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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > コンサル目線のCIM「設計からのアプローチ」《後編》

 

一般社団法人 建設コンサルタンツ協会 情報部会
CALS/EC委員会 データ連携専門委員会 委員長
八千代エンジニヤリング株式会社 技術推進本部 情報技術部 部長
藤澤 泰雄

《前編》を読む
 

解析へのアプローチ

設計に3次元モデルを利用する際に、最も問題となるのは、対象構造物をどのように解析し、応力を求め、これに見合う耐力を算定するかという点である。従来の設計は、2次元が中心で、3次元は橋梁の耐震解析等で用いられている。従って現状では3次元モデルを設計で利用するためには、3次元モデルから2次元解析データを作成しなければならない。
 
Autodesk社のRevit Structureには、独自の拡張が可能なように、Software Development Ki(t SDK)が存在している。この機能を用いて、鉄道高架橋の3次元モデルから2次元解析用のツール(JRSNAP)と3次元解析ソフト(DARS)への変換ソフトを作成した。
 
DARSは、JRSNAPの3次元版であるため、その入力データはほぼ同じとなっている。作成に利用した3次元モデルを図-4に示す。
 

図-4 高架橋の3次元モデル
図-4 高架橋の3次元モデル
図-5 Familyと属性
 図-5 Familyと属性

 
Revit Structureでは、図-4に示すようにFamilyと呼ばれる部品を事前に作成しておき、これを組み合わせることにより、モデルを作成していく。
 
Revit SDKを用いて、Microsoft Visual Studio で、RevitのAdd onプログラムを作成し、Revitの部材情報などにアクセスして変換を実行する。JRSNAP,DARSでは、配筋情報も必要であり当初モデルの中に配筋を入れて、このデータを読み取ろうとしたが、モデルが重くなる上に、処理も複雑になるため、モデル内の属性情報として設定することとした。
 
Revitでは、自由にFamily内に必要な情報を属性として設定することが可能であり、この機能を利用している(図-5)。3次元モデルを2次元モデルに変換するためには、モデルの考え方など、プログラム側で考慮することが多く、非常に手間がかかるが、他の3次元モデルに変換する場合は、考え方が似ていると非常に簡単に変換することができる。図-6にDARSでの変換結果を示す。
 

図-6 DARS変換の出力結果

図-6 DARS変換の出力結果


 
全ての設計で3次元解析ソフトが利用できれば、3次元モデルからこうしたソフトへの連携を考えればよいが、しばらくの間は、従来の2次元解析ソフトを利用する必要がある。このため、3次元モデルツールと2次元解析ソフトを連携するための手法が重要となる。
 
3次元解析ソフトとの連携については、IAI日本からSTBRIDGEという規格が提案されている(図-7)。詳細については、IAI日本のHPを確認いただきたい。
 
図-7 ST-BRIDGE

図-7 ST-BRIDGE


 
先ほどの変換ツールをもとに、ST-BRIDGEでの出力機能も作成した。図-8にST-BRIDGEの出力例を示す。福井コンピュータの建築用のソフトであるGLOOBEが、このSTBRIDGEに対応しているため、これで検証した結果を図-9に示す。図-9では、スラブ部分がうまく変換されていない。これは、土木構造物では、T型梁として梁構造と考えるが、建築構造物では、梁とスラブという考え方を行い、ST-BRIDGEにはT型梁という考え方がないためである(図-10)。土木・建築分野はほとんど同じであるが、こうした細かな考え方の違いを調整していく必要があり、今後のCIMの進展で問題となる可能性が高い。
 

図-8 ST-BRIDGEの出力例
図-8 ST-BRIDGEの出力例
図-9 ST-BRIDGEによる交換結果(GLOOBEでの表示)
 図-9 ST-BRIDGEによる交換結果(GLOOBEでの表示)

 
図-10 T型梁の考え方
 図-10 T型梁の考え方
 
 

積算・施工へのアプローチ

3次元モデルを利用する最も大きな理由は、数量が正確に算定されることと、施工手順をうまく表現できる点である。従来は、2次元モデルであるためこうした3次元化は施工会社が独自に行っていた。設計側で3次元モデルを作成しておけば、施工手順を検討した上での積算が可能となり、従来以上に実際の工事に近い工費を計算できる。これを検証するために、2次元での設計結果を基に、3次元モデルを作成し施工計画を考えた数量の比較を行った。
 

表-4 3次元モデルから算出した数量

表-4 3次元モデルから算出した数量


 
表-5 数量の比較

表-5 数量の比較


 
表-6 施工を考慮した数量の比較結果

表-6 施工を考慮した数量の比較結果


 
表-5、6で分かるように、3次元モデルを用いても十分数量も算出できる。表-5の鉄筋の数量が5%違うのは、Revit Structure 2012では、ラップがうまく表現できなかったためである。
 
これらの結果は、2次元の結果を受けて3次元モデルを作成して検証しているもので、3次元モデルだけを用いる場合は、その照査をどのように行うかがこれからの課題である。
 
また、Revit Structureでは、図-11のように構造物の本体モデルばかりでなく、支保、足場などのモデルも作成している。これらは、先に示したように一つ一つをFamilyと呼ばれる部品を事前に作成しておき、これを組み合わせることでモデルを作成する。
 
図-11 積算のための三次モデル

図-11 積算のための三次モデル


 
したがって、こうした部品が流通するようになれば、3次元モデルの作成は簡単になる。応用技術(株)では、図-12に示すような部品の販売を開始するなど、部品の流通も進むと思われる。
 
図-12 山留パーツの例 (応用技術(株)パンフレットより)

図-12 山留パーツの例 (応用技術(株)パンフレットより)


 
 

これからに向けて

設計で3次元モデルを作成して、解析、積算、施工との連携例を示した。このように使い方を考えればいろいろなことが可能となる。設計側で問題とされているのは、2次元図面が整合していない点であり、3次元モデルを用いるとこうした不整合は基本的には生じない。
 
こういったメリットは、いろいろ考えられているが、実際にはクロソイド曲線が設定できないなど現在行っていることがそのまま全て3次元でできるツールがあるわけではない。現在の2次元設計で行っているさまざまなツール、制度、規準、規格などもこの30年ほどかけて、いろいろな形で整備・開発が進められてきたもので、3次元ではまだこうした環境が整っていないだけである。国土交通省が新しくCIMとして3次元モデルの利用を開始したのは、こうした2次元モデルでの限界を最新のICTを用いて解決するためである。
 
また、「CIM=3次元」と捉えるのは間違いで、CIMは3次元モデルを中心とするが、3次元に固執する必要はなく、今まで発注者-設計者、発注者-施工者のように個別に行っていたものを、図-2に示したように事業全体にわたって関会社間で情報共有を行い、高度化していこうとする活動である。こうした活動はBIMの中でIPD(Integrated ProjectDelivery)として考えられている。AutodeskのHPでは、「IPDとは、建築家、エンジニア、請負業者、施主など、建築プロジェクトにかかわるチームが初期の段階から協力し、最適な建物を建てるという共有目的の下、最も有効な決定を共同で下すことを可能にする協業形態です」と説明されている。
 
国内では、制度上の問題もあるためすぐには難しいかもしれないが、こうした考え方を取り入れていくことも必要である。このためには、図-13に示すようなプロジェクト全体を取りまとめるCIMマネージャのような制度を検討していくことも必要である。
 

図-13 CIMマネージャ

図-13 CIMマネージャ


 
これからは、その時点の技術・ツールを最大限に利用して今できることをどんどんCIMの成果として取り入れ、次の年にはさらに新しくなっている技術を取りいれていくなど、どんどんCIMの形をスパイラルアップしていくことが必要で、その時のデファクト技術で交換していくことが重要である。当然、そこでできないことは、次の段階で技術的・制度的に改善していくことが必要である。
 
今できることをみんなで進めていく姿勢が一番重要である。一緒にCIMを進めましょう。
 
 
 
 
コンサル目線のCIM「設計からのアプローチ」《前編》
 
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
建設ITガイド2013
 
 

 

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