建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 首都圏中央連絡自動車道 (桶川北本IC〜白岡菖蒲IC間)の開通 〜埼玉県区間全線開通および開通後のストック効果〜

 

東日本高速道路株式会社 関東支社 建設事業部

 

1. はじめに

首都圏中央連絡自動車道(以下,圏央道)桶川北本IC 〜白岡菖蒲IC 間(延長10.8km)は,平成27年10月31日に開通しました。
 

【写真− 1 開通式】




 
圏央道は,都心からおよそ半径40〜60kmの位置に計画された総延長300kmの環状道路であり,横浜,厚木,八王子,川越,つくば,成田,木更津などの各都市を連絡し,首都圏の広域的な幹線道路網を形成します。
 
今回の開通で埼玉県内の圏央道が全線開通したことになり,総延長の8割(約240km)が開通となりました(図− 1)。
 

【図− 1 今回開通区間の位置図】




 
桶川北本IC〜白岡菖蒲IC間は,関越自動車道(以下,関越道)と東北自動車道(以下,東北道)を接続する区間の一部であり,東名高速道路(以下,東名高速)・中央自動車道(以下,中央道)・関越道・東北道が直結したことになります。新たなネットワークの構築は,物流の効率化という面からも,日本経済を支援することが期待されるとともに,関西・中部エリアから北関東・東北エリアへの輸送は混雑する東京都心部を通過せずに圏央道経由のルートが選択できるようになり,輸送時間の短縮が期待されます。
 
ここでは,今回開通した桶川北本IC〜白岡菖蒲IC間の概要および工事の特徴,開通によるストック効果などについて紹介します。
 
 

2. 路線概要

今回開通した桶川北本IC〜白岡菖蒲IC間の延長は10.8kmで,道路規格は第1種第2級,設計速度100km/hです。開通区間のうち1.2kmが土工,2.6kmが掘割(半地下),7.0kmが橋梁となっています。
 
桶川北本IC〜白岡菖蒲IC間には,桶川加納ICがあり,県道川越栗橋線と接続し,さらに国道17号へアクセスしています(写真− 2)。
 

【写真− 2 桶川加納IC】




 
また,休憩施設として,菖蒲PAがあり,商業施設や給油所を有しています(写真− 3)。
 

【写真− 3 菖蒲PA】




 
 

3. 工事概要

(1)掘割工事

掘割構造区間2.6kmは国土交通省が施工を行い,国道17号やJR高崎線と交差する箇所は,交差道路等への影響を考慮し,推進工法で函体の施工を行いました。
 

(2)橋梁工事

当社施工の橋梁工事のPC橋には,世界で初めてプレキャストセグメントにバタフライウェブを組み合わせた上部工構造を採用し,主桁の施工は架設桁を用いて1径間毎に架設を行うスパンバイスパン架設工法で行いました(写真− 4)。
 

【写真− 4 桶川高架橋のスパンバイスパン架設】




 
また,圏央道と上越新幹線が交差する付近では用地取得が難航したため,工程短縮を図るべく橋脚にはハーフプレキャスト工法を採用し脱型作業を省略,さらに,上越新幹線上の上部工の架設ではクレーンベント架設から1,250 t 吊級のクローラークレーンでの一括架設にすることで夜間架設回数の低減やベントの組立・解体を省略するなど,工程短縮を実現しました(写真− 5)。
 

【写真− 5 上越新幹線上の一括架設】




 

(3)舗装工事

これまでに供用している掘割のサグ部では,さまざまな要因から掘割函体の底版上に浸水した水が車両走行による繰り返し荷重を受けることで路盤強度の低下につながり路面沈下などの損傷が発前文 30 積算資料’16.07 生していました。その対策として,サグ部の前後については舗装構成を図−2のように変更し,函体底版上部にポーラスコンクリートを採用することでサグ部の滞水を適切に排水する対策を行いました。
 

【図− 2 掘割サグ部の舗装構成】




 

4. 開通によるストック効果(※1)

本区間の開通により,東名高速と東北道が接続し,広域ネットワークが形成されたことから,環状道路としての機能を発揮し,これまで都心を経由していた交通流が圏央道を経由することで,都心部の慢性的な渋滞緩和が図られ,利用する沿線輸送業者や観光施設の活用など地域経済に好循環をもたらしています。
 
(※1) ストック効果:整備された社会資本が機能することによって,継続的に中長期的に得られる効果。
 

(1)都心の渋滞を避けて目的地へ

これまで,東名高速と東北道を移動する際,圏央道内側を利用する車が9割だったため,慢性的な渋滞が見受けられましたが,本区間開通により,圏央道を通過する新たなルートが生まれ,9割を占めていた交通が3割へと大幅に減少し,首都高速中央環状線(大橋JCT〜江北JCT)では渋滞が約2割減少しました(図− 3)。
 

【図− 3 開通による渋滞の解消】




 
また,外環道における渋滞回数も本区間開通後約6 割(※2) 減少しています。
 
(※2) 外環道(大泉JCT〜川口JCT)における5km以上の交通集中渋滞回数(平成27 年11 月〜平成28 年2 月前年同時期比較)
 

(2) 関東近郊の観光地がより身近に

本区間開通により,海老名JCT〜久喜白岡JCT間が約35分短縮されるなど,関東近郊の観光地がより身近になり,鬼怒川温泉の旅館関係者からは神奈川県内からの宿泊客数が2割増加したという声も上がるなど,観光地の活性化が見受けられます。
 
また,湘南地区では,圏央道で湘南地区へ来訪した車が約4割増加,観光客が約2割増加しており,北関東など遠方からの観光客の増加を実感するとの声も寄せられています。
 
今後,圏央道が成田空港まで繋がると,さらなる活性化が期待されるところです(図− 4)。
 

【図− 4 地域観光への貢献】




 

(3) 沿線に立地する企業の事業拡大・生産性向上

本区間開通により,広域的なネットワークが形成され,関西・中京エリアから北関東・東北エリアへの輸送は,混雑する東京都心を通過せずに圏央道経由のルートが選択できるなど,日本の動脈の輸送時間が短縮されることが期待されていましたが,本開通区間の近辺に立地している企業より,「輸送時間が短縮され,標準配送範囲が約1.2倍拡大(半径80kmから100km)した」との声が上がるなど,期待通りの効果をもたらしています(図− 5)。
 

【図− 5 配送範囲の拡大】




 

(4) 生活道路の安全性が向上

本区間の開通により,混雑を避け生活道路に流入していた交通量が減少しました。また,川越栗橋線の周辺では,渋滞発生時間・急ブレーキ発生回数がほぼ半減しました(図− 6)。
 

【図− 6 生活道路の交通量が減少】




 

(5) 通行止時の広域迂回ルートが確保

本区間の開通により,高速道路ネットワークが形成され,外環道など圏央道周辺の高速道路で通行止が発生しても,圏央道を利用することで,一般道での渋滞を回避する広域迂回が可能となりました。
 
平成27年11月に外環道で通行止めが発生した際には,圏央道と東北道が迂回ルートとして機能を発揮しました(図− 7, 8)。
 

【図− 7 広域迂回ルートの確保】




 

【図− 8 外環道通行止時の交通量の変化】




 

(6) ゴールデンウィーク期間の交通状況

桶川加納IC〜白岡菖蒲IC間の平成28年ゴールデンウィーク期間中の日交通量は,平均3 万7,900 台/ 日でした。
 
東名高速から東北道までつながり,これまでに開通している圏央道の関越道〜中央道間,中央道〜東名高速間の交通量は約2〜3割増加しました(図− 9)。
 

【図− 9 圏央道の交通状況(平成28 年ゴールデンウィーク期間)】




 
 

5. おわりに

今回開通した桶川北本IC〜白岡菖蒲IC 間の10.8kmは,用地買収着手から,13年の歳月を経て開通の運びとなりました。これもひとえに,貴重な土地を提供していただきました地権者の皆様や事業にご理解ご協力いただいた地元の皆様,関係者の多大なるご尽力の賜物であり,深く感謝申し上げます。
 
今後も順次開通を控えている圏央道をはじめとする,首都圏3環状道路の事業を着実に推進することにより,慢性的な交通渋滞,渋滞に伴う環境悪化や生活道路への通過交通の流入による交通事故など,首都圏の道路交通問題解消に向けて整備を進めてまいります。
 
 
 
【出典】


積算資料2016年07月号

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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