建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 平成30年度土木工事積算基準等の改定について

 

1.はじめに

国土交通省では,働き手の減少を上回る生産性の向上と担い手確保に向けた働き方改革を進めるため,調査・測量,設計,施工・調査および維持管理・更新のあらゆるプロセスにICTを取り入れることなどにより生産性を向上する「i-Construction」に取り組んでいます。
 
今般,公共工事の品質確保に関する法律の基本理念等に則るとともに,週休2日の確保に取り組める環境の充実やi-Construction のさらなる推進等を図る観点から,最新の実態を踏まえ,土木工事積算基準等の改定を行いました。
 
 

2.働き方改革に取り組める環境整備

週休2日で施工する場合には,現状より工期が長くなり,現場事務所等の土地代や安全施設のリース代等を含む共通仮設費や現場技術者の給与等を含む現場管理費,機械経費が官積算の計上額と乖離する可能性があります。そこで,平成29年度から4週8休相当の現場閉所を実施した工事を対象に,共通仮設費と現場管理費に補正を行うこととしました。
 
平成30年度においては,平成29年度から試行している間接費について最新の施工実態を踏まえ必要な見直しを行うとともに,機械経費や労務費についても,週休2日の実施に伴い必要となる経費を適切に計上できるよう補正を実施することとしました(図−1)。
 



 
この措置をはじめとした環境整備により,週休2日に建設企業が積極的に取り組むことができるものと考えています。
 
 

3. i-Construction のさらなる拡大に向けた基準の新設等

(1)ICT土工積算基準の改定
ICT土工を実施した工事のうち,施工土量5万㎥以下の工事では,ICT機械の使用割合が高い傾向にあり,これまでの積算基準で設定しているICT建機使用割合(25%)を超える工事が9割以上存在していました(図−2)。小規模土工では建機が1台で施工する場合があるなど施工状況等により使用割合が大きく変化することから,ICT施工を普及拡大する観点も踏まえ,当面の措置として積算基準,要領を改定し,ICT建機の稼働率を用いた施工数量による積算とすることとしました(図−3)。
 

図−3 積算方法の改定




 
(2)ICT浚渫工(河川)積算基準の新設
ICTを取り入れた技術により生産性向上を図るため,「ICT 浚渫工(河川)」(図−4)を導入し,そのための積算基準を新設しました。この積算基準では,ICT建機のリース料(従来建機からの増分)およびICT建機の初期導入経費を新たに追加しています。また,補助労務の省力化に伴う労務経費(減少)や効率化に伴う日当り施工量(増加)を変更しています。
 

図−4 ICT 浚渫工(河川)の流れ




 
(3)UAV および地上レーザー測量における標準歩掛の新設
ICT技術のより一層の活用を図るため,UAV写真測量および地上レーザー測量に関する標準歩掛を新設しました。業務価格は,機械経費等については平成29年度に設定した算定式に基づき計上(測量面積に比例)するとともに,今回新設した標準歩掛により3次元点群データの作成(3次元点群測量)経費等を加算し,算定することとしています。
 
 

4.改正品確法を踏まえた積算基準の改定

(1)一般管理費等率の改定
一般管理費は,本店および支店の従業員の給与等や労災保険料,雇用保険料等,技術研究,開発等の費用等に要する費用で構成されています。今回,本社経費の最新の実態を反映し,一般管理費等率を改定しました(図−5)。
 

図−5 一般管理費等率の改定




 
(2)小規模施工の区分の新設
施工土量により,施工の効率性等が異なることから,より実態に即した積算を可能とするため,土工(掘削)について,小規模施工の区分を新設することとしました(図−6)。
 

図−6 小規模施工の区分の新設




 
(3)交通誘導警備員の計上方法の改定
現道上の工事(一般交通を規制する工事)で,休憩・休息時も交通誘導が必要な場合,現場の配置に要した費用と官積算の計上額に乖離が確認されたことから,現場の実態に即した積算を可能とするため,交替要員が必要な工事における割増係数による積み上げを廃止し,交替要員も含めた必要な配置人数を必要日数を計上する積算方法に変更しました(図−7)。
 

図−7 交通誘導警備員の計上方法の改定




 
(4)市場単価の一部廃止
市場において材料・労務費・機械経費等を一式で契約している場合は,市場での取引価格を的確に積算に反映するため,民間企業間での取引状況を調査した価格である市場単価を活用していました。① 区画線工,②高視認性区画線工,③排水構造物工,④コンクリートブロック積工,⑤橋梁塗装工,⑥構造物とりこわし工の6工種について良好な取引データの収集が困難になってきたことから,物価調査会および経済調査会が実態調査のうえで設定する歩掛をもとにした単価である「土木工事標準単価」を活用することとし,①〜③については平成29年10月に移行しましたが,今回,④〜⑥について移行しました。
 
 
(5)被災地における積算基準等の補正
東日本大震災被災地(岩手県,宮城県,福島県)および熊本地震被災地(熊本県)では,工事量の増大により資材やダンプトラック等の不足による作業効率の低下に伴う間接工事費の補正等を,東日本大震災被災地では平成26年2月から,熊本地震被災地では平成29年1月から行っていますが,施工実態を踏まえ平成30年度も継続することとしました。
 
また,積算基準を改定し,災害の発生等により通常の積算価格と実態が乖離している場合に補正措置を講じることを規定しました。
 
 
(6)土木工事標準歩掛の改定
土木工事標準歩掛は,標準的な施工条件における単位施工量当り若しくは日当りの労務工数,材料数量,機械運転時間等の所要量について工種毎にとりまとめたものです。
 
今回,張りコンクリート,ガス切断工の2工種を新設するとともに,現場吹付法枠工,雪寒仮囲い工,鋼管ソイルセメント杭工,大口径ボーリングマシン工,プレキャストセグメント主桁組立工,路面清掃工,バイブロハンマ工の7工種について,日当り施工量,労務,資機材等の改定を行いました。
 
 
(7)施工パッケージ関係歩掛について
物価変動に関する標準単価の見直し等により,一部の施工パッケージ歩掛について改定を行いました。具体的には,土工,土工(ICT),法面整形工,法面整形工(ICT),発泡スチロールを用いた超軽量盛土工,コンクリート工,舗装版切断工,橋梁補修工(支承取替工),落橋防止装置工,堤防除草工の10 工種について,日当り施工量,労務,資機材等を改定しました。
 
また,路盤工,路盤工(ICT),半たわみ性(コンポジット)舗装工については,設計値に応じた積算が可能となる標準単価設定方法へ改定しました。
 
 

5.おわりに

今回,i-Construction の推進や働き方改革の動きを踏まえ,改正品確法の理念に基づき適切な予定価格を設定するという観点から,土木工事積算基準の改定を行ったところです。今回の改定により,より実態を踏まえ,適切な利潤が確保できる積算が可能となり,建設業従事者の適切な賃金が確保され,やりがいや誇りを持って働ける職場環境が整備されることにつながることを期待しています。
 
 
 

(前)国土交通省 大臣官房 技術調査課 事業評価・保全企画官 竹下 正一(たけした しょういち)

 
 
【出典】


積算資料2018年5月号



 

 

同じカテゴリの新着記事

最新の記事5件

カテゴリ一覧

バックナンバー

話題の新商品