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株式会社 シビルソフト開発
大野 聡

 

CIMとは

一般的なCIMの概念としてよくいわれるのは、形状や材質などの属性情報を付加した3次元モデルの導入によって、
調査・計画から設計、施工、維持管理までの一連の建設生産システムの効率化を図るとともにそのデータモデルを構築し、
データの流通により相互運用(マネジメント)を可能にするものとされています。
 
つまり、CIMイコール3次元モデルというのが一般的な理解となっているのです。
しかし、調査・計画から設計、施工、維持管理までの土木インフラの仕組み、
今まで続いている受発注の在り方や手続きを見直すことも含めて、
それは、今までのCALSの理念の延長線上であるとも考えられます。
 
図面の電子納品に利用されているCADデータ交換標準SXFには、
2次元CADデータの高度利用を目的とする、属性付加機構という機能があります。
 
図形情報に加えて、図形が持つ意味(図形の属性情報)を付加するもので、
この機構を利用すれば、単なる線分や円弧などの幾何図形が、実際の部材や構造物等として取り扱うことができるというものです。
 
つまり、見た目としては2次元図面の幾何データであっても、
そこに付加された属性により、3次元情報と同じ意味を持つことができるのです。
 
全てのインフラ整備において、3次元モデルが必要かというと、必ずしもそうではなく、
少なくても地下埋設などの管路系は、2次元モデル(属性情報付加)で十分にCIMの概念が実現可能な分野だと考えられます。
 
 

東京都下水道局の取り組み

地下埋設の管路系として、いち早くCALSの導入を進めたのが、
既存施設の維持管理として必須の下水道台帳情報システム(SEMIS)の電子化を終えていた東京都下水道局です。
その当時のSEMISでは、地形や施設などの図形情報と
マンホール・管きょ・桝・取付管・排水区画割りなどの属性情報で120層のレイヤー構造(図-1)が整備されていました。
 

図-1 SEMISレイヤー

図-1 SEMISレイヤー


 
管きょ設計CADによる電子納品は、「維持管理からの発想でデータを流通させる」というCIMのキックオフとしての提言そのままに、
維持管理に利用されていたSEMISデータを起点として、建設生産システムの効率化を高めることにしたものです。
 
図-2 東京都下水道局管きょ設計CADデータ標準仕様(案)

図-2 東京都下水道局管きょ設計CADデータ標準仕様(案)


 
東京都下水道局がホームページ上に公開している
「東京都下水道局管きょ設計CADデータ標準仕様(案)の改定について( 平成25年9月10日)」
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/osigoto/cad.htm(図-2)によると、
「管きょ設計CAD」を利用した電子納品による「データリサイクル」は、
SEMISから、設計、工事、台帳情報の更新までの業務を、次の手順のようにSEMISと互換性を持った電子データで行うことで、
業務の効率化、情報の正確性と迅速性の向上を図るものです。
 
①設計段階で、SEMISから切り出した図面や属性等のデータを活用して、設計図を作成して電子納品します
②工事段階で設計図のデータを基に工事内容を反映した完了図を電子納品します
③最新情報になった完了図のデータ(図面、属性)をSEMISに反映します
 
このように、作業工程としてSEMIS出力から始まり、
設計発注→設計→設計完了(電子納品)→工事発注→工事→工事完了(電子納品)→SEMIS登録となっていて、
施設のライフサイクル全体においてデータが流通することが分かります。
 
 

標準仕様(案)準拠のCAD

管きょ設計CADは、下水道局で使われているCADで、民間の受注者が自らの場所で使うことはできません。
そこで、公開されている標準仕様(案)に則って開発、商品化されたのが「Pipe Project」(図-3)という製品になります。
 

図-3 Pipe Projectの利用場面

図-3 Pipe Projectの利用場面


 
発注者が、SEMISデータ(属性を含む)を切り出して、そのデータを受注者に渡せば、
受注者は、調査した内容を踏まえて「Pipe Project」で、設計を行い、設計図書としてまとめることができるのです。
 
工事の場合も同様な手順を踏むことができ、最終的な完了データは、SEMISに保存され、
その後の維持管理に供することになります。
 
発注者と受注者、異なるシステムを利用しますが、標準仕様(案)によるデータは、属性とともに交換されるので、
どのような場面での変更があっても、その時点で効率的な対応が可能で、
SEMISと互換性を持った電子データとして保持されるのです。
 
このようなことから、2次元情報であっても属性を伴うことにより、CIMの概念を踏襲しているものと考えられます。
 
 

おわりに

地下埋設の管きょ系では、2次元情報モデルで十分にCIMに対応が可能なことが分かりました。
 
しかしながら、それでも3次元情報の方が有利な場面があります。
 
一つは、下水道台帳情報システムであるSEMISからデータを管きょ設計CADにインポートした際の目視チェックです。
SEMISは、過去の図面等から手作業による入力によってデータが構築されているので、入力間違いが皆無という訳ではありません。
アプリケーションによる数値チェックはできますが、やはり、ディスプレー上で可視化された管路等は分かりやすいのです(図-4)
 

図-4 3Dによる目視チェック

図-4 3Dによる目視チェック


 
もう一つは、他企業の地下埋設物と管きょ等が交差する際の干渉チェックなどにも有効です(図-5)
 
図-5 3Dによる干渉チェック

図-5 3Dによる干渉チェック


 
さらに、これからの課題としては、調査に関する電子データの扱いです。
マンホールや管きょ内の現場調査のデータが、これらのシステムの中で互換性を持てば、
さらにより一層、建設生産システムとして、CIMの概念に到達するものと考えられます。
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2015
特集1「CIMの最前線」
建設ITガイド 2015
 
 

 

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