建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > COLUMN 道路付属構造物の維持管理と非破壊検査

◆持続可能な維持管理体制の構築
平成24年に起きた中央自動車道笹子トンネルでの天井板落下事故を受けて,国土交通省は平成25年を「社会資本メンテナンス元年」と位置づけ,社会インフラの老朽化対策を最優先事項として各種の施策を策定するとともに,対策を講じてきた。この「維持管理」を主眼においた取り組みは,①維持管理を行うべき施設の維持管理水準・優先度を見直し,②維持管理業務を標準化・合理化・効率化し,③もって持続的な維持管理体制を構築していく,ことが重要であり,現在,さまざまな取り組みがなされている。
 
 
◆維持管理に関する基準類の動き
国土交通省は平成26年より道路分野の「新築・改築に関する技術基準」と「維持・修繕に関する技術基準」の改定と策定を行っている。維持・修繕面では,これまでに橋梁(道路橋,横断歩道橋),トンネル,シェッド・大型カルバート,門型標識・情報板,舗装の各分野の点検要領がまとめられ,平成29年3月には門型標識以外の道路標識・照明柱等の点検を規定する「小規模附属物点検要領」が策定された。現在も切土,盛土といった土工構造物や防護柵,道路緑化物(いずれも新築・改築と合わせた内容)の維持・修繕に関する技術基準の策定が進められている。
 
 
◆支柱等の根腐れによる事故の増加
こうした国土交通省の取り組みは,緊急性を要することが背景にある。実際に経年劣化や腐食(根腐れ)等による支柱等の倒壊・損壊事故は,この10年間で道路利用者や第三者が巻き込まれる重大事故を含めて数多く発生している。報道がされていない事故を含めれば相当な発生件数になっていることが想像できる。
 
こうした事故では,支柱等が日常の目視検査では損傷部の発見ができず,結果的に事故発生を受けて周辺の同種・類似施設の詳細検査が行われるといった事態が散見される。これは全件検査を行うにはあまりに対象となる構造物の数が膨大であり,コスト面に加えて昨今,建設業界で大きな問題となっている担い手不足の問題も要因として挙げられよう。
 

鋼管柱腐食・劣化調査の様子




 
◆小規模附属物点検要領の策定
前述の小規模附属物点検要領は,事故につながる変状を早期に発見し,適切な対策を講じることで,小規模道路付属物の劣化に起因する事故を未然に防ぎ,安全かつ円滑な交通と利用者の安全の確保を目的としている。要領の中では,第三者被害の発生の影響等に関して施設の特性に応じた点検方法が規定されている。
 
この中で,主に片持ち式附属物(F型標識や逆L型照明等)は落下や倒壊事象の防止,路側式(単柱式標識等)は倒壊事象の防止のために点検を行うこととしている。この内,片持ち式の場合,地中等への支柱埋め込み部に関して,境界部の支柱の状態や帯水の有無・痕跡等を確認し,必要に応じて掘削調査を行うことがよい,としている。
 
しかし,膨大な数に上る支柱等に対して掘削調査を行うことは,コスト面・人員面で厳しい状況におかれていることは周知の事実である。そのため要領の中では,掘削調査のスクリーニングに当たっては非破壊検査が活用の可能性を有しているため,技術開発動向の情報を収集した上で,有効であると判断される場合は採用するとよい,としている。
 
 
◆非破壊検査の可能性
非破壊検査を用いて構造物の劣化を測定する技術は,さまざまな取り組みと開発が進められている。発注者においても非破壊検査を用いた支柱路面境界部以下の変状を検出する技術の公募がなされ,非破壊検査を用いた点検結果と実態との比較・検証が行われている。
 
また,埼玉県では道路付属物の点検業務に際し,特記仕様書上で近接目視と合わせて非破壊検査による事前検査を可能とするなど,地方公共団体が独自に発注者の置かれた実情に即し,非破壊検査の導入を進める動きもある。
 
 
◆検査技術の向上と研鑽
ただし,非破壊検査は現時点で完成された技術ではなく,あらゆる場面で非破壊検査結果が有効となるよう,測定精度の向上は今後も求められていく技術である。また検査技術の向上と合わせて,非破壊検査機器を操る技術者・技能者の育成も必要である。機器開発メーカーによる検査精度の向上とともに,検査業者による技術者・技能者の育成と研鑽の取り組みが,今後の道路付属物の維持管理におけるコスト縮減と担い手不足への対応の大きなカギと言えるだろう。
 
 

 

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