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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > 施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《前編》

 

一般財団法人 経済調査会
積算技術部技術調査室長
吉沢 毅

 

はじめに

国土交通省では、受発注者双方の積算労力の軽減等を目的とした「ユニットプライス型積算方式」を平成16年度より一部の工事で試行してきました。
しかし、「ユニットプライス型積算方式」に対しては、価格の妥当性への懸念、価格の透明性確保や弾力的な変更等の課題が指摘されてきたところです。
そこで、「ユニットプライス型積算方式」の課題を改良した新たな積算方式として『施工パッケージ型積算方式』が、平成24年10月1日以降に入札を行う土木工事(港湾空港関連を除く)から試行導入されました。
 
本稿では、施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応についてとりまとめました。
 
 

施工パッケージ型積算方式の概要

施工パッケージ型積算方式は、施工単位ごとに機械経費、労務費、材料費を含んだ施工パッケージ単価を用いて直接工事費を算出する積算方式です。
 

導入スケジュール

施工パッケージ型積算方式は、平成24年10月1日以降に入札を行う国土交通省の直轄土木工事(港湾空港関連を除く)から試行導入されました。
 
今回導入された施工パッケージは、ユニットプライス型積算方式の先行工事区分(舗装、道路改良、築堤・護岸)で使用していたユニットを基に作成された63の施工パッケージです。
これらに対応する85施工歩掛は、平成24年10月より積算基準書から削除されています。
 
国土交通省では今後、平成24年度の試行状況を踏まえた上で、施工パッケージを拡大する予定です。
具体的には、ユニットプライス型積算方式の拡大工事区分(道路維持、道路修繕、河川維持、河川修繕、砂防堰堤、電線共同溝)から検討される方針であり、将来的には特殊な工種を除き、施工歩掛を用いた積上げ積算は、減少するものと考えられています。
 

ユニットプライス型積算方式との相違点

施工パッケージ型積算方式は、ユニットプライス型積算方式と同様に、歩掛の代わりに総価契約単価合意方式において合意された単価データを蓄積し、それを分析して積算に用いるものですが、以下の相違があります。
 
①応札者単価の活用
②標準単価や補正式の公表
③作業土工の分離
④間接工事費の分離

 
①について、実態を踏まえた適切な価格を設定するために、受注者との合意単価だけでなく応札者単価も活用。
②について、具体的なユニットプライスは非公表でしたが、価格の透明性を確保するため、「標準単価」および「標準単価から積算単価」へ補正する補正式を公表。
③について、数量変動が生じやすく、きめ細かな設計変更が困難であった作業土工を分離し、弾力的な変更ができるよう改善。
④について、ユニットプライスには一部の間接工事費を含んでいましたが、施工パッケージ型積算方式における間接工事費の計上手法は、既に浸透している積上げ積算方式と同様の手法とし、施工パッケージ単価は直接工事費のみで構成。
 

施工パッケージ型積算方式の仕組み

施工パッケージ型積算方式の仕組みは図-1の通りです。
 

図-1 施工パッケージ型積算方式の仕組み

図-1 施工パッケージ型積算方式の仕組み


主な用語の定義と解説は、表-1の通りです。
 
表-1 主な用語の定義・解説

表-1 主な用語の定義・解説

【積算】

施工パッケージ型積算方式では、標準単価を積算単価に「補正」することで積算を行います。
標準単価は、基準地区における基準年月の単価であることから、積算に用いるためには、積算地区における積算年月に対応するための「補正」が不可欠です。
 
補正は標準単価に機労材構成比を反映した積算地区と基準地区の機械・労務・材料それぞれの価格比を乗じることで、時点補正と地域補正を同時に行います。
標準単価から積算単価への補正の基本的な考え方は図-2の通りです。
 

図-2 補正式のイメージ

図-2 補正式のイメージ


補正に必要となるデータとその出典は、表-2の通りです。
 
表-2 データの出典

表-2 データの出典

【入札】

入札の段階では、工事費内訳書から応札者単価を収集します。
国土交通省の発注工事は、そのほとんどが工事費内訳書の提出を求める一般競争入札方式で実施されていることから、応札者単価の収集に際して、受注者の負担は増大しないものと、国土交通省では考えられています。
 

【単価合意】

国土交通省の直轄工事では、平成22年度より総価契約単価合意方式を導入しました。
工事の総額による入札・契約後、請負者が提出した内訳書を基に、細別(レベル4)ごとの単価等について、受発注者が協議および合意し、単価合意書を書面により締結します。
ここで合意された合意単価と入札時の応札者単価が単価分析の対象となります。
 

【単価分析】

単価分析では合意単価に加え応札者単価が活用されますが、国土交通省では以下のデータは解析に用いないことで、一定の精度を確保するとしています。
 
①低入札調査基準価格や特別重点調査の価格以下で応札がなされた場合
②統計的にみて著しく応札額が高い場合
③工事費内訳書が発注の細別区分と一致していない場合

 
単価分析に当たっては、全国の収集単価を東京の単価に補正することで解析が行われ、最頻値(または平均値)を「標準単価」として設定します。
 
過当競争や恣意的な単価操作の影響を受けたことが考えられる場合や、発注地域や工事工種の偏りといった特殊要因の影響を受けた場合には、施工実態や他の物価指数との乖離が発生する懸念があります。
このため国土交通省では、複数年の単価傾向や「施工状況調査」によって把握される施工実態等を踏まえた上で、標準単価を設定するとしています。
 
なお、当面の間は合意単価等のデータがありませんので、「標準単価」や「機労材構成比」は、現行の土木工事標準歩掛を基に設定されています。
 
 
 
施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《前編》
施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《後編》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 

最終更新日:2014-06-11

 

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