- 2026-01-26
- 積算資料
道路構造物の点検・補修に日夜取り組んでいるところだが、既に開通から50年以上経過した路線が全体の3割以上になるなど、進行する高齢化や過酷な使用等により、構造物に多数の損傷が発生し、その中には重大な損傷も発見されている。
このような状況下において、より効果的・効率的に維持管理するため、道路構造物を造り替える大規模更新と、集中的に損傷を補修する大規模修繕の検討が進められ、2014年度より大規模更新・大規模修繕事業を開始している。
さらに、2014年度から開始した法定点検において、新技術も活用しつつ、より詳細な点検を行ったことにより、新たに更新が必要な箇所が判明し、2024年度より追加された新たな更新事業箇所にも着手しているところである。
本稿では、大規模更新事業、建設・改築事業(図–1)のうち、東品川桟橋・鮫洲埋立部、日本橋区間地下化事業、新京橋連結路、新大宮上尾道路(与野~上尾南)の進捗状況について報告する。
1.東品川桟橋・鮫洲埋立部更新事業
(1)事業概要等
高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)は、1964(昭和39)年の東京オリンピック開催等の社会的要請から、用地買収が必要ない海上部に建設され、1963(昭和38)年の開通から60年以上が経過している。
日々、点検・補修を行っているが、1日平均約7万台の利用がなされている過酷な使用状況や、京浜運河内の海水面と高速道路構造物が極めて近い等の激しい腐食環境などから、コンクリートの剥離や鉄筋の腐食等の損傷が多数発生しており、長期的な安全性を確保する観点から、道路構造物の更新(造り替え)が必要となった。
そのため、この区間を長期耐久性・維持管理性・走行安全性に優れた構造に造り替えを行う。
延長約1.9kmのうち、東品川桟橋区間約1.3kmは海面から一定程度離れた高架構造に更新を行い、維持管理性に配慮し恒久足場を設置する。
鮫洲埋立区間約0.6kmは中空のプレキャストボックス構造を採用し、耐久性・維持管理性の向上を図っている。
(2)施工概要
更新に際しては、首都高速道路および周辺の一般道路への交通影響を考慮して、交通を確保するため、う回路を設置し、可能な限り通行止めをすることなく、段階的に交通を切り替えながら造り替えを実施している。
図-2 に施工ステップを示す。
2016年2月より工事着手し、2017年9月に上り線のう回路への切り替えが完了。
2020年6月に下り線の交通を将来上り線となる更新線へ暫定的に切り替えを行った。
その後、旧下り線を撤去した上で、将来下り線となる更新線の工事を進めてきた。
更新線(下り)の施工に際しては、暫定供用中の将来上り線となる更新線と東京モノレールに挟まれたスペースにおいて、安全に配慮しながら施工した。
また、工事用車両のアクセス箇所が少なく、細長いヤードでの施工となるため、資機材の搬入方法や施工方法を工夫した。
更新線(下り)の工事は完了し、2025年10月29日午前1時に現在暫定的に運用している1号羽田線下りの交通を完成した更新線に切り替えを行う。
工事着手から約10年、本体構造物が完成する。
今後は、1号羽田線(上り)の交通をう回路から更新線(上り)へ切り替えた後、う回路に接続している大井JCTを更新線(上り)へ再接続する。
その後、う回路を撤去する計画としている。
2.竹橋・江戸橋JCT付近(日本橋区間地下化事業)
(1)事業概要等
日本橋区間地下化事業は、高速都心環状線の神田橋JCT~江戸橋JCTの約1.8km区間の更新事業であり、周辺まちづくりと一体となって日本橋川沿いの都心環状線を地下化し、現状の都心環状線の交通を地下ルートに切り替えた後に、都心環状線の高架橋を撤去する事業である。
事業完了後には日本橋川上空に青空を取り戻し、周辺の景観や環境が改善され、新しい日本橋の「まち」に生まれ変わることが期待されている。
日本橋川上空の首都高速道路を含む江戸橋JCT~竹橋JCT間は、都心部の渋滞解消のため、1964年の東京オリンピックを翌年に控えた1963年に開通しており、既に60年以上が経過している。
構造物の高齢化に加えて、1日あたり約10万台の自動車が走行する過酷な使用状況にあるため、構造物の損傷が激しく抜本的な対策が必要とされ、2014年に高架構造の大規模更新事業として事業化された。
その後、2016年には日本橋川沿いの3地区が国家戦略特区の都市再生プロジェクトに追加。
さらに、地元の新しいまちづくりの機運も高まり、2017年から2018年にかけて、国、東京都、中央区、首都高速道路株式会社で首都高日本橋地下化検討会が行われた。
そして関係機関との協議・調整が進み、大規模更新事業区間のうち、日本橋と交差する区間を含む神田橋JCTから江戸橋JCTまでの約1.8kmの区間を、まちづくりと一体となって新たに地下ルートとして整備す
る方針となった。
2019年10月に都市計画決定、 2020年4月に都市計画事業認可を取得して事業に着手している。
日本橋区間地下化事業は、本体施工に向けた準備工事である「出入口撤去工事」が2023年度に完了した。
2024年度には、シールドトンネル工事を含む3つの本体工事が契約締結し、既設都心環状線を供用させながら地下化工事を行うため、シールドと干渉する既設都心環状線の基礎撤去前に必要となる仮受橋脚の施工等に着手している。
(2)高速八重洲線の長期通行止め
日本橋区間地下化事業による都心環状ルートの再編により、東京高速道路(KK線)は廃止(東銀座出口は除く)され、歩行者中心の公共的空間として再生・活用されていく予定となっている。
これらに伴う工事のため、2025年4月5日(土)20時より高速八重洲線の長期通行止めを実施した(図-5、図-6)。
日本橋区間地下化ルートは、図-7のとおり、既設の高速八重洲線を活用したルートとなっており、地下に新たな分岐部を整備する必要があることから、既設八重洲線トンネルの拡幅や造り替えが必要であり、全体工程を踏まえて、2025年度から高速八重洲線を通行止めして開削トンネル部の本格的な地下化工事に着手した。
八重洲線通行止めおよびKK線廃止による都心環状線への転換交通により、高速上の既存ボトルネック箇所への負荷増や、街路交通への影響が懸念されたが、目立った混雑は発生していない。
3.新京橋連結路
(1)事業概要等
新京橋連結路は、高速都心環状線(築地川区間)と高速八重洲線を結ぶ、約1.1kmの新たな高速道路である。
現在事業が進められている日本橋区間地下化事業に伴い、交通が集中する江戸橋JCT周辺の渋滞緩和を図る目的で整備される。
現在の大型車通行ルートである江戸橋JCTの高速都心環状線連結路が廃止されることから、その代替機能を確保するための新たな都心環状ルートとして位置づけられる。
新京橋連結路は、東京都中央区新富二丁目から東京都中央区八重洲二丁目を事業区間とし、往復2車線、設計速度40km/hのA規格ランプとして計画される。
道路構造は、約1.0kmがトンネル構造、約0.1kmが擁壁構造であり、主に東京高速道路(KK線)の地下空間を活用して地下トンネルが構築される。
これらの事業に併せて、新たな入口として丸の内入口(仮称)と新富町入口(仮称)が新設され、既存の京橋入口と新富町出口は廃止される。
(2)整備効果
新京橋連結路の整備により、多岐にわたる効果が期待される。
代表的な効果を以下に挙げる。
1つ目は大型車交通の環状機能確保である。
当該機能を確保しない場合、高速都心環状線の利便性は大きく低下し、大型車が一般道路へ転換することで交通負荷が増大する懸念がある。
新京橋連結路の整備により、この大型車交通の環状機能が確保され、一般道の負担軽減が期待される。
2つ目は渋滞緩和である。
新京橋連結路の利用により、高速都心環状線連結路から高速八重洲線への交通転換が促進され、神田橋JCT~江戸橋JCT間の通行台数が約20% 減少し、渋滞長の減少が期待される。
3つ目は走行安全性の向上である。
高速都心環状線(築地川区間)では、老朽化した擁壁の取り替えなどを行う大規模更新事業が進行中。
新京橋連結路の整備にあわせて擁壁の更新に着手し、跨道橋の架け替えにより、線形改良や車道間橋脚の撤去を行い、走行安全性の向上を図る。
(3)進捗状況
新京橋連結路は、2025年4月に八重洲地区における開削トンネル工事が契約に至り、2025年10月より着工し、工事を進めている。
また、築地川区間においても現在工事発注手続きを進めており、2025年度第4四半期の入札を予定している。
4.新大宮上尾道路(与野~上尾南)
(1)事業概要等
新大宮上尾道路は、国道17号の慢性的な交通渋滞の緩和や埼玉県中央地域の健全な発展等を目的とする、さいたま市中央区から鴻巣市に至る延長25.1kmの高架構造の自動車専用道路である。
2016年度に埼玉県さいたま市中央区円阿弥~埼玉県上尾市堤崎(与野~上尾南間)の延長約8.0kmが事業化され、2017年度から国土交通省関東地方整備局と首都高速道路株式会社が共同で事業を進めており、日常的なメンテナンスが必要な舗装や設備工事、有料道路と接続する与野JCT部、新設出入口部の工事等を首都高速道路株式会社が主に施行する。
現在、与野JCT部では、本線施工に先駆けた「与野出入口付替工事」を進めているところである。
(2)与野出入口付替工事の進捗状況
与野出入口付替工事は、新大宮上尾道路の本線部接続の空間を確保するため、本線高架工事に先駆けて、暫定運用している現在の与野出入口を付け替える工事である。
付替後の与野入口は、国道17号からループ形式で本線と接続し、付替後の与野出口は本線走行車線から左側に分流するサイドランプ形式となる。
2023年7月より現場着手し、入口部では、2025年9月時点で入口の橋桁の設置が完了しており、床版工、高欄工等を実施している。
なお、一部区間の橋桁については、架設箇所の下方に位置する国道17号(上り線)の車道および歩道への交通影響を考慮し、施工ヤードで事前に地組した後に、多軸式特殊台車(4台)を使用し、2024年11月に夜間一括架設を実施している。
一方で、出口部では、擁壁工、橋桁の架設に向けた準備工を実施している。
橋桁は、国道17号(下り線)赤山通り交差点から与野大宮大通り交差点付近の夜間通行止めを3回実施し、架設予定である。
今後、附属物、料金所等の工事も進めていく予定である。
【出典】
積算資料2025年11月号
最終更新日:2026-01-26
同じカテゴリーの新着記事
- 2026-01-26
- 積算資料
- 2026-01-05
- 積算資料
- 2025-12-22
- 積算資料
- 2025-12-01
- 積算資料
- 2025-11-25
- 積算資料
- 2025-10-27
- 積算資料
- 2025-10-20
- 積算資料
- 2025-10-09
- 積算資料


















