NETIS登録番号:QS-240021-A

掘進機写真(φ2200)
 
 
概要
「スーパーマルチモール工法」は、自沈する超軟弱地盤から非常に硬い玉石、硬岩まで推進可能な大口径管密閉型推進工法。
上水道、下水道、トンネル等の推進工事に効果を発揮し、豪雨災害を軽減する強靭なインフラ整備を目指す。
 
期待される効果
- 従来の掘進機と比べて掘削能力が高いため、日進量の増加による工程の短縮および経済性の向上につながる。
 
- 掘進機の前方にあった重心を中央付近へ配置したことで、ノーズダウンが軽減し、バランスの取れた掘進ができる。
 
- 掘進機内部から障害物を撤去できるため、障害物発生時の工程への影響軽減が図れる。
 
 
 
特長
- 岩盤、礫、玉石、転石の大きさに左右されない推進力
多連モーターと外周駆動装置により、優れた破砕能力を発揮する。
玉石や転石も細かく粉砕するため、掘進機が振られることなく高精度で推進できる。
 
 
- 面板加圧と泥水加圧の併用で切羽・地山の安定を図る
開口率の小さな面板で切羽を抑える面板加圧方式と、切羽の水圧を抑える泥水加圧方式を常時併用することで、切羽の安定を図ることが可能。
また、土圧抵抗を確認しながら推進できるため、取り込み過多による崩壊、地盤沈下を発生させずに施工できる。
 
●面板加圧方式 概要図
 
 
●泥水加圧方式 概要図
 
 
- 自沈する軟弱地盤でもノーズダウンしない
従来掘進機のカッター部やカッター駆動装置は、掘削の衝撃に耐えられるように頑丈で重い構造となっており、軟弱地盤ではノーズダウンする傾向があった。
 
本技術では、掘進機機長を長くとっているほか、カッター部の軽量化とカッター駆動装置の配置を後部とした。
これにより、重心が掘進機の中央付近となり浮力バランスが取れ、軟弱地盤でのノーズダウンを防止する。
従来技術

前方に重心がありノーズダウンする
 
スーパーマルチモール工法

中央付近に重心があり浮力バランスがとれる
 
 
 
- 掘進機内部からのビット交換が簡単
掘進機隔壁の中央部に大きな点検扉を設け、機内からのビット損耗状態の点検と交換を容易とした。
機内から交換
を行う際に圧気装置を使用することで、切羽からの湧水や土砂が流れ出るのを防ぐことができ、作業の安全性が向上する。
また、切削ビットとローラービットを岩質に合わせて交換することが可能。

点検扉
 

カッター内部
 
 

圧気装置
 
 
 
- 掘進機内部から障害物の除去が可能
推進中に木杭やPC杭、流木、基礎構造物、H型鋼、鉄板、鋼矢板などの障害物に衝突することは少なくない。
本工法では、圧気工法により杭内へ気圧を掛け、地下水や土砂の流入を防ぎながら障害物の撤去が可能。
撤去作業は、面板に守られたカッター内部から行うため、地山に露出されることなく作業者の安全が確保できる。

障害物(鋼矢板)切断状況
 

除去した障害物(鋼矢板)
 
 
 
- 3段の方向修正装置で急曲線推進に対応
岩盤での急曲線推進を実現するために、掘進機が3段に折れる仕組みを採用した。
第1修正装置は短く、小さな修正を行い方向を制御する。
第2修正装置は、掘進機胴体を湾曲させることで急曲線推進に対応する。
第3修正装置は、面盤に掛かる土圧を感知し、方向修正を正確に行う。
また、急曲線の推進では後方にカーブ筒を接続することで、目地の開きを均等に保つことができる。

第1~3修正装置
 

曲線施工状況
 
 
 
 
 
適用条件・範囲
自然条件
・台風などの大雨や強風時には施工不可
現場条件
・掘進機の吊り下ろし時に80t~100tクレーンが必要
・ヒューム管の吊り下ろしのため、門型クレーンの設置が必要(レール長30m以上、レール幅10m)
・発進立坑は鋼矢板立坑10m×5.6mが必要
・達立坑は掘進機を分割回収型のため5.2m×5.2mが必要
・仮設用地が十分に確保できること(20m×45m=900m²程度必要)
適用可能な範囲
・適用可能延長:L=1㎞程度(1スパン当たり)
・適用呼び径:φ2000φ2200φ2400φ2600φ2800φ3000
・対象土質:軟弱地盤から玉石・硬岩まで、全土質に対応
・対象工種:豪雨対策(市街地の雨水管、貯留管、河川からのバイパス管)、下水道、ガスパイプライン、水力発電など
●カッター仕様(動力:AC60Hz400v)
| 呼び径 | 
最小半径 | 
トルク | 
回転 | 
トルク係数 | 
電動機 | 
| φ2000 | 
R=35m | 
440kN | 
2.6rpm | 
α=31 | 
30kw×4台 | 
| φ2200 | 
635kN | 
2.3rpm | 
α=35 | 
30kw×5台 | 
| φ2400 | 
R=38m | 
α=30 | 
| φ2600 | 
R=41m | 
860kN | 
2.0rpm | 
α=29 | 
30kw×6台 | 
| φ2800 | 
1004kN | 
α=28 | 
30kw×7台 | 
| φ3000 | 
R=47m | 
1147kN | 
1.8rpm | 
30kw×8台 | 
 
 
 
 
工事実績
●下水道事業  雨水貯留管(広島市)

吉島地区下水道築造31-1号工事(令和4年1月着工)
φ3000㎜シールド  L=1087.5m
圧気工法併用による障害物撤去(鋼矢板連壁2列)
 
 
●豪雨により被災した天然ガスパイプラインの復旧工事

東京ライン・松本ライン東御市本海野地内復旧工事(令和5年1月着工)
凝灰岩・玉石・巨石・砂礫・粘土の互層
横R=150    縦R=300    横R=150
土被り19m~29m    地下水圧0.16Mpaビット・クラッシャー交換(圧気併用)
線路横断
 
 
施工状況動画