建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 東日本大震災の記憶の風化防止 〜宮城県の取り組み〜

 
2011(平成23)年3月11日午後2時46分,三陸沖約130km,深さ24kmを震源とするマグニチュード9.0の地震が発生。
その後の大津波によって宮城県をはじめとする東北太平洋沿岸地方は壊滅的な被害を受け,宮城県では,死者1万567人,行方不明者1,217人の人的被害を受けるなど,全国最大の被災地となった(人数はいずれも2020(令和2)年12月31日現在)。
 
宮城県では,2011(平成23)年度から2020(令和2)年度までの10年間で復興を達成する目標を定め,復興の道筋を示す「宮城県震災復興計画」を策定し,被災者支援やインフラ整備等,一日も早い復興の完遂に向けて県民一丸となって取り組んでいる。
震災から10年を迎えた今年3月には,東日本大震災で亡くなられた方々の追悼,震災の記憶と教訓の後世への伝承,国内外に向けた復興に対する強い意志の発信を目的とする「石巻南浜津波復興祈念公園」が開園し,本公園内の「みや
ぎ東日本大震災津波伝承館」では,震災の教訓を伝えるための展示を行っている。
 
当課では震災直後から,被災地の現状と国内外からいただいた支援への感謝を伝えるため,広報紙やポスター,ポータルサイト等を活用し,復興に向けた取り組みや復興の進捗状況等を広く発信しているが,多くの方々の記憶から,東日本大震災の記憶が薄れつつあることも事実であることから,これまで実施してきた震災の記憶の風化防止に向けた取り組みを紹介させていただきたい。
 
まず,被災地のいまを伝える広報紙「NOWIS.」である。
これは,これまでいただいた国内外からの多くの支援に感謝を表すとともに,復興の過程で得られた新たな価値や教訓の発信を通して,防災・減災意識の向上を図るものであり,2016(平成28)年5月から毎月発行している(2015(平成27)年度までは,別の広報紙を発行)。
 
メイン企画としては,宮城県出身者や復興支援に熱心に取り組む著名人に被災地を訪れていただき,復興の様子を伝えていただきながら,震災後に始まった新たな取り組みや復興の過程で生まれた新たな価値などを,被災地で取り組む方々との対談を通して発信している。
 
震災の記憶を伝え続けることの大切さや,被災地で新たな価値を見い出し,前向きに取り組む方々の様子などが描かれている。
ぜひ,ご覧いただきたい。
 

  • 「NOWIS.」令和3年3月発行号
    【「NOWIS.」令和3年3月発行号で第58号となる】

  • 次に,2013(平成25)年度から作製している「震災復興ポスター」である。
    第一弾として,沿岸被災15市町ごとに,全国各地からの復興支援への感謝を表したポスターを作製し,その後,2016(平成28)年度から2018(平成30)年度までは,復興に取り組む方々の姿や,その決意,想いを表したポスターを作製した。
    さらに,2019(令和元)年度には,宮城県の復興の「いま」をお伝えするとともに,復興の過程で得られた新たな“価値・教訓”を全国に発信するため,今もなお復興に向けて取り組んでいる方々の姿を表したポスターを作製した。
     
    2020(令和2)年度には,震災から10年を経過するに当たり,これまでの感謝とともに,震災を未来につなぐ宮城の「いま」を表すポスターを作製し,全国の自治体等で掲出していただくことで,震災の記憶や教訓の風化防止を図っている。
     
    また,2011(平成23)年度末から毎年1回発行している「みやぎ・復興の歩み」では,インフラ,環境・衛生関連,保健福祉,経済商工関連,公共土木災害復旧関連,農林水産関連および教育・防災関連ごとに,復興の進捗状況を写真やグラフを使用して紹介しているほか,被災した現場の状況を定点観測した写真を掲載し,復興に向けて進む様子を紹介している。
     
    これらの冊子は,県内外に広く発信することも目的としているが,震災後,県外に避難した方には,故郷の復興の様子をお知らせするため,直接送付するなどしてきた。
     
    その他にも,東北被災4県(青森,岩手,宮城,福島)と東京都の共催で,都内を会場として2013(平成25)年度から実施している「首都圏フォーラム」※では,4県各地で復興に取り組む方々や復興の現場の紹介,物産品の直売等を通じて被災地の現状を紹介するイベントとして,風化防止の大きな役割を果たしている。
    その他,当課のホームページでは,「みやぎ復興情報ポータルサイト」を運営しており,これまで紹介した冊子だけではなく,ブログや旬な情報の発信にも取り組んでいる。
     
    今年の3月11日で,震災から10年を迎えた。
    先述のとおり,3月28日には,当県の東部に位置し,最大の被災地となった石巻市に,「石巻南浜津波復興祈念公園」が開園した。
    公園内には,かけがえのない命を守るために,未来へと記憶を届ける場をコンセプトとした「みやぎ東日本大震災津波伝承館」も同日オープンしたが,同伝承館では,リアルな津波の映像や被災者の証言等により,津波から命を守るためには「逃げるしかない」ことを訴える映像をはじめ,県内の震災伝承施設や語り部活動を行う団体のほか,震災を契機に生まれた地域の復興に関する取り組みの紹介など,被災の状況や津波から尊い命を守るための教訓等をパネルや映像を用いて伝えている。
     
    また,県内には,津波の威力のすさまじさや被害の状況等を伝える震災遺構が各地にオープンしており,東日本大震災の被災状況や教訓を学ぶことができる。
    多くの方々に現地で見聞きして感じていただくことが,震災の記憶を伝え続けるためには大切と感じている。
    同じ悲しみを繰り返さないため,そして,これまでの復興の過程で,多くの方々にいただいたご支援に対する感謝や恩返しの意味でも,東日本大震災の記憶や教訓を後世にしっかり伝え続けていくことが,被災地の責務と考えている。
    先に紹介したさまざまな震災の記憶の風化防止の取り組みと合わせて,ぜひ,これらの施設を訪れて,被災の状況を実感されるとともに,語り部や被災者の話に耳を傾けていただき,今後起こりうる災害への備えとして持ち帰っていただければと思う。
     
    ※2020(令和2)年度は,新型コロナ感染拡大に伴い中止。
     

  • 震災復興ポスター(2020(令和2)年作製)
  • 震災復興ポスター(2020(令和2)年作製)
  • 震災復興ポスター(2020(令和2)年作製)
  • 震災復興ポスター(2020(令和2)年作製)


  • 【「震災復興ポスター(2020(令和2)年作製)」宮城の「いま」を発信している】
     
     

  • 石巻南浜津波復興祈念公園全体(完成イメージ)
    【石巻南浜津波復興祈念公園全体(完成イメージ)】

  • みやぎ東日本大震災津波伝承館〈施設全体〉
    【みやぎ東日本大震災津波伝承館】
    〈施設全体〉

  • みやぎ東日本大震災津波伝承館〈主な展示内容〉
    【みやぎ東日本大震災津波伝承館】
    〈主な展示内容〉

  • みやぎ東日本大震災津波伝承館〈主な展示内容〉
    【みやぎ東日本大震災津波伝承館】
    〈主な展示内容〉

  • みやぎ東日本大震災津波伝承館〈主な展示内容〉
    【みやぎ東日本大震災津波伝承館】
    〈主な展示内容〉

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    宮城県震災復興・企画部参事兼震災復興推進課長
    大庭 豪樹(おおば ひでき)

     
     
    【出典】


    積算資料2021年4月号


     

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