建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 土木施工単価 > 東京港臨港道路(南北線)整備事業について

 

1 はじめに

東京港は国際コンテナ戦略港湾である京浜港の一翼を担い,関東圏を中心とした広い背後圏で生産・消費される貨物が取り扱われている。特に東京港の全外貿貨物の約95%(重量ベース)をコンテナ貨物が占めており,平成27年度には,外貿コンテナ取扱個数が国内最高の415万TEUを記録するなど,平成10年から18年連続で全国一位となっており,日本経済を牽引する港である。
 

【図−1 外貿コンテナ取扱量の推移(東京港)】




 
 

2 臨港道路線整備事業の目的

現在,東京港の有明地区と中央防波堤地区を直接結ぶ唯一の第二航路海底トンネルは,コンテナ物流の幹線道路として多くの物流事業者が利用しており,交通混雑が頻発しているが,さらなる国際競争力の向上を目的に,世界的に主流となる水深16mの国際海上コンテナターミナル(以下,Y2・Y3岸壁という)を中央防波堤地区に整備中である。
 

【写真−1 第二航路トンネル・臨海道路Ⅱ期(東京ゲートブリッジ)】




 
 
このY2・Y3岸壁の供用によりさらなる交通量の増加が予想されるため,早急な交通混雑解消の必要がある。
 
また,災害時のリダンダンシー(冗長性)の確保の観点から,第二航路海底トンネルに加え,有明地区と中央防波堤地区を結ぶ新たな臨港道路の整備が急務であり,平成32年の完成を目指し東京港臨港道路南北線(以下,南北線という)の整備を平成28 年4 月から行っている。
 
南北線の整備位置を写真− 2に示す。
 

【写真−2 南北線整備位置】




 
 

3 南北線の構造について

南北線の構造を決定するにあたり,本事業においては航路を横断することから,橋梁,シールドトンネル,沈埋トンネルが考えられ,各構造の特長からそれぞれ現場の条件に対応し比較・検討を行った(図− 2)。
 

【図−2 各道路構造必要アプローチ延長イメージ】




 
 
本事業用地の有明地区および中央防波堤内側地区(トンネル出口部)の陸上部はすでに港湾関連用地や埠頭用地,また,道路用地として利用されており,未利用地がないこと,港湾物流等の関係車両が多く通行していることなどから,極力陸上部のアプローチを短くとることが要求される。
 
橋梁形式とした場合,景観に優れた道路構造物とすることができるのが特長であるが,当事業用地では第二航路の航行船舶のための桁下クリアランス確保が必要で,陸上部アプローチ延長を長くせざるを得ない。
 
また,シールドトンネルとした場合,現在,関東を含む周辺地域では東京外環やリニア新幹線等大規模なシールドトンネル工法が採用されたプロジェクトが計画されており,シールド工法への需要がひっ迫している。そのためシールド技術者の確保,シールドマシン・セグメントの製作等,工程に不確定要素が多い。
 
以上のことから,域間の通過交通のみならず,域内交通の利便性も確保できる沈埋トンネル工法を基本構造と決定した。
 
 

4 南北線の概要

南北線は,沈埋トンネル工法により,沈埋函を陸上で製作することによって高品質のトンネルを実現するものである。南北線の諸元および沈埋部の完成イメージは図−3のとおり。
 

【図−3 諸元および完成イメージ】




 
 
主な構成として,沈埋トンネル部 約930m,アプローチ部 約1,500m,これをつなぐ接続部35m×2(ニューマチックケーソン)の総延長 約2,500mで構成される(図− 4)。
 

【図−4 南北線平面図・縦断図】




 
 

5 工事の手順と進捗状況

沈埋トンネル部

沈埋トンネル部は,東京港第2航路を横断するように沈埋函を設置するため,海底をグラブ浚渫船にて溝状(トレンチ)に浚渫する。
 
その後,トレミー船を用いて砕石により基礎マウンドを構築し,陸上製作ドックで製作した沈埋函を沈設し,埋め戻すものである(図− 5)。
 

【図−5 沈埋函施工手順】




 
 
現在,現場ではトレンチ浚渫(写真− 3)を行っており,陸上製作ドックでは,函体製作を進めている(写真− 4,5)。
 

【写真−3 第2航路トレンチ浚渫状況】




 

【写真−4 陸上製作ドック(鋼殻製作状況①)】




 

【写真−5 陸上製作ドック(鋼殻製作状況②)】




 

【写真−6 陸上製作ドック(鋼殻製作状況③)】




 
 

アプローチ部

アプローチ部は,浅部を鋼矢板,深部をソイルセメント連続地中壁により,土留壁を構築の上,切梁,掘削,トンネル躯体築造,埋め戻しを行っていくものである(図− 6)。
 

【図−6 アプローチ部平面図・標準断面図(10号地その2側)】




 
 

【写真−7 施工位置(ドローン撮影)】




 
 
現在は,現道の中央分離帯,フェンス,看板等の支障物を撤去し,浅部の鋼矢板のⅢ,Ⅳ型の打設を行っている(写真− 8,9,10)。
 

【写真−8 支障物撤去状況(中央分離帯等)】




 
 
 

【写真−9 支障物撤去状況(松杭等)】




 
 

【写真−10 10号地側鋼矢板(Ⅲ型)打設状況】




 
 

接続部( ニューマチックケーソン)

接続部は,ニューマチックケーソン工法を採用している。
 
ニューマチックケーソンの前面(海側)を掘削するための仮護岸工(井筒護岸),を先行施工し, ニューマチックケーソンを構築する。
 
ニューマチックケーソン沈下完了後,掘削の上沈埋函ならびにアプローチ部と接続することとなる。
 

【写真−11 施工位置(ドローン撮影)】




 
 

【図−7 ニューマチックケーソン平面図・断面図】




 
 
現在は,ニューマチックケーソン刃口部において,ケーソンを安定的に沈下させるため,全旋回機により,支障物撤去ならびに砕石置換を行った(写真− 12)。
 

【写真−12 中央防波堤地区側 全旋回機による砕石置換え(φ2000mm)】




 
 
その後,沈埋函を引き込む際に必要となる仮護岸(井筒護岸)を整備している(写真− 13)。
 

【写真−13 井筒護岸工(鋼管杭φ1200mm)打設状況】




 
 

6 おわりに

本工事は,まだ,現地着手したばかりである。今後,さまざまな問題,トラブル等が生じる可能性があるが,速やかな問題解決ならびに徹底した安全対策を図り,平成32年の完成を目指し鋭意,整備を進めて行く所存である。
 
 

国土交通省 東京港湾事務所

 
 
 
【出典】


土木施工単価2017冬号



 

 

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