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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 国土交通分野の環境政策とリサイクル

 

1.国土交通分野の多様な環境政策

環境政策が対象とする範囲は非常に幅広く、従来からの大気汚染、騒音の低減等の環境の改善や、
下水道の整備等公衆衛生の向上等の生活環境の確保の諸施策に加え、リサイクル等の循環型社会の形成や、
自然環境の保全・再生・創出、温室効果ガス削減等の地球温暖化対策、
さらには地球温暖化の影響によって生じる水災害や高潮等への備え(適応)など、多岐にわたる。
 
環境に関する施策は、環境基本法に基づく「環境基本計画(H24.4閣議決定)」で体系化されており、
国、地方公共団体、事業者、国民それぞれが、環境保全のための取り組みを進めることとされている。
このうち国においては、各省が「環境配慮の方針」を策定して取り組んでおり、
国土交通省においても環境配慮の方針にあたる「環境行動計画(H26.3改定)」に基づいて、
環境関連施策に総合的かつ計画的に取り組んでいる。
 
国土交通省は、住宅・社会資本整備、交通運輸、まちづくり、気象等、非常に多様な分野を所管している。
これら各部局で業務や事業に伴う環境負荷の軽減や環境配慮に取り組むだけでなく、
低炭素まちづくりの推進や、環境対応車の普及促進、生態系ネットワークの形成など、
積極的に良好な環境の保全・創出を行う施策を多く実施している。
また、環境を取り巻く情勢の変遷とともに、再生可能エネルギーや気候変動適応策など、対象とする施策を加えてきた経緯がある。
 
それだけに、国土交通省における環境保全施策の対象は非常に広範囲であり、
環境行動計画においては、図-1に示す「4分野」「7つの柱」に整理された計38の施策群を、
国土交通省の環境政策として示している。
 

図-1 環境政策の「4分野」「7つの柱」(環境行動計画)

図-1 環境政策の「4分野」「7つの柱」(環境行動計画)


 
 

2.住宅・社会資本整備と密接に関わる環境関連の取り組み

以下では、国土交通省の所管のうち、住宅・社会資本整備における環境関連の取り組みについて取り上げる。
この分野においては、関連する法律等の各種制度や計画、基準の策定、支援措置などを通じて
環境の保全に関する取り組みを推進している。
社会資本整備に関する取り組みの例としては、平成9年に河川法が改正されて河川環境の整備と保全が位置づけられたことや、
「多自然川づくり」の推進(図-2)、「緑の基本計画」策定を通じた都市緑地による生態系ネットワークの形成(図-3)
「緑の防潮堤」の取り組み(図-4)等が挙げられる。
 

図-2 多自然川づくりの例(佐賀県多久市の牛津川)

図-2 多自然川づくりの例(佐賀県多久市の牛津川)


 
図-3 生物多様性に配慮した「緑の基本計画」(イメージ)

図-3 生物多様性に配慮した「緑の基本計画」(イメージ)


 
図-4 緑の防潮堤

図-4 緑の防潮堤


 
また、住宅建築物に関する取り組みの例としては、住宅・建築物の省エネルギー性能の向上や、
長期にわたって使用可能な住宅ストックの形成が挙げられる。
 
また、国土交通省は、自ら事業を実施しており、事業者として官庁施設のグリーン化等、環境保全の取り組みを行うとともに、
環境影響評価、グリーン調達などの仕組みを活用しながら、事業の計画や個別構造物等の設計、施工の一連のプロセスにおいて、
状況に応じた環境保全への配慮を行っている。
 
さらに、工事の施工においては、水質汚濁や土壌汚染の防止、振動・騒音の抑制、廃棄物の処理など、様々な環境面の配慮事項がある。
このうち、建設リサイクルや、建設機械の環境対策について、国土交通省において取り組みを推進している。
 
このような取り組みのうち、建設リサイクルや長期にわたって使用可能な住宅ストックの形成、官庁施設におけるグリーン化、
建設機械の環境対策、グリーン調達については、参考文献1)を、
また、その他については、環境行動計画2)を参照いただきたい。
 
 

3.直近の環境課題と政策

環境を取り巻く情勢とともに、環境課題も変化し、それに伴って、環境に関する政策も変化を続けている。
直近の低炭素・循環・自然共生それぞれの分野別の大きな動きについて、下記に示す。
 

3-1 低炭素:地球温暖化・気候変動の顕在化

地球温暖化の対策としては、CO2など温室効果ガスの排出削減等(緩和策)が行われているところであるが、
「最大限の地球温暖化対策を講じたとしても、地球温暖化による影響を完全に避けることは難しい状況」とされている。
既に我が国においても、極端な雨の降り方が顕在化しているが、将来においては大雨や短時間強雨の増加や無降水日数の増加、
海面水位の上昇が予測され、その影響として、渇水の深刻化や水災害、高潮リスクの増大等が予測されている3)
このような地球温暖化に伴う気候変動に備える対策を「適応策」と呼んでおり、
緩和策と合わせて車の両輪として取り組む必要がある(図-5)
 

図-5 地球温暖化対策の概念(緩和と適応)

図-5 地球温暖化対策の概念(緩和と適応)


 
欧米等の諸外国では既に政府としての適応計画を策定してこれに取り組んでいる。
我が国においても、環境省を中心として本年夏頃を目途に政府全体の「適応計画」を策定し、
計画的に取り組みを進める予定としている。
その具体内容の検討は各省で実施することとされており、国土交通省においても、政府全体の適応計画に反映すべく、
水災害や水資源、沿岸、ヒートアイランド等、内容の検討を実施しているところである。
 

3-2 循環:リサイクルの着実な進展を踏まえた質にも着目した取り組み

資源の有効利用を図り、廃棄物の最終処分を減らす「循環型社会」の形成に向けた取り組みは、
平成12年に基本法が施行され、同法に基づいて「循環型社会形成推進基本計画」を策定し、取り組みが進められてきた。
これまで、リサイクルの取り組みが顕著に進み、最終処分量の大幅削減が実現するなど、
循環型社会形成に向けた取り組みは着実に進展している。
平成25年5月に策定された第3次基本計画では、量の削減に加え、「質にも着目した循環型社会の形成」を基本的方向として掲げ、
リサイクルに加え、「リデュース(資源利用量の減少)」や「リユース(再利用)」の取り組みがより進む社会経済システムの構築や、
循環資源のエネルギー源への活用、東日本大震災の反省点を踏まえた新たな震災廃棄物対策等に取り組むとしている。
 
これらを踏まえて、国土交通省においても長期にわたって使用可能な住宅ストック形成や、
下水道資源の有効活用の取り組み等を進めている。
また、従来から取り組んでいる建設リサイクルについて、
建設副産物の再資源化の伸び悩み・最終処分場の逼迫・不法投棄に占める建設廃棄物の高い割合や、
社会資本の老朽化に伴う維持管理・更新工事や東京オリンピック・パラリンピック関連工事による建設副産物の発生増、
大規模トンネル工事等による建設発生土の発生増等の新たな課題を踏まえ、さらに取り組みを進めて行く必要があることから、
平成26年9月に推進計画を見直し、「建設リサイクル推進計画2014」として策定している。
 

3-3 自然共生:欧米等の「グリーンインフラ」を参考とした取り組み

社会資本整備においては、これまでも、自然の営みを視野に入れ、地域特性に応じて自然が有する機能も活用しつつ、
自然と調和しながら、生物多様性保全や持続可能な利用の観点からの取り組みを進めてきた。
近年、自然環境の有する多様な機能を活用していくことにより、
自然環境、経済、社会にとって有益な対策を社会資本整備の一環として進めていこうとする
「グリーンインフラ」の取り組みが欧米等で進められており、
国内の社会資本整備においてもこうした概念を参考としながら、引き続き、関連した取り組みを推進する予定である。
 
 

4.まとめ:持続可能な社会に向けて

環境政策が目指す持続可能な社会に向けて、
低炭素・循環・自然共生それぞれの分野で、国土交通省においても様々な取り組みを実施してきた。
引き続き、状況の変化に対応しながら、積極的に取り組みを進める予定である。
 
 
 

参考文献

1)特集「環境・リサイクル」、建設マネジメント技術、2015年5月、(一財)経済調査会
2)環境行動計画、平成26年3月、国土交通省、http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_fr_000101.html
3)日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)、平成27年3月,中央環境審議会、http://www.env.go.jp/press/100480.html
 
 
 

筆者

(前)国土交通省総合政策局環境政策課 課長補佐 池田 武司
 
 
 
【出典】


月刊 積算資料公表価格版2015年8月号
特集 環境と共生する技術
月刊 積算資料公表価格版2015年8月号
 
 

 

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