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はじめに

建設分野におけるBIM(Building Information Modeling)を活用した業務の増加に伴い、BIMデータをさまざまなソフト間で円滑に交換することが求められています。BIMデータの交換に有効な手法として、国際団体buildingSMARTが仕様定義と公開を行っているIFC(Industry Foundation Classes)の活用が急速に普及してきています。
 
IFCとは建物の3次元形状および属性情報を表現するためのデータ形式で、 2013 年にISO 16739:2013 として国際標準化され、BIMデータのオープンな交換手段として世界各地での活用が増加しています。
 
buildingSMART の日本支部buildingSMARTJapan(以下、bSJ)傘下の設備・FM分科会の目的は、日本の建築設備分野におけるIFCの開発範囲や仕様を策定し、CADをはじめめとする設備関連ソフトへの実装を促進するとともに、IFCによるデータ交換レベルの均一化を図ることにあります。
 
本記事は、2016 年6月に開催されたbSJ総会にて、本分科会が行った活動報告「設備I FC実装2016」(図- 1)を中心にご紹介します。
 

図-1 IAIセミナー




 
 

設備・FM分科会 活動

本分科会は、施工会社、設計事務所、教育機関、CAD・積算ソフトベンダーなどさまざまな業界業種のメンバーから成り、通常毎月1回会議を開催し活動を行っています。当面の目標として、建築設備分野におけるIFCの普及とその利用による業務の改善(図-2)を挙げ、直近の活動として、設備IFCデータ利用標準※(以降、利用標準)の策定および設備CADソフトへの実装推進、設計・積算への展開などを進めています。
 

図-2 IFCの活躍する場面




 
 

※設備IFCデータ利用標準




 
 
利用標準は、建築設備分野における従来のデータ交換仕様BE-Bridge(設備CADデータ交換仕様)およびStem(設備機器ライブラリー交換仕様)を包含するとともに、それらの意味をIFCで表現し直したものです。
 
活動の中でも特徴的といえるのは、国内主要設備CADソフトベンダー5社の参画によるIFCの実装推進にあります。本分科会で策定した利用標準を各ベンダーが実際にソフトへの実装を行うことにより、建築設備分野において、BIMデータの交換をIFCによって行うことが一般的に可能となることに加え、建設分野全体において、IFCを実質的にもスタンダードとして定着させることが期待できます。
 
 

設備IFC実装について

利用標準は2012 年にVer.1.0 を公開後、BE-BridgeおよびStemの改定とともに、2015 年12 月15日にVer.1.3を公開するに至っています(表-1)。
 

表-1 利用標準および実装の変遷




 
 
利用標準Ver.1.3では、主として「積算情報」「ダクト部材の材質・風速・種別属性」「配管部材の新部材・未対応部材」「器具部材」「スリーブ部材」の追加といった対応を行っています。利用標準の設備CADソフトへの実装状況については、2016 年2月時点でほぼVer.1.2まで完了しており、Ver.1.3へも順次展開されていく見込みです(表- 2)。
 

表-2 設備CADベンダーの利用標準対応状況




 
 

実装IFCデータ見える化

設備CADソフトベンダーは利用標準に準拠し、IFCのインポート、エクスポート機能の実装を進めていますが、分科会では、実際に各ソフト間でIFCによるデータ交換を行った結果を見える化し、部材の形状および属性情報の再現性に問題がないかどうかの検証も進めています。この検証により、各ベンダーの仕様解釈の違いや、実務で利用する際に出てくる問題を発見し、これらを改善することにより、実際に利用者が使える形にすることを目指しています。
 
2016 年5 月に実施された検証(図-3、4)では、各ベンダーの仕様解釈や実装状況の細かな差異を明確にするとともに、各ソフト間での受け渡しはおおむね可能な状態にあることを確認しました。
 

図-3 設備BIM IFCデータ見える化の取り組み




 
 

図-4 データ交換検証




 
 
これにより、IFCを用いてデータ交換を行い、空間調整や納まり検討などの用途に利用できる状態が実現されていることを確認できました。
 
 

積算・解析ソフトとの連携検証

建築設備分野においてIFCの実務利用が期待されているものの中に、建築・設備CADソフトと積算ソフトや解析ソフトとのデータ連携があります。その目的は、建築・設備CADソフトから出力されたIFCを読み込み、計算に必要な情報を識別して利用し、入力作業の軽減を行うことです。分科会では、これらについても、現状でどこまでデータ連携が可能なのかについて検証を行っています。今回の検証では、各設備CADソフトから出力されたIFCを用いて、達成度を確認しました。
 
積算ソフトIFC連携検証
 
検証では、機器・ダクト・配管部材から仕様・数量および建築躯体から施工場所の区分をそれぞれ読み取ることにより見積書の作成まで工程を踏むことができましたが、出力されたデータによって積算結果に差異が見受けられました(図-5)。
 

図-5 積算ソフトIFC連携




 
 
この原因は各設備CADソフトによって特に機器部材の属性項目やIFC出力仕様が異なっているためであり、今後の対応に向けての調整課題を抽出することができました。
 
解析ソフトIFC連携検証
 
検証では、解析ソフトとしてCFD(気流解析)ソフトを選び、建築躯体や制気口部材の位置や形状はほぼ問題なく伝達が可能であることが分かりました(図-6)。
 

図-6 解析ソフトIFC連携




 
 
しかし、制気口部材は気流計算に必要な情報を十分に持たないため、現状はCFDソフト側の部材で置き換える必要があります。このため、今後は気流計算に必要十分な情報をIFCで受け渡す必要があるといった課題も見えてきました。
 
 

IFC活用へ向けた課題と整備すべき環境と今後の活動

活動報告「設備I FC実装2016」のまとめとして、以下の項目が挙げられます。
 
・国内の設備CADソフト間では、主要部材の形状および属性情報の受け渡しが実務レベルで行えるようになってきている。
・積算ソフトやCFDソフトといったCADソフト以外での利活用検証が可能な段階に入ってきた。
・bSJによるIFC検定などの実施により利用標準の認知度および普及が促進されている。
 
今後、分科会では、次のような項目の検討を進めていく必要性が見えてきています。
 
・機器属性の受け渡しにおいて各社で対応が異なるものを洗い出し、整合調整および実装検証を行う。
・業務での用途を明確にして運用提案を行う。
・系統情報の受渡しを検討する。
・2次元図の対応を検討する。
・海外の設備CADソフトとのデータ交換を検証する。
・建築BIMツールとのデータ交換を検証する。
 
 

さいごに

本分科会の大きな活動目的は、建築設備分野においてIFCが皆様の業務価値向上につながる形で利用されていくことです。これを実現するために仕様策定および実装推進を今後も進めてまいります。
 
 
今回の検証に協力いただいたベンダー・ソフト( 名称順)
 
●CADソフト
 (株)NYKシステムズ:Rebro2015
 (株)シスプロ: Design Draft Ver6.0
  ダイキン工業(株): FILDER Cube
 (株)ダイテック:CADWe’ll Tfas8
 (株)四電工:CADEWA Real 2015
 
●積算ソフト
 (株)コスモ・ソフト: PLANEST
 
●解析ソフト
 (株)アドバンスドナレッジ研究所:  FlowDesigner
 (株)ソフトウェアクレイドル:  STREAM
 
 
 

一般社団法人 buildingSMART Japan 設備・FM分科会

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2017
特集2「BIMによる生産性向上」



 
 

 

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