ダクタイル鋳鉄管とは
<資材の概要>
ダクタイル鋳鉄管は、原料を溶解し、鋳放しで黒鉛を球状化させるための適切な処理を行い、これを鋳型に注入し、遠心力を利用して鋳造する。
主な用途として上水道、下水道、農業用水、工業用水、簡易水道、ガス、通信、電飾事業など幅広く使用されているが、その中で最も多く使用されるのは上水道である。平成27年度における割合は上水道が90%、農業が3%、下水が2%、その他が5%となっている。
<資材の種類・規格>
鋳鉄管の規格は日本産業規格(JIS)、日本水道協会規格(JWWA)、日本下水道協会規格(JSWAS)、日本ダクタイル鉄管協会規格(JDPA)で規定されている。
種類は、直管と異形管の2種類に分類される。直管の強度は肉厚で決まり、最も厚い強度の高い管を1種管といい、数字が大きくなるに従って管厚が薄くなる。口径によっては1.5種、2種、2.5種と0.5種刻みであがっていくが、通常使用するのは1種、3種が多い。異形管には管厚による種類はない。
また、防錆、防食性向上のため、水道用で使用される直管の内面塗装は、モルタルライニングとエポキシ樹脂粉体塗装の2種類がある。モルタルライニングは直管の遠心力鋳造と近い工程が利用でき、鋳鉄とモルタルとの相性がいいほか、価格が少し安いのが利点。エポキシ樹脂粉体塗装は粉体の吹き付け塗装でどのような形状でも施工ができるため、異形管はこの方法を利用する。
受口の形状が様々あるのも特徴でGX形、NS形、K形、T形、フランジ形、S形、US形、PN形、PⅡ形、UF形、U形などがあり用途や工法に応じ使用する。
ダクタイル鋳鉄管接合材料・ダクタイル鋳鉄管用特殊押輪は、ダクタイル鋳鉄管(直管・異形管)を接合するための部品である。それぞれの受口形式によって構成される部品、材質等が異なる。K形は、押輪、T頭ボルト、ナット、ゴム輪で構成されている。特殊押輪は離脱防止機能を備えた押輪である。
<適用規格>
JIS G 5526(ダクタイル鋳鉄管)
JIS G 5527(ダクタイル鋳鉄異形管)
JWWA G 113、114、120、121(日本水道協会規格)
JSWAS G-1(日本下水道協会規格)
JDPA G 1027、G 1042-2、G 1053、Z 2009(日本ダクタイル鉄管協会規格)
<参考規格>
JIS A 5314(ダクタイル鋳鉄管モルタルライニング)
JIS G 5528(ダクタイル鋳鉄管内面エポキシ樹脂粉体塗)
JWWA A 113、G 112、K 135(日本水道協会規格)
JDPA G 1042、1049(日本ダクタイル鉄管協会規格)
<資材の特徴>
ダクタイル鋳鉄管には次のような特徴がある。
①強度と延性に優れ、内圧、外圧に対して高い安全性を示す。また、大きい外荷重や衝撃力、ウォーターハンマにも耐える。
②鋳鉄特有の優れた耐久性及び耐食性があり、管内面にはモルタルライニングまたはエポキシ塗装粉体塗装を施すため、長期間の使用にも流量、流速がほとんど変らない。
③施工条件に応じて、管厚の自由な選択、組合せができ、また各種の受口、異形管があるので管路設計が合理的にできる。
④管の接合は主にボルト締めのため、施工が簡単、確実に行え、継手部の強度、緊密性が優れている。