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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > CALSからCIMへ進化する建設生産システム《後編》

 

国土交通省 大臣官房技術調査課
工事監視官 石川 雄一

《前編》を読む
 

土木分野におけるICT活用の現状について

図-6

図-6


土木分野におけるICTの活用については、情報化施工技術の活用が挙げられる。代表的な情報化施工技術にはTS(トータルステーション)を用いた出来形管理技術、MC(マシンコントロール)/MG(マシンガイダンス)技術などがあり、これらの技術は直轄工事を中心に普及が図られている(図-6)
 
また、情報共有システムの導入も進められており、各現場の生産性の向上や品質確保に寄与している(図-7)。
 
一方、設計成果や工事完成記録についても電子納品保管管理システムにより電子化が進められている(図-8)
 
このように、個々の段階での電子化・情報化はある程度進んではいるが、土木分野においては、いまだ建築分野でのBIMのように建設生産システムのあらゆる工程でモデルを共有したシステムは構築されていない。
 
国土交通省では、今後の建設生産システム全般において、建築におけるBIMの思想とツールを取り入れて、建設分野全般に適用すべくCIM(Construction Information Modeling)の構築と導入の検討を進めることとしている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
図-7

図-7


 
図-8 電子納品保管理システム

図-8 電子納品保管理システム


 

CIMの概要

CIMは、調査・計画~設計~施工~維持管理の各段階において、3次元モデルを一元的に共有・活用、発展させることにより建設生産プロセスの過程において、より上流におけるリスク管理を実現するとともに、各段階での業務の効率化を図るものである。
 

3次元モデルの構築

CIMにおける3次元モデルとは、単にコンピューター上に精緻な仮想構造物の形状を表現するだけでなく、材料・部材の仕様・性能・数量、コスト情報等、実構造物としての属性情報をも併せ持った情報の集合体を設計段階から構築することであり、この点が2次元設計との決定的な違いである。(図-9・10)
 

図-9 3次元設計のイメージ

図-9 3次元設計のイメージ


 
図-10 設計・施工のミスの減少

図-10 設計・施工のミスの減少


 
従って、構築された3次元モデルは、変更の容易さ(コンピューター上の画面操作により可能)に加え、モデルの変更に連動して数量等の属性情報も変更されるため、比較・解析という各種シミュレーションの場面において、その容易さ、速さおよび正確さにおいて最大の効果を発揮すると考えられる。
 

CIMの効果(建設生産段階)(図-11)

CIMにおいては、この3次元モデルの構築・活用を柱としているが、それは3次元モデルを構築・活用することにより、次の効果が期待できると考えられるからである。 
 
・設計段階においては、効率的、かつ幅広い比較検討等が可能となる他、構造物の干渉チェックによる設計ミスの削減、数量の自動算出、構造物の可視化等
 
・設計から施工に移行する際に、3次元モデルによる円滑なデータ連携が図られる
 
・施工時のデータを順次モデルに追加することにより、出来高確認等の施工管理の効率化が図られるとともに、維持管理に活用する3次元モデルが構築される
 
・施工時に時間軸を追加(4次元モデル)するなどの応用により、施工計画の最適化、効率的な施工管理、安全の向上等が可能となる
 
・維持管理において必要なデータ(属性データ等)を連携させることにより、維持管理での3次元モデルが構築され、管理の効率化・高度化が可能となる
 
・発注者においては、発注業務(設計書作成、積算など)、監督・検査業務の効率化が図られる
 

図-11 CIMの概念(案)

図-11 CIMの概念(案)


 

CIMの検討における課題(BIMとの相違)

CIMの検討に当たっては、次の点に留意する必要があると考えられる。
 
①土木分野では、現地の地形・地質に依存または左右される要素が建築分野に比べて格段に大きく、地形・地質の詳細で精緻な情報が最も重要であること
 
②土木分野では、建築分野に比べて設計の自由度は小さく、施工においては、いわゆる設備関係も限定的であること
また、維持管理においては、各構造物に特有な管理項目があり、さらに地域や周辺環境との関係が建築に比べてより密接であること
 
③現行の公共土木の契約形態は、設計と施工を分離して発注することが基本であることから、事業の上流(設計)段階での施工上のリスク管理の実施(フロントローディング)は限定的なものにならざるを得ないこと
 
これらの留意点のうち、①の地形については、現状で国土地理院から提供されている基盤地図情報(数値標高モデル)の活用や「地理空間情報活用推進基本計画」(H20閣議決定)に基づく「地理空間情報高度活用社会(G空間社会)の実現」に向けた検討に期待するところである。
 
②については、まさにCIMの主要部分であり、必要な属性情報をどう選択し、どの程度の情報を付加するべきかなど、CIM構築にかかるコストとその効果については、今後の検討の柱となる部分である。
 
また、③については、各段階での役割・責任に関わる現行の建設生産システムの制度としての課題であり、各関係方面での議論が必要と考えられる。
 

CIM導入に向けた取り組み(図-12・13)

CIMの導入に向けては、上述した以外にも3次元設計ソフトの開発などの技術面においてさまざまな検討項目があると思われる。それら技術面の課題については、JACIC(一般財団法人 日本建設情報総合センター)を中心としたCIM技術検討会において、各関係機関・業界からの参画を得て議論・検討がなされているところである。
 

図-12 産官学が一体となったCIMの検討体制

図-12 産官学が一体となったCIMの検討体制


 
一方、CIMの導入に当たっては、現行制度や要領・基準類の見直しが必要となることから、国土交通省では導入に向けて、CIM制度検討会を立ち上げて検討を進めているところである。
 
図-13

図-13


 
また、各検討と並行して、実際の建設生産プロセスの中でその効果・課題について検証する必要があるため、国土交通省の直轄事業において、CIMを導入したモデル事業(表-1参照)を実施することとし、H24年度より3次元による設計業務を全国10ヵ所の直轄事業において試行的に実施しているところである。
 
表-1 モデル事業での試行項目と検証事項等(案)

表-1 モデル事業での試行項目と検証事項等(案)


 
CIMの導入がもたらすものは、まだまだ未知数の部分も多いが建設生産システムそのものを変革し、建設イノベーションを実現する可能性を秘めたものであり、他産業並みの労働生産性の向上を図るためにも、重要な意味があるものと考えている。
 
 
 
CALSからCIMへ進化する建設生産システム《前編》
 
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
建設ITガイド2013
 
 

 

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