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政府建設投資:2013年度は2桁の増加、2014年度は2012年度を超える投資額を維持
民間建設投資:2013年度の回復基調から、2014年度は住宅投資の減少により微増

 

一般財団法人 建設経済研究所
研究員 浦辺 隆弘

 

1.最近の経済の動きと見通し

東日本大震災後、急速に落ち込んだ日本経済は、2012年度以降持ち直しに転じ、回復基調が続いてきた。
2013年11月14日に発表された内閣府による四半期別国内総生産(GDP)1次速報によると、
2013年7‐9月期の物価変動の影響を考慮した実質GDPの季節調整済前期比は0.5%増と4四半期連続のプラス成長となった。
寄与度を見ると、内需が前期比0.9%と4 四半期連続のプラス寄与となる一方、
輸出の減少に伴い外需寄与度が同△0.5%と3 四半期ぶりのマイナス寄与に転じており、
外需の減少が成長率鈍化の要因となった。
 

図表-1 マクロ経済の推移(年度)

図表-1 マクロ経済の推移(年度)


 
2013年度は、年度末にかけての消費税増税前の駆け込み需要の後押しなどにより個人消費や住宅投資が増加するほか、
堅調な企業業績を背景として設備投資も着実に回復する見通し。
さらに、公共投資は前年度補正予算の執行本格化等により引き続き増加が見込まれるほか、
外需についても足元の動きは鈍いものの、年度後半からは回復する見通しである。
 
2014年度は民間設備投資と外需の回復を予想しているが、消費税増税前の駆け込み需要の反動で個人消費がマイナスに転じることや、
2013年度末の経済対策を含めても公共投資の減少が見込まれることから、景気回復の足取りが弱まらないよう、
民間投資をさらに促進する施策の確実な実行が期待される。
 
中国をはじめとする海外経済の回復の遅れ、円相場の上昇、欧州債務問題の深刻化が下振れリスク要因として挙げられる。
 
このように、最近の経済情勢は回復基調にあることを踏まえて、2014年の建設投資見通しについて概観したい。
なお、以下本節の見通しは、当研究所が2013年10月21日に公表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し(2013年10月)」
の結果に基づいたものである。
 
 

2.建設投資の現況と見通し

(1)建設投資全体の見通し

2013年度の建設投資は、前年度比9.1%増の48兆9,800億円となる見通しである。
 
政府建設投資は、国の直轄・補助事業費(一般会計及び復興特会に係る政府建設投資)の伸び率を13.1%、
地方単独事業費の伸び率を1.0%とし、前年度比11.5%の増加と予測する。
なお、平成24年度補正予算に係る政府建設投資額5.4兆円程度(国土交通省試算)のほとんどは今年度中に出来高として実現すると
考えている。
また、2013年12月に策定される5兆円規模の新たな経済対策に係る政府建設投資額は、国費で2兆円(事業費で3兆円)程度と仮定し、
そのほとんどは2014年度へ繰り越されると考えている。
 
民間住宅投資は、年度前半の消費税増税前駆け込み需要と金利先高観を背景とした消費者心理の変化により緩やかな回復が継続する
ことから、前年度比7.0%の増加と予測する。
住宅着工戸数については、前年度比4.0%の増加と予測する。
 
民間非住宅建設投資は、高水準であった2012年度着工分の出来高実現および着工床面積の増加が見込まれることから
民間非住宅建築投資が前年度比8.6%増となり、土木インフラ系企業の設備投資も高水準で推移するとみられることから、
全体では前年度比7.7%の増加と予測する。
 
2014年度の建設投資は、前年度比△2.3%の47兆8,500億円となる見通しである。
 
政府建設投資は、平成24年度補正予算の反動により前年度比△7.8%となるものの、
当初予算に2013年度末の経済対策が上積みされ「15ヶ月予算」となると考え、2012年度を超える投資額となる見通しである。
引き続き、復興加速、防災・減災、老朽化対策等への適切な予算配分が望まれる。
 
民間住宅投資は、駆け込み需要の反動減が政府による平準化措置である程度抑制はされるものの着工戸数の減少は避けられない
と見込まれ、前年度比△1.5%と予測する。住宅着工戸数については、前年度比△3.4%と予測する。
 
民間非住宅建設投資は、前年度と同様の傾向が見込まれ、民間非住宅建築投資が前年度比7.1%増となり、
民間土木投資も前年度と同水準で推移すると考えられることから、全体では前年度比5.6%の増加と予測する。
今後、新たな設備投資減税の効果により企業の設備投資マインドが上がれば、非住宅建設投資が更に上振れする可能性もある。
 

(2)政府建設投資の見通し

 

図表-2 名目建設投資額の推移(年度)

図表-2 名目建設投資額の推移(年度)


 
2013年度の政府建設投資は、前年度比で名目11.5%増(実質10.3%増)の21兆300億円と予測する。
 
国の直轄・補助事業費(当初予算ベース)は、
「一般会計及び東日本大震災復興特別会計に係る政府建設投資」(公共+ 非公共、以下同じ)を基に、
前年度比13.1%増(復興特会を除くと前年度比0.3%増)とした。
 
なお、平成24年度補正予算に係る政府建設投資額は、国土交通省の「平成25年度 建設投資見通し」で試算された5.4兆円程度を採用し、
今年度中に出来高として実現すると考えている。
 
また、消費税増税による景気の下振れリスクに対応するとともに、持続的な経済成長につなげるため、
5兆円規模の新たな経済対策を12月上旬に策定することが閣議決定されている。
その経済対策に係る政府建設投資額は、国費で2兆円(事業費で3兆円)程度と仮定した上で、
そのほとんどは2014年度へ繰り越されると考えている。
 
地方単独事業費は、都道府県等の補正予算の現時点における動向等を踏まえ、前年度比1.0%増とした。
 
設計労務単価の引き上げ等の施策により、発注は円滑化されているものの、技術者・技能労働者の不足が顕在化しており、
工事の進行が遅れるおそれも大きく、動向を注視する必要がある。
 
2014年度の政府建設投資は、前年度比で名目△7.8%(実質△10.3%)の19兆4,000億円と予測する。
 
国の直轄・補助事業費は、当初予算の一般会計および復興特会に係る政府建設投資に加え、
「15ヶ月予算」として2013年度末の経済対策が上積みされると予測している。
 
地方単独事業費は、平成24年度補正予算の反動減を考慮し、前年度比△3.0%とした。
 
2013年度末の経済対策の効果が発現することにより、2014年度は2012年度の18兆8,600億円を超える投資額となる見通しである。
引き続き重点項目である東日本大震災からの復興加速、防災・減災、老朽化対策等への適切な予算配分が望まれる。
 
図表-3 名目政府建設投資の推移(年度)

図表-3 名目政府建設投資の推移(年度)


 

(3)住宅着工戸数の見通し

 

図表-4 住宅着工戸数の推移(年度)

図表-4 住宅着工戸数の推移(年度)


 
2013年度は足元で持家、貸家を中心として消費税増税前駆け込み需要が顕在化しており、復興需要による下支えもあることから、
引き続き緩やかな回復基調が続くと見込まれる。
 
2014年度は政府による住宅ローン減税等の平準化措置により駆け込み需要の反動減はある程度抑制されるものの、
着工戸数の減少は避けられないと見込む。
 
2013年度の着工戸数は前年度比4.0%増の92.9万戸、2014年度は前年度比△3.4%の89.7万戸と予測する。
 
持家は、年度前半の消費税増税前駆け込み需要に加え、金利や住宅価格の先高観が消費者心理を後押しし、
2013年4‐8月の着工戸数は前年同期比13.3%増となった。
前回増税時、1996年4‐8月の着工戸数は前年同期比25.9%増と大きく駆け込んだ事と比較すると、
今回は政府による住宅ローン減税の拡充、すまい給付金等の平準化措置が奏功し、
駆け込みはある程度抑制されていると考えられる。
そのため、増税による反動減も小規模なものとなる見込みである。
2013年度は前年度比5.8%増の33.5万戸、2014年度は同△3.7%の32.3万戸と予測する。
 
貸家は、2012年1月以降持ち直し傾向が続いており、2013年4‐8月の着工戸数は前年同期比11.7%増となった。
持家に比べ平準化措置のない貸家は足元で前回と同レベルの駆け込み需要が顕在化しており、
また、住宅再建の進展に伴い被災3県の着工戸数の増加が顕著である。
2013年度は駆け込み需要が着工戸数を押し上げるものの、下半期から反動減が予想され、
前年度比0.5%増の32.2万戸、2014年度は同△ 4.9%の30.7万戸と予測する。
 
分譲は、2013年4‐8月の分譲全体の着工戸数は前年同期比9.8%増となった。
戸建はミニ開発物件の好調等に下支えされ、12カ月連続で前年同月比プラスであり、
マンションは月毎にぶれはあるものの2013年5月以降、在庫率(※)が4カ月連続40%台で推移しており、引き続き好調である。
2013年度は分譲全体では前年度比6.5%増の26.6万戸と予測する。
2014年度も供給サイドの資金調達環境が良好であることから底堅く推移する見通しであるが、
伸びは鈍化するため同△1.5%の26.2万戸と予測する。
※「在庫率=当月残戸数÷(当月供給戸数+ 前月残戸数)」首都圏・近畿圏合計の在庫率を使用(株)不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」、
 「近畿圏マンション市場動向」を基に当研究所で算出

 

(4)民間非住宅建設投資の見通し

 

図表-5 民間非住宅建設投資の推移(年度)

図表-5 民間非住宅建設投資の推移(年度)


 
2013年11月14日に発表された内閣府による四半期別国内総生産(GDP)1次速報によると、
2013年7‐9月期の実質民間企業設備(内閣府「国民経済計算」)は、前年同期比3.0%増と3四半期連続でプラスとなった。
円安による輸出増により、製造業の生産・企業の収益とも高まることが予想され、2013年度の実質民間企業設備は前年度比2.0%増、
2014年度は前年度比3.3%増と予測する。
このうち約2割を占める民間非住宅建設投資は、下記のとおり堅調に推移するものと予測する。
 
2013年度の民間非住宅建設投資は、前年度比7.7%増の12兆9,900億円となる見通しである。
2012年度後半に着工が高水準であった事務所および店舗に係る工事出来高が今年度中に実現してくることに加え、
2013年度の着工床面積は前年度比で、事務所は9.2%増、店舗は16.1%増、工場は7.9%増、倉庫は5.4%増と大きく伸びると
見込まれ、民間非住宅建築投資は前年度比8.6%増と予測する。
民間土木投資については、鉄道・通信など土木インフラ系企業の設備投資が高水準で推移するとみられる。
 
2014年度の民間非住宅建設投資は、前年度比5.6%増の13兆7,200億円となる見通しである。
民間非住宅建築投資は、前年度比7.1%増と予測する。
民間土木投資については、前年度と同水準で推移していくことが見込まれる。
 
店舗については、2013年4‐8月期の着工床面積の状況は好調で、昨年度も後半に伸びていく傾向がみられたため、
引き続き順調に増加するものと予測する。
大店立地法上の届出状況からみると、主に北海道・東北・四国地域での伸びが大きく、
ショッピングモール、ドラッグストア、家具、電機関連の寄与度が大きい。
 
工場については、リーマンショックの影響による下落が特に大きかったが、着工床面積が3年連続で2桁増と回復基調にあった。
昨年度の着工床面積の大きさが上位であった関東・東海地域での着工は依然として好調に推移しているものの、
2013年4‐8月期における全体着工床面積の動きは昨年同期比でみると若干弱まってきている。
 
なお、現在議論が進められている新たな設備投資減税の効果により、真に企業の設備投資マインドが上がれば、
民間非住宅建設投資がさらに上振れする可能性もある。
 
図表-6 民間非住宅建築着工床面積の推移(年度)

図表-6 民間非住宅建築着工床面積の推移(年度)


 
 

3.おわりに

1992年度をピークに長らく減少傾向が続いてきた我が国の建設投資は、東日本大震災発生後の復旧・復興需要により押し上げられ、
2011年度を底に増加に転じ回復基調で推移している。
東日本大震災の被害額は約16.9兆円と推計されており、これは阪神・淡路大震災の被害総額約9.6兆円の1.8倍に達する。
このような甚大な被害から一刻も早く立ち直るため、
復興庁をはじめとして各省庁が復興加速化のため様々な取り組みを実施に移している。
今後、工事進捗が最盛期を迎えるにつれ、技術者・技能労働者不足や労務・資材費の上昇等の問題が拡大する可能性もあり、
動向の注視が必要である。
 
我が国の建設産業は、2012年度において国内総生産の約9.5%に相当する約45兆円の建設投資を担うとともに、
総就業者数の約8%を占める503万人の就業者を擁する基幹産業である。
しかしながら、建設業就業者数は97年の685万人をピークに減少を続けており、年齢階層別にみると2012年の503万人の内、
55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と他産業と比較しても、高齢化と若年入職者の減少が顕著である。
 
2020年オリンピック・パラリンピック開催都市が東京に決定する等、建設産業にとって明るい話題も出てきているものの、
建設産業が国民の生命や財産を守る社会資本整備の担い手として今後も社会において重要な役割を果たしていくためには、
官民が連携して建設業就業者の現状を正しく把握し、課題解決に向けた更なる施策を講じる必要がある。
 
 
 
【出典】


月刊積算資料2014年1月号
月刊積算資料2014年1月号
 
 

 

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