- 2015-06-18
- 積算資料公表価格版
1.はじめに
高知県は、これまでに数多くの台風や豪雨浸水、地震等に見舞われてきました。
その経験を基に新しい知識や技術を生み出すことにより、こうした災害を全県挙げて克服してきました。
平成24年3月に公表された南海トラフ地震の新たな被害の想定では、高知県では最大34mもの津波が想定されるなど、
これまでにない厳しいものでした。
本県では、こうした厳しい被害想定にも真正面から向き合い、
これまでの風水害で蓄積してきた知見や東日本大震災の教訓も取り入れながら、
避難路の整備をはじめとした南海トラフ地震対策に全県が一体となったさまざまな取り組みを行っています。
今回、こうした取り組みのうち、
「高知県防災関連製品認定制度」をはじめとした「防災関連産業の振興」の取り組みについてご紹介させていただきます。
2.防災関連産業の振興
現在、高知県では、南海トラフ地震の厳しい被害想定に対応していくため、
まずは本県の防災・減災力を引き上げ、さらには全国の同じような状況の方々に役立てていただくことを目指して、
官民一体となって防災関連の製品・技術開発を進めています。
具体的な取り組みは、以下に紹介する通りです。
3.高知県防災関連産業交流会を通じた活動
高知県内の防災関連製品を多くの方に知っていただくとともに、より現場ニーズに即した製品開発につなげていくために、
平成24年度に「高知県防災関連産業交流会」を創設しました。
交流会には、防災関連産業に取り組もうとする企業や、自社の防災対策を進めていこうとする企業、県内の全ての市町村など、
平成27年3月現在で約140社・団体の方にご加入いただいています。
交流会での活動として、防災関連製品を取り扱う大手企業の担当者による講演や個別製品への助言、
県内市町村などのユーザーとメーカーとの率直な意見交換、
県内各地での防災訓練での製品紹介などといった取り組みを行っています(写真-1)。
3.1 公設試験研究機関や専門家等と連携した「ものづくり」支援
南海トラフ地震の厳しい被害想定に対応して防災・減災対策を進めていくためには、
より厳しい想定に対応した製品・技術を早期に開発していく必要があります。
高知県では、こうした製品・技術開発をより多く、より早く、より確実にしていくため、
防災関連産業交流会員の防災関連製品・技術の開発の際に生じるさまざまな課題等に対し、
企画・販売促進・生産技術等の専門家や試験研究機関、
大学の専門家をアドバイザーとして企業に派遣する「高知県防災関連製品開発アドバイザー派遣制度」を設けています。
この制度では、指導や助言等を通して、円滑な製品開発を支援することを目的としています。
また、防災関連製品を含む県内での「ものづくり」を一段と強化するため、
(公財)高知県産業振興センター内に設置されている「ものづくり地産地消・外商センター」と連携し、
事業化プラン作成から販路開拓までの一貫したサポートを行っています(写真-2)。
3.2 「高知県ものづくり産業強化事業費補助金」を活用した製品開発
防災関連製品のニーズが明確であり、新たな製品開発をしたいという高知県内企業の方には、
「高知県ものづくり産業強化事業費補助金」を設けています。
この補助金では、製品開発のアイデア段階から試作機製作・改良に至るまでの経費の一部を助成しています(写真-3)。
4.「高知県防災関連製品認定制度」等を通じた製品の普及
数多く生まれている「メイド・イン高知」の防災関連製品の普及も、積極的に進めています。
4.1 高知県防災関連製品認定制度
県内企業が開発・製造した防災関連製品を県内外のユーザーの皆様に安心して購入していただくために、
公設試験研究機関や大学教授などの有識者を審査員とする「高知県防災関連製品認定制度」を平成24年度に創設しました。
この制度を設けることで、高知県内における防災関連のものづくり企業の技術力や製品開発力の向上を図るとともに、
県内外へその魅力を発信することを目指しています。
審査会では、学識経験者や行政関係者、全国規模の防災用品取扱企業のバイヤー等の方々に、
品質や安全性といった視点で審査していただき、「高知県防災関連登録製品」として認定をしています。
平成27年3月現在で85製品を認定しており、認定製品は下記ホームページに掲載している他、
当課で発行しているカタログ「高知防災モノづくり SELECT BOOK」に掲載しています(写真-4)。
カタログは、高知県が出展する防災関連の見本市で配布している他、高知県東京事務所や大阪事務所等でもお渡ししています。
また、ご希望の方は当課から発送可能ですので、お気軽にお問い合わせください(問い合わせ先は、最後に記載)。
URL:http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/150501/bousaiseihin26
4.2 高知県新事業分野開拓者認定制度
高知県防災関連製品認定制度で認定を受けた次のステップとして、
県内中小企業者等が開発または製造する新規性や独創性のある新商品について、
市場への普及拡大を促進するため、基準を満たす商品を生産する中小企業者等を認定し、
県が必要に応じて発注する「高知県新事業分野開拓者認定制度」を創設しています。
この制度を活用した県の積極的な「メイド・イン高知」の防災関連製品の購入の動きと連動して、
同様に県内市町村でも同制度を創設する動きが進んでおり、防災関連製品の「地産地消」が加速化しています。
5.全国の皆さまに知っていただく取り組み
南海トラフ地震の厳しい被害想定に対し、真剣に考えて生まれてきた「メイド・イン高知」の製品を
全国で近年頻発している大規模災害への対策にも役立てていただきたいと考えています。
こうしたことから、県では、全国各地で開催される防災関連の見本市への出展や
県外コーディネーターによる訪問・製品紹介にも力を入れています。
5.1 県外見本市等への出展
全国の大規模な防災関連の見本市において、県と(公財)高知県産業振興センターが共同で「高知県ブース」を出展し、
全国各地で「メイド・イン高知」の防災関連製品を周知PRしています。
昨年度は、東京や大阪などで開催された防災関連の見本市に、県内企業が13展示会、延べ63小間62社が出展し、
全国各地の自治体の防災担当者や商社の方などに向けて、県内企業の製品をPRしました(写真-5)。
防災関連の見本市にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
5.2 県外コーディネーター等による紹介
「ものづくり地産地消・外商センター」や、東京・大阪・名古屋に駐在している県外コーディネーターが、
積極的に全国各地の市町村や企業などを訪問して、「メイド・イン高知」の防災関連製品をご紹介しています。
ご興味のある方は、コーディネーターが訪問させていただくことも可能ですので、下記までお問い合わせください。
●高知県産業振興センター「ものづくり地産地消・外商センター」
高知県高知市布師田3992-2
TEL:088-845-7110
URL:http://www.joho-kochi.or.jp/mono/
●東京駐在
東京都千代田区内幸町1-3-3 内幸町ダイビル7F(高知県東京事務所)
TEL:03-5532-1348
●大阪駐在
大阪市中央区本町2-6-8 センバセントラルビル1F(高知県大阪事務所)
TEL:06-6244-7934
●名古屋駐在
名古屋市中区栄4-16-8 栄メンバーズオフィス803号室
TEL:052-684-4904
6.おわりに
今回は、「防災関連産業の振興」という、
本県で行われているさまざまな南海トラフ地震対策のひとつについて、ご紹介させていただきました。
官民協働で進めているこの取り組みでは、平成24年度に6,000万円程度だった売上高が平成25年度には10億円を突破、
平成26年度についてはそれ以上の実績が見込まれています。
厳しい被害想定のもと、必ず起こる南海トラフ地震に向け高知県では「防災先進県・高知」として、
全県が一体となって取り組みを進めています。
今回ご紹介した取り組みが、全国の皆さまの防災の参考になれば幸いです。
また一方で、本県の進めるさまざまな南海トラフ地震対策では、全国の皆さまのご協力が必要となります。
今後とも高知県の進める取り組みにご理解とご協力をお願いいたします。
お問い合わせ先
高知県商工労働部工業振興課 企業支援担当
TEL:088-823-9724
E-mail:150501@ken.pref.kochi.lg.jp
URL:http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/150501/
【出典】
月刊 積算資料公表価格版2015年5月号
特集 高知発! インフラ防災の最新技術~Made in 高知~
最終更新日:2015-07-14
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