- 2016-06-27
- 積算資料
土木第一部・土木第二部・建築統括部
景気回復が力強さを欠き、建設投資が緩やかに減少するなか、資材価格は一部で下降局面に転じる
公共事業関係費は前年度水準を維持
政府は, 1 月に発表した月例経済報告で「景気は一部に弱さがみられるが,緩やかな回復基調が続いている」として,基調判断を3 カ月連続で維持した。しかし,先行きについては,「金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある」として,年明けから続いた株安・円高に警戒感を示している。個別項目では,公共投資について公共工事請負金額などの減少を受けて, 2 カ月連続で「緩やかに減少している」としている。
このように景気回復が力強さを欠くなか,政府は昨年12月24日の閣議で,平成28年度の予算案を決定した。一般会計の総額は96兆7,218億円で,27年度当初予算を約3,799億円上回り過去最大規模となるもので,年金や介護などの社会保障関係費の膨張が避けられないなか,公共事業関係費は,5兆9,737億円(±0.0%)と27年度当初予算と同水準を維持しており(表-1参照),局地的豪雨等を踏まえた防災・減災対策の充実や既存インフラの老朽化対策の計画的推進,経済活性化につながる物流ネットワークの整備などに重点が置かれている。
建設投資は減少傾向
(一財)建設経済研究所と当会経済調査研究所が1 月に発表した2015年度の建設投資見通しにおいて,建設投資全体では50兆700億円と前年度比2.4%減。同2016年度は,49兆8,800億円と前年度比0.4%減で, 2 年連続で減少すると予測している。このうち,民間住宅投資については,2015年度は2014年の消費税増税時の駆け込み需要の反動減から持ち直すと考えられること,2016年度は2017年の消費税増税前の駆け込み需要によって住宅着工戸数の増加が見込まれることから,それぞれ2.9%,4.5%の増加。民間非住宅建設投資についても不透明感は拭えないものの,緩やかな回復が継続するとみており,それぞれ3.1%,2.3%の増加と予測している。
一方,政府建設投資については,2015年度は2014年度補正予算が執行されるものの,前年度より規模が縮小したことから8.8%減。2016年度については,東日本大震災復興特別会計の総額が,「復興・創生期間」に移行することに伴って大きく減少することが影響して5.5%減としたことから,建設投資全体は減少予測となった。
資材価格は横ばいから下落に転じるものも
東日本大震災以降の建設資材価格の動向は,工事発注量の増加によって需給が引き締まり,一部で供給不足が顕在化するなどしたため,需要家側は材料手配を優先せざるを得ず,売り手主導の相場形成が続いてきた。しかし,建設投資が減少し,震災復興向け需要も落ち着きつつあることから,需給緩和や原料安により価格下落に転じる資材もみられる。例を挙げると,鋼材類では需要不振や原料安から震災前より安値となっているものもあるほか,軽油や再生アスファルト混合物なども原油価格の大幅な下落を受けて,2014年平均との比較では値を下げている。
生コンクリートや砕石類などの地場資材では,価格上昇局面が続いているものもあるが,全体的には落ち着いた動きとなっており,今後は現行相場圏内で推移すると思われる(表-2参照)。
異形棒鋼 荷動き精彩欠き,下落続く(掲載:P18~21)
現況:数量確保による価格競争続く
日本鉄鋼連盟調べによる平成27年4 ~12月期の全国小棒生産量は653万5,000 t と前年同期比6.1%の減少となった。大型再開発工事における設計の見直しなどを背景に棒鋼需要が先延ばしになる案件が増えており,需要は依然としてメーカー側の予測を下回る水準で推移している。そのため,新規引合いの減少に伴い減産基調を強めている。
原料の鉄屑価格は,大幅下落を記録したリーマンショック直後の水準近くまで下落しており,鉄筋相場はじりじりと値を下げる展開が続いている。需要家が当用買いに徹する中,販売側では数量を確保し,売上減少を回避するための競合が顕在化している。価格は,SD295A・D16でt 当たり4万7,000円(東京②)どころ。前月に続き1,000円の下落で,この半年間の下落幅は8,000円に達している。
先行き:需給改善の道険しく弱含み
メーカー側は,原料価格の反騰や鉄筋価格の下落による先行きの採算悪化を危惧し,安値受注を回避する方策を探っている。価格の下落余地はそれほど残っていないとみる需要家も少なくないが,市況好転への契機となりうる需要の回復には半年以上を要するとの見方が大勢。先行き,弱含み推移の公算が大きい。
H形鋼 原料安を背景に弱基調で推移(掲載:P24~25)
現況:じり安の展開続く
平成27年の生産量は399万t となり,前年比で横ばいとなった(日本鉄鋼連盟調べ)。関東地区の都心部における再開発案件などを中心に鉄骨造建築需要は底堅く,需要は堅調に推移している。メーカーは引き続き需要見合いの生産に徹し,流通業者も必要最低限の入庫量にとどめていることから,市中在庫は適正水準を維持している。
一方,鉄屑や鉄鉱石など原料相場がこの半年間で大きく下落したことから,需要家の値下げ要求は強い。先安観が漂う中,需要家は当用買いの構えに徹しており,市中の荷動きは精彩を欠いている。そのため,流通業者間の競合に拍車がかかり,じり安の展開が続いている。価格は,200×100で前月比1,000円下落のt 当たり7万2,000円(東京②)どころ。
先行き:目先弱含みも中長期的に上昇局面も
原料相場は底値圏に達したとの見方もあるが,中国での鋼材需要の後退など,反発材料に乏しいため,先安観は解消されていない。需要家は当用買いの構えを継続するとみられ,市中の荷動きが回復するまでには時間を要する見通しで,目先は弱含み。しかし,都心部では大型の再開発案件が多数控えるなど,中長期的には需要の増加が見込まれているだけに,秋口ごろには上昇局面を迎えることも想定される。
鉄屑 国内需要は盛り上がりを欠き,価格下落(掲載:P69~70)
現況:輸出堅調も国内需要は振るわず
財務省調べによる平成27年の鉄屑輸出量は約784万t と前年比7.0%の増加。安価な中国産半製品の流通に歯止めがかからない中,鉄屑需要の増加を背景にベトナムを中心とした東南アジア向けの輸出が盛り上がりをみせ,相場を下支えしている。
一方,国内では最大需要家である電炉メーカーが需要見合いの生産体制に徹しているため,鉄屑購入量を必要最低限にとどめており,需要は低調に推移している。鉄屑の市中発生量は乏しいものの,需給は緩和状態にあり,国内電炉メーカーは購入価格を引き下げた。そのため,平成27年度下期は大幅に鉄屑相場が下落し,年末には若干の値戻しがあったものの,足元での問屋店頭買い入れ価格は,H2で前月比500円下落のt 当たり7,500円(東京)となっている。
先行き:需給は低位均衡。先行き横ばい
国内需要は回復の見込みが薄く,電炉メーカーは,当用買いの姿勢を継続する見通し。一方,輸出は東南アジア向けに加え,在庫調整が進んだ韓国向けの引き合いが強まるなど好材料も見受けられるだけに,引き続き堅調に推移するであろう。需給は低位で均衡するとの見方が大勢で,先行き,横ばいの公算が大きい。
セメント 平成27年度の需要見通しを下方修正(掲載:P72~73)
現況:価格面では横ばい推移
セメント協会調べによる平成27年4 ~12月の国内販売実績は約3,248万t で前年同期比5.8%減。セメント協会では平成27年度の国内需要見通しを当初4,600万t としていたが,昨年6 月より前年実績割れの出荷が続いている。前年をわずかに上回っているのは東北,北陸,沖縄地区のみ。全国的に生コン需要が低迷しており,岩手,福島県以外での災害復旧・復興特需が終息していることが主な要因とメーカーは分析している。そのため,同協会では当初見通していた平成27年度の国内需要を4,600万t から4,300~4,400万t に下方修正した。
価格面では一部のメーカーは3 年前に打ち出した値上げに対して,いまだ浸透していないことを理由に価格交渉を継続している。しかし,現在の需要環境では需要家を納得させるだけの材料が見出しにくく,横ばい推移となっている。
先行き:供給側は新年度の需要に期待
今後,東北地区での災害復興工事,関東から中部地区では鬼怒川流域災害復旧工事,東京オリンピック・パラリンピック関連工事,リニア建設工事等で需要が見込める。しかし,他の地方都市での需要が不透明なため,メーカー各社とも平成28年度の需要見通しは4,400万t 前後と慎重な見方を崩していない。
現状,メーカー各社は国内需要減少分を輸出向けに振り分けることで,需給バランスを維持している。また,新年度の値上げについては,各社とも他社の動向を注視するにとどまっており,需要環境が好転するまでは,横ばいで推移する見通し。
生コンクリート 出荷量は15カ月連続の前年割れ(掲載:P76~168)
[全国] 工場集約化が急務となる地域も
全国生コンクリート工業組合連合会調べによる平成27年4 ~12月期の全国総出荷数量は6,701万3,356m3で前年同期比7.3%減となった。内訳は官需が2,834万2,429m3で同9.4%減,民需が3,867万927m3で同5.7%減。全国各地域で前年割れとなっており,中でも北海道,九州が10%以上の減少となっている。また,平成26年10月から15カ月連続して出荷量が前年同月比を下回っており,いまだ需要の底打ちがみられない状況。
一方,価格面では主要10都市における本誌掲載価格(建築標準物)は,平成27年10月号~平成28年3 月号で上昇が1 都市(那覇),横ばいが9 都市(札幌,仙台,新潟,東京,名古屋,大阪,広島,高松,福岡)で,下落した都市はみられなかった。
昨年から価格の引き上げに向け値上げ交渉を継続している生コン協組はあるものの,需要低迷のあおりから需要家の購入姿勢は厳しく,売り腰を強めきれない協組も見受けられる。
今後,特需が見込まれる地域や協組再編といった特殊事情が生じる地域を除いて,価格交渉は難航することが予想されるほか,需給バランスを保つために工場の集約化が急務となる地域も出始めよう。
[札幌]
北海道生コン工組調べによる平成27年4 ~12月期の出荷量は82万6,278m3で,前年同期比12.8%減。価格は,建築標準物(21-18-20)でm3当たり1万2,500円どころ。需要が伸び悩む一方,原材料の骨材価格はこの半年間で5~8%上昇しメーカー側の収益を圧迫している。そのため札幌生コン協組では製造コスト上昇分を販売価格に転嫁すべく,平成28年1 月契約分から800円の値上げを表明。不需要期のため,需要家の反応は鈍いが,先行き,強含みに転じる公算大。
[仙台]
平成27年4 ~12月期の出荷量は50万437m3(宮城県生コン工組調べ)で,前年同期比25.9%減。遅れていた沿岸部の河川災害復旧工事の本格化などにより,需要は依然として震災前の水準を上回っている。非組合員との競合が一部でみられるものの,組合は数量よりも現行販売価格を維持することに注力。価格は,建築標準物(21-18-20)でm3当たり1万4,000円どころ。新年度以降は民需の増加も予想されており,先行き,横ばい推移の見通し。
[東京]
東京地区生コン協組調べによる平成27年4 ~平成28年1 月期の出荷量は270万2,398m3で前年同期比5%増。平成27年度上期は豊洲新市場向けの特需の影響から出荷量を大幅に伸ばしたが,納入がほぼ終息した10月以降の出荷量は前年割れが続いている。価格は,建築標準物(21-18-20)でm3当たり1万3,300円どころ。同協組では今後,需給のタイト化が予想される時期を見計りながら売り腰を強める意向。当面,横ばいで推移しよう。
[新潟]
新潟地区における平成27年4 ~12月期の出荷量は17万1,289m3で,前年同期比8.2%の増加(新潟県生コン協組連合会調べ)。しかし,港湾のブロック製作向けの出荷もピークを過ぎているだけに,ひと頃の勢いは影をひそめている。
価格は,建築標準物(21-18-25)でm3当たり1万2,500円どころ。新潟生コン協組では,今後の需要減少を見越して価格改定の意欲を示しているが,工事の受注環境が厳しい需要家側は難色を示しており,当面,横ばいで推移しよう。
[名古屋]
愛知県生コン工組調べによる名古屋・尾張地区の平成27年4 ~12月期出荷量は192万6,776m3で,前年同期比1.2%減とほぼ横ばい。名古屋駅周辺の市街地再開発や,名古屋環状2 号線などの大型物件が集中する名古屋市内の需要は堅調。価格は,建築標準物(21-18-20)でm3当たり1万1,300円どころ。名古屋生コン協組では,平成28年4 月からm3当たり1,000円の値上げを予定しているが,度重なる値上げで需要家からの反発は必至の情勢。先行き,横ばい推移の見通し。
[大阪]
価格は,建築標準物(21-18-20)でm3当たり1万2,200円どころ。大阪府内では三つの生コン協組と非組合員の再編成が進み,中心となる大阪広域生コン協組の組織率は,現在では府内にある工場の95%に達する勢い。同協組では,昨年10月1 日出荷分よりm3当たり1,000円の値上げを打ち出し,高い組織率を背景に強い姿勢で交渉に望んでいる。その結果,今年に入って新価格での契約物件が増えつつあるもようで,先行き,強含みで推移する公算が大きい。
[広島]
広島地区における平成27年4 ~12月期の生コンクリート出荷量は,63万806m3で前年同期比11.2%の減少(広島県生コン工組調べ)。月を追うごとに減少幅は縮小しているものの,年間見通しの90万m3には届かないのはほぼ確実。
価格は,建築標準物(21-18-20)でm3当たり1万4,950円と横ばいで推移しており,強固な共販体制が維持されている。需要好転の兆しはみえないものの,需要家側にも値下げ要求の材料がないだけに,先行き,横ばいで推移する見通し。
[高松]
香川県生コン工組調べによる平成27年4 ~12月期の出荷量は,28万1,594m3で前年同期比11.2%増。好調なマンション建設の影響で,需要は堅調に推移。価格は,建築標準物(21-18-20)でm3当たり8,400円。販売側は,市況改善を図るべく昨年12月から香川県東部生コン協組による共販事業を再開。同時にm3当たり3,900円の値上げを表明した。需要家側は,当初反発していたものの,メーカーの共販事業に臨む姿勢は強く,徐々に値上げ容認のムードが広がり始めた。先行き,強含み。
[福岡]
福岡県生コン工組調べによる平成27年4 ~12月期の出荷量は民需の不振が目立ち,89万6,000m3と前年同期比15.9%の減となった。価格は,建築標準物(21-18-20)でm3当たり1万950円どころ。生コン協組による共販体制は堅持されているものの,新設プラント建設の動きに加え,域外工場からの安値製品の流入も散見されている。需要の減少に加え,需要家からの指し値も日増しに厳しさを増しており,先行き,弱含みで推移の見通し。
[那覇]
沖縄県生コン協組調べによる本島中南部地区の平成27年4 ~12月期の出荷量は,127万8,764m3で前年同期比3.16%減となった。官需は上半期好調であったものの,下半期以降は減速気味。民需もマンション向け需要をはじめ,精彩を欠いた状況が続いている。価格は,建築標準物(21-18-20)でm3当たり1万3,700円どころ。同協組は,値上げ交渉が一定の成果を得たことから,現行価格の維持に努めている。先行き,横ばいで推移する見通し。
骨材・砕石 上期出荷は2 年連続のマイナス(掲載:P170~190)
[全国] 需要家主導の商いが続く
経済産業省「砕石等統計年報」による平成27年上半期( 4 ~ 9 月期)の全国砕石出荷量は,8,257万4,000 t で前年同期比4.7%減となり, 2年連続して前年実績を下回った。用途別では,コンクリート用(構成比56.5%)は6.0%減,道路用(同32.8%)は4.6%減,割栗石等その他(構成比10.7%)は1.8%増となった。また,再生骨材の全国出荷量は836万5,000 t(前年同期比4.9%減)であった。
地区別では,震災復興工事が進む東北で前年実績を上回った以外は,ここ数年の出荷増に対する反動から前年割れとなった。特に高規格道路等の特需が終息した九州,沖縄で10%を超える大幅減となった。
東京オリンピック・パラリンピック関連等大規模工事が控える首都圏では,次年度以降,大幅な需要増が見込まれている。また,東北地区では,震災復興向け需要はピークを過ぎているものの,福島での需要が見込まれている。それ以外の地区では,厳しい需要見通しとなっており,地区間格差が今後拡大していくことが懸念されている。
今年度も供給側の値上げの動きが各地区でみられたが,需要が低迷し,燃料価格が下落している中では,価格交渉の進展は難しい。当面は,需要家主導の展開が続く見通し。
[札幌]
価格は,クラッシャラン40~0mm でm3当たり2,700円どころ。札幌砕石共販協組による値上げは昨年9 月に一部浸透し200円上伸したが,その後は需要の停滞から,協組側の強気ムードにも一服感が出始めている。販売側では出荷量減少による採算悪化への危機感が強いだけに,引き続き値上げ積み残し分の獲得を目指す構え。しかし,足下では燃料油価格の下落とともに需要家の指し値は厳しさを増していることから,現状維持が精いっぱい。当面,横ばい推移の見込み。
[仙台]
価格は,コンクリート用砕石20~5mm でm3当たり3,900円どころ。地区内の生コン需要は依然として震災前よりも多く,販売側主導の取引が続いている。先行き,横ばい推移の公算が大きい。一方,再生クラッシャラン40~0mm はm3当たり2,400円どころ。震災関連の解体工事の減少に伴う廃材不足により,需給はひっ迫気味。製造側では今後,需要がさらに増加するとみており廃材の確保に注力している。先行き,横ばいで推移する見通し。
[東京]
需要をけん引してきた豊洲新市場向け生コン出荷が終了し,昨年秋口以降,コンクリート用砕石の荷動きは総じて盛り上がりを欠いている。
価格は,コンクリート用砕石20~5mm でm3当たり4,200円と前月比変わらず。供給側では値上げの意向はあるものの,輸送面での懸念が薄らいでいる中では,現行価格の維持が精いっぱいの状況にある。東京オリンピック関連工事の本格化までは,需要好転の可能性は低く,当面,横ばい推移の公算が大きい。
[新潟]
新潟県砂利砕石協会調べによる平成27年4 ~12月期の出荷量は,約309万9,000m3で前年同期比9.4%の減少。道路用路盤材は,維持補修の小口工事が中心で荷動きは鈍い。価格は,クラッシャラン40~0mm でm3当たり3,400円どころ。販売側では,昨年4月からm3当たり300円の値上げを唱えていたが,需要家の購買姿勢は厳しく,交渉に進展はみられない。市況好転の材料に乏しく,当面は横ばいで推移する公算が大きい。
[名古屋]
平成27年度のコンクリート用骨材の需要は,ここ数年の増加傾向から横ばいに転じている。価格は砕石20~5mm でm3当たり3,350円どころ。メーカーでは原石確保に伴う設備投資を理由に値上げの意向はあるものの,生コン市況の上昇が足踏みしている中,需要家の購買姿勢は依然として厳しい。先行き,横ばい推移の見込み。
一方,路盤用砕石の需要は道路工事の減少で低迷。価格は,再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,700円どころ。先行き,需要回復に結びつく材料が見当たらず,横ばいで推移。
[大阪]
価格は,コンクリート用砕石20~5mm でm3当たり3,950円どころ。市内の生コン市況が強基調に転じる中,供給者側は値上げのタイミングを探っている。具体的な値上げ交渉は新年度以降になるとの見方が強く,市況は当面,横ばいで推移する見通し。一方,路盤材は再生クラッシャラン40~0mm でm3当たり1,050円どころ。需要の低迷から市場では供給過剰の状況が続いており,メーカー側は現行価格の維持が精いっぱい。先行き,横ばいの見通し。
[広島]
砕石等動態統計調査(経済産業省)による平成27年4 ~ 9 月期の広島県内の年間砕石出荷量は,約133.6万t で前年同期比13.2%減と低調に推移。平成26年度に完成した幹線道路整備に代わる需要が見当たらない状況。
価格は,コンクリート用砕石20~5mm でm3当たり3,000円どころ。当面,需給緩和の流れが続くとみられ,値上げへの動きは一服状態。燃料価格もじり安基調で推移していることから,先行き,横ばいで推移する見通し。
[高松]
香川県砕石事業協組調べによる平成27年4 ~12月期の砕石全体出荷量は,85万7,841 t と前年同期比6.7%減。価格は,コンクリート用砕石20~5mm でm3当たり3,500円。旺盛なマンション建設の動きを受け,下半期に入り需要は増加に転じている。メーカーは,昨年度の値上げが市場に十分浸透したとして,当面は現行価格での販売に徹する構え。先行き,横ばいの見通し。
[福岡]
福岡県砕石業協同組合調べによる平成27年4~12月期の砕石類総出荷量は,約70万m3と前年同期比4%減。中でもコンクリート用砕石の落ち込みが大きい。価格は,コンクリート用砕石20~5mm でm3当たり2,800円どころ。メーカー側は,稼働率低下に伴う採算悪化により,値上げの意向が強い。しかし,需要が低迷する中,燃料代の下落も相まって需要家側の値引き要求は厳しさを増しており,現行価格の維持が精いっぱいの状況。先行き,横ばいで推移。
[那覇]
砕石等動態統計調査(経済産業省)のまとめによると,平成27年4 ~ 9 月期の沖縄県内でのコンクリート用砕石の出荷量は約78万t と前年同期比約7%の減少。価格は,コンクリート用砕石20~5mm で4,800円どころ。生コン向けの出荷量は減少しているものの,那覇空港第二滑走路増設工事等の大型工事により,需要は堅調に推移しているため,今後も売り手優位の展開が続く見通し。先行き,強含み推移の公算が大きい。
アスファルト混合物 出荷量の低迷が続く(掲載:P300~315)
[全国] 供給側は出荷量の確保に懸命
平成27年4 ~12月期の日本アスファルト合材協会会員工場の出荷量は2,876万98 t で,前年同期比6.9%減であった(同協会調べ)。
全国的に高速道路等の大型工事が乏しいことに加え,日常的な出荷が見込める自治体発注の舗装工事も少ないことが影響し,出荷は低調に推移している。とくに,北海道,北陸,中国,九州の各地区における出荷量は,前年同期比10%以上の大幅減であった。首都圏においても前年同期比6.6%減少と振るわず,今年度の出荷量は前年割れが確実視されている。
価格面では,原油価格の下落に伴い原材料のスト・アス価格が値下がりしており,需要家は製品価格の値下げ要求を強めている。販売側は,出荷量の減少に伴う固定費の負担増を理由に価格維持の方針を示しつつも,需要が低迷する中での出荷量確保を喫緊の課題としていることから,供給工場が多い都市部を中心として,値引きも散見され始めている。
需要家からの値下げ要求が当面続くことや,年度末に向けて販売側の受注競争も激しさを増すことから,先行き,弱含みの公算が大きい。
[札幌]
北海道アスファルト合材協会調べによる平成27年4 ~12月期の出荷量は37万3,541 t で前年同期比14.4%減と荷動きは精彩を欠いている。スト・アス価格の下落基調が需要家の厳しい指し値を後押しし,1 月には再生密粒度(13F)でt 当たり250円下落し,1万800円どころ。スト・アス市況は引き続き軟調気配だが,供給側は出荷量減少に伴う工場固定費増などを背景に採算重視の姿勢を強めており,これ以上の値下げには応じない構え。当面,横ばい推移。
[仙台]
宮城県内の平成27年4 ~12月期の製造数量は,前年同期比2.0%減の110万1,923 t(日本アスファルト合材協会東北連合会調べ)となった。沿岸部の新設道路や高速道路の修繕工事向けに一部では需要の盛り上りがみられるものの,内陸部を中心に数量は伸び悩んでいる。そのため,数量確保に伴う競合と原材料であるスト・アス価格の下落とが相まって,価格は,再生密粒度(13)でt 当たり1万300円と販売側は現行価格の維持が精いっぱいの状況。先行き,横ばい推移の公算大。
[東京]
平成27年4 ~12月期の都内向けアスファルト混合物製造数量は146万5,309 t と前年同期比0.4%の減少で,ほぼ横ばいであった(東京アスファルト合材協会調べ)。価格は,再生密粒度(13)でt 当たり9,900円どころと前月比横ばい。主原材料であるスト・アス価格が下落しており,需要家からの値下げ要求が続いている。供給側はこれまでの値上げ打ち出し分が浸透していないことを理由に価格維持の姿勢だが,物件確保から値下げに応じる場面も散見される。先行き,弱含み。
[新潟]
平成27年4 ~12月期の新潟県内の製造数量は,100万7,729 t で前年同期比10.3%減となった(新潟県アスファルト合材協会調べ)。維持補修の小口工事が主体で需要は低迷している。原材料であるスト・アス価格が続落し,需要家の指し値が厳しさを増す中,販売側では数量指向が強まり,市中相場は弱基調の展開。価格は,再生密粒度(13)でt 当たり前月比400円下落し,1万1,000円どころとなった。先行き,横ばいで推移する公算が大きい。
[名古屋]
平成27年4 ~12月期の出荷量は153万368 t(愛知県アスファルト合材協会調べ)で,前年同期比3.3%の増加。需要は精彩を欠いているが,官需の落ち込みを自動車関連工場向けや大型商業施設の駐車場をはじめとした民間特需が支えている状況。価格は,再生密粒度(13)でt 当たり1万100円どころ。メーカー各社は出荷量減少に伴う固定費増を背景に安値販売に慎重な構えだが,原油相場が弱基調で推移する中,需要家からの値下げ圧力は日増しに強まっている。先行き,弱含み推移の見通し。
[大阪]
価格は,再生密粒度(13)でt 当たり9,700円どころ。大阪アスファルト合材協会調べによる平成27年4 ~11月期の府下の製造数量は,23工場の合計が95万3,060 t で,前年同期比約13.4%増となった。前年度をやや上回る製造数量で推移しているものの,舗装工事をめぐる受注競争は激しく,高速道路の維持工事や大阪府等の自治体発注工事では,安値での受注も散見される。そのため,先行き,弱含みに転じる公算が大きい。
[広島]
広島県アスファルト合材協会調べによる平成27年4 ~12月期における製造数量は57万8,628 tで前年同期比22.1%の大幅減少。県内の多くのメーカーは前年に比べ稼働率を下げており,高速道路等の補修工事向け需要を確保しているか否かで明暗が分かれている。価格は,再生密粒度(13)でt 当たり9,800円どころ。スト・アス価格が軟調に推移する中,需要家側からの値引き要求も強まっており,先行き,弱含みで推移する見通し。
[高松]
香川県アスファルト合材協会調べによる平成27年4 ~12月期の出荷量は,27万430 t と前年同期比2.1%減。価格は,再生密粒度(13)でt当たり1万2,800円どころ。メーカーは足元の出荷量は確保しているものの,先行きの需要に不透明感が強く危機感を募らせている。一方,需要家は主原材料のスト・アス価格の大幅な下落を交渉材料に,値引き要求を強めている。メーカーの数量指向が目立ち始め,ここにきて安値での折り合いも散見される。先行き,弱含み。
[福岡]
福岡県下における平成27年4 ~12月期の製造数量は約108万9,000 t(福岡県アスファルト合材協会調べ)で,前年同期比2.4%減となった。大型工事が少なく,荷動きは盛り上がりを欠いている。価格は,再生密粒度(13)でt 当たり1万円どころ。メーカー側は採算重視の姿勢から,現行価格の維持に努めているものの,主原材料のスト・アス価格の下落を受けて需要家の値引き要求は厳しさを増している。先行き,弱含み推移の公算が大きい。
[那覇]
沖縄県アスファルト合材協会調べによる平成27年4 ~12月期の沖縄本島内の出荷量は,23万6,132 t と前年同期比5.0%減となった。公共工事,民間工事ともに需要は低迷している。価格は,再生密粒度(13)でt 当たり1万3,300円どころ。スト・アス価格の続落を背景とした需要家からの値下げ要求が強まる中,メーカーは,出荷減に伴う固定費増などを理由に必死に抵抗しているものの,先行き,弱含みで推移する見通し。
型枠用合板 需要不振から続落(掲載:P209)
現況:安値販売目立ち相場を下押す
日本合板組合連合会発表による平成27年の合板輸入量は,約288万m3と前年比17.3%減。国内の需要不振に加え,為替水準や原木事情を背景としたコスト高を受け,仕入価格が高値で推移していたため,輸入業者側が新規注文を最小限に抑えたことが減少の要因となっている。販売側では,現行相場に比して割高な製品在庫を抱えているが,需要家側は実需見合いの当用買いに徹しており,精彩を欠く荷動きが続いている。その結果,市場には荷余り感が台頭,昨年末あたりから在庫整理や売上優先の安値販売が目立ち始めた。年明け以降もこの動きに歯止めがかからず,価格は,型枠用合板(12×900×1800mm)で枚当たり1,350円どころと前月比40円の続落となった。
先行き:弱含み推移の公算大
入荷量は引き続き低水準で推移するとみられるが,需要好転の兆しはみえず,需給が引き締まるには時間を要する見通し。また,例年この時期は,雨季や旧正月休みに伴う供給減を受け産地側が強気になるのが一般的だか,長引く需要不振と年明け後の円高の影響もあって,より割安な製品の入荷も見込まれている。そのため,先行きも弱含みで推移する公算が大きい。
木材 新設住宅着工戸数増加も木材需要は回復せず(掲載:P222~240)
現況:需要の鈍さから市況は停滞
国土交通省発表による平成27年の新設住宅着工戸数は90万9,299戸と前年比3.3%増。小幅ながら回復傾向をみせているものの,中心となる戸建て住宅が2 年連続減少しており,需要の盛り上がりに欠ける状況が続いている。国産材は,原木価格が木質バイオマス発電所の複数稼働や原木輸出の拡大等により総じて高止まり。しかし,足元の需要の鈍さから製品価格の引き上げは難しく,相場は全般的に停滞している。価格は一般建築用杉正角材(KD)3m×10.5×10.5cm,特1 等でm3当たり5万9,000円と前月比変わらず。また,米材については,米松の供給は回復しているが,米ツガは産地の降雪で丸太伐採ができず,在庫は減少傾向。価格は,一般建築用米ツガ正角材(KD)3m×10.5×10.5cm,特1 等でm3当たり5万8,000円と前月比変わらず。
先行き:横ばい推移の見通し
平成29年4 月には消費税率の引き上げが予定されているが,駆け込み需要は前回ほど期待できないとの見方が大勢で,今のところ現状で影響が出ている様子はない。今後も,製品コスト高を販価に転嫁するのは難しく,先行き,全般的に横ばいで推移する見通し。
石油製品 世界的な供給過多,長引く原油安(掲載:P248~250)
現況:原油相場に連動し市況続落
経済産業省発表の平成27年の資源・エネルギー統計によると,ガソリンの国内販売数量は約5,310万㎘と前年比0.9%減,軽油は約3,366万㎘と同0.3%減と低調に推移している。特にガソリンは低燃費車の普及などにより, 3 年連続の前年割れとなった。
輸入原油の指標となる中東産原油価格は,半年前は1 バレル当たり45ドル前後で推移していたが,アメリカの原油輸出再開やOPEC による減産見送りを背景に下落し,足元,30ドル前後を推移している。元売会社が卸価格を引き下げる中,国内需要が盛り上がりを欠いているため,販売業者は売り腰を強めきれないでいる。軽油(ローリー渡し・全国平均)は,㎘当たり7万6,447円と前月比6,000円の下落。ガソリン・レギュラー(スタンド渡し・全国平均)は,ℓ当たり107.1円(消費税抜き)と前月比7.3円の下落とじり安展開となった。
先行き:上値の重い展開続く
2 月に入り原油相場が小幅ながら反発したことを受けて,元売会社は卸価格を引き上げており,販売業者の仕入れ価格は上昇しつつある。しかし,原油相場の先行きが不透明であり,国内需要も増加が見込めないことから,市場の大勢は様子見の構え。先行き,横ばい推移の公算大。
電線 首都圏再開発需要が中心(掲載:P608~633)
現況:現行価格水準を横ばい
日本電線工業会の電線受注出荷速報によると,主要部門である電気工事業者または販売業者向けの平成27年4 ~11月期の出荷実績は,約22万4,620 t と前年同期比約0.6%の微減となった。豊洲新市場建設や首都圏の再開発工事向けを中心に荷動きは底堅いが,その他地域の電線需要については,総じて盛り上がりに欠ける展開となっている。
一方,国内電気銅建値は, 1 月中旬にかけて一時t 当たり55万円に後退したが,海外相場高を背景に持ち直し,結果的には前月初旬比で同水準の59万円となった。価格は,CV 電線(600V)3心38mm2でm 当たり975円と前月比変わらず。
先行き:銅価先安観から弱含み
流通側の一部では,銅価高値時にメーカーから仕入れた在庫品を抱えていることから,引き続き採算重視の販売姿勢に徹し,安易な値下げ要求には応じない構え。しかし,平成27年7 月初旬から続く銅価の下落による先安観が台頭する中,需要家側の指し値が一段と厳しくなる状況は避けられず,価格交渉は流通側劣勢の展開が予想される。銅価の値動きが不透明な上,需要面での下支え材料も乏しいことから,先行き,弱含みで推移する見通し。
【出典】
積算資料2016年03月号
最終更新日:2019-05-27
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