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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料公表価格版 > 特集 「いい建築」をつくる材料と工法 > リニューアル事例紹介:アドグラで石貼り状の外観とサッシの全交換で、快適な内部空間を実現

 

赤坂レジデンシャルホテル 「アドグラ御影」

リニューアルの背景

 
赤坂レジデンシャルホテル
 
【ポイント】
旧塗膜を全剥離し、既存コンクリートを補修し、耐候性に優れた石貼り調の外装材で仕上げを行った。
また、性能・機能面で劣化していたサッシは全交換した。
室内からの工事を伴う困難な「居ながら施工」であり、入念な施工管理を実施した。
【建築概要】
築後43年経過
構造・規模:SRC造 地下1階地上10階 700 戸
工期:平成26年11月~平成27年6月
設計・監理:三衛建築設計事務所
施工:建装工業(元請)、アイワテック(外壁施工)
 
「赤坂レジデンシャルホテル」は、東京都港区に建つ、築40数年を経過した約700戸からなる大型マンションである。
東側道路に対して水平方向に90m、垂直方向に28m面しており、
その圧倒的な存在感あふれる佇まいは新築当時から今に至るまで健在であるが、
40年を超える時間の経過は建物に「変化」を求めてきた。
 

緑に囲まれた周辺環境

緑に囲まれた周辺環境


 
改修前の全景

改修前の全景


 
前回の大規模修繕を行った際、新築当時のイメージから脱却するために、
「格子・光」をキーワードとして、外装に新しい装置を配置した。
具体的には、旧態依然のデザインだった尖った青色の庇を撤去し、木製の温かみのある素材を縦格子状に並べた。
格子の間隔を調整することで、ある時は面として、またある時は凹凸の形状として機能し、
都会の中で住人たちに何とも言えない「安堵感」を生み出していた。
 
特徴的なデザインのマンサード形屋根

特徴的なデザインのマンサード形屋根


 
それから10年の月日が経過し、管理組合からは建物イメージを一新する「さらなる変化」と同時に、
今後30年後の建物保全も見越した提案を求められた。
建物周辺の環境は、ミッドタウン周辺の再開発などにより、
緑との共生や公園、広場など人々が交流する仕掛けが、コミュニティに活気を与えている。
そうした環境の中で、「赤坂レジデンシャルホテル」はどうあるべきか。
 
模索を続けた結果、広々とした空間から見える建物が屋上のマンサードと相まって、
あたかも中世の白亜の城のようなイメージが固まってきた。
そして、そのイメージを具体化するために、外装を石貼りのデザインで覆うことを考えた。
 

リニューアルの内容(工法の選定)

ただし、構造物の荷重増を考えると、既存外壁に新たに本石を貼ることはできない。
そのため、重厚感と安全性(剥離耐久性)を兼ね備えた石貼り調外装材を模索した結果、
防衛省市ヶ谷庁舎でも採用された「アドグラ御影」を採用することとなった。
この材料は、耐候性促進試験において、耐候性1種、100年経過時のコンクリート中性化深さ2mmで、
適切なメンテナンスを施せば30年以上の耐用年数が約束される材料である。
 

御影石のテクスチャーを再現

御影石のテクスチャーを再現


 
そして、40年間に外装改修を2回行った結果、旧塗膜は厚さ4mmになっており、
2011年の東日本大震災によるコンクリート躯体の影響を確認する上でも、旧塗膜をすべて剥離することとした。
 
サッシは性能的にも機能的にも終焉の時を迎えていたことから、
外装の大改修とともに全面カバー工法によりすべて更新することとした。
 
サッシを全交換し、目地の水平・垂直を調整した

サッシを全交換し、目地の水平・垂直を調整した


 

施工管理

全700戸のマンションのサッシ更新、外壁塗膜の全剥離を「居ながら施工」で行う大工事であるため、入念な工事計画が求められた。
 
サッシ更新に関する施工準備は着工4か月前から開始された。
住戸の大半が事務所用途であり、自社所有、賃貸などさまざまで、
中には10年以上連絡が取れない住戸もあり、場所柄外国人も多数利用していることなどが、事前準備作業に影響した。
サッシ更新は室内からの工事となるため、前段取りの確認や当日の作業内容など、
連絡調整は時間と手間をかけて入念に行ったが、日々苦労の連続であった。
さまざまな事由により10数戸は工事できないかもしれない予測を超え、最終的には数戸の住戸を除き、完成率は99.3%となった。
 
塗膜剥離工程の段取り、粉塵・騒音対策、作業足場の確認も、居ながら工事において最も細心の注意が求められる場面であった。
 
全途膜を剥離した後、コンクリート面の劣化箇所をひとつずつ丁寧に補修したが、
その補修には当初予想の3倍におよぶ作業量と時間を要した。
 
また、40年前に施工されたコンクリート下地面は現在の技術水準から見れば精度が不十分で、
壁表面の凹凸、目地の水平垂直などのズレやバランスをとりながら修正した。
また、外壁を構成する要素の位置関係を確認し、面ごとに数値を合わせていった。
 
「アドグラ御影」の優れた性能を担保するには、入念な施工管理が欠かせない。
気象条件、作業手順・要領の遵守など、工程ごとの検査を数回にわたり入念に実施した。
高い精度を要する下地補修工事と広い施工範囲を同一の技量を持った職人で回していく徹底した工程管理を行った。
 
 

問合せ・資料請求先

アイワテック株式会社
〒116-0003 東京都荒川区南千住6-58-4
TEL 03-3802-8155 FAX 03-3802-8159
URL http://www.aiwa-co.jp/
 
 
 
【出典】


月刊 積算資料公表価格版2015年12月号
特集 建築物の維持保全と長寿命化改修
月刊 積算資料公表価格版2015年12月号
 
 

最終更新日:2023-07-14

 

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