- 2017-05-15
- 積算資料
はじめに
本調査は今回で12回目を迎えました。隔年で実施していることから,通算して過去24年間の推移をみることができる貴重な資料となっております。
今回の軽仮設機材保有量は,過去最大を示した前回第11回調査(平成26年度)をさらに7.7%も上回り,併せて賃貸収入についても20.4%の大幅な増加をしております。これらをみても,平成26年度から28年度にかけて,会員各社が高まる需要に対応すべく保有量を増やしてきたことがわかります。
さて,軽仮設機材の当リース・レンタル業界を展望しますと,近年高まってきている軽仮設機材の需要は,今後も益々増加していくものと推測されます。
その背景として,2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う競技施設建設や新規・補修を含む交通インフラの整備など,当面は当業界が提供する軽仮設材への需要は継続することが考えられます。さらに,近年各地で頻発する大規模な地震・風水害等の異常気象への事前対応や予測困難な災害については,発生後に迅速な応急復旧が求められることから,軽仮設材が必要不可欠になるためです。
一方,大都市圏の建設需要の高さに反して,地方圏では平成26年度のピークを過ぎた感があります。地方での都市再開発も一部を除きほぼ完了した状況であり,大都市圏への一極集中傾向が顕著な状況にあります。政府による地方再生へ向けたテコ入れ策が実施されており,その効果が待たれるところです。
なお,保有量調査と並行して,総務企画部会企画調査委員会では,当業界として懸案ともなっている「仮設図面代の回収状況」についても再度調査いたしました。
この調査結果は本協会会員のみならず,毎回,多方面からの関心も高くなっており,総務企画部会としては,これからも業界発展のため,継続して調査を実施して行きたいと考えております。
会員の皆様には今後ともご協力をお願い申し上げます。
1 調査の目的
平成5年度に国土交通省の指導を受け,その後独自に隔年ごとに「軽仮設材の保有量に関する実態調査」を実施しており,今回で第12回の調査となる(前回は平成26年6月実施)。
各協会員の軽仮設材の保有量を調査することで,現状認識や今後の営業戦略などの基礎資料となることを目的とする。
2 調査の概要
(1)調査内容
協会加盟の会員企業に対して,下記の内容について調査を実施した。
1.企業概要等
● 企業名等 ● 資本金
● 売上高 ● 記入者名等
● 事務所数 ● 従業員数
2.軽仮設材保有量
● 枠組足場類(枠組足場,くさび式足場,手摺先行部材等,長尺足場板,吊り足場,移動室内足場,脚立)
● 型枠類(鋼製型枠)
● 支保工類(パイプサポート,システム支保工,四角支柱,支保梁,大型支保工)
● パイプ類(丸パイプ,角パイプ,クランプ類)
● その他(仮囲い,メッシュシート,安全ネット,防音パネル,防音シート,仮設ハウス,備品,敷鉄板,保安機材)
● 上記に属さない機材
3.メーカーに対する要望
4.本調査アンケートに対するご意見,ご感想
(2)調査方法
調査票(アンケート)を郵送する書面調査。
(3)調査時期
調査票発送:平成28年6月1日
調査票回収:平成28年8月10日
集計・分析 :平成28年8月12日〜9月30日
(4)調査対象企業数と回答企業数
調査票発送企業:94社
回答企業数 :79社
回収率 :84.0%
3 総 括
(一社)軽仮設リース業協会では2年ごとに保有量調査を実施しているため,ここで過去の調査結果との比較を行う。継続調査の観点から,軽仮設材の貴重な資料となることを目標とし,今後も過去に実施した調査との比較は続けていく。
過去に実施した調査結果と今回の調査結果を総括集計したものを表- 1に示した。
また,総括集計した結果,次のような相関があった。
①会員数94社が調査票発送企業数であり,ここ数年の調査の中では,調査先の件数として微増となっている。
②賃貸収入は前回平成26年度調査と比較すると20.4%の増加となった。
③軽仮設材保有高は,平成26年度調査結果の5,767億8,600万円が最大となっていた。今回の平成28年度調査結果は6,209億8,300万円となり,比較すると7.7%の増加という結果になった。
④全社の社員数は,今回の平成28年度調査結果において13,022人となり,過去最大であった平成26 年度調査結果の12,859 人に対し1.3% 増となった。
表- 1内の軽仮設材保有量,賃貸収入,及び建設投資の総計(名目値)及び新築住宅着工数の推移を図- 1に示した。
これを見ると,建設投資は,平成5年度81兆6,933億円から平成22年度41兆9,282億円までは右肩下がりの推移となっているものの,平成28年度(見通し)では51兆7,700億円と平成24年度,平成26年度と同様に連続で上昇の見通しとなっている。
軽仮設材保有高は,平成12年度5,092億2,900万円を最大に平成18年度4,391億5,500万円まで下降していたものの,今回の平成28年度では6,209億8,300万円と過去最高の保有高となった。
年間賃貸収入は,平成28年度は1,980億7,200万円となり平成26年度と比較して20.4 % 増となった。一方,新築住宅着工数は6.8%減となっている。
前回平成26年度調査の結果と比較し軽仮設材保有高,賃貸収入共に増加しており,今後とも業界全体としては好調に推移していくと考えられる。
現在,オリンピック需要の本格化に伴い,建築,土木工事における軽仮設材の出番は,その機会がピークを迎えつつある。協会会員各社において,今回の調査結果が今後の営業活動等の参考になればと考えている。
【本文で使用した参考文献】
● 平成28 年度建設投資見通し(国土交通省)
● 建築着工統計調査(国土交通省)
4 機材の保有状況
(1)全体概要
会員企業各社について,軽仮設保有地域別に仮設材保有量を調査した。その調査結果として,地域別に仮設材保有量を集計したものを表- 2,図-2に示した。
仮設材保有量では前回調査結果と比べ,東北・北信越・関西で仮設材保有量は減少したものの,全国計では増加した。
仮設材保有量の構成比が概ね同じであることから前回調査結果より全国的に仮設材保有量は増加していると考えられる。
(2)支部別軽仮設材保有量
仮設材保有量のうち機材ごとに保有量を集計した結果を表- 3に示した。
軽仮設材保有量は,全国総合計で6,209億8,300万円であった。その構成は,枠組足場類3,657億2,200万円,型枠類61億4,900万円,支保工類1,024億2,400万円,パイプ類637億600万円,養生材等829億8,300万円となった。
地域別に見ると,前回調査結果と同様に,関東,関西,九州・沖縄のシェアが高くなっている(表- 4参照)。
次に品目別に見ると,枠組足場類は関東と九州・沖縄で52.8%,型枠類は関東と関西で63.3%,支保工類は関東と関西で65.8%,パイプ類は関東と九州・沖縄で46.3%,養生材等は関東と東北で44.3%と仮設材が特定地域に集中しており地域の特徴が見られる。特に,関東は全ての仮設材でシェアが高いことがわかる。
また,軽仮設材保有地域別の品目別仮設材保有割合を見ると総計で,枠組足場類58.9%,型枠類1.0%,支保工類16.5%,パイプ類10.3%,養生材等13.4%となった。前回調査結果と比較すると,枠組み足場類と型枠類,パイプ類にて保有割合が増加した(表- 5参照)。
5 枠組足場類の保有状況
回答企業の枠組足場類の保有量を表- 6および図- 3 に示した。
枠組足場類の保有量は, 総合計で3,657億2,200万円であった。その構成は枠組足場1,755億4,800万円(48.0%),くさび式足場523億7,200万円(14.3%),手摺先行部材等449億7,300万円(12.3%), 長尺足場板336億9,800万円(9.2%),吊り足場154億7,500万円(4.2%),移動室内足場409億6,800万円(11.2%), 脚立26億8,700万円(0.7%)となった。
前回調査結果と比較すると,脚立を除いた全ての品目で保有量が増加となった。
軽仮設材保有地域別の保有割合は,枠組足場類合計で関東が37.1%と一番高くなった。特に,吊り足場では関東が約6割を占めた。
6 メーカーに対する要望
メーカーに対して,製品開発についての要望,意見に関するコメントの一覧を表- 7に示した。
(参考)仮設図面代の回収状況に関する実態調査
第1章 調査概要
1 調査概要
第1節 調査の目的
仮設業界の現状調査の一環として,当業界における仮設図面代の回収状況に関する実態調査を行い,参考情報を得る事を目的とする。
2 調査の概要
(1)調査内容
協会加盟の会員企業に対して,下記の内容について調査を実施した。
1.年間の図面作成にかかる金額
2.図面作成の外注状況
3.図面作成費用の回収状況
(2)調査方法
調査票(アンケート)を郵送する書面調査。
(3)調査時期
「軽仮設材の保有量に関する実態調査」と同様。
(4)調査対象企業数と回答企業数
調査票発送企業:94社
回答企業数:78社
回収率:83.0%
第2章 調査結果
3 総 括
今回実施した「仮設図面代の回収状況に関する実態調査」では以下のことが確認できた。
なお,個別の集計結果は以下に記す。
①年間の図面作成費合計は19億3,240万円,一社当たりの平均は3,170万円
年間の図面作成費について回答のあった,61社を対象に集計を行ったところ,一社当たりの平均図面作成費は3,170万円/社であった。
賃料収入の大きい会社程,平均図面作成費も高くなる傾向が見られる(表- 8参照)。
②図面作成の外注割合平均は39.9%
図面作成の外注割合について回答のあった,67社を対象とし集計を行ったところ,一社当たりの外注割合平均は39.9%であった。
サンプル数は少ないものの,賃貸収入の大きい会社の外注割合は比較的高い事が分かった。
もちろん図面作成費が小さい,もしくは賃貸収入が小さい会社でも外注割合が高い会社が見受けられるため,外注の状況については,会社の体制による所が大きい事がわかる(表- 9参照)。
③図面作成費の回収率平均は42.2%。
図面作成費回収率について回答のあった,67社を対象に集計を行ったところ,一社当たりの図面作成費回収率平均は42.2%であった。
①に記載の平均図面作成費平均3,170万円/社を加味すると,約1,830万円/社の図面作成費が回収出来ていない事になる。
年間の図面作成費,および賃貸収入規模との相関は見られないため,会社の姿勢として回収率を上げるべきとする会社とサービスの一環として考えている会社が規模によらず混在している事がわかる(表- 10 参照)。
④別項目にて回収した図面作成費の割合平均は12.7%
回収の図れた図面作成費のうち,「図面代」以外の別項目にて,図面作成費を回収した割合について,回答のあった58社を対象に集計を行ったところ,別項目による回収率の平均は12.7% /社と低い結果となった。
よって,図面作成費は別項目としてではなく「図面代」として,その多くが回収されている事がわかった(表- 11 参照)。
⑤図面種類別の図面作成費回収率は労働基準監督署(以下,労基署)提出用図面が最も高く52.4%工種別の図面作成費回収率は建築工事が最も高く52.9%
図面作成費を回収するに当たり,図面種類別の平均回収率を集計したところ,労基署提出用図面が52.4% /社,強度計算書が39.2%/社,その他が25.2%/社となった。
また,同様に工種別で見たところ,建築工事が52.9%/社,土木工事が30.0%/社,その他が2.3%/社となった(表- 12 〜17 参照)。
⑥図面作成費が100%回収できない要因は「他社競合がある中で,受注するためのサービス」
図面作成費が100%回収できない要因についてアンケートを行ったところ,「他社競合がある中で,受注するためのサービス」が最も大きな要因として回答が集まった(50.8%)。次いで,「業界の慣習」が32.2%,「現場予算が無い」が8.5%,その他が8.5%となった。
受注するために,サービスとして図面作成を行う事が常態化する事で,それが業界の慣習となり請求し難い環境が形成されていると考えられる(表- 18,図- 4参照)。
なお,図面作成費が回収できない理由として回答の得られたコメントは以下の通り。
図面作成費に関する意見の一覧を表- 19 に示した。
http://www.keikasetsu.or.jp
【出典】
積算資料2017年02月号
最終更新日:2017-05-15
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