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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > コンサル目線のCIM「設計からのアプローチ」《前編》

 

一般社団法人 建設コンサルタンツ協会 情報部会
CALS/EC委員会 データ連携専門委員会 委員長
八千代エンジニヤリング株式会社 技術推進本部 情報技術部 部長
藤澤 泰雄

 

3次元モデル設計

2005年Autodesk社Civil 3D 2005が登場した。このコンセプトは、従来の2次元の考え方で設計していたものを3次元で行おうとするものであった。それ以前にも3次元CADで設計を行うツールは登場していたが、高価なワークステーションを用いたシステムであり、Civil 3Dは一般のパソコンで利用できるソフトであり、そのインパクトは強かった。当時の設計者が行っている作業の多くは、図面作成とその修正であり、これでは設計者=Designerではなく、製図者=Drafterであり、Civil 3Dを用いて、設計=Designを行うことを考えた。
しかし、設計システムは2次元であり、直接、3次元で設計を行うことは難しい。このため、3次元モデルを作成して、2次元の設計システムで利用する3次元モデル設計を提唱した。
 
社内で、Civil 3Dによる3次元設計導入会を立ち上げ、社内の有志で3次元モデルの実用化の検討を行った。しかし、実際にはCivil 3Dの機能不足やパソコンの能力不足などが重なり、十分な成果を残せたとは言い難い。当時の最も手間のかかった作業は、地形の3次元化であった。紙地図の等高線をスキャンしてベクトル化し、これに高さ情報を与えてから、Civil 3Dで3D地形モデルを作成していた。その後、国土地理院が数値地図や10mメッシュ、5mメッシュ標高データを公開したことにより、こうした作業から解放され、パソコンの64bit化、ソフトウェアの進化も加わり、要領・基準などが完全に3次元に対応していないが、現状では十分に3次元モデルによる設計が可能な状況となっている。そして、2012年に入り国土交通省がCIMとして3次元モデルを用いた活動が始まったことは既にご存知の通りである。
 

図-1 2次元モデル連携

図-1 2次元モデル連携


 
 

CIM(Construction Information Modeling)

はじめに、国土交通省の資料からCIMとはどういうものかを考えてみる。
 

CIMの考え方

CIMとは、Construction Information Modelingの略称であり、これは建築分野のBIM(Building Information Modeling)を土木分野でも行おうとするものである。国土交通省によるCIMの定義は以下のようになっている。
 
「CIMとは、調査・設計段階からの3次元モデルを導入し、施工、維持管理の各段階での3次元モデルに連携・発展させることにより、設計段階でのさまざまな検討を可能にするとともに、一連の建設生産システムの効率化を図るものである。3次元モデルは、各段階で追加、充実化され、維持管理での効果的な活用を図る。」
(2012年10月10日 土木学会CIMセミナー資料より)
 
一方、従来から行ってきたCALS/ECの定義は以下のようになっている。
 
「CALS/ECは、「公共事業支援統合情報システム」の略称であり、従来は紙で交換されていた情報を電子化するとともに、ネットワークを活用して各業務プロセスをまたぐ情報の共有・有効活用を図ることにより公共事業の生産性向上やコスト縮減を実現するための取り組みです。」
(公共事業のITによる革新 CALS/EC 国土交通省パンフレットより)
 
よく「CALS/ECとCIMは何が違うのですか」と聞かれるが、上記のようにほとんどその考え方に違いはない。CIMには、明確に3次元モデルという記述があり、CALS/ECにはこうした記述がないが、CALS/ECも将来的に3次元モデルの活用を検討していた。したがって、この二つの考え方、方向性には大きな違いはないと考えている。違いといえば、CALS/ECは2次元モデルで開始されたため、従来の手法の標準化が中心となっていったが、CIMでは、3次元モデルに関してはまだまだいろいろな環境が整っていないため、新たに手法をみんなで探しながら、手探りで開始しなければならないことである。モデルの連携という観点から考えれば、2次元モデルでは図-1のような連携が今までのCALS/ECの考え方であり、図-2がCIMの考え方である。
 
建築分野ではBIMとして3次元モデルの活用が始まっているし、自動車や電機分野では、既に3次元モデルでの設計が中心となっており、初めに述べたように土木分野でも十分その環境は整っているといえる。
 

図-2 3次元モデル連携

図-2 3次元モデル連携


 

CIMで求めようとしているもの

先の国土交通省の資料によれば、CIMの狙いは以下の3点であり、現在およびこれから開発されるさまざまな技術を用いて新しい建設生産システムと新しい維持管理手法を行おうとするものである。
 

表-1 CIMの狙い

表-1 CIMの狙い


 
忘れられがちであるが、ここで重要なことは、既設の土木構造物の方が、新設の土木構造物よりもはるかに多く、新設だけでなく既設の土木構造物の維持管理手法もより質の高いものとしていかなければならないということである(表-2)。
 
表-2 建設後50年以上経過したインフラの割合 (平成23年度国土交通白書)

表-2 建設後50年以上経過したインフラの割合(平成23年度国土交通白書)


 

設計におけるCIMでの作業項目

では、実際にはどのような作業を行っていくことになるのだろうか。現状で考えられるCIMの作業項目と作業内容を示すと表-3のようになる。表の中には、こうした作業を行う際に必要となるデータ(←)、作成されるデータ(⇒)、課題も示してある。
 

表-3 CIMでの作業項目

表-3 CIMでの作業項目


 
これらの作業を行うためには、3次元モデル作成ツールが必要であり、Autodesk社のCivil 3DやRevit Structureや、福井コンピュータのGLOOBE 、フォーラムエイトのAllPlanなどがある。これらのモデル作成ツールでは、モデルにさまざまな情報を属性として追加することが可能となる。
 
図-3に、Revit Structureで作成したモデルと属性を表示した例を示す。
 
図-3 3次元モデルと属性の表示

図-3 3次元モデルと属性の表示


 
この他にも、3次元モデルを作成するためのツールはいろいろ発表されている。おもしろいのは、五大開発(株)がフリーで提供しているGODAI 3D Readerで、国土地理院の10mメッシュデータから地形モデルを簡易に作成し、確認することが可能である。残念なのは、変換した地形モデルが五大開発の製品以外に利用できない点である。
 
続いて、設計側として3次元モデルを用いて、解析と積算・施工計画に適用した結果を示す。
 
 
 
コンサル目線のCIM「設計からのアプローチ」《後編》へ
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
建設ITガイド2013
 
 

 

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