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大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアム

 

1.はじめに

ヒートアイランドとは,都市化の進行とエネルギー消費量の増加に伴って,都心部の温度が郊外に比べて高くなる現象のことです。原因としては,人工排熱(建物空調,自動車の走行,工場の生産活動に伴う排熱等)の増大や,地表面被覆の人工化(建築物,コンクリート舗装,アスファルト舗装等),都市形態の高密度化(密集した建物による風通しの阻害等)などが挙げられます。
 
全国と大阪都心部とで5年移動平均の年間気温の変化(図− 1)を比較したところ,大阪都心部の平均気温の方が上昇幅が大きく,ヒートアイランド現象がその要因と考えられます。
 

【図− 1 日本と大阪における年間の平均気温の推移】


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※5年移動平均:その年及び前後2カ年を含めた5カ年の平均値
※日本平均:都市化などによる環境の変化が比較的少ない17観測地点(2013年からは15地点に変更)のデータから算出出典)
      おおさかヒートアイランド対策推進計画

 
 
ヒートアイランド現象により,熱中症や睡眠阻害などの健康面への影響は言うに及ばず,都市部での「住みやすさ」,「働きやすさ」,「訪れやすさ」など都市環境の悪化も招きかねない状況となっており,この現象を緩和するための対策を早急に講じていくことが喫緊の課題です。
 
 

2.コンソーシアムについて

ヒートアイランド問題については,各方面で色々な研究が進められ,行政においても対策の推進計画が策定されていますが,都市に生活する全ての主体が関わる問題であり,解決のためには,それぞれの主体間の連携が不可欠です。
 
そのため,共通の目的に取り組む連合体として,「大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアム」を2006年に設立いたしました。現在,夏の熱帯夜数削減や屋外空間におけるクールスポットの創出など,ヒートアイランド現象の緩和への貢献を目指し,行政,大学,民間企業などで連携・協力した取り組みを進めています(図− 2)。
 

【図−2 コンソーシアムの活動概要】


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
行政は大阪府・大阪市,大学は大阪府立大学,大阪市立大学,摂南大学,神戸大学など,民間企
業は関西電力株式会社や大阪ガス株式会社など24社で構成されています。
 
コンソーシアムの趣旨は,ヒートアイランド対策関連技術の社会貢献を進展させること,具体的には,企業が保有するヒートアイランド関係の多様な技術が,色々な計画において具体的に検討が
なされ,新規開発や再開発に多様な技術が採用されていくという構造をつくることが,コンソーシ
アムの究極の目的です。
 
コンソーシアムの取り組みとしましては,
①ヒートアイランド対策技術の開発・普及
②対策の実施と効果検証
③対策技術認証制度の創設・運用
④大気熱負荷削減予測ソフトの開発
⑤ヒートアイランドに配慮したまちづくりコンペ
⑥大阪クールスポット100選
⑦大阪クールロード100選
⑧講演会の開催
など多岐にわたります。
 
コンソーシアムの組織としては,検討部会・ワーキングループ(WG)を設置しています。検討部会は,対策技術に関する調査研究や,提言の策定を行う「ヒートアイランド対策技術検討部会」,また対策技術に関する研究成果の実現方策の検討や,提言の策定を行う「ヒートアイランドに配慮した都市デザイン検討部会」を設け,それぞれのもとに次のWGを設置しています。
 
 
【ヒートアイランド対策技術検討部会】
● 素材関連WG
 反射,遮熱,断熱に資する素材の研究,具体的活用の提案
 
● 熱有効活用・人工排熱低減WG
 潜熱化,排熱利用,省エネ・新エネ・代エネ技術による対策手法の調査検討
 
● クールスポット創造技術手法WG
 緑化,水利用(噴霧,散水等)のクールスポット創造技術の研究,具体的活用の提案
 
● 熱負荷評価手法WG
 ヒートアイランドに対する環境負荷である大気への熱負荷の評価手法の検討,
 およびそれによる技術評価手法の検討
 
【ヒートアイランドに配慮した都市デザイン検討部会】
● 都市デザインWG
 地域における「あるべき都市デザイン」の検討・提言
 
 

3.「 クールスポット100選」および「クールロード100 選」

クールスポット100選は,平成24年度に実施したもので,公園や木陰,水辺,緑地,屋上,テラスなど真夏でも涼をとれ,快適に過ごせる屋外空間をクールスポットと定義し,大阪府内で身近に涼しさを感じられるクールスポットを府民の皆様から募集・選定し,ホームページ(http://www.coolspot-osaka.jp/list.html)で公開したものです(写真− 1)。
 

【写真− 1 靭公園の噴水周辺(大阪市) 水辺が目に涼しく,噴水の音が耳にも涼しく感じる】


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
このようなクールスポットを取りまとめることにより,都市に吹く風や地表面の被覆等の状況によって,人はどのように涼しいと感じるのか,都市をデザインする上でヒートアイランド現象を緩和するヒントになるものです。
 
また,平成27年度には,クールロード100選として,スポット的な場所ではなく,ある程度の広がりを持ってつながる「涼しい道(クールロード)」に関する情報をクールスポットと同様に募集し,大阪府内で121カ所を選定しました(http://www.coolspot-osaka.jp/list_road.html)(写真− 2)。
 

【写真− 2 鶴見緑地中央口付近(大阪市)  鶴見緑地の入り口から噴水のところまで,真っ直ぐ木陰のある 道が続いており,涼しさを感じる】


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

4.ヒートアイランド対策技術認証制度

コンソーシアムの主たる活動として,ヒートアイランド現象の緩和に効果の大きい技術の普及促進を図るための「ヒートアイランド対策技術認証制度」を実施しています(http://www.osakahitec.com/cert/index.html)。この制度の特徴は,対策技術の性能の良否を判断する一定の認証基準を設け,この基準に対する適合性を判定することです。これにより,対策技術を選定する利用者に性能の目安を提供し,高い技術を持つ企業を支援します。また,性能目標を明らかにすることにより,新たな技術の開発促進効果を期待できると考えております。
 
認証した技術には,「認証書」,「ロゴマーク」,および「熱負荷シミュレーション結果」を交付するとともに,コンソーシアムのホームページにおいて,認証製品の概要を掲載しています。認証製品を有する企業では,自社のチラシにロゴマークを掲載するなどの活用を行っています。
 
認証対象技術は,昨年,保水性舗装ブロック,外断熱仕様(屋根面・外壁面)を追加し,現在7技術としていますが,今後さらに,再帰性反射フィルムなどを追加していく予定です(図− 3)。
 

【図− 3 ヒートアイランド対策技術認証制度】


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
平成28年5月現在,屋根用高日射反射率塗料など11製品を認証しています(表− 1)。
 

【表− 1 ヒートアイランド対策技術認証制度 認証製品一覧】


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

5.おわりに

ヒートアイランド現象の緩和対策は,これまで国のヒートアイランド対策大綱や,大阪府・大阪市で策定したヒートアイランド対策推進計画などにより一定の進展はみられてはいます。しかしながら,依然としてヒートアイランド問題は未解決であり,今後,対策技術が十分に活かされるような制度の構築が進めば,関連企業,関連技術者等が社会貢献できる余地は極めて大きいと考えています。大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアムは,全国でも暑いとされる大阪を基盤として,今後とも,対策技術の向上や関連する情報の整備を図るなど,対策推進を支援する取り組みを充実・強化させ,日本のみならず世界に通用するようなヒートアイランド現象緩和対策のモデルを提供していければと考えております。コンソーシアムの課題としては,経済基盤の充実,産学官民の連携強化が大きな課題であり,今後とも,皆様方のご支援・ご協力をお願いする次第です。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
【出典】


積算資料2016年06月号

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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