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平成25年度予算案

平成25年度予算の東日本大震災復興特別会計は、前年度比16.1%増の4兆3,840億円となった(表-1)。
 

表-1:平成25年度 東日本大震災復興特別会計

表-1:平成25年度 東日本大震災復興特別会計


 
「まちの復旧・復興」として40.6%増の1兆6,670億円を配分し、本格的な復旧や復興に向けた公共インフラの整備を推進する。
主な事業への配分額は、東日本大震災復興交付金が5,918億円、災害復旧事業が6,611億円、
復興道路・復興支援道路の整備に1,384億円、農林水産基盤整備が478億円などとなっている。
 
災害復旧事業への費用は前年度の2,605億円から倍以上に拡充し、重点的に推進する。
道路や堤防、農業用施設、上水道、学校、病院といったインフラの復旧を事業計画や工程表を踏まえて進めていく。
また、災害復旧だけでは困難な市街地再生やまちづくりを加速させるため、
5省40事業の地域づくりに必要なハード事業や関連するソフト事業などを一括して支援する東日本大震災復興交付金も、
前年度の2,868億円からほぼ倍増に拡充している。
 
このほかの特徴では、
民主党政権だった昨年9月の概算要求で9,412億円あった全国防災に関する事業が1,300億円に絞り込まれている点が挙げられる。
全国防災の事業費は、主に学校の耐震化と水門の遠隔操作設備の2つに限って配分することとなったが、
今年度は学校の耐震化に関する事業を中心に配分する。
 
また、原子力災害からの復興再生には56.0%増の7,264億円を充てる。
放射性物質に汚染された土壌などの除染には4,978億円、放射性物質汚染廃棄物処理事業に971億円、
中間貯蔵施設の設置に向けた取り組みに146億円、原発事故の長期避難者への支援に皆増の503億円などを盛り込んだ。
 
長期支援者への支援に関する費用は、受け入れ自治体での生活拠点となる「仮の町」の整備に活用し、
災害公営住宅の建設や基盤整備などに充てる予定。
復興交付金では対応できない災害公営住宅周辺の道路や学校、公園、集会所、介護施設などの整備のために新設された
「長期避難者生活拠点形成交付金」を活用し、長期避難者の生活拠点形成を支援する。
災害公営住宅は、福島県がいわき市、郡山市、会津若松市に合計500戸の建設を予定しているほか、
建設地は決まっていないものの1,000戸を整備することが固まっている。
交付金は、住宅の建設費や土地取得費に充てられる。
 
このほか、産業振興や雇用確保に対応するため3,075億円を計上。
新規に「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」として1,100億円を盛り込んだ。
これまで原子力災害の被災地を中心に産業復興を進めていたところを新たに津波被害を受けた地域まで拡大する。
福島県だけでなく青森県から茨城県にかけての広範な地域での支援体制を築く。
 
また、「被災地域中小造船業復興支援事業」として160億円を新規計上している。
地盤沈下により復興が難しい中小造船関連事業者を支援し、漁船の修繕などに使う施設を集約整備する際の費用を補助する。
 
 

平成24年度補正予算案

25年度予算案と15カ月予算を構成する24年度補正予算では、復興特別会計の総額として3,177億円が計上された。
まちの復旧・復興には1,970億円を配分。
内訳は、津波被災地域の復興に伴う震災復興特別交付税の増額に1,214億円、
社会資本整備総合交付金による道路整備などに60億円、復興道路・復興支援道路などの整備に5億円、
港湾施設の整備に6億円、農業生産基盤の整備に19億円などとなっている。
 
 

予算フレームの見直し

予算の執行に当たっては、民主党政権が23年度から27年度までの「集中復興期間」での事業規模を19兆円としていたところを、
少なくとも23兆5,000億円に見直して事業を進める。
復興庁では「これまでの見通し額は阪神・淡路大震災の対応から試算したものであり、
事業発注や計画策定などによる事業発注見込みを積み上げた金額を踏まえ見直した」との見解を示している(図-1)。
 

図-1:集中復興期間の復旧・復興事業の規模と財源(概要)

図-1:集中復興期間の復旧・復興事業の規模と財源(概要)


 
23兆5,000億円の内訳は、24年度までの予算に計上された約17兆5,000億円に加え、
25年度予算での施策・事業規模である3兆3,000億円程度、現時点で想定できる26、27年度の2兆7,000億円程度としている。
 
財源としては、日本郵政の株式の売却収入4兆円程度、23年度の決算余剰金の一部などで2兆円程度を確保する見込み。
19兆円の残り1兆5,000億円も合わせ、集中復興期間に25兆円程度を確保する計画としている。
 
根本匠復興相は集中復興期間後の復興予算についても触れ
「民主党政権で10年間で23兆円というフレームがあったが、それは定めた時点の推定の値になっている。
 今後5年間の事業執行をみながらその時点、その時点で精査し、全体の復興が加速できるようにしていきたい」
と、年度ごとに事業や財源を精査していく考えを示している。
 
 

予算執行に向けた取り組み

予算が計上され事業が確保されても、自治体の技術職員の不足などにより膨大な作業量をこなしきれない状況も課題になっている。
用地取得の遅れや資機材不足などによる入札不調といった複合的な要因も絡んで執行にこぎ着けられないケースが目立っている。
 
政府の復興推進会議では、23年度補正予算に計上した東日本大震災からの復興関連事業を、
2年先の25年度まで繰り越す「事故繰越」の手続きを簡素化することを決めた。
簡素化により制度の活用をしやすくし、復興事業の円滑な進捗を目指す。
 
新たに提出する理由書は、1枚の用紙に必要最低限の事項を記載するだけにする。
事故繰越は、当初計上した予算から2年度分繰り越すため書類でも明確な根拠を求められてきたが、
類型化した例文を示し選択する形に改める。
また、理由書と合わせて提出を求めていた事業概要や工程表、図面などの書類も不要とする。
状況を説明するため財務省が多いときには5、6回実施しているヒアリングも廃止し、時間や手間を大幅に省力化していく。
 
現段階では事故繰越できるのは23年度補正予算のみとなっている。
補正予算は総額で約14兆9,000億円が計上され、24年度へ繰越したのは4兆8,000億円。
24年度で執行しなかった部分を繰り越せる。
 
ただ、今回事故繰越した予算をさらに翌年度に繰り越すことはできない。
国が契約していない事業や、自治体への補助金交付が完了していない事業の繰り越しも不可能としている。
繰越への柔軟な対応を求める自治体もあり、こうした点への対応は今後の課題になる。
 
 

被災3県の平成25年度予算案

岩手、宮城、福島の被災3県でも25年度予算案がまとまった。
岩手県、福島県は過去最高の一般会計を計上したほか、
宮城県は震災対応分として一般会計のほぼ半分を占める7,415億円を盛り込むなど、
復旧から復興を加速する体制にシフトしてきている(表-2)。
 

表-2:東北3県の平成25年度予算案

表-2:東北3県の平成25年度予算案


 
岩手県の一般会計総額は1兆1,517億円。
復興計画における「基盤復興期間」3年間の最終年度として震災対応に必要な経費を盛り込んだことで、
前年度を3.0%上回る過去最高の予算規模となった。
 
震災対応分は44.8%を占める5,161億円。前年から10.9%増加している。
普通建設事業費は全体で4.8%増の1,615億円だが、震災対応分を除いた通常分は14.7%減となっており、
復興への事業に本腰を入れる姿勢を鮮明にしている。
災害復旧事業費としては3.0%増の2,645億円を計上した。
 
主な事業をみると、災害廃棄物緊急処理支援事業費として1,286億円、河川等災害復旧事業費に277億円、
災害公営住宅整備事業費に173億円、地域連携道路整備事業費に111億円、水産業経営基盤復旧支援事業費に44億円、
農用地災害復旧関連区画整理事業費に56億円などを盛り込んでいる。
 
一方、宮城県の一般会計は、過去最高規模だった24年度と比べ9.6%減の1兆5,213億円となった。
それでも、震災対応分は一般会計の48.7%に当たる7,415億円。震災復興計画の政策推進に必要な金額を確保している。
普通建設事業費では76.9%と大幅増の2,337億円を計上。
災害復旧事業費と合わせた投資的経費でみると震災前に編成した23年度予算から4.3倍にのぼる金額が盛り込まれたが、
災害復旧事業費は前年度から減少していることから、宮城県でも重点的に復興に費用を配分している。
 
主な事業には、災害廃棄物処理に1,588億円、河川復旧に840億円、
水産基盤整備に299億円、復興関連道路に298億円などを充てた。
 
福島県の一般会計は9.9%増の1兆7,319億円で、過去最高だった前年度をさらに超える規模。
震災・原子力対応分には26.4%増の9,168億円が盛り込まれ、一般会計の52.9%を占めた。
普通建設事業費は35.6%増の2,534億円、災害復旧事業費も10.7%増の866億円とともに大幅増で、
復興に向けた取り組みを最優先に進める。
 
主な事業には除染や環境創造センター整備などの環境回復に2,800億円を充てるほか、
復興公営住宅建設を含む生活再建支援に1,875億円、中小企業振興に1,852億円、農林水産業再生に674億円、
津波被災地域復興まちづくりに583億円を配分する。
 
 
 

筆者

経済調査会 編集部
 
 
 
【出典】


月刊積算資料2013年4月号
月刊積算資料2013年4月号
 
 

 

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