• お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ

建築資材、土木資材をはじめとした建設資材、機材、設備、工法等の
データを収録し、スピーディな検索を実現した建設総合ポータルサイト

建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 九州地方整備局におけるCIMへの取り組みについて

 

国土交通省 九州地方整備局 企画部
工事品質調整官 森山 博文

 

はじめに

国土交通省では平成24年度からCIMの導入に向けた取り組みを実施しており、九州地方整備局においても、
建設生産システムへのCIM(Construction Information Modeling/Management)の導入促進と技術研鑽を推進することによる
職員の省力化ならびに土木技術向上によるアカウンタビリティの向上を図ることを目的とした
九州地方CIM導入検討会(委員長:小林一郎 熊本大学教授)を平成25年7月に設立し、
これまでに業務10件、工事11件でCIM導入に向けた試行に取り組んでいる。
 

(1)CIM導入検討会ならびに分科会

CIM導入検討会は、建設生産システムの効率化を図るための各段階におけるCIM活用や課題の検討を行っており、
さらには、個別事業の実施にあたり内容や手法などの検討を行う分科会(トンネル、河川、ダム)を設置している(写真-1)。
 

写真-1 CIM導入検討会の様子

写真-1 CIM導入検討会の様子


 

(2)分科会

①トンネル(道路)分科会
トンネル・橋梁におけるCIM活用事例について情報交換を行い、今後の取り組みについて議論を行うことを目的に設立した。
 
トンネル工事におけるCIM試行では、地質の分布状況とトンネルの位置関係を3次元化することによって、
地質が変化する箇所が可視化され、受発注者間が同じイメージを共有できた。
 
その結果、掘削方法の切り替え協議が円滑に進み、段取り替えのロスが軽減されるなど施工の効率化につながったことが確認された。
一方で、設計・施工段階で作成したCIMデータを維持管理で活用するには、データが膨大で利便性に欠けるため、
目的に応じたデータの受け渡し(データの保管)を検討する必要があるなどの課題が挙げられたため、今後も継続して検討を行う。
 
②河川・ダム分科会
河川・ダムにおける計画・管理段階のさらなる活用を目的に設置し、
平成26年度には「河川におけるCIM活用勉強会」、平成27年度には「ダムにおけるCIM活用勉強会」を実施した。
 
これまでの試行業務、試行工事では、
施設配置計画、景観検討におけるイメージの共有、協議の円滑化などに効果があることが分かった。
 
また、延長の長い河川などでは、3次元データを作り込むまではしなくても、2.5次元(※)で作ることで、
立体的な形状の把握や位置関係などを容易に把握することが可能となり、今後のCIM活用の可能性についても議論を行った。
※2.5次元とは、平面図や横断図等の既存データを組み合わせたもの
 
 

CIM試行事例の紹介

(1)平成24・25年度 筑後川橋詳細設計業務

本業務は、筑後川下流部を渡河する有明海沿岸道路筑後川橋の詳細設計である。
 
架橋位置は、土木学会選奨土木遺産であるデ・レイケ導流堤、国指定重要文化財である昇開橋が存在し、
周辺風景や歴史遺産に十分配慮すべき箇所に計画されている。
そのため、歴史遺産との修景や長大アーチ橋(鋼橋)としての構造的課題、
地域住民や河川利用者との協議の面からCIMの活用を実施した(図-1)。
 

図-1 筑後川橋(完成イメージ)

図-1 筑後川橋(完成イメージ)


 
①景観検討
歴史遺産への圧迫感(外部景観)や橋面上からの眺望(内部景観)の確認のため、CIMを利用して検討を行った。
橋梁本体をすっきりとした印象を持たせ、橋脚幅をコンパクトにすることで歴史遺産への圧迫感を軽減できる単弦構造を選定した。
その他主桁やアーチリブの形状、吊材の配置なども3DCADや模型を利用して最適化を行った(図-2)。
 
図-2 複弦と単弦の比較

図-2 複弦と単弦の比較


 
②構造的課題の解決
アーチリブが単弦構造から橋脚に向かい二股構造に変更する複雑な構造であり、
従来の2次元図面では把握が困難な構造的課題に対してCIM(3DCAD、全体模型、部分模型)を活用して解決した(図-3、4)。
 
図-3 3DFEMによる隅角部の応力

図-3 3DFEMによる隅角部の応力


 
図-4 隅角部の応力の当初案と改善案の比較

図-4 隅角部の応力の当初案と改善案の比較


 
(配慮事項)
●煩雑な板組の製作性の確認
●溶接困難箇所の回避
 
③関係機関との合意形成
CIMを活用した3次元モデルによる施工ステップを関係機関や地域住民との協議に利用することで、
漁業や船舶航行などの河川利用者への施工方法の理解を促すことができ、円滑に合意形成を図ることができた。
 

(2)赤松谷川11号床固工工事

本工事は、水無川砂防基本計画に基づき、周辺地域を土石流等による災害から守ることを目的に、床固工を設置したものである。
 
施工箇所が災害対策法上の警戒区域に該当し、原則人の立入が禁止されているため、
無人化施工機械による情報化施工を実施した(写真-2)。
 

写真-2 赤松谷川11号床固工工事箇所

写真-2 赤松谷川11号床固工工事箇所


 
工事に際し、情報共有および作業の効率化の観点からCIMの活用を実施した。
 
本工事におけるCIM活用効果は次の通りである。
 
①工事前
工事着手前には施工計画の立案が必要となる。
この基礎情報となるのが地形図と構造図であるが、本工事では無人化施工に向けてこれらのデータの3次元化を行った。
 
これを活用したことにより、工事数量の算出や、施工方法検討における施工図およびステップ図の作成が迅速化できた。
 
②施工中
無人化施工では、重機を遠隔操作しながら施工管理を行う必要がある(写真-3)。
 
写真-3 無人化施工状況

写真-3 無人化施工状況


 
このため、3次元化したデータと無人化施工におけるICTや計測機器からのデータを組み合わせた
施工状況モニタリングシステムを導入することで、情報の共有化(見える化)と施工管理の効率化が図られた。
 
③完了時
3次元化したデータに対し、施工記録(品質、出来形、写真)を付加したCIMモデルを作成した(図-5)。
 
図-5 施工データの表示例

図-5 施工データの表示例


 
これを用いることにより、床固工の維持管理において、完成時の記録閲覧や、補修履歴の更新など、データの一元管理が可能となった。
 
 

おわりに

これまでに調査・計画・施工段階でのCIM活用の有効性・必要性を確認することができた。
しかし、CIMを導入するためのハード・ソフト整備の必要性やCIM導入効果の定量的評価、
施工から維持管理へのCIMの活用について課題が挙げられた。
 
今後は、確認された課題について解決を図るとともに、
『防災』など新たな局面でCIMを活用するなど、着実にCIMが展開・浸透するよう取り組んでいきたい。
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集1「本格化するCIM」
建設ITガイド 2016
 
 

 

同じカテゴリの新着記事

メルマガ登録

最新の記事5件

カテゴリ一覧

バックナンバー

話題の新商品