ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料 > JIL5004:2024 (2025年版) 公共施設用照明器具規格改正の概要

1. はじめに

(一社)日本照明工業会(JLMA)では、公共建築物で使用する照明器具について「公共施設用照明器具標準委員会」を設置し、「公共施設用照明器具(JIL5004)」を制定、改正を重ねてきた。
前回の2022年版の改正においては、省エネルギー化の推進と使用用途に合わせたLED照明器具の新器種追加及び必要な仕様の見直しを行った。
今回の2025年版の改正においては、さらなる省エネ効果が期待できる照明制御器(センサ)やセンサを搭載した照明器具の拡充と、主に事務室や学校で使用されるベースライトに高効率な照明器具を追加。
併せて微動検知人感センサの感知範囲や制御エリア数なども見直しを行い、公共施設用 照明器具標準委員会(委員長 小野 隆)の承認を得て、2024年12月1日に刊行した。
今回の改正概要を以下に紹介する。
 
 

2. 改正の概要

2.1 器種の全体構成

高効率な照明器具の拡充と人の手を介さずに省エネが可能なセンサ付照明器具を追加、また、効率の低いLED照明器具や採用実績がほとんどない器種を廃止することで2022年版に対して24器種追加、18器種廃止で合計428器種となった。

【表-1 2022年版と2025年版の器種構成比較】
【表-1 2022年版と2025年版の器種構成比較】

 

2.2 新器種の追加について(高効率ベースライト)

対象器種は、グレア分類G1bの埋込み開放器具2器種、学校関係の黒板灯2器種、教室用ベースライトじか付け(笠なし、V形器具)の計8器種。
 
構造、光束は一般形と同じだが省電力化により、固有エネルギー効率を20~22%向上。
形式末尾にはHが付与される。

【表-2 高効率ベースライト】
【表-2 高効率ベースライト】

 

2.3 器種別の改正及び追加について
2.3.1 ベースライト

・LSS13/LSS13H じか付け黒板灯
照明設計に必要な断面寸法を新たに追加した。

LSS13(H)
LSS13(H)

・LRS28/LRS29グリッドシステム天井
算出照度が750lx~1000lxを満足しない場合があるため、光束値を見直した。

LRS28
LRS28

 

2.3.2 ダウンライト

・LRS18 断熱施工対応ダウンライト
2022年版で木造施設向けに規格した3000K・4000Kに5000Kを追加した。

LRS18
LRS18

 

2.3.3 高天井形器具

・LSR2 角形高天井器具
光源の光束維持率が向上し、初期照度補正機能による省エネ効果が少なくなったため非調光タイプを追加した。

LSR2
LSR2

 

2.3.4 照明制御

・AN/NT センサ
人感センサに、消灯設定ができる機能を追加した。

【表-3 照明制御器の仕様1】※設置高さ2.5~3.0m 時
【表-3 照明制御器の仕様1】※設置高さ2.5 ~ 3.0m 時

・NK センサ
小規模な施設のトイレ等で用いる換気扇連動タイプを追加した。

【表-4 照明制御器の仕様2】※設置高さ2.5~3.0m 時
【表-4 照明制御器の仕様2】※設置高さ2.5 ~ 3.0m 時

・NC個別照明制御システム
感知範囲及び制御エリア数の拡大。

【表-5 照明制御器の仕様3】※設置高さ2.5~3.0m 時
【表-5 照明制御器の仕様3】※設置高さ2.5 ~ 3.0m 時

 

2.3.5 非常用照明器具

・K0-LSS11 電源別置形じか付け非常用照明器具
木造施設等の埋込み形が使用できない場所に使用できる非常用照明器具を追加した。

K0-LSS11
K0-LSS11

・K1-LBF11 階段灯
照明設計に必要な消費電力・入力容量・寸法を追加した。

K1-LBF11
K1-LBF11

 

2.3.6 屋外用器具

・LPJ1 投光器
光源の光束維持率が向上し、初期照度補正機能による
省エネ効果が少なくなったため非調光タイプを追加した。

LPJ1
LPJ1

・LBF2RPS 防犯灯
明るさを検知し自動点滅することで省エネが実現可能な防犯灯を追加した。
LBF2RPS
LBF2RPS
・LSA1 ソーラーライト
2022年版の300lmタイプでは暗いため高光束タイプへ規格を見直した。

LSA1
LSA1

 

2.4 器種の廃止について

2022年版に掲載していた以下の器種を新器種への切り替え及び旧仕様の見直しにより置き換えが可能となったため廃止した。
 

2.4.1 ダウンライト

a)LRS11R-17廊下用ダウンライト

LRS11R-17
LRS11R-17

 

2.4.2 高天井形器具

a)LSR1M LED丸形高天井器具
b)LSR1W LED丸形高天井器具
c)LSR1AM LED丸形高天井器具

LSR1M(W,AM)
LSR1M(W,AM)

 

2.4.3 誘導灯(天井埋込み形)

a)SH1-FRF20P-A    避難口誘導灯
b)SH1-FRF21P-A    避難口誘導灯
c)SH1-FRF20P-A60   避難口誘導灯
d)SH1-FRF21P-A60   避難口誘導灯
e)SH1-FRF20PAF-BL60  避難口誘導灯
f)SH1-FRF20PAF-BH60  避難口誘導灯
g)SH1-FRF21PAF-BL60  避難口誘導灯
h)SH1-FRF21PAF-BH60  避難口誘導灯
i)ST1-FRF22P-A     通路誘導灯
j)ST1-FRF23P-A    通路誘導灯
k)ST1-FRF22P-A60   通路誘導灯
l)ST1-FRF23P-A60    通路誘導灯

SH1-FRF20P(21P)
SH1-FRF20P(21P)
ST1-FRF22P(23P)
ST1-FRF22P(23P)

 

2.5 受渡試験の廃止について

JIL5004制定当初の公共施設用照明器具はメーカー標準仕様とは異なる場合が多く、個別に仕 様の確認が必要であったため、受渡試験の項目及び試験個数の規定があったが、近年、各メーカーにて標準仕様の採用が進み、本規定が運用されないことが多くなってきていることから廃止した。
 
 

3. おわりに

JIL5004:2024(2025年版)公共施設用照明器具の関連資料、また2022年版と2025年版における公共施設用照明器具形式の新旧対比及びメーカーの対応状況については、下記、日本照明工業会のホームページにて(認証→公共施設用照明器具)より参照いただきたい。
https://www.jlma.or.jp/hyotei/koukyou/index.htm
 
 

参考 JIL5004公共施設用照明器具関連資料について

1) 一般社団法人 日本照明工業会ホームページ

1)一般社団法人 日本照明工業会ホームページ

 
2) 公共施設用照明器具 対応器種一覧表について

【表-6 公共施設用照明器具 対応器種一覧表】
【表-6 公共施設用照明器具 対応器種一覧表】

 
3) JIL5004 : 2024(2025年版)確認対象器種形式新旧対比表公開について

【表-7 確認図申請対象器種形式の新旧対比】
【表-7 確認図申請対象器種形式の新旧対比】

 
 
 

一般社団法人 日本照明工業会

 
 
【出典】


 積算資料2025年9月号
積算資料2025年9月号

最終更新日:2025-12-01

 

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