令和8年度 土木工事標準歩掛の改定概要(1)
1. はじめに
土木工事標準歩掛(以下、「標準歩掛」という)は、土木工事に広く使用されている工法について、施工合理化調査等の実態調査に基づき、土木施工に必要とされる標準的な機械、労務、材料等の所要量を工種ごとに設定したものです。
この標準歩掛は「中央建設業審議会(中建審)」の建議を踏まえて、昭和58年3月に整備・公表し、その後、制定・改定を重ねて現在に至っており、土木工事費の積算の基礎資料として広く活用されています。
2. 令和8年度 標準歩掛の改定概要
標準歩掛は、使用機械の機能向上、新技術・新工法の開発、あるいは各種施工制約といった社会情勢の変化など、施工形態の変化に対応した適正なものとする必要があります。
今回、令和6年度に施工合理化調査等を実施した標準歩掛工種の122工種のうち、令和7年度に施工実態を分析した結果、24工種の制定・改定を行うこととしました。
主な改定理由としては、以下のとおりです 。
⑴移動時間を考慮した歩掛の改定
KY活動や準備体操、現場内の移動時間や後片付け等は一日の作業時間に含まれており、標準歩掛においても適切に反映されています。
路上路盤再生工など11工種で、現場移動等により実作業時間が短くなり、日当り施工量が減少している傾向が見られたことから、令和8年度の標準歩掛改定に反映しています。
移動時間を考慮した歩掛の改定を行った工種は、以下のとおりです。
半たわみ性(コンポジット)舗装工、伸縮装置工(鋼製)、トンネル漏水対策工、濁水処理工(一般土木工事)、地すべり防止工(ふとんかご)、路上路盤再生工、トンネル濁水処理工、トンネル工(NATM)[発破工法]、トンネル補修工(ひび割れ補修工)低圧注入工、排水構造物工(鉄筋コンクリート台付管)、笠コンクリートブロック据付工
⑵建設機械の回送時間を考慮した歩掛の改定
移動式クレーンを日々回送している3工種において、クレーンを用いた作業時間が短くなり、日当り施工量が減少している傾向が見られたことから、令和8年度の標準歩掛改定に反映しています。
建設機械の回送時間を考慮した歩掛の制定・改定を行った工種は、以下のとおりです。
トンネル工(NATM)仮設備工(防音扉工)、PC橋架設工(架設機械据付・解体)、排水構造物工(鉄筋コンクリート台付管)
⑶作業休止時間を考慮した歩掛の改定
建設現場の作業管理として行われている作業休止時間(振動作業対策、腰痛予防対策や熱中症予防対策など)が増えたことにより、実作業時間が減少している傾向が見られたため、鉄筋工や仮囲い設置撤去工など6工種で、令和8年度の標準歩掛改定に反映しています。
作業休止時間を考慮した歩掛の制定・改定を 行った工種は、以下のとおりです。
鉄筋工、仮囲い設置撤去工、土のう工、路上路盤再生工、排水構造物工(鉄筋コンクリート台付管)、笠コンクリートブロック据付工
24 工種の制定・改定概要について、本稿では、新規制定工種(7工種)のうち3工種について紹介します。
3. 新規制定工種(7工種)
⑴鉄筋工
①工法概要
【加工・組立】
鉄筋を設計図に示された形状及び寸法に一致するように、鉄筋加工機等を用いて加工し、鉄筋結束線等により組み立てる工法です。
【ガス圧接継手】
2本の鉄筋を酸素とアセチレンなどの可燃性ガスの火炎によって金属端面を高温に加熱し、同時に軸方向の圧力をかけることで接合を行う工法です。
【機械式継手(グラウト)】
2本の鉄筋を、カプラー(スリーブ)と鉄筋の隙間に高強度のグラウト材を注入・硬化させることで接合を行う工法です。
【機械式継手(ねじ加工)】
2本の鉄筋を、グラウトを使わずロックナット等をトルクレンチ等で締め付けることで、機械的に固定し接合を行う工法です。
② 制定概要
1)適用範囲
河川・海岸・道路・水路・橋梁・トンネル等の鉄筋構造物のうち、現場における加工・組立及び継手に適用する。
なお、鉄筋は普通鉄筋、異形棒鋼問わず適用できるものとする。
また、鉄筋工の継手は重ね継手を標準とし、ガス圧接継手や機械式継手(グラウト)、機械式継手(ねじ加工)の場合は材料費・設置手間を別途計上する。
2) 施工概要
適用できる範囲は以下のとおりである。
【加工・組立】
・一般構造物(鉄筋径:10mm~51mm)
・橋梁用床版(鉄筋径:13mm~25mm)
・場所打ち杭の鉄筋かご(鉄筋径:13mm~35mm)
・トンネル内構造物(鉄筋径:10mm~51mm)
・差筋及び杭頭処理(鉄筋径:10mm~51mm)
【継手】
・鉄筋構造物の組立作業における手動式(半自動式)のガス圧接継手
・鉄筋径16mm~51mmまでのガス圧接継手
・現場で打設する鉄筋コンクリート構造物の組立作業における軸方向鉄筋の機械式継手工
・ロックナットがなく、有機系グラウト 材を用いるねじ節鉄筋継手(グラウト固定方式)
・スリーブ圧着ネジ継手、摩擦圧接ネジ継手
・鉄筋径13mm~51mmまでの機械式継手
適用できない範囲は以下のとおりである。
【加工・組立】
・ダム本体工事における鉄筋工
・鉄筋工の歩掛が個別に設定されている工種(コンクリートブロック積(張)工、コンクリート舗装工、橋梁地覆補修工、ポストテンション桁製作工、PC橋架設工、ポストテンション場所打ホロースラブ橋工、ポストテンション場所打箱桁橋工、伸縮装置工、沓座拡幅工)
【継手】
・熱間押抜法によるガス圧接継手
・プレキャスト(継手内蔵)、コンクリート打継面(鉄筋継手を一断面に集めて配置)の接合
・ロックナット付、無機系グラウト材を用いるねじ節鉄筋継手(グラウト固定方式)
・モルタル充填継手
なお、鉄筋工の施工フローは、図-1のとおりです。
3) 施工歩掛
【加工】
【組立】
【継手】
⑵土のう工
①工法概要
土のう袋に土砂を詰め、簡易な仮締切工等における仮設材として使用する工法です。
②制定概要
1)適用範囲
簡易な仮締切工のうち、1段以上の小口並べまたは側面並べによる土のう積に適用するものとし、製作・積立・撤去の各作業からなるものとする。
また、施工基面から1.0m以下の積立作業に適用する。
ただし、乱積による土のう積の場合は適用しない。
2)施工概要
土のう工の施工フローは、図-2のとおりである。
【土のう製作・積立】
【土のう撤去】
【土のう積材料使用数量】
材料は化学繊維土のうとし、使用数量については、表-12を標準とする。
⑶防塵処理工
①工法概要
工事用機械及び車両の走行に伴う砂塵等の飛散を抑制するため、散水車を用いた散水による防 塵処理を行う工法です。
②制定概要
1)適用範囲
散水車による防塵処理を行う場合に適用する。
なお、塩化カルシウム散布等による防塵処理を行う場合は適用しない。
2) 施工概要
防塵処理工の施工フローは、図- 4 のとおりである。
3) 機種の選定
4) 施工歩掛
【散水作業】
散水は1m2当り散水量:0.6L/m2を標準とする。
1回・1台当りの散水時間は次式による。
複数台の散水車を使用する場合は、散水車1台ごとに積算すること。
1 箇所(経路)当りの1回の散水において、散水の途中で給水が必要となる場合は、給水1回ごとに区分し、積算すること。
1回・1台当りの散水時間
=0.6×1/Q×A(h/1回・1台)
Q:時間当り散水量(L/h)
A:散水面積(m2)
散水面積は次式による。
A=L×W
L:散水1回当りの散水延長(m)
W:1車線当りの散水幅(m)(W=3.5mとする)
【時間当り散水量(Q)】
散水作業の時間当り散水量の算定は、次式による。
Q=60×q/cm
q:散水車のタンク容量(L)。
なお、3,800Lを標準とする。
cm:1サイクル当り所要時間(分)
【1サイクル当り所要時間(cm)】
cm=2×d/V+t1+t2+t3+t4d:給水場所までの片道距離(m)
V:走行速度(m/分)…267m/分
t1:給水ホース取付け・取外し時間(分)…8分
t2:給水時間(分)…14分
t3:待機・現場待時間(分)…1分
t4:散水時間(分)…10分
本稿では、令和8年度の標準歩掛の制定・改定24工種のうち、新規制定工種である鉄筋工・土のう工・防塵処理工の3工種について紹介しました。
新規制定工種のうち残りの4工種については、次月号で紹介します。
【出典】
最終更新日:2026-08-12






























