建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 東九州自動車道(椎田南IC〜豊前IC間)の開通〜東九州地域の循環型ネットワークの形成〜

 

1. はじめに

東九州自動車道 椎田南(しいだみなみ)IC〜豊前(ぶぜん)IC 間(延長7.2km)は,平成28年4月24日に開通しました。東九州自動車道は,福岡県北九州市を起点として,大分県,宮崎県を通過し,鹿児島県鹿児島市に至る延長約436kmの高速自動車国道で,東九州地域の広域的なネットワークを形成する幹線道路として,沿線地域の産業・経済・文化の発展に重要な役割を果たすとともに,高規格幹線道路ネットワークの機能強化および災害時の代替道路としての役割を担う路線です。
 
今回の開通により,北九州市から宮崎市間が高速道路でつながりました(図−1,写真− 1)。
 

【図−1 今回開通区間の位置図】

【写真− 1 開通後の状況】




 
ここでは,今回開通した椎田南IC〜豊前IC間の概要および工事の特徴,循環型ネットワークの形成によるストック効果などについて紹介します。
 
 

2. 路線概要

今回開通した椎田南IC〜豊前IC間の延長は7.2kmで,道路規格は第1種2級(暫定施工時は第1種3級),設計速度100km/hです。開通区間のうち6.1kmが土工,1.1kmが橋梁となっています。椎田南ICでは国道10号,豊前ICでは県道犀さい川がわ豊前線に接続しています。今回の開通により,東九州自動車道の既供用区間<北九州JCT〜椎田南IC,豊前IC〜清武南(きよたけみなみ)IC>が接続され,北九州市から宮崎市間が,国管理区間を介して高速道路で接続されました。
 
 

3. 工事概要

(1)現地発生土の安定処理工の実施
豊前市域の地質は,高含水比の火山灰質粘性土が広く分布しており,無処理土のままでは,所定のトラフィカビリティや各盛土材料の基準値を満足できませんでした。そのため,土工工事において,現地発生土の有効利用を図るため,必要に応じて配合試験を行い,土質安定処理工を行いました(写真− 2)。
 

【写真− 2 バックホウ混合による土質安定処理工】




 
(2) 工事中の周辺環境対策(粉じん対策)
約31 万m3の土運搬に使用する本線の近隣は,農作地帯であり,一部住宅が点在していることから,泥落とし装置の設置や散水車の巡回により粉じん対策の強化を図るなど,工事中の周辺環境についても対策を行いました。
 
 

4. 開通によるストック効果

本区間の開通により,北九州市から宮崎市間が高速道路で接続され,東九州地域の広域ネットワークが形成されるとともに,九州地方における循環型ネットワークとしての機能を発揮することで,地域交流の活発化,災害復旧活動への貢献,および物流支援による地域経済への貢献などの効果をもたらしています。
 
(1) 主要都市間の移動時間が約半分に
東九州自動車道が整備されたことにより,北九州市〜大分市間や北九州市〜宮崎市間の所要時間が高速道路未整備時と比べて約半分の時間に短縮され,福岡,北九州,大分都市圏の連携軸が強化され,東九州地域を中心に地域交流がさらに活発になることが期待されます(図− 2)。
 

【図− 2 主要都市間の移動時間の変化】




 
(2)災害時の広域的な救援・復旧活動を支援
平成28年4月の熊本地震により,九州自動車道,大分自動車道が被災したため,自衛隊は東九州自動車道を利用し,阿蘇方面への広域的な支援を実施しました。東九州自動車道を利用した災害派遣車両は,4月14日〜5月30日の間で約4,200台(NEXCO西日本調べ)にのぼりました(写真− 3,図− 3)。
 

【写真− 3 災害派遣車両の通行状況】




 

【図− 3 阿蘇方面への支援ルート】




 
また,日本赤十字社は,余震による新たな通行止めリスクを回避するため,東九州自動車道を利用するルートと九州自動車道・大分自動車道を利用するルートの二つの輸送経路を利用することで確実な救援物資の輸送を実施しました(図− 4)。
 

【図− 4 日本赤十字社が利用した輸送経路】




 
(3)九州南北軸の物流を支援
熊本地震発生後,大型車交通が九州自動車道から東九州自動車道へ転換し,大型車交通量が約3倍に増加し,九州南北軸を支える物流経路として東九州自動車道がリダンダンシー※機能を発揮し,養殖産業における安定的な飼料の確保や食物出荷に貢献しました(図− 5,6)。
 
※リダンダンシー:災害時等,一部区間の途絶で全体の交通機能が不全とならないよう,ネットワーク等を多重化,または予備の手段を用意する様な性質
 

【図− 5 熊本地震前後の物流経路】




 

【図− 6 熊本地震前後の大型車交通量】




 
(4)配送体制の見直しによる生産性の向上
東九州自動車道の整備に伴う企業進出により,集荷拠点の見直しが行われ,大分県中津市の農水産物等の関東・関西方面への翌日着分の集荷可能時間が大幅に増加し,生鮮品の取扱量の増加に貢献しています(図− 7)。
 

【図− 7 運送事業者の配送体制見直し事例】




 
(5)観光復興を支援
熊本地震の風評被害等で落込みが予想された東九州自動車道沿線で開催されたまつりの来場者数は,前年の約1割増となり,観光復興に貢献しました(図− 8)。
 

【図− 8 東九州自動車道開通に伴う効果】




 
また,NEXCO西日本としては,九州観光周遊ドライブパス(高速道路定額乗り放題割引)の企画を実施(平成28 年7 月15 日〜12 月18 日)。申し込み件数が過去最高の18万件を突破するなど,観光客の回復を後押ししました。
 
 

5. おわりに

今回開通した椎田南IC〜豊前IC 間の7.2kmは,事業許可から約10年の歳月を経て開通の運びとなりました。これもひとえに,貴重な土地を提供していただきました地権者の皆様や事業にご理解ご協力いただいた地元の皆様,関係者の多大なるご尽力の賜物であり,深く感謝申し上げます。
 
また,熊本地震により被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに,高速道路上において地震による損傷が大きい箇所については,現在,復旧工事を鋭意進めております。ご利用されるお客様にはご迷惑をおかけしておりますが,一日も早い復旧に向け全力で取り組んでまいりますので,ご理解とご協力をお願いいたします。
 
 

西日本高速道路株式会社 九州支社 建設・改築事業部

 
 
 
【出典】


積算資料2017年04月号



 

 

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