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景気は緩やかに回復するも,海外経済の動向に留意が必要建設資材は一部に値動き

景気は輸出を中心に弱さが続いているものの,緩やかに回復

政府は,2月の月例経済報告まで14カ月連続で「景気は,緩やかに回復している」としていたが,3月と5月に判断を引き下げ,7月は「景気は,輸出を中心に弱さが続いているものの,緩やかに回復している」と表現の変更にとどめて,基調判断は据え置いた。個人消費は持ち直し,設備投資は一部で弱さもみられるが緩やかな増加傾向にあり,公共投資も底堅い動きとなった。その一方で,生産は一部に弱さがみられ,輸出は弱含み,貿易・サービス収支は赤字となったことなどから,景気判断の上方修正とはならなかった。
 
先行きについては,通商問題の動向が世界経済に与える影響に一層注意するとともに,中国経済の先行き,海外経済の動向と政策に関する不確実性等にも留意する必要があると警戒感を示しているが,雇用・所得環境の改善が続く中で,各種政策の効果もあって,景気は緩やかに回復していくものとみられる。
 

公共投資の受注は堅調に推移

国内の状況を公共工事前払金保証統計でみると,6月の請負金額全国合計は1兆4,478億円で対前年同月比1%の増。今年度第1四半期(4~6月)でも,5兆1,011億円で前年同期比4.2%の増となっている。地区別にみると,東北と九州で前年同期比減となったが,それ以外の中国,四国は対前年同期比で20%以上増,北陸と中部および近畿が10%程度増,北海道は7.2%増,関東は2%増となっている。
 
また,内閣府が7月に発表した経済財政報告の中で,東京外かく環状道路や新名神高速道路などの道路工事,北陸新幹線,北海道新幹線などの鉄道工事があることで,今後も公共投資の受注は堅調に推移することが見込まれるとしている。
 

建設資材は一部に値動き

建設需要を地区別にみると,首都圏では東京オリンピック・パラリンピック関連工事が最終仕上げを残すのみで一服感がみられるものの,手控えていた再開発工事や設備投資工事が多数計画されている。北海道や沖縄ではインバウンド需要に伴うホテル関連工事が好調。北陸では北陸新幹線関連工事が最盛期を迎え,東海ではリニア中央新幹線に絡んだ大型再開発事業が計画されている。九州でも震災復興関連工事や再開発工事があるなど,総じて堅調に推移。
 
資材別に価格動向をみると,異形棒鋼は,鉄屑価格が安値水準にあることから,割高感が市場に広がり7月,8月ともに小幅下落した。需要者の指し値は厳しさを増しており,目先,弱含み推移の見通し。生コンクリートや砕石類は,運転手不足に伴う輸送コストの高騰や設備更新に必要な費用を価格に転嫁する動きが続くとみられ,先行きも強含み。供給過剰感のあるアスファルト混合物は,原材料のスト・アス価格動向に騰落はみられるものの需要は先細っており,多くの地区でメーカー側が現行値確保に懸命。石油製品は原油相場が不透明な中,様子見ムードが広がり,目先,弱含みの見通し。型枠用合板は需給が低水準で均衡する中,先安観から,現状維持が精いっぱいの見通し。
 



 

異形棒鋼 鉄屑小幅反発も1,000円の下落(掲載:P18~24)

現況:RC造着工少なく需要盛り上がらず

日本鉄鋼連盟調べによる2019年度第1四半期の全国小形棒鋼出荷量は210万8,000tと前年同期比4.0%の減少となった。東京オリンピック・パラリンピック関連工事がピークを過ぎ,マンションなどのRC造の着工も少なく,足元の需要も小口の当用買いが中心で盛り上がりを欠いている。例年であれば,夏場には下半期工事向けの引き合いが増えるところであるが,今年は異なる展開となっている。
 
価格は,SD295A・D16でt当たり7万円(東京②)どころと前月比1,000円の下落。主原料の鉄屑価格は小幅ながら反発したが,依然として安値水準にあることから,需要者は値下げ要求を強めている。需給に引き締まりを欠く中,需要者からの指し値に抵抗しきれず,徐々に安値販売が広がっている。
 


先行き:弱含み推移

鉄屑価格の上昇懸念に加えて,副原料費や輸送費などの増加が製造コストを押し上げており,メーカー側は安易な値引きに応じず,価格堅持の姿勢を貫いている。まだ値下げ余地があると見込んでいる需要者側の反発は根強く,価格交渉は引き続き難航が必至。先行き,弱含みで推移しよう。

(吉岡亮)

 



 

H形鋼 軟調気運は沈静化(掲載:P30~31)

現況:荷動きに底打ちの兆し

2019年度第1四半期の全国出荷量は95万3,000tと,前年同期比7.1%の減(日本鉄鋼連盟調べ)となった。東京オリンピック・パラリンピック向け需要が山場を越え,中小物件も低調のため,取り引きは当用買いが中心の薄商いが続いており,市場は盛り上がりを欠く展開となっている。一方,ときわ会発表による6月の東京地区の市中在庫量は3万9,400tと6カ月ぶりの減少。首都圏での低調な荷動きは底を打ち,秋需期にかけて回復に向かうとみられる。
 
価格は,200×100で,t当たり8万6,000円(東京②)どころと前月比横ばい。流通側が数量指向の販売を強めたことで,市況は軟調に推移していたが,大手高炉メーカーの販価据え置き発表や鉄屑価格の下落基調が一服したことから,落ち着きをみせている。
 


先行き:横ばい推移の見通し

原料の鉄屑価格がまだ安値圏にあることから,需要者側では製品市況を先安と予測し,当用買いを継続する構え。メーカー側は強気な販売姿勢を崩しておらず,流通側は,秋以降需要が好転した場合に仕入価格が再び上昇することを想定し,需要者との価格交渉には容易に妥協しない姿勢で臨むとみられる。先行き,横ばいで推移する公算が大きい。

(小池亮介)

                        
 



 

鉄 屑 市況底入れも,力強さ欠く(掲載:P74~75)

現況:海外市況の好転が国内相場をけん引

財務省調べによる2019年4~6月期の鉄屑輸出量は約176万tと,前年同期比10.1%の減少。相場が海外安で推移したことで,日本産鉄屑への割高感から,輸出向けの引き合いは低調に推移した。その結果,国内在庫が増加し,需給の緩和が進んだ。
 
6月下旬に開催されたG20大阪サミット以降,米中貿易摩擦の悪化懸念は一時的に後退し,海外相場が上昇に転じたことを受け,低迷していた国内市況も底入れした。さらに,天候不順による解体工事の遅れと,夏場の市中発生量の低下が追い風となり,問屋店頭買い入れ価格は,H2でt当たり1万7,000円と前月比500円の上伸となった。
 


先行き:模様眺めで横ばい推移

東京オリンピック・パラリンピック関連工事の影響で遅れていた大型再開発工事等が秋以降に見込まれるなど,国内の鉄屑需要は盛り上がりが期待されている。一方,米中貿易摩擦がなお深刻化する懸念から,急速に円高が進行し,輸出市場での日本産鉄屑には再び割高感が生じている。その上,最大輸出先の韓国との貿易摩擦も浮上するなど,今後の輸出商談には弱材料が散見されている。国内相場の底入れ後も,相場上伸には力強さに欠ける展開が続いており,先行き横ばい推移する公算が大きい。

(菊池秀仁)

                                  



 

セメント 第1 四半期需要3.8%減(掲載:P78~79)

現況:2019年度国内需要想定は4,300万t

セメント協会調べによる2018年度の国内需要は約4,259万tで前年比1.7%増。東京オリンピック・パラリンピック関連工事や新幹線関連工事等の大型プロジェクト向け出荷が旺盛で2年連続で前年を上回った。2019年度は,東京オリ・パラ関連工事が一段落したことに加え,大型連休や働き方改革による工期長期化の影響から,4~6月期の国内販売量は1,002万tと前年同期比3.8%減少した。しかし,同協会は官民ともに出荷が引き続き堅調に推移する見通しから,2019年度の需要想定を4,300万tと前年比増を見込んでいる。価格は,東京で普通ポルトランド(バラ)でt当たり1万600円どころ。
 


先行き:価格上伸には生コン市況改善が不可欠

リニア中央新幹線の大型プロジェクトや西日本豪雨の復旧・復興工事に加え,遅れ気味だった再開発工事も見込まれることから,需要は堅調に推移する見通し。価格面においては,メーカーが昨年打ち出した1,000円の値上げが,一部に浸透して以降,交渉に進展はみられない。今後,生コン市況が上向くとの予想を好機ととらえ,製販とも売り腰を強めていく構え。先行き,強含みの見通し。

(伊藤正久)

                                 
 



 

生コンクリート 全国出荷量はやや低調に推移(掲載:P80~174)

【全国】待遇改善に向けた値上げ交渉が本格化

全国生コンクリート工業組合連合会調べによる2019年4~6月期の全国総出荷数量は2,014万77㎥で前年同期比2.8%減となった。内訳は官需が718万㎥で同2.2%減,民需が1,296万㎥で同3.1%減と官民とも前年同期を下回った。地区別にみると,新幹線の延伸工事向け出荷が旺盛な北海道が3.5%増,北陸が1.7%増で,災害関連復旧・復興工事が下支えしている中国が7.1%と増加している。そのほかの地区は,5月の大型連休による稼働日の減少等から微減となっている。
 
主要10都市における本誌掲載価格は,2019年4~9月号対比で,上伸が4都市(東京,新潟,大阪,広島),横ばいが6都市(札幌,仙台,名古屋,高松,福岡,那覇)で,下落した地区はなかった。
 
生コン業界は,全国的に慢性的な運転手不足の影響から,労働環境や待遇改善が喫緊の課題なっており,これに伴うコスト増を製品価格に上乗せする動きが広がっている。需要者側も安定的な供給体制の構築については一定の理解を示しており,今後,各地区で生コン協組を中心に価格引き上げの交渉が本格化しよう。

(伊藤正久)

 
 

【札幌】

北海道生コン工組調べによる2019年4~6月期の出荷量は約22万9,000㎥と前年同期比2.2%減。民間工事の着工が遅れ気味で足元の荷動きはやや精彩を欠いているものの,新幹線工事や再開発工事などの大型需要が控えている。
 
価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万3,300円どころ。製造コスト等の上昇がメーカーの収益を圧迫していることから供給側は売り腰を引き締めており,需要者の値下げ要求には応じない構え。先行き,横ばいで推移する見通し。
 
 

【仙台】

宮城県生コン工組調べによる仙台生コン協組の2019年4~6月期の出荷量は8万3,849㎥で前年同期比20.4%減。大型工事向けの出荷は少なく,需要はマンション等の民間建築物件が中心となっている。価格は,建築標準物(21―18―20)でm3当たり1万3,000円どころ。仙台生コン協組では,コスト上昇分を製品価格に転嫁すべく,2019年4月契約分から値上げを打ち出したが,現行価格の維持が精いっぱい。一方,非組合員との受注競争は激しさを増しており,先行き,弱含み推移の見通し。
 


【東京】

東京地区生コン協組調べによる2019年4~6月期の出荷量は旺盛だった東京オリンピック・パラリンピック関連事業向け出荷の反動減や天候不順の影響により76万5,793㎥と前年同期比19.4%もの大幅減となった。ただし,今後,複数の大型再開発案件が控えており,この需要減は一過性のものとみる向きが多い。需要者側は,運転手不足による供給懸念から,安定供給を条件に値上げの一部を容認する動きが加速し,価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万4,300円どころと前月比で300円上伸した。先行き,横ばい推移の見通し。
 


【新潟】

価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり8,000円どころ。新潟生コン協組では,市況低迷を脱すべく数量志向から価格重視へと方針を転換し,2019年4月契約分より同規格で1万2,000円の販売価格を打ち出した。非組合員の一部も,現状の価格水準ではプラント経営が成り立たないと,安値販売を控える動きが出ており,市場では底値感が出始めた。同協組では,市況回復に向け売り腰を強めていく構えで,先行き,強含みで推移する見通し。
 
 

【名古屋】

愛知県生コン工組調べによる2019年4~7月期の出荷量は76万8,262㎥で,前年同期比3.2%の増加。リニア中央新幹線関連や民間の建築物件など,需要は増加している。価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万1,300円どころ。名古屋生コン協組は,採算確保に向け市況改善の姿勢をみせているものの,需要者の指し値は厳しく時間がかかるとの見方が大勢。先行き,横ばいで推移する見込み。
 


【大阪】

価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万9,400円どころと前月比3,200円の上伸。大阪広域生コン協組は,セメント,骨材など原材料価格値上がりによる製造コスト増加分の転嫁および設備の維持・更新など,今後の事業継続原資確保を目的に,2019年4月契約分より価格改定を実施。協組の高い組織率に基づいた共販体制により協同組合主導の市況が形成されているため,需要者側も安定供給,品質確保を最優先とし販売側提示価格を受け入れて,価格の上伸となった。先行き,横ばい。
 


【広島】

広島県生コン工組調べによる広島地区の2019年4~6月期の出荷量は,22万2,259㎥と前年同期比で1.2%の増加となった。
 
価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万5,950円どころ。広島地区生コン協組では,昨年10月契約分から1,000円の値上げを打ち出し,需要者側と交渉を続けてきた結果,販売側の強い売り腰が功を奏し,7月に値上げが浸透した。先行き,横ばい推移。
 
 

【高松】

香川県生コン工組調べによる2019年4~6月期の出荷量は,7万4,782㎥と前年同期比6.1%減。需要は,マンション工事や中心部の再開発工事など小規模な民間建築向けが中心となっている。価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万2,300円どころ。香川県東部生コン協組は,昨年10月契約分からの値上げを表明,さらに2019年4月から県内4協組による連合会共販へと体制を移行し,売り腰を強めている。市場では徐々に値上げの浸透がみられ,先行き,強含み推移の見通し。
 
 

【福岡】

福岡県生コン工組調べによる2019年4~6月期の出荷量は,35万5,000㎥と前年同期比0.7%増。中心部市街地再開発事業などの民間大型建築工事に支えられ,昨年に引き続き出荷は高水準で推移している。
 
価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万3,450円どころ。販売側は,旺盛な需要を背景に売り腰を引き締めており,価格は安値が姿を消し安定した状況となっている。先行き,横ばいで推移しよう。
 


【那覇】

沖縄県生コン協組調べによる本島中南部地区の2019年4~6月期の出荷量は,35万4,264㎥と前年同期比3.4%の減少。沖縄本島中南部の需要は民間建築工事向けで伸び悩み,精彩を欠いている。価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万3,700円どころ。生コン協組では,昨年10月出荷分から1,000円程度の値上げを打ち出し交渉を進めてきた結果,ここにきて需要者側の一部は値上げを受け入れたもよう。先行き,強含みで推移しよう。
 
 
 

骨材・砕石 安定供給維持に向けた価格交渉が進む(掲載:P175~197)

【全国】一部で市況上伸

経済産業省「砕石等統計年報」による平成30年の全国砕石出荷量は,1億7,112万3,000tで前年比1.4%増と,わずかながら2年連続で前年実績を上回った。
 
地域別にみると,新幹線建設事業向けの出荷により北海道,北陸地区での増加が目立つ一方,三大都市圏における需要は一服状態。足元の荷動きは低調だが,それぞれの地域で再開発事業が予定されており,今後の需要は底堅いとする見方が多い。
 
価格については,供給側では老朽化するプラントの更新や,運搬車両の確保など,安定した供給体制の維持を目的として需要者側に価格引き上げの要求を継続している。特に,新幹線や高速道路建設など大型土木工事が実施されている地区では,運搬車両のタイト化が一層進むものとみられ,供給側は強い姿勢で価格交渉に臨んでいる。このような状況を受け,3月には東京を含む南関東の各都市と宇都宮,鳥取,6月には金沢,7月には高松で,100円から700円程度価格が上伸している。
 
全国的に価格交渉は続いており,今後の安定供給を不安視する需要者側が値上げを受け入れた地区も見受けられる。当面は,供給側優位の状況が展開されるものとみられる。

(林 誠)

 
 

【札幌】

価格は,クラッシャラン40~0mmで㎥当たり2,800円どころ。需要は官需,民需とも旺盛な上,胆振東部地震による災害復旧工事需要も加わり荷動きは非常に活発な状況。札幌砕石共販協組では製造コスト等の上昇を理由に2019年4月出荷分から㎥当たり500円の値上げを表明し,需要者との交渉を継続中。需要者側は大幅な値上げに抵抗感が強く浸透に時間を要する展開となっているが,好調な需要を背景に供給側は強気な販売姿勢を崩していない。先行き,強含み推移の見通し。
 


【仙台】

道路用砕石は,クラッシャラン40~0mmで㎥当たり2,800円どころ。運搬費が上昇しており,メーカー側では値上げの意向があるものの,需要は低調で,需要者側の購入姿勢は厳しい。先行き,横ばい推移の見通し。
 
一方,コンクリート用骨材は,砂(荒目)で㎥当たり3,400円どころ。生コン価格の弱含みを受け,生コンメーカー側から値下げ要求が出始めているが,骨材メーカー側は現行価格の維持に努めている。先行き,横ばい推移の公算大。
 


【東京】

価格は,東京17区・コンクリート用砂(細目)で㎥当たり4,850円と3月に300円上伸して以降横ばいで推移。
 
東京オリンピック・パラリンピック関連工事が一段落し荷動きが低調のため,運搬車両の不足が顕在化しておらず,落ち着いた状況となっている。
 
今後,東京外かく環状道路工事による残土運搬の本格化で車両不足が懸念されることから,販売側は車両確保のためのコスト増を理由に値上げ交渉を進めている。一部では安定供給を前提に値上げを受け入れる需要者も出ているが,大方は抵抗が強く,当面,横ばいで推移しよう。
 


【新潟】

価格は,コンクリート用砂利25mm以下で㎥当たり4,100円どころ。主要供給元である阿賀野川骨材協同組合が2019年4月の契約分より㎥当たり300円の値上げを唱えている。しかし,生コン市況の低迷から需要者の抵抗は強く,先行き,横ばい推移。
 
一方,路盤材は,再生クラッシャラン40~0mmで㎥当たり1,800円どころ。コンクリート塊の順調な発生から在庫は潤沢であり,荷動きは閑散としているが,当面,横ばいで推移しよう。
 
 

【名古屋】

価格は,コンクリート用砂(荒目)で,㎥当たり4,050円どころ。生コン需要が堅調であることから,コンクリート用砂の出荷量も安定している。メーカー側は,原石採取に係る調達コストや運搬費の増加を理由に,需要者側と値上げ交渉を続けている。しかしながら,需要者側の購買姿勢は厳しく交渉は難航しており,値上げ浸透には時間がかかるとの見方が大勢。先行き,横ばい推移。
 


【大阪】

価格は,コンクリート用砕石20~5mmで㎥当たり4,300円どころ。供給側は昨年9月出荷分より協同組合での共同販売を開始。堅調な生コン市況の後押しを受け,運搬費等の上昇によるコスト増加分の更なる価格転嫁を図るため,今後も段階的な値上げを実施する構え。先行き,強含み推移。
 
一方,路盤材は再生クラッシャラン40~0mmで㎥当たり1,050円どころ。供給過剰気味ではあるものの,メーカー側は現行価格の維持に懸命で,先行き,横ばい。
 


【広島】

価格は,コンクリート用砕石20~5mmで㎥当たり3,000円どころと横ばいで推移。目立った大型工事が見当たらないことから,出荷の大幅な伸びは期待できない状況。
 
供給元の広島県西部砕石協同組合では,プラント経費等の増加を製品価格へ転嫁すべく値上げを打ち出している。しかしながら,需要者の購買姿勢は厳しく,値上げ交渉は長期化しており,先行き,横ばい推移の見通し。
 
 

【高松】

香川県砕石事業協組調べによる2019年4~6月期の砕石類総出荷量は,23万7,978tと前年同期比3.5%減。需要は,ダム工事向けが活発であるが,高速道路拡幅工事向けが終了したことで減少傾向。販売側では,需要減による収益の悪化や運搬費上昇を背景に,2019年1月以降に値上げを打ち出した。需要者側の抵抗もあったが,販売側の売り腰は強く,値上げが浸透。価格は,7月にコンクリート用砕石20~5mmで㎥当たり3,800円と300円上伸した。先行き,横ばいで推移しよう。
 
 

【福岡】

福岡県砕石業協組調べによる2019年4~6月期の砕石類総出荷量は,約23万7,000㎥と前年同期比4%減。コンクリート用の出荷が好調を維持する一方で,道路用は低迷が続いている。価格は,コンクリート用砕石20~5mmで㎥当たり2,800円どころと横ばい推移。メーカー側では,人件費の上昇や設備更新等に伴うコスト増を理由に2019年4月出荷分より値上げを打ち出し,交渉に臨んでいるが,需要者側の抵抗は厳しく,進展は見られない。目先,横ばいで推移。
 
 

【那覇】

価格は,コンクリート用砕石20~5mmで㎥当たり4,800円と前月比変わらず。出荷量は,生コン需要が精彩を欠き低調に推移。メーカー側は,現行価格の維持に注力しており,先行き,横ばいで推移。
 
一方,再生クラッシャラン40~0mmは,㎥当たり3,400円と前月比変わらず。那覇空港第二滑走路増設工事向けの特需は減少しており,荷動きは低調。販売側は採算重視の姿勢を崩していないが,需要者側は値下げを求めていく構え。先行き,弱含み推移。
 
 
 

アスファルト混合物 現行価格維持に注力(掲載:P314~329)

【全国】一部で受注競争も

2019年4~6月期の日本アスファルト合材協会会員工場の出荷量は791万4,927tと,前年同期比1.5%の減少であった(同協会調べ)。
 
地区別の出荷状況をみると,北海道が前年同期比6.1%増,中部も9.1%増で災害復旧工事や空港整備工事などの大型工事が比較的堅調だったことが寄与した。それ以外の地区は,大型工事が乏しいことに加え安定的な出荷が見込める自治体発注工事の減少が影響し,前年並みもしくは減少となった。特に,東北は前年同期比9.8%減と大幅な減少になった。
 
価格については,原油価格上昇で主原材料のスト・アス価格が高値圏にあることや,出荷量減少による固定費比率の上昇等を理由に,販売側は,需要者側からの値下げ要求には応じず,現行価格維持に注力する姿勢を示している。一方,工場が林立している地区のある大都市圏などでは,数量確保による受注競争も散見され,需要者側優位の価格交渉が展開されている。
 
今後,下期に向け需要が増えてくることから,販売側は価格引き上げのタイミングを探っているものの,需要者側の抵抗もあり価格交渉は難航するとの見方が大勢。

(上野隆広)

 
 

【札幌】

北海道アスファルト合材協会調べによる2019年4~6月期の出荷量は,20万2,000tで前年同期比約3.5%増。足元では目立った大型工事物件は見当たらず,先行きの出荷量は不透明な状況。価格は,再生密粒度(13F)でt当たり1万1,100円どころ。出荷量の減少に伴う固定費比率の増加を背景に,メーカー側は値上げを唱えているが,需要者の抵抗は強く交渉はこう着状態。しかし,石粉や骨材等の原材料価格が上昇基調にあることから,メーカー側の売り腰は強い。先行き,強含み。
 


【仙台】

価格は,再生密粒度(13)でt当たり1万100円どころ。2019年4~6月期の仙台地区の出荷量は約16万4,500tと前年同期比3.9%減(日本アスファルト合材協会東北連合会調べ)。沿岸部の道路新設工事や高速道路の修繕工事などが落ち着き,目立った大型工事も見受けられないなど,需要が落ち込んでいる。供給側は,製造・輸送コストの上昇分を販売価格に転嫁したい意向を示すものの,依然として需要者の購買姿勢は厳しく,現行価格維持が精いっぱいの状況。先行き,弱含み。
 
 

【東京】

2019年4~6月期の都内向けアスファルト混合物製造量は,42万1,328tと前年同期比8.0%増となったが(東京アスファルト合材協会調べ),昨年9.2%の大幅減となった反動による増加で,ほぼ想定通り。一部の工場では出荷量を伸ばしているが,販売競争が激化したことで,出荷量が伸び悩んでいるプラントも出ている。
 
価格は,再生密粒度(13)でt当たり8,500円どころと前月比300円の下落。先行き需要が不透明なことから,数量確保のため安値販売が台頭し価格下落となった。先行き,現行価格の維持が精いっぱいのもようで,横ばい推移。
 


【新潟】

2019年4~6月期における県内の製造量は,25万7,945tと前年同期比9.0%の減少(新潟県アスファルト合材協会調べ)。目立った大型工事物件に乏しく,小規模工事中心の低調な荷動きとなっている。価格は,再生密粒度(13)でt当たり1万1,000円どころ。メーカー各社は,これまでのコスト上昇分を製品価格に転嫁したい意向を示しているが,実需の後押しがなく,売り腰を強めきれずにいる。当面,横ばいで推移しよう。
 
 

【名古屋】

2019年4~6月期の出荷量は44万3,180t(愛知県アスファルト合材協会調べ)で,前年同期比10.8%の増加となった。名古屋港周辺の大型工事や昨年度からの繰り越し物件が多かったことが増加の要因。価格は,再生密粒度(13)でt当たり9,200円どころ。スト・アス価格の高騰や製造コストの上昇を吸収すべく,メーカー側は値上げを打ち出しているものの,需要者の指し値は厳しい。域外工場からの持ち込みも続いているだけに,値上げには時間がかかる見込み。先行き,横ばい推移。
 


【大阪】

価格は,再生密粒度(13)でt当たり9,100円どころと横ばい推移。大阪アスファルト合材協会調べによる2019年4~6月期の製造量は,27万3,825tで,前年同期比約1.5%増となったが,大型工事の見通しもなく,需要は依然として低水準で推移。
 
スト・アス価格は高値寄りで推移しているが,需要が振るわない中,需要者との値上げ交渉は進展せず,メーカー各社は価格の維持が精いっぱい。先行き,横ばいで推移する見通し。
 


【広島】

広島県アスファルト合材協会まとめによる2019年4~6月期の出荷量は14万1,262tと前年同期比で9.2%減となり,減少に歯止めがかからない。
 
価格は,再生密粒度(13)でt当たり9,500円どころ。メーカー側は,製造コストの増加を吸収すべく値上げの意向を持っているものの,需要者の抵抗は大きく交渉は難航。今後,災害復旧需要は見込まれるが,需要の回復までには至らず,先行き,現行価格維持が精いっぱいの見通し。
 
 

【高松】

香川県アスファルト合材協会調べによる2019年4~6月期の製造量は,8万9,328tと前年同期比6.0%増。需要は,昨年度からの繰越工事向けが中心で,新規発注工事の出足は鈍く,盛り上がりを欠いている。
 
価格は,再生密粒度(13)でt当たり1万2,600円どころ。メーカー側では,上昇する製造コストを製品価格に転嫁する意向があるものの,需要者側の購買姿勢は依然として厳しく,現行価格水準の維持に注力するものとみられる。先行き,横ばい。
 
 

【福岡】

2019年4~6月期のアスファルト混合物製造量は,約27万1,900tと前年同期比10.5%減(福岡県アスファルト合材協会調べ)。需要は力強さに欠け,低調なものとなっている。価格は,再生密粒度(13)でt当たり9,500円どころ。
 
メーカー側は,原材料のスト・アス価格の高止まりによるコスト増加分を販売価格に転嫁したい意向だが,需要家からの指し値は厳しく,現行水準維持が精いっぱいの状況。先行き,横ばい推移の見通し。
 


【那覇】

沖縄県アスファルト合材協会調べによる2019年4~6月期の出荷量は,10万3,035tと前年同期比2.8%減となった。一般の舗装工事の需要は精彩を欠いているものの,那覇空港第二滑走路増設関連工事向けの出荷は継続しており,高水準の出荷量を維持している。価格は,再生密粒度(13)でt当たり1万3,000円どころ。販売側は,輸送コストの上昇分を販売価格に転嫁したい意向だが,需要者の購買姿勢は厳しい。当面,横ばいで推移する見通し。
 
 
 

型枠用合板 当用買いで模様眺めの様相(掲載:P217)

現況:8カ月連続輸入量減少

日本合板組合連合会発表による2019年1~6月期の合板輸入量は,129万8,072㎥で前年同期比12.7%減。直近の6月の輸入量も,18万9,959㎥(前年同月比18.2%減)と8カ月連続で前年同月比を下回った。
 
産地価格は若干ながら弱含むも高値圏で推移。国内では,需要回復に見通しが立たず,輸入業者は過剰在庫を懸念している。このため注文を控える動きがあり,輸入量は大幅に減少している。
 
販売側では,現行価格に対し割高な在庫を抱えており,採算確保が難しい状況。一部に数量確保による安価販売があるものの,追随する動きはみられない。一方,需要者側は当用買いを継続しており,市場は模様眺めの様相を呈している。
 
価格は,型枠用合板(無塗装品ラワン・12×900×1800mm)で枚当たり1,360円どころと前月比横ばい。
 


先行き:需要回復は期待薄も横ばい

新規物件の引き合いが少なく,需要が好転する材料は見当たらないため,需要者側は当用買いの姿勢を継続する一方で,販売側は,仕入価格が高値圏で推移していることから,引き続き在庫量を調整し,価格維持に注力したい構え。先行き,横ばいで推移する公算が大きい。

(志水勇太)

 



 

木 材 米材,競合品を見据えた値下げへ(掲載:P232~248)

現況:荷動きは盛り上がりを欠く

国土交通省発表による2019年6月の木造住宅の新設着工戸数は,4万8,071戸と前年同月比3.9%増。1~6月期の前年同期比では1.2%増と,微増にとどまっている。プレカット工場では,トラック運転手や工場の人手不足が解消されないことから,加工や納品に遅れが目立つ。そのため国産材,米材ともに新規注文が減少しており,荷動きは盛り上がりを欠いている。
 
国産材は,長引いた梅雨の影響から出材が減少しており,相場に動意はみられない。価格は,杉正角材(KD)3m×10.5×10.5cm特1等で㎥当たり6万円と前月比変わらず。
 
一方,米材は,競合するレッドウッド集成材が関税引き下げの影響で下落したことを受け,相場は下押した。価格は,米松平角材(KD)4m×10.5(12)×15~24cm特1等で㎥当たり6万5,000円と前月比2,000円の下落。
 


先行き:弱含み推移の見通し

期待された消費税率引き上げ前の駆け込み需要は,7月を過ぎてもみられず夏以降の需要の見通しも不透明であるため,先行きも見込めないという声が多い。今後,市場全体で荷動きが活発化する見込みは薄く,国産材,米材ともに先行き,弱含みで推移する公算が大きい。

(羽根田芳明)

 



 

石油製品 元売の再編進み,需給適正化へ(掲載:P258~260)

現況:ガソリン需要減も価格維持

経済産業省発表の2019年1~5月期の資源・エネルギー統計によると,軽油の国内販売数量は1,377万㎘と前年同期比0.5%の増加,ガソリンは1,988万㎘と同3.3%の減少。
 
4月に大手元売会社が統合したことで,需要見合いの生産体制が整い,採算販売への転換が鮮明になった。軽油は物流向けを中心に需要が堅調な中,原油コストに連動した動きが強まり,㎘当たり9万5,266円(ローリー渡し・全国平均)と前月比で500円下落した。一方,ガソリンはエコカーの普及が進み,内需の縮小が続く中,販売数量は大きく減少している。とくに7月は天候不順で出荷量が低調だったが,多くの販売会社は採算を優先し,現行価格の維持に努めたことから,価格は,レギュラー(スタンド渡し・全国平均)で,ℓ当たり132.3円(消費税抜き)と前月比横ばいで推移した。

 


先行き:原油急落,弱含み

8 月に入り,米中貿易摩擦の激化による景気減速懸念から,原油相場は急落している。指標となる中東産原油価格は1バレル当たり60ドルを割り込み,製品市況には先安観が強まっている。元売会社が卸価格の引き下げを通知する中,流通価格は軟調に推移するとの見方が大勢。先行き,弱含みで推移する公算が大きい。

(岩田紗英)

 



 

電 線 銅価下落で弱含み(掲載:P654~682)

現況:需要堅調も市況横ばい

日本電線工業会の電線受注出荷速報によると,主要部門である電気工事業者または販売業者向けの2019年4~6月期の出荷実績は,約8万5,244tと前年同期比6.7%の増加となった。東京オリンピック・パラリンピック関連工事,首都圏の再開発工事が本格稼働する中,需要は堅調に推移している。
 
一方,国内電気銅建値は8月入り後の海外銅相場安や為替の変動等の要因により,前月初旬比で3万円下落のt当たり65万円となった。
 
主原料の銅価が下落し,需要者側の値下げ圧力が強まる中,銅価高値時の在庫を抱える流通側は値下げに応じる余裕はないとして,現行価格の維持に注力している。価格は,CVケーブル(600V)3心38㎟で,m当たり1,046円と前月比横ばいで推移している。
 


先行き:銅価先安観から弱含み

流通側は,引き続き採算重視の販売を継続し,値下げ要求には応じない姿勢。一方で,銅価の下落による先安観が台頭する中,需要者側の指し値は一段と厳しくなることは避けられず,価格交渉は需要者側に有利な展開が予想される。先行き,弱含みで推移する見通し。

(佐藤雅章)

 



 

一般財団法人 経済調査会     
土木第一部・土木第二部・建築統括部

 
 
 
【出典】


積算資料2019年9月号



 

最終更新日:2019-12-09

 

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