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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 地方自治体におけるi-Construction・BIM/CIM事例 −3次元点群データの収集・利活用の取り組み−

 

はじめに

本県では、 国土交通省が推進するi-Constructionの取り組みを受けて、平成28年度に、トップランナー施策として位置付けられたICT活用工事の試行を開始し、これを契機に3次元点群データの収集・利活用を積極的に進めています。
 
近い将来、3次元点群データが社会インフラのひとつとして、建設生産プロセスだけでなく社会全体で活用されることを想定して、取り組みを展開しています。
 
他分野での活用も推進するため、データをオープンデータとして公開することとし、具体的な活用手法のひとつとして、自動運転への活用に取り組んでいます。今年度は、さらに他分野での活用を想定したモデル事業を展開することとしています。
 
本稿では、本県における3次元点群データの収集・利活用に関するこれまでの取り組みと今後の展開について紹介します。
 
 
 

静岡県3次元データ保管管理システム

本県では、ICT活用工事の試行導入に際して、施工の各プロセスにおいて3次元データを活用することに着目し、従来の工事完成図に相当するデータとして、出来形管理の3次元計測とは別に工事完成時に3次元計測を実施し、3次元点群データを納品することを求めることとしました(図-1)。

図-1 ICT活用工事の実施プロセス


 
ICT活用工事の実施に当たっては、i-Constructionの取り組みの開始時に国土交通省の電子納品要領において、電子媒体としてBlu-rayでの納品が採用されましたが、本県職員が利用する端末では、Blu-rayに対応したドライブが装備されていないため、大容量データを納品するためには別の手法が必要となりました。また、既存の電子納品・保管管理システムは、庁内利用を前提としており、施設の維持管理や災害時の状況把握など迅速にデータ提供ができないことが課題となることが想定されました。
 
そこで、3次元データの収集・利活用の推進を図るため、インターネット経由でクラウド上に3次元データを登録・公開する「静岡県3次元データ保管管理システム(Shizuoka PointCloud DB)」(以下、「PCDB」という)を構築し、平成29年3月に試行運用を開始しました(図-2)。
 
①PCDBにアクセスし、「閲覧・DL」を選択  ②DLする箇所のピンを選択      ③データを選択しDL

図-2 静岡県3次元データ保管管理システム(PCDB)の利用イメージ


 

このシステムを用いてICT活用工事を実施する場合には、工事完成時の3次元計測のデータのオンライン納品を行う運用としています。また、全国に先駆けて3次元点群データのオープンデータサイトとして公開し、登録データは、クリエイティブ・コモンズ表示4.0国際パブリックライセンス(CCBY4.0)により誰でも二次利用することが可能です。
 
これまでにICT活用工事完成時の計測データに加えて、県及び管内市町の各種業務で取得したデータが収集され、平成30年度末時点で道路延長1,000km以上、航空測量面積20㎢以上のデータを公開しています。
 
PCDBの運用開始から多くの反響をいただいていますが、プロトタイプとして構築したシステムであり、データ提供の機能は、分割した3次元点群データファイルをダウンロードすることしかできないため、データをブラウザ上で閲覧できないことや属性情報を提供できないなど、改善の要望もいただいています。
 
 
 

しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト

路線バス利用者の減少傾向が続く中、県内のバス事業者においては、運転手の約5割が50歳以上であり、人件費などの費用の増大、運転手不足が深刻な状況です。また、バス路線の約4割が行政の財政負担により運行しており、県内の公共交通の維持、地域の生活交通手段の確保が喫緊の課題となっています。
 
現在、全国各地で自動運転の実証実験が行われており、自動運転はその課題を解決する有効な手段として期待されます。
 
自動運転では、ダイナミックマップが重要とされる技術と言われており、国内主要自動車メーカーや地図会社などが出資して設立したダイナミックマップ基盤株式会社が、その基盤として、全国自動車専用道路における自動走行向け高精度3次元地図データの生成・提供を行っています。そこで、本県は、県内の地域交通の課題対応を目的として、平成29年11月にダイナミックマップ基盤株式会社と、3次元データの相互利用を前提とした「自動走行システムの実現に向けた連携・協力に関する協定」を締結しました。
 
この協定に基づき、県が保有する3次元点群データの高精度3 次元地図データへの活用と県内企業の技術開発を支援するため、自動運転の実証実験を進めていくこととしました(図-3)。
 
平成30年度には、袋井市が実施しているエコパドリームプロジェクトと連携し、袋井市の県営小笠山総合運動公園内及び公園周辺道路において、行政が保有する3次元点群データを自動運転に活用した全国初の実証実験を実施しました。
 
今年度は引き続き、県営小笠山総合運動公園において実証実験を行うほか、地域性の異なる都市部(沼津港)、過疎地(松崎町)及び郊外部(下田市)において、交通事業者や地元自治体研究開発企業と連携し、高精度3次元地図を用いた走行技術の検証と次世代モビリティサービスの導入検討を行っています。
 

図-3 プロジェクトの実施スキーム




 

スマートガーデンカントリー“ふじのくに”の形成に向けて

本県においても、他の地方と同様に人口減少や少子高齢化が進み、担い手不足など社会的課題が顕在化しています。これらを解決するためには、近年目覚ましく進展しているAIやロボットなどの先端技術を積極的に導入することが必要となります。
 
そこで、これまでの3次元点群データの収集・利活用の取り組みをさらに拡大し、今年度から県土の面的なデータを取得し、災害復旧や観光などのあらゆる分野への活用を図る「スマートガーデンカントリー“ふじのくに”モデル事業」を開始しました。
 
「スマートガーデンカントリー“ふじのくに”」とは、人口減少などの社会的課題に対して、美しい景観などの本県の「場の力」を活かしながら、先端技術をあらゆる分野に活用することで、誰もが安全・安心で利便性が高く快適に暮らせるスマートな社会の形成を目指すものです。
 
モデル事業のエリアは、災害時における孤立地域の早期解消に向けた施設管理や災害復旧工事への活用に加え、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けた自転車の聖地づくり、ジオパークなどの観光振興、高齢化率が高い地域の移動手段の確保など、地域の魅力発信や課題対応への活用が期待できる東部・伊豆地域を選定しました。
 
事業の推進に当たっては、庁内に関係部局で構成するWGを設置し、全庁を挙げて多種多様なデータの利活用(図-4)に取り組んでいきます。
 

図-4 3次元点群データの利活用イメージ



モデル事業では、エリア全域でベースとなる面的な3次元点群データを航空レーザ測量により全域のデータを取得する予定です。
 
次に、利活用の取り組みへの環境整備として、静岡県GISの機能改良の実施を予定しています。まずは、PCDBのブラウザ上でデータ閲覧ができないことへの課題対応として、3次元点群データの表示機能を開発することとし、これまでに試行版を一般公開しました(図-5)。また、庁内利用においては、これまでも各種台帳との連携を行ってきましたが、この機能強化についても検討していくこととしています。
 

図-5 静岡県GISの点群表示



具体的な利活用の取り組みのひとつとして、施設管理の効率化・高度化を図るためには、3次元点群データの特性を活かした手法が有効であると考えられます。そこで、点群データを活用した施設の維持管理について、今年度より大阪経済大学 中村健二教授、法政大学 今井龍一准教授、摂南大学 塚田義典講師、関西大学 田中成典教授、株式会社日本インシーク、日本工営株式会社と共同研究を開始しました。
 
大阪経済大学の中村教授らは、道路分野における3次元点群データの属性管理仕様の研究において、これまでに県が取得したデータを利用して、道路法面の点群データの差分抽出による変状検出の検証を行っており(図-6)、共同研究では点群データの利活用環境を現場に試行導入し、その適用効果の検証を行っています。
 

図-6 道路法面の変状検出




 

おわりに

3次元点群データの収集・利活用は、本県の取り組みのほか、さまざまな検討が行われているところですが、現在発展途上であり、標準化に向けては、多くの方々のお力添えが必要であると考えています。このため、これまでに取り組みを実施している産学官の連携に加えて、今後も多業種の民間企業の参画を促進するとともに、国土交通省や国土地理院などのご指導、ご支援をいただきながら、積極的に取り組みの拡大を図ってまいります。
 
・静岡県3 次元データ保管管理システム
 https://pointcloud.pref.shizuoka.jp/
 
・静岡県GIS
 https://www.gis.pref.shizuoka.jp/
 
 
 

静岡県 交通基盤部 建設支援局 建設技術企画課

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集1「i-Construction×BIM/CIM」



 

 

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