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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > 施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《後編》

 

一般財団法人 経済調査会
積算技術部技術調査室長
吉沢 毅

 

施工パッケージ型積算方式の積算方法

積算単価への補正

施工パッケージ型積算方式における積算作業とは非常にシンプルであり、標準単価を積算単価に補正することが積算作業の大部分を占めています。
補正式のイメージは前述の通りですが、実際に活用される補正式を図-3に記載しました。
 

図-3 実際に活用される補正式

図-3 実際に活用される補正式


標準単価から積算単価への補正に用いる代表機労材規格は、機械では最大3規格、労務では最大4職種、材料では最大4規格、市場単価では最大1規格が採用されます。
 

補正の具体例
【基本的な補正例】

標準単価から積算単価への補正事例として、アスファルト舗装工 表層(車道・路肩部)【45~55mm・1.4m以上・密粒度AS20・タックコートPK-4・標準単1,484円/㎡】について、積算単価【名古屋単価(H24.10)】に補正する計算を、次の通り実施しました。
 

補正例 1)アスファルト舗装工[基本的な補正]

補正例 1)アスファルト舗装工[基本的な補正]


この補正式では、機械・労務・材料の東京(H23.9)と名古屋(H24.10)の価格比を、表層(車道・路肩部)における機械、労務、材料のそれぞれの構成比に応じて反映させることによって、標準単価を積算単価に補正しています。
 

【労務費等の割増への対応】

豪雪地域や夜間等の特殊条件の割増例として、アスファルト舗装工 表層(車道・路肩部)【45~55mm・1.4m以上・密粒度AS20・タックコートPK-4・標準単価1,484円/㎡】について、積算単価【名古屋単価(H24.10)】の労務費構成部分に対して20%の割増を施す事例を以下に実施しました。
名古屋(H23.10)の労務単価に1.2を乗じた単価を用いて補正を実施しています。
 

補正例 2)アスファルト舗装工[労務費の割増]

補正例 2)アスファルト舗装工[労務費の割増]

【代表機労材規格以外への対応】

アスファルト舗装工 表層(車道・路肩部)の代表機労材規格には再生アスファルト混合物は設定されていません。
代表機労材規格と一致しない規格を使用する場合、積算基準書に記載された類似規格の機労材構成比を適用します。
再生アスファルト混合物を使用する場合は、平均幅員と標準締固め後密度が一致する機労材構成比を採用します。
 
次の事例は、アスファルト混合物について密粒度AS20の代わりに再生密粒度AS20を適用したものです。
積算地区のアスファルト混合物の材料単価に再生密粒度ASの単価を採用し、それ以外に採用する単価は、密粒度ASと変わりません。
 

補正例 3)アスファルト舗装工[代表機労材規格以外]

補正例 3)アスファルト舗装工[代表機労材規格以外]

課題

施工パッケージ型積算方式では積上げ積算方式のような下位代価表が存在しないため、設計書は簡素化されました。
しかし、ここで挙げた3つの事例のように、積算単価への補正については、必ずしも簡素とは言い難く、これを手計算で実施するのは非常に困難と言えます。
また、積算単価への補正を表計算ソフトで対応することも考えられますが、代表機労材規格が多岐にわたることや、施工パッケージが今後も拡大される予定であることからも、推奨し難いものと思われます。
 
 

まとめ

ユニットプライス型積算方式と同様に施工パッケージ型積算方式は、受発注者双方の積算労力の軽減等を目的と
したものですが、その目的を達成するためには、積算ソフトを活用することが前提とされたものと考えざるを得ません。
受発注者双方に積算労力の軽減をもたらすために、施工パッケージ型積算方式に対応した積算ソフトの普及が待たれます。
 

【主な参考文献】

●「施工パッケージ型積算方式の解説」平成24年6月(一般財団法人経済調査会)
●「経済調査研究レビューVOL.11」平成24年9月(一般財団法人経済調査会)

【主な施工パッケージ型積算対応ソフトウェア】

●土木積算システム『メビウス ZERO』吉備システム(株)
直感性に優れた画面作りになっており、パッケージ化された単価の内訳構成を「機械経費」「労務費」「材料費」で区分することにより、内訳構成を明確に把握でき、さらに計算式や単価・金額の変更、さまざまな詳細設定が可能である。
帳票印刷にも対応しているので、施工パッケージ内訳構成の出力・印刷が可能であり積算業務の負担軽減が期待できる。
 
●土木積算システム『ATLUS REAL』(株)コンピュータシステム研究所
施工パッケージの構成(機・労・材)および計算式を確認しながら算出が可能。
また、機・労・材の構成比率の編集や基準単価・標準単価の入替・編集など詳細設定が行え、出力・印刷も可能。
さらに従来、機労材構成表にはない数量を構成比・単価比から参考値として算出が可能。
算出した参考数量は要素ごとの集計や実行予算作成等に活用可能である。
 
●土木工事積算システム『GaiaRX Ultimate』(株)ビーイング
施工パッケージ型積算方式「積算単価計算」機能を搭載し「施工パッケージ型積算方式」の補正計算式を用いた積算単価計算および補正計算式を実際に画面で確認ができる。
また、対応工種の各代表機労材規格には数量の概念はないが、標準単価表の値から推測される数量を参考値として表示可能。
その参考数量を利用して数量の拾い出しが可能になるため、実行予算書の作成など利益計画の策定に効果を発揮する。
 
 
 
施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《前編》
施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《後編》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 

最終更新日:2014-06-11

 

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