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日比谷総合設備は2011年にFARO社の3Dスキャナーを導入し、2014年にはさらにもう1台を追加しました。5年にわた
り百数十件の案件で3Dスキャナーが活躍しています。今回はこれまで手がけてきた案件での課題、取り組み、今後の展望に
ついてご紹介します。
 
 

撮影時の課題、取り組み

従来では、点群データ合成時に基準となるターゲット球を配置し撮影を行っていました。この方法では現場へ運搬する荷物が3Dスキャナー・ターゲット球(2 箱)・三脚の4 点となり、1人で移動・作業を行う場合に労力を要します。毎回2人で現場へ移動し作業することは、業務体制の面からも年々難しくなってきており、ターゲット球を使用しない撮影ができないかを模索していました。
 
最近では点群処理ソフトの技術向上により、ターゲットレスでの撮影が可能となっています。当社では点群処理にはFARO社のSCENEを使い続けていますが、最新版では平面と群からの自動合成の性能が格段に向上しています。
 
今年に入り、最新版を導入しました。このソフトのおかげで、ターゲットを現場へ持ち込むことも不要となり、1人での作業も難なく行えるようになりました。1日当たりの撮影数も従来よりも増え、作業の効率化につながっています。
 
なお、ターゲットレスでは撮影点が多く(撮影点ごとの重複度合いで、点群合成に影響)なってしまいますが、ターゲットを使用していた撮影方法よりも全体の点群が鮮明になり、モデリング作業の精度向上にもつながりました。
 

図-1 ターゲット使用




 

図-2 ターゲットレス




 
 

撮影時の新たな課題

最新版のSCENEのおかげで、3Dスキャナーと三脚の2点を抱えるだけで済み、移動・作業が容易にできるようになりました。ターゲット球がなくとも点群合成はスムーズに行え、データ処理時間も10 〜 20%削減できています。
 
そのように感じていた矢先ですが、直近で行った事例では、ターゲットレスにより新たな課題に直面することになりました。スラブ面は別として、吸音用のグラスウール板が壁に張り巡らされ、天井面は耐火被覆で覆われていた機械室です。
 
躯体壁やボードといった、堅牢な仕上り面ではなかったために、平面の抽出が明瞭ではなかったようです。唯一スラブは明瞭な平面として捉えられています。このような状態では、点群の合成に支障が出ました。ソフトの判断上、合成自体は問題ないとなっています。しかしながら、いざモデリングを行うと、平面・エッジ・円筒部分などあらゆる箇所でこれまでとは違う、輪郭がぼやけた状態になっているため、誤差が大きくなっています。対象箇所内部の仕上げ状態により、ターゲット球を使用した方が良いことを学んだ貴重な事例です。
 

図-3 輪郭ぼやけ

 

図-4 輪郭はっきり




 
 

位置合わせの課題、取り組み

3DCADでモデリングする際に重要な作業の1つは点群データの位置合わせです。事前に通芯が分かる資料がある場合、3DCADで通芯を作成し、これに点群データの位置を合わせてモデリング作業を始めます。通芯に対して0.1度傾くと10mで誤差が約17.5mmになり、モデリングする範囲が広いほど誤差が大きくなります。そのため、角度の誤差は0.1度以内に修正してから、作業にかかることを心がけています。
 
 

モデリングの課題、取り組み

点群データより冷凍機やポンプなどの機器を3Dで作成する際に意識していることは表示の簡略化です。通常のポリゴンですと精細で3D表示は丸みがあり綺麗ですが(図-5、6)、CADでの表示は複雑な印象となり、操作の際は動作が重くなってしまいます。
 

図-5

図-6




 
 
そのため、ポリゴンを大きくすることにより、3D表示は角張ったものとなりますが、CAD表示はシンプルになり、操作の際にもスムーズな動作になります(図-7、8)。
 

図-7

図-8

 


 
 
モデリングしたCADデータをエンドユーザーが快適に作業できるよう3D機器はできるだけシンプルにしています。
 
 

モデリングソフトの課題、取り組み

当社では未導入ですが、モデリング機能に優れているソフトが市場に出ています(富士テクニカルリサーチ社、エリジオン社、GEXCEL社など)。各社から発表されているソフトについては、確かにモデリングの速度向上が期待されます。ただし、これまでは出力できるデータ形式がdwgやdxfであったため、属性情報が付与されませんでした。当社の技術者が使用するCADはダイテック社のCADW’ell Tfasであるため、CADデータを現場へスムーズに展開させるためにも、配管・ダクト等の属性情報は必要であると考えています。そのため、3DCAD上にて点群をトレースし、IFC経由でTfas化する方法で作業をしています。また、配管モデリングの不備を確認する上でも、現状ではトレースが有効であると考えています。
 
ただし、最近ではIFCへの対応が上記に挙げた各社ともに進んできており、業務効率の向上が見込まれるため、近い将来導入することを検討していきます。
 
補足として、点群合成までを当社で行い、自動モデリングが可能な外部業者へ発注したことがあります。結果としては従来通りのトレースが良いという結論に至りました。ここでの課題としては下記の点が挙げられます。
 
1)外部業者へ渡したデータはオリジナルの容量の1/4であったため、点群数が減ったことにより、モデリング機能の効果が発揮できなかった恐れがある
 
2)保温の厚みがあり、補正が十分に機能しなかったのか、実際の配管サイズとの差違が見受けられた
 
3)最終的には点群とモデルがどこまで整合しているか、作業者が点群とモデルを重ねた上での確認が必要となる
 
3 週間で仕上げたモデルでしたが、手直しに1週間かかり、納品に影響が出てしまいました。こちらについては有効な手法を継続的に模索していくつもりです。
 
 

今後の展望

3Dスキャナーの活用については5年間にわたり相応の事例を重ね、体制が確立したものと実感しています。今後もリニューアル工事へ向け、3Dスキャナー活用の需要は高まると予想されることから、依頼を断ることのないようにさらなる効率化を目指します。場合によってはモデル化せずとも、点群をそのままポリゴン化するといった手法なども必要になるかもしれません。国土交通省からもICT活用について話題が盛んになってきていますので、時代を一歩リードするように邁進してきたいと考えています。
 
 

日比谷総合設備株式会社
エンジニアリングサービス統括本部 管理部 下田中 龍宏



 
 
【出典】


建設ITガイド 2017
特集2「BIMによる生産性向上」



 
 

 

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