建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 土木施工単価 > 令和3年度 土木工事標準歩掛の改定

1. はじめに

土木工事標準歩掛(以下,「標準歩掛」という)は,土木工事に広く使用されている工法について,施工合理化調査等の実態調査に基づき,土木施工に必要とされる標準的な機械,労務,材料等の所要量を工種毎に設定しています。
 
この標準歩掛は「中央建設業審議会(中建審)」の建議を踏まえて,昭和58年3月に整備・公表し,その後,改定や制定を重ねて現在に至っており,土木工事費の積算の基礎資料として,国,県,市町村の発注官庁をはじめ,民間でも標準的な指標として広く活用されています。

 
 

2. 令和3年度標準歩掛の改定概要

標準歩掛は,各種施工制約の増加などの社会環境の変化,あるいは使用機械の機能向上,新技術・新工法の開発など,施工形態の変化に的確に対応した適正なものとする必要があります。
 
今回,令和元年度に施工合理化調査等を実施した標準歩掛工種の122工種のうち,令和2年度に施工実態を分析した結果,8工種の改定を行うこととしました。
 
その8工種の改定概要について,以下のとおり紹介します。

 
 

3. 施工状況の変動に伴い改定を行った工種(8工種)

近年の現場や施工条件の変化により,現場実態を反映した歩掛の改定を行いました。

 

① 軟弱地盤処理工(高圧噴射撹拌工)

1)工法概要
高圧噴射撹拌工は,安定材等を地盤中に高圧で噴射しながら土砂等を切削・撹拌することにより,地盤を改良する工法です。
なお,地盤改良機の噴射方法や施工方法の違いにより,使用機械や使用する仮設資機材が異なる3工法があります。

 

[単管工法]※単管のロッドを使用して施工
 硬化材を高圧噴射し,回転・引き上げながら,
 切削・撹拌を行う工法です。
[二重管工法]※二重管のロッドを使用して施工
 圧縮空気を伴った硬化材を高圧噴射し,回転・引き上げながら,切削・撹拌を行う工法です。
[三重管工法]※三重管のロッドを使用して施工
 圧縮空気を伴った超高圧水を噴射(同時に硬化材を充填)し,回転・引き上げながら,切削・撹拌を行う工法です。

 
 

2)改定概要
[適用範囲]
 二重管工法で大口径の実績(特殊な噴射ノズルで超高圧硬化材を噴射し,大口径の地盤改良を可能とした施工実績)が増加したため,適用杭径を拡大。
 ・二重管工法
  杭径2,000mmを超え3,000mm以下を新規設定。

  • 二重管工法施工状況(全景)
    写真−1 二重管工法施工状況(全景)
  • 施工完了後
    写真−2 施工完了後

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    ② 鋼管・既製コンクリート杭打工(パイルハンマ工)

    1)工法概要
    鋼管・既製コンクリート杭打工(パイルハンマ工)は,鋼管杭及び既製コンクリート杭(PHC杭,RC杭,SC杭を含む)を直結三点支持式クローラ式杭打機に装着された油圧パイルハンマにより打撃する杭基礎工法です。
     
     
    2)改定概要
    [施工歩掛]
     ・杭施工の補助材料に鋼管吊金具裏当てリングやズレ止め等の使用が確認されたため,必要となる資機材を見直し。

  • 二重管工法施工状況(全景)
    写真−3 鋼管杭施工状況(全景)
  • 施工完了後
    写真−4 ズレ止め

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    ③ ニューマチックケーソン工

    1)工法概要
    ニューマチックケーソン工は,ケーソン躯体の最下部に作業室を設け,高圧の空気を送ることで地下水の浸入を防ぎ,底部の土砂掘削を行うことでケーソンを沈設する基礎工法です。
     
     
    2)改定概要
    [施工歩掛]
     ・ケーソン本体に設置する足場は,ケーソン本体が沈降する際に引きずり込まれるため,1ロット毎に足場を設置撤去していたが,ケーソン本体の沈降の影響を受けないように,足場部分に基礎材を設けて固定する施工方法(1ロット毎に設置撤去はしない)に変動したため,足場工の設置撤去歩掛を見直し。
     ・作業室に充填する中埋コンクリート工打設歩掛を新規設定。

  • 中埋コンクリート打設状況
    写真−5 中埋コンクリート打設状況
  • 足場設置状況
    写真−6 足場設置状況

  • ④ ポストテンション桁製作工
    ⑤ PC橋架設工
    ⑥ ポストテンション場所打ホロースラブ橋工
    ⑦ ポストテンション場所打箱桁橋工

     

    1)工法概要
    ④ ポストテンション桁製作工
    ポストテンション桁製作工は,スパンが45m以下の橋梁で断面がT字形をしたプレキャスト桁の現場製作を行う工法です。
     
    ⑤ PC橋架設工
    PC橋架設工は,プレキャスト工法で製作し,架設地点まで搬入したプレキャストコンクリート桁(PC桁)をトラッククレーン又は架設桁設備を使用して架設する工法です。
     
    ⑥ ポストテンション場所打ホロースラブ橋工
    ポストテンション場所打ホロースラブ橋工は,プレストレストコンクリート橋(PC橋)のうち,ポストテンション方式による場所打ちの中空床版橋で,桁高制限のある場合や短いスパンの橋梁に多く用いられる工法です。
     
    ⑦ ポストテンション場所打箱桁橋工
    ポストテンション場所打箱桁橋工は,主桁の断面形状が箱形のポストテンション方式によるPC橋で,連続桁橋,ラーメン橋等の長大橋に多く用いられる工法です。

     
     

    2)改定概要
    [施工歩掛]※④〜⑦とも同じ改定内容
    ・PCケーブルのグラウト施工で,流動性がよい超低粘性グラウト材が使用され,施工効率が向上したことから歩掛を見直し。
    ・従来のグラウト材から超低粘性グラウト材に変動したため,必要となる資機材(超低粘性グラウト,流量計など)を見直し。

  • グラウト注入状況
    写真−7 グラウト注入状況
  • グラウト注入状況
    写真−8 グラウト注入状況

  • 超低粘性グラウト材
    写真−9 超低粘性グラウト材

  • ⑧ 公園植栽工

    1)工法概要
    公園植栽工は,農地等で肥培管理された樹木等を掘取り新たに植付けを行うもの(植栽工)や,現在の場所に生育している樹木等を他の場所へ移し替えるもの(移植工),地被植物及び草花等を植込み地等の植栽対象地に植栽する工法(地被類植付工)です。
     
    2)改定概要
    [施工歩掛]
     ・植栽工(移植)の高木(幹周15cm〜25cm未満)において,人力施工から機械施工に変動したため編成人員を見直し。
    [使用機械]
     ・人力施工から機械施工(小型バックホウ山積0.13m³級)に見直し。

  • 植栽工(移植)状況
    写真−10 植栽工(移植)状況①
  • 植栽工(移植)状況
    写真−10 植栽工(移植)状況②


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    4. おわりに

    公共事業を円滑に執行するためには,現場の施工実態や資機材の需給状況など,変化する事象を的確に把握し,工事の品質及び安全確保,環境の保全等に十分な配慮がなされているかにも着目したうえで,標準歩掛を整備していくことが必要です。
     
    引き続き,必要な標準歩掛の制定・改定を行い,適正な予定価格が積算できるよう努めてまいります。
     
    なお,標準歩掛は実際の施工における工法や施工機械を規定するものではなく,あくまでも標準的な施工を規定した予定価格を算出するためのツールです。
    このことを正しく理解し,適切な運用をお願いします。

     
     



     
     
     

    (前)国土交通省 総合政策局 公共事業企画調整課 施工安全企画室 施工調査係長
    長倉 和行(ながくら かずゆき)

     
     
     
    【出典】


    土木施工単価2021夏号



     
     

     

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