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埼玉県における「下水道管路マネジメントシステムの共同研究」の取組について

1. はじめに

令和7年1月28日に埼玉県八潮市において下水道管路に起因すると考えられる道路陥没事故が発生しました。
同事故を受け、その原因を工学的かつ客観的な見地から究明することを目的として埼玉県が設置した原因究明委員会や、国土交通省の下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会より、事故の再発防止に向けた提言がなされました。
 
埼玉県は、これらの提言を踏まえ、下水道管路の点検・調査から補修・管理までの維持管理プロセス全工程の最適化を目的とした共同研究を全国に先駆けて行うため、(公財)埼玉県下水道公社、ならびにDX技術(ドローン、AI、GIS等)や補修技術を有する民間企業6社と共同研究に関する協定を令和8年3月10日に締結しました(概要図)。


【概要図】
【概要図】

 
 

2. 背景・課題

近年、下水道管路の劣化に起因する道路陥没事故が社会的関心を集めており、県民の安全・安心を確保するための対策が求められています。
 
下水道管路は高度成長期に整備されたものが多く、今後、大量の更新需要が発生する一方で、自治体は財政面の制約や技術職員の減少に直面しており、従来どおりの手法では点検・調査や補修・管理が困難になりつつあります。
また、点検・調査・補修・情報管理が別々の事業者によって実施されることで、情報が分断され、劣化状況の把握や補修に係る判断が非効率になるという課題も発生しています。
さらに、大規模な下水道管路は、下水の流量が多く、流れを止められない状況下にあり、維持管理手法が確立されていません。
加えて、硫化水素ガスのリスクなどもあり、作業員の安全性確保も大きな課題となっています。
 
 

3. 共同研究に関する協定の概要

共同研究では、埼玉県の下水道管路の点検・調査から補修に至る管路全体のマネジメントに係る課題解決をシームレスに図るため、下水道DX及び新素材・新工法による短時間補修技術を活用した新たな維持管理手法の検証を共同で実施します。
また、従来手法では点検・調査、補修が困難であった箇所に対して、最新技術を活用することで、安心・安全・効率化を実現し、維持管理手法の抜本的な改善を図り、将来的には県内流域全体を対象とした新しい維持管理モデルの構築を目指します。
共同研究には、埼玉県、(公財)埼玉県下水道公社、民間企業6社が参画し、4つの実施テーマ「点検・調査」「解析」「補修」「データ(情報)管理」を設定しています。
 
なお、共同研究期間については、協定締結日(令和8年3月10日)から2年間としています。
 
 

4. 共同研究の実施テーマ

「点検・調査」においては、安全かつ効率的に実施できるようドローンや高性能カメラを用いた無人・省人化点検を導入し、危険箇所への作業者の立ち入りを最小化する点検・調査や撮影に必要な条件の仕様化の検討を行います。
 
「解析」においては、下水道管路内の3D点群データ化や、AIを活用したひび割れ・腐食などの劣化を自動検知する技術を開発し、業務の効率化に関して検討を行います。
 
「補修」においては、吹付工法や特殊塗料などの新素材・新工法を活用した技術や、省人化・無人化を見据えた補修工法により、工期短縮・長寿命化の検討を行います。
 
「データ(情報)管理」においては、3次元地図による下水道情報の「見える化」・データ管理の高度化の検討を行います。
 
そして、これらの工程や情報をシームレスにつなぎ、一気通貫で完結する業務フローとして再設計することにより、異常の早期発見と予防保全を図ります。
 
 

5. 共同研究における各社の役割

埼玉県・(公財)埼玉県下水道公社は、実証フィールドとなる流域下水道管路選定・提供、実証計画や安全管理に関する調整、実証結果に基づく技術評価・有効性の判断を行います。
 
NTT東日本(株)は、研究全体の統括・調整、DXモデル設計、成果報告書作成を行います。
 
(株)NTT e-Drone Technologyは、「点検・調査」「解析」の実施テーマに関してドローンによる下水道管路内情報取得、劣化箇所を検知するAI解析の開発を行います。
 
NTTインフラネット(株)は、「データ(情報)管理」の実施テーマに関して、点検情報管理ツールの提供と情報連携による可視化を行います。
 
国際航業(株)は、下水道管路3D化・GIS等を用いた情報設計、データ表示方法の検討を行います。
 
日特建設(株)は、長距離圧送が可能な吹付技術を用いた補修技術の下水道管路補修への適用を目指し、早期対応、省力化が図れるよう検討を行います。
 
(株)染めQテクノロジィは、特殊塗料による既設下水道管路の修復強靭化技術を用いた再生・延命と短期施工の取組を実施します。
 
 

6. おわりに

共同研究は、人口減少、財政制約、技術者不足という全国共通の課題に対して、先行して取り組むモデルケースであり、他自治体への横展開が期待されています。
 
事故の再発防止に向け、協定を締結した関係者の方々と連携、協力し、共同研究の目的が達成できるように取り組んでまいります。
 
 
 

埼玉県下水道局 下水道事業課長 
橋本 翼

 
 
【出典】


 積算資料2026年7月号
積算資料2026年7月号

最終更新日:2026-10-19

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