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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 四国地方整備局におけるCIMの取り組み

 

国土交通省 四国地方整備局 企画部 技術管理課
係長 太田 芳宏

 

はじめに

今回、四国地方整備局では自動車専用道路である四国横断自動車道阿南四万十線(阿南〜徳島東)のランプ橋設計において
CIM導入の試行を行い、その効果を検証したので報告する。
 
 

CIM試行項目の選定

今回、設定した箇所は、徳島県小松島市前原町の国道55号と都市計画道路 江田小松島港線の交差点付近に施工する
小松島IC部Eランプ橋の設計業務(平成25-26年度 小松島IC部Eランプ橋詳細設計業務)で、
歩道橋設置があることから立体的に複雑な構造となる(図-1)。
 

図-1 位置図

図-1 位置図


 
そこで、検討項目としてCIMの特性を考慮して
 
(1)交差点内の橋脚位置および視認性の検討
(2)地下埋設物と構造物との干渉照査
(3)歩道橋建築限界の検討
(4)橋脚・杭の配筋とフーチング配筋との干渉照査
(5)施工計画の検討
(6)景観検討
 
を選定し、定量化するための指標として各項目における作業時間で比較検証することとした。
 
 

CIM試行項目の検討結果

(1)交差点内の橋脚位置および視認性の検討

運転者や歩行者からの見通し(安全性)が確保できているかの判断が確実にでき、
関係機関協議等の説明資料としての分かりやすさが向上した(図-5)。
 

図-5 交差点内の橋脚位置および視認性の検討

図-5 交差点内の橋脚位置および視認性の検討


 

(2)地下埋設物と構造物との干渉照査

地下埋設物や支持層線を3次元モデルで表現したが、
地下埋設物の干渉、支持層への根入れ確認は、2次元図面での確認と比較し、
特に効率性・確実性の向上は認められなかった(図-6)。
 

図-6 地下埋設物と構造物との干渉照査

図-6 地下埋設物と構造物との干渉照査


 

(3)歩道橋建築限界の検討

3次元モデルの場合、上部工の桁と歩道橋の建築限界間の最小離隔となる位置や距離が自動算出されるため、
建築限界の検討は容易である。
また、既設計歩道橋階段の修正に当たり、階段を複雑で狭い地形の中に収める必要があったが、
3次元モデルにより、2次元図面では把握が困難な空間の立体的把握ができることで
効率性・正確性において効果が大きかった(図-4)。
 

図-4 歩道橋建築限界の検討

図-4 歩道橋建築限界の検討


 

(4)橋脚・杭の配筋とフーチング配筋との干渉照査

橋脚、杭頭、フーチングの配筋は、3次元空間を考えないと把握困難な3方向配筋ではなかったため、
特に3次元モデルの有効性は認められなかった(図-7)。
 

図-7 橋脚・杭の配筋とフーチング配筋との干渉照査

図-7 橋脚・杭の配筋とフーチング配筋との干渉照査


 

(5)施工計画の検討

立体的に交差する高圧線や歩道橋の3次元的な位置関係、施工上のコントロールポイントのデータを3次元モデル化することで、
高圧電線等支障物件との離隔を確認しつつ、クレーン配置等の計画ができ、
より安全で、確実な施工計画ができた(図-3、写真-1)。
 

図-3 施工計画の検討

図-3 施工計画の検討


 
写真-1 施工計画の検討状況

写真-1 施工計画の検討状況


 

(6)景観検討

形状のイメージが容易に把握・共有できるとともに、見た目のイメージ(景観性)だけでなく、3次元モデルで提示することで、
点検作業時の平面道路への影響や鳥害対策の必要性など維持管理性の議論も深めることができ、効果があった(図-2)。
 

図-2 景観検討

図-2 景観検討


 
 

CIM試行による課題

CIMでは、2次元図面では表すことが困難な部分の確認が容易になるという効果がある一方で、下記の課題が抽出された。
 
①必要な3次元モデルを一から作成する必要がある。
②必要以上に精緻な3次元モデルを作成すると手間が膨大になり非効率となる。
③複雑な3次元モデルは、作成する技術者に一定レベルの技術を必要とする。
④図面がない占用物件などは、3次元レーザースキャナー(MMS)等を使用した想定の作り込みが必要となるため、
 3次元モデルの作成に手間がかかる。
 
以上のような課題に対し、作成時間を調べ、CIM導入の効果を従来手法と比較した。
 
 

従来手法との作業量比較

CIMモデルごとの作業時間および従来手法との設計作業量の比較を表-1、表-2に示す。
 

表-1 3次元モデル作成時間表

表-1 3次元モデル作成時間表


 
表-2 設計作業量比較表

表-2 設計作業量比較表


 
なお、3次元モデルの作成時間は、CIMモデル作成者の技術レベルによって大きく異なる。
表-1、2に示す時間は、CIMの経験が豊富な技術者が作成に要した時間であり、
従来手法の時間はこれまでの経験による想定の時間である。
 
3次元モデルを活用した場合、各項目の確認・検討に費やす時間は、
従来手法より少ないか同等だが3次元モデル作成時間を考慮すると従来手法より13時間多い。
 
ただし、本業務では、「橋梁配筋」、「地下埋設物」、「地層」については、3次元モデル導入による有効性は認められなかったため、
そのモデル作成時間を差し引くとその時間は26時間となり、設計作業量比較では6時間減少させることができることが分かった。
 
●結果
一度3次元モデルを作成することで設計照査などは、
従来手法より短い時間で実施することが可能となり、設計の効率化が図られることが期待できる。
 
なお、3次元モデル作成時間を短縮するためには、
目的に応じて、作成すべき項目と不要な項目および作り込みレベルを事前に検討し、適切に設定する必要がある。
 
また、CIMを活用することで作業時間の短縮のみならず
、関係機関等との協議や施工計画の打合せ等において効率化を図ることが期待できる。
 
 

おわりに

今回は、CIM導入の効果を作業時間のみで比較したが、
成果としての今後の活用方法を考えれば、今後続くであろう工事の施工管理を行っていく上で、
3次元データがどう活用されていくか等、さまざまな検証が必要と思われる。
 
今回の試行においては、設計業務における作業に着目した試行としての一つの指標となると思われる。
今後さまざまな分野でのCIMの活用促進を期待したい。
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集1「本格化するCIM」
建設ITガイド 2016
 
 

 

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