がありましたが、JRC 3D Reconstructorのおかげで白球なしで計測ができ予定通りに終えることができました。


 
 

3Dレーザースキャナ計測における効率化:実作業の短縮から制限なしの計測計画

前述の中村教授とともに地下街の3Dレーザースキャンデータの構築と利活用の研究に取り組んでいます。
(株)エスカの多大なるご支援のもと、JR名古屋駅の新幹線口に広がるエスカ地下街の計測を継続して行っております。
人通りが少ない夜間に計測は行いますが、先に述べましたように白球の設置に関して通行の方に気を付ける必要があります。
また、幾何学的な精度を担保するために白球を空間的にずらして配置するなどの計測準備は意外と時間をとるものでした。
JRC 3DReconstructorの使用が前提となれば白球を設置する必要がなくなり計測時間の大幅な短縮が可能となります。
 

エスカ地下街の3Dレーザースキャンデータ。

エスカ地下街の3Dレーザースキャンデータ。参照用の白球を設置している様子が分かると思います。
JRC 3D Reconstructorを使用すれば、白球の設置は必要でなくなる。


 
さらに、絵的に白球が気になることもあり、データ上から白球を削除をするにしても手間がかかるものですが、
そのような懸念もなくなりました。
また、地下街はJRC 3D Reconstructorで必要な特徴点が多く、JRC 3D Reconstructorを利用しやすい対象でもあります。
 
CGが道路建設に関わる合意形成へ利用可能かどうかを調べるために道路空間の3Dレーザースキャナ計測を行っています。
道路での観測においては車やバイク、自転車、通行人に気を付けなければならず、
白球設置などにおいては大変危険を伴う計測対象の一つです。
この道路空間に対してもJRC 3D Reconstructorでガードレール上の3点でデータの結合が可能で白球を設置することなく
現地計測での危険を回避することができました。
 
ガードレールの柱頭を共通点として結合した道路の3Dレーザースキャンデータ。

ガードレールの柱頭を共通点として結合した道路の3Dレーザースキャンデータ。JRC 3D Reconstructorのおかげで道路付近に白球を置く必要がなくなり安全な計測ができるようになりました。


 
昨今では、橋梁においては長寿命化計画のもと橋梁の一斉点検が行われております。
今でこそ図面がCADで作成され補修設計においても既存のCADデータを使用することが可能ですが、
補修が必要な古い橋梁では十分な図面が残されていない場合があります。
このようなケースを想定して3Dレーザースキャナ計測によって橋梁の寸法計測への応用研究を行っております。
先だっても橋梁観測に行ってきましたがあいにくの強風でした。
JRC 3D Reconstructorがなければ、このような日では白球が転んでしまうなどで再測が必要になっていたと思いますが、
それでも現地計測ができたのはJRC 3D Reconstructorのおかげです。
予定通り計測が行え、制限なしで計測計画を立てられるところが大変助かるところです。
 
 

JRC 3D Reconstructorへの期待

今後も、3Dレーザースキャナに関する研究は続けていく予定ですが、
3Dレーザースキャン計測はさらに利用が拡大し、計測対象の大規模化が進むものと思われます。
これに対して、JRC 3D Reconstructorは
3Dレーザースキャンデータ処理におけるキラーツールとして存在感を増していくものと思いますし、
さらに進化を続けて3Dレーザースキャナの研究において研究計画を制限なしで想像できる支援をしてもらえることを期待する次第です。
 
 
 

この記事に登場した製品

JRC 3D Reconstructor
 
 
 
 
【この記事は…】
建設ITガイドWEB
建設ITガイドWEB「成功事例集」(2015年2月掲載記事)より転載しています
※掲載データや人物の肩書など、いずれも掲載当時のものです
 
 

最終更新日:2015-05-28

 

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