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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > BIM > 官庁営繕におけるBIM活用の取り組み

はじめに

官庁施設(国家機関の建築物)には、庁舎をはじめ、研究施設、図書館、博物館、社会福祉施設など、さまざまなものがあります。
国土交通省大臣官房官庁営繕部では、官庁施設を整備するとともに、それらが適切に保全されるよう各省庁への指導を行っています。
 
国土交通省では、インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向け、建築BIM推進会議を設置しています。
本会議では、建築分野におけるBIMの進展を目指して幅広い検討が進められています。
 
官庁営繕部では、それらの検討成果を踏まえ、官庁営繕事業におけるBIM活用、活用結果を踏まえた技術基準の制定・改定など、BIM活用による生産性向上に向けた取り組みを進めています。
 
 

これまでの取り組み

官庁営繕部では、2010年度から新営設計業務においてBIMの試行に着手し、試行を通じて得られた知見を踏まえ、「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作成および利用に関するガイドライン」(以下、BIMガイドライン)を2014年3月に策定・公表しました。
BIMガイドラインは、官庁営繕事業における設計業務または工事の受注者によるBIMモデルの作成および利用に当たっての基本的な考え方、留意事項などを示したものになります。
 
その後も設計業務や工事においてBIMの試行を継続し、試行を通じて得られた知見を踏まえ、受発注者双方がBIM活用を円滑かつ効率的に実施できるよう技術基準の制改定を行ってきました。
 
2022年度には、「官庁営繕事業における一貫したBIM活用に関する検討会」(座長:芝浦工業大学 蟹澤宏剛教授)においてご意見をいただきながら、「官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン」の改定を行い、ガイドライン名称を変更するとともに、BIM活用の考え方に関する記載を追加しました。
また、「官庁営繕事業におけるBIM活用実施要領」の新規制定を行い、ガイドラインに基づきBIM活用する場合の実施上の手続き、EIRの作成要領、EIRの様式を示しました。
 
これらの技術基準は、官庁営繕部HPに公表するとともに、各省庁や地方公共団体の関係者に参照いただけるよう周知しております。
 
 

2023年度の取り組み

2023年度は、これまでの取り組みを踏まえ、全ての新営設計業務および新営工事に、BIMに関する発注仕様書であるEIR(Employer’s Information Requirements)を原則適用し、本格運用に向けた取り組みを開始しました(図-1)。

図-1 EIRを適用した設計業務、工事
図-1 EIRを適用した設計業務、工事

 
EIRでは、延床面積3,000m²以上の新営設計業務にはBIM活用を指定する項目を、全ての新営設計業務および新営工事にはBIM活用の取り組みを推奨する項目を設定しています。
また、工事受注者へ設計業務成果品のBIMデータ(設計BIMデータ)を説明した上で貸与する旨を記載しています。
 
図-2に、EIRに設定するBIM活用の項目を掲げています。

図-2 EIRの記載事項
図-2 EIRの記載事項

3,000m²以上の設計業務では赤字の2項目、基本設計の外観・内観の提示、実施設計の一般図などの作成を指定項目とし、それ以外では表に掲げる項目を推奨項目として設定しています。
また成果品については、設計業務において指定項目として実施設計図書の作成を設定した場合に、設計BIMデータおよびBIMデータ説明資料の提出を求めています。
設計BIMデータの工事受注者への貸与については、BIM伝達会議を開催し工事受注者へ設計BIMデータを説明する運用としています。
 
また、2023年度より、BIMデータの形状情報や属性情報などから取得した情報に、積算に必要となる条件やデータなどを追加して積算数量の算出を行う「BIM連携積算」の試行に着手しました(図-3)。

図-3 BIM連携積算の試行イメージ
図-3 BIM連携積算の試行イメージ

 
対象は、延床面積3,000m²以上の新営設計業務のうち、官庁営繕部が指定する業務としています。
また実施項目は、試行要領において構造体や非構造部材の数量算出などを定めていますが、全て実施することを求めておらず、契約後、計画書に基づき調査職員と協議し実施項目を決定することとしています。
 
今後、試行により効果や課題を把握するとともに、効率的なBIM連携積算の実施に向けたBIMデータの入力ルール、設計担当者と積算担当者のワークフロー(役割分担)などを整理することを予定しています。
 
 

おわりに

官庁営繕部では、業界団体とも連携し、引き続きBIM活用を推進することで、設計業務および工事の品質確保および事業円滑化を図っていく予定です。

※(参考)官庁営繕部HP
(参考)官庁営繕部HP

 
 
 

国土交通省 大臣官房 官庁営繕部 整備課施設評価室

 
 
【出典】


建設ITガイド 2024
特集2 建築BIM
建設ITガイド2024


 

最終更新日:2024-07-02

 

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