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信頼される外壁改修―GNSアンカー工法の開発とこれからの展開—

はじめに

我が国の街中に無数に存在する建物の外壁にはタイルによる仕上げが多用されている。
タイルが多用される理由には、①タイルは高温で焼き固められた自然素材であることから傷や紫外線に強く、半永久的に色あせない高い耐久性、②防汚性が高く塗装不要なため、将来的なメンテナンスコストの削減効果、③焼き物特有の凹凸や陰影がもたらす高級感ある意匠性、といったことが挙げられる。
経年劣化しにくく新築時の美しさを保てるため、火災や風水害に強く、建物の資産価値を長期維持できることは建物主にとって大きなメリットである。
 
一方、高度経済成長期以降に整備された各種インフラは、現在、老朽化による機能の劣化・低下、老朽化を起因とする事故の誘発など、大きな社会問題となっているのは周知のとおりである。
建築物に施された外壁タイルも老朽化による剥落や損傷など、同様の問題を抱えており、外壁タイルの剥落対策は、歩行者等に対すして大きな危険をもたらすため早急に解決されなければならないが、一方で施主は民間の場合が多く、そのため補修対策には施主の資金力に大きく左右され、一律での補修対策が進みにくい、といった大きな課題が存在する。
老朽化した外壁タイル面に関して、建築基準法第12条に基づく特定建築物の安全性を確保するために定期的に行う点検・報告制度(いわゆる12条点検)などにより、剥落の危険性を検査することとなっているが、タイル面に浮きや剥離などが見られた場合には安全性の高い剥落防止対策が強く求められる。
GNSアンカー工法はこうした問題に対し、施工性、安全性、経済性の観点から優れた解決策を提供する工法であり(写真-1)、概要と今後の展開について以下に述べる。

写真-1 GNSアンカー工法にて改修した建物例
写真-1 GNSアンカー工法にて改修した建物例

 
 

1. 外壁改修がなぜ大切か

外壁の改修が大きな社会的耳目を集めたのは1989年に北九州市で発生した公団住宅における外壁タイル落下事故であった。
今でこそ建物や各種インフラの老朽化は最優先で解決すべき社会問題として認識されているものの、老朽化による事故発生の危険は実に40年近く前から私たちのすぐ隣に存在していたにも関わらず、それを認識していたのはわずかな人数でしかなかったということである。
 
全国ビルリフォーム工事業協同組合(渡辺清彦理事長、以下「当組合」とする)では、外壁タイルの落下に対する補修や改修技術の研究・開発・普及を進めて現在に至るが、当組合および他社を含めて落下事故発生当時の対策は、全面の打音調査を行い、浮きや劣化が見つかった場合は、劣化部の部分補修やタイルの張り替えを行うことが一般的であった。
しかし、この方法では建物の周囲に足場を設置して詳細調査を行うと、初期調査の段階では見落とされたタイルの劣化が見つかり、当初は建物全体の数%と見込んだタイルの張り替え範囲が、実際には全体の10~20%にまで広がり、場合によってはそれ以上の張り替えが必要となることもある(写真-2)。
そうした場合、外壁改修の費用は当初予算から桁が変わることも珍しくなく、その追加改修費用は全て管理組合側の負担となり、対策工事実施の大きな壁となっている。
また、部分張り替えを行う場合、張り替え用タイルと既存タイルとの色味が異なることも起きる(写真-3)。
外壁の改修後に、タイルの色味が建物のあちこちで変わると建物の外観・意匠性が大きく損なわれてしまい、建物そのものの価値の低下を招くことにもつながる。
各戸の持主は決して安くない買い物をしてマンションを手に入れており、外観の意匠性が悪くなるということは、将来的に資産の減少を招くことになるため、外壁改修においてはこうした面も細心の注意を払わなければならない。
以上のことから外壁改修工事の現場では、安全に、かつ経済的に実施できる工法が求められていた。

写真-2
写真-2
写真-3 色違いによる意匠性の低下が減少
写真-3 色違いによる意匠性の低下が減少

 
 

2. GNSアンカー工法の概要と開発経緯

こうした社会的背景と要求を基に当組合が開発した工法が、GNSアンカー工法である。
その開発に当たっては、「外壁タイルに浮き・剥離があっても目地が強度を保っている場合はすぐに事故にはつながらない」という現場での長い改修・補修経験に基づく認識則・経験知を基ととしている。
その開発は今から10年前の2016年に遡る。
GNSアンカー工法は、外壁タイル中央部に1m2当たり9本(検査結果によっては16本)の専用アンカーピンを脳天打ちすることで、既存タイルの意匠性を可能な限り残しつつ、外壁落下のリスクを解消し、安全を確保する工法である(写真-4,図-1)。
冒頭の「浮き・剥離があってもすぐに事故につながらない」という事実は、浮いたタイル以外のどこかで躯体との接着が保たれているということになるが、その正体は外壁タイルの目地にある。
目地強度が保たれていれば、外壁タイルのすべてを固定するのではなく、タイル目地の残存強度を生かしつつ、補修のために打ち込んだアンカーによって地震時の変位を抑制することで外壁タイルの落下を防ぐことが可能となる。

写真-4
写真-4
図-1 GNSアンカー工法平面・断面施工図
図-1 GNSアンカー工法平面・断面施工図

 
当組合では、目地強度の有効性を証明するためにGNSアンカー工法の施工・未施工の供試体を作成し、振動繰り返し実験を行った結果、工法を適用した供試体では落下しなかったのに対し、未施工の供試体ではタイルの落下が起きた。
これによりGNSアンカー工法を施工した場合は、地震等の揺れに対しても十分に変位が抑制されることが確認され、2023年3月に建設技術審査証明の取得(一般財団法人ベターリビング、BL064 号)へとつながり、工法の有効性の証明がなされた(写真-5)。

写真-5 建設技術審査証明書
写真-5 建設技術審査証明書

 
 

3. 標準的な施工手順について

GNSアンカー工法は、下地処理から仕上げまで以下のフローに従って施工する。
 
1. マーキング(位置出し):
仕様に基づく本数に応じて、タイル面に布テープを貼り付け、その上から正確に位置出しを行う。
一般部(タイル面の浮きが1箇所0.25m2以内かつ浮き代が3mm以内の箇所)の打設本数は、使用されているタイルのサイズ(50二丁タイル、50角タイル、二丁掛けタイルなど)と目地の通し方(通し目地、馬踏み目地など)によって1m2当たり9本または16本となる。
またマーキングの開始位置やアンカーピッチも同様に異なる(写真-6,7)。

写真-6 マーキング 布テープを施工位置のタイルに貼り付ける
写真-6 マーキング
布テープを施工位置のタイルに貼り付ける
写真-7 マーキング完了 16本/m2を基準に均等に割付ける
写真-7 マーキング完了
16本/m2を基準に均等に割付ける

 
2. 穿孔(せんこう)作業:
径5.0mmのドリルビットを装着した「無振動ドリル」を用い、タイル面に対して垂直に穿孔する。
穿孔深さは、使用するGNSアンカーピンの長さ+5mmとする。
ドリルの刃が摩耗して径が4.9mm未満になった場合は、直ちに新しいものに交換する(写真-8)。

写真-8 穿孔作業 径5.0mmドリルビットの無振動ドリルを用いて穿孔し,深さはGNSアンカーピンRの長さ+5mmとする
写真-8 穿孔作業 
径5.0mmドリルビットの無振動ドリルを用いて穿孔し,
深さはGNSアンカーピンRの長さ+5mmとする

 
3. 座掘(ざぼり)作業:
ピンの頭部がタイル表面と面一(フラット)に収まるようにするため、径6.5mm の座掘専用ビットを装着した「インパクトドリル」を使用し、深さ2mm程度の座掘りを行う(写真- 9)。

写真-9 座掘作業 径6.5mmの座掘専用ビットを使用し,深さ2mm程度穿孔する
写真-9 座掘作業 
径6.5mmの座掘専用ビットを使用し,深さ2mm程度穿孔する

 
4. 深さ確認と清掃:
専用の「確認棒」を孔に差し込み、所定の穿孔深さと座掘り深さが確保されているかを確認するとともに、孔内の粉塵をダストスプレー等で完全に取り除く(写真- 10, 11)。

写真-10 孔内清掃 ダストスプレーで孔内を清掃する
写真-10 孔内清掃 
ダストスプレーで孔内を清掃する
写真-11 孔の深さ確認 専用の確認棒を使用し,孔の深さと座掘り深さを確認する
写真-11 孔の深さ確認 
専用の確認棒を使用し,孔の深さと座掘り深さを確認する

 
5. GNSアンカーピンの打込み:
ピンの「鞘(さや)部」を孔に挿入した後、1.5ポンド程度の小型ハンマーと専用の「打ち込み棒」を使用し、ピン頭部がタイルの座掘面と平らに収まるように芯棒を叩いて打ち込む。
なお、必要に応じて施工箇所周囲のタッチアップやアンカーピン頭部の色調整を行い、完了となる(写真-12,13,14)。

写真-12 鞘部挿入 GNSアンカーピンRの鞘部を挿入する
写真-12 鞘部挿入 
GNSアンカーピンRの鞘部を挿入する
写真-13 打ち込み 1.5ポンド程度の小型ハンマーでGNSアンカーピンRの芯棒を専用打ち込み棒を用いて面一になるように打込む
写真-13 打ち込み 
1.5ポンド程度の小型ハンマーでGNSアンカーピンRの
芯棒を専用打ち込み棒を用いて面一になるように打込む
写真-14 施工完了
写真-14 施工完了

 
 

4. GNSアンカー工法によるタイル仕上層の保持力について

4-1. タイル保持の基本メカニズム

外壁タイルの剥落を防止するGNSアンカー工法において、タイルが壁面に留まる仕組みは、健全時、剥離時、補修後の3つの段階で捉えることができる(図-2)。

図-2 タイル仕上層の状態ごとの保持機構
図-2 タイル仕上層の状態ごとの保持機構

 
タイルが健全な状態では、タイル、張り付けモルタル、構造体(躯体)が一体となって付着し、壁全体で荷重を支えるが、一部のタイルに「浮き(剥離)」が発生すると、その部位は周囲との「目地」のみで支えられる不安定な状態となる。
この状態が続くと、周囲の健全な部位に負担がかかり、剥落範囲が拡大する危険性が高く、対策の必要が生じる。
 
GNSアンカー工法ではタイルの表面からアンカーピンを構造体に深く打ち込み、剥落を防止するが、これは①アンカーピンが直接的な引き抜き抵抗を発揮する、②ピンで固定されたタイルが健全な目地を介して周囲の浮いているタイルを支える役割を果たす、という要因によりタイル仕上層全体の安定性が回復する仕組みとなっている(図-3)。

図-3  タイル仕上げ層がアンカーピンのみで抵抗する場合の保持機構
図-3  タイル仕上げ層がアンカーピンのみで抵抗する場合の保持機構

 

4-2. 荷重伝達の仕組みと強度の評価

補修されたタイルが外力による剥落に耐える保持力評価には、面内荷重(重力方向の負荷)と面外荷重(風や地震によって生じる外力による負荷)、2つの荷重方向に対して検討を行う必要がある。
 
面内荷重(重力方向の負荷)への対応は、タイル自体の重さによって下方向へと働く力に対し、固定されたタイルが周囲のタイルをどれだけ支えられるかを評価する。
固定タイルの上下左右に位置する浮きタイルの荷重は、目地モルタルの「圧縮する力への強さ」や「ずれようとする力への強さ(せん断耐力)」を通じて伝達されるが、目地部に想定される荷重に対して十分な強度的余裕が存在する(図- 4)。

図-4 アンカーピンによる面内荷重負担概要
図-4 アンカーピンによる面内荷重負担概要

 
一方、面外荷重(引き剥がす方向の負荷)への対応は、地震時の揺れや風の圧力(負圧)など、タイルを壁面から引き剥がそうとする力への対応である。
この場合、アンカーピンが構造体から抜けない強さと、ピンの頭がタイルを突き抜けない強さ、さらには固定タイル外周の目地が耐えられる強さを比較検討することとなる。
特に、建物への影響が非常に大きい強風時の負圧に対しても、十分に耐えられるように設計がされている(図-5)。

図-5 アンカーピンによる面外荷重負担概要
図-5 アンカーピンによる面外荷重負担概要

 

4-3. 安全性の検証と余裕度

本工法による安全性の検証は、具体的な環境条件を想定した試算によって裏付けられている。
詳細の計算結果は本稿では記述しないものの、例えば、大都市圏の基準風速や建物の高さ、形状(一般部か隅角部か)に基づき、タイルを剥がそうとする最大級の外力を算出する。
これに対し、標準的な補修本数(1平方メートルあたり9本から16本)を適用した場合、保持力の余裕度(安全率)は、最も厳しい条件の一つである強風時における高層建物の隅角部であっても、算出された保持力は実際に受ける外力の約5倍から9倍程度に達する。
また、目地部分のせん断耐力についても、想定荷重に対して約2倍近い余裕度を確保しており、剥落に対し高い安全性を担保することができる工法となっている。
 
以上から、目地が健全な状態に保たれている限り、GNSアンカー工法で補修されたタイル仕上層は、地震や台風といった過酷な外部負荷に対しても、物理的に十分な保持力を有しているといえる。
本工法は、アンカーピンと目地による相乗的な保持機構により、剥落リスクを抑える信頼性の高い工法であると結論付けられる。
 
 

5. 目地健全度の確認について

これまで述べてきたように、GNSアンカー工法はアンカーピンと浮き部以外の健全な目地それぞれの効果によって、経済的、かつ安全に外壁タイルの剥落を防止する工法である。
そのため、浮き部以外の目地が健全であることがたいへん重要であり、剥落対策を行うに当たっては目地健全度の評価をしっかりと行う必要があり、その方法は実際に施工されている建物のタイルと目地それぞれの付着強度試験を行うことで評価する。
目地健全度の確認のため、500m²毎に外壁意匠性に影響が少なく、タイル面の打診により浮きのみられない1箇所を選定し、タイルの付着強度試験の箇所とする。
その箇所を基点として半径1m以内に3箇所の目地を付着強度試験の実施箇所とし、目地健全度の評価を行う。
 

5-1. 目地付着強度試験

既存タイル面の目地付着強度を引張試験にて確認し、その手順は以下の通りである。
なお、試験はタイル目地の交点とする。
 
①目地幅、目地深さの確認を行う。
目地深さは3mm以内とし、3mmを超える場合は目地の処理が必要となる。
②養生テープを目地に掛からないようにタイル面4箇所に貼り付ける(図-6)。

図-6 養生テープの貼付け箇所
図-6 養生テープの貼付け箇所

③目地にエポキシ樹脂接着剤を塗布し、45mm× 45mmの鋼製アタッチメントを取り付けて養生する(ディスクサンダーによるカットは不要)(図-7)。

図-7 鋼製アタッチメントの取付け
図-7 鋼製アタッチメントの取付け

④接着剤の硬化後、引張試験器「テクノテスター RJ-1」にて引張試験を行い、目地付着強度試験で得られた荷重(P)を確認する。
また、破壊した面を目視で観察し、破壊が目地で起きていることを確認する(図-8,写真-15)。

図-8 目地付着強度試験状況
図-8 目地付着強度試験状況
写真-15  引張試験器 テクノテスターRJ-1
写真-15  引張試験器 テクノテスターRJ-1

 

5-2. タイルの付着強度試験

選定したタイルの付着強度を引張試験にて確認するが、その手順は以下の通りである。
 
①選定したタイルにエポキシ樹脂系接着剤を塗布し、タイルの大きさに合った鋼製アタッチメントを取り付け養生する。
②接着剤の硬化後、鋼製アタッチメントの周囲をディスクサンダーで下地に達するまで切り込みを入れる(図-9)。
③引張試験器「テクノテスターRJ-1」にて引張試験を行い、タイルの付着強度試験で得られた荷重(f)を確認する(図-8)。

図-9 鋼製アタッチメントの取付け状況
図-9 鋼製アタッチメントの取付け状況

 

5-3. タイル目地強度(単位長さあたりのせん断強さ)を算出・評価

タイル目地付着強度試験で得られた荷重(P)とタイルの付着強度試験で得られた荷重(f)を基に、タイル目地強度である目地部の単位長さあたりのせん断強さを算出し、目地部の健全度を評価する。
また試験結果より目地の破壊形態を目視観察し、異常が認められた場合は本試験周辺の箇所にて追加試験を実施、再評価を行う。
 
評価は、必要となる各項目の値を用いて次の式にて算出し、目地強度の施工基準(F)の値を確認し、GNSアンカー工法による外壁改修工事の可否を決定する。
 
施工基準 F <
P -(f×A)L

F:目地部の単位長さあたりのせん断強度(N/mm)
P:目地付着強度の最大値(N/mm²)
f:タイル付着強度(N/mm²)
A:試験した目地部の目地投影面積(mm²)
L:試験した目地部の外周長さ(mm)
 
それぞれで得られた結果から最終的にはGNSアンカー工法による外壁改修工事で問題がないか評価することとなるが、GNSアンカー工法では目地強度の施工基準をF=2.0N/mm以上としている。
タイル浮きの進行が大きいなど、評価の結果が十分でなければピンネット工法などへの工法変更、目地部全体の補強工事、タイルを固定するアンカーピン本数の再検討を行い、また補修工事中に部分的な目地の欠陥などが認められた場合は適宜補修を行うことで対応する。
 
 

6. その他の視点から見たGNSアンカー工法

6-1. 環境面への配慮

これまで述べてきたGNSアンカー工法の施工に当たり、実際に改修工事が行われる現場はそれまでと同じように居住者が日々の生活を続ける中で行われることになる。
その場合、施工上、どうしてもドリルによる穿孔作業や塗装作業など、騒音や粉じん、臭気の問題が伴うが、GNSアンカー工法は通常の振動ドリルではなく「ピアダドリルシステム」による低騒音、粉塵や臭気の抑制が大いに期待できるため、居住者への負担も極めて低くなる。
これは居住者が生活をつづけた上で施工されるマンション改修工事において、実に重要な課題を解決することになる(写真-16)。

写真-16 ピアダドリルシステム
写真-16 ピアダドリルシステム

 

6-2. より過酷な環境における品質の保証

近年、日本の環境は台風の大型化による暴風・豪雨の増加や、地球温暖化による外気温の上昇、紫外線量の増加など過酷な環境へと変わりつつある。
建物は特にこれらの影響を直接的に受けるため、机上の計算のみならず、実際の環境下において、品質がしっかりと守られていることを検証し、使用する材料等の改善・改良を続ける必要がある。
GNSアンカー工法は、現在沖縄県宮古島にある日本最大のばく露試験場において、目地強度の健全調査を続けている(写真-17)。
試験の目的は、タイル目地強度の劣化抑制剤の効果確認、アンカーピン焼付塗装の劣化確認、アンカーピン強度の確認であり、2025年より10年間の品質確認試験を毎年1回実施している。

写真-17 宮古島暴露試験場
写真-17 宮古島暴露試験場

 

6-3. 目地強度や施工条件から適用できない場合

目地強度規定基準である2.0N/mm²以上の強度が適用条件を満たさない場合や施工条件等によって工法の適用ができない場合、当組合ではGNSピンネット工法をはじめとして各種条件に合った工法を適用し、大切な資産である建物を守るお手伝いを全国の組合員一丸となって推進する所存である。
 
 

おわりに~これからの展開~

建物をはじめ各種インフラの老朽化が進む中、既存建物を安全、かつ経済的に改修できる技術はますます重要になってくる。
加えて環境負荷の低減やカーボンニュートラル、カーボンネガティブな世界を実現する社会的要求が高まってくるであろうが、当組合は、GNSアンカー工法をはじめとした当組合員の持てる技術を総動員して建物価値の保全、安全・安心な社会の構築を目指している。
持てる技術の研鑽、改良・改善を続けることが重要であるが、一例として経済性・意匠性を守るGNSアンカー工法と40年以上にわたって外壁落下事故を起こしていないGNSピンネット工法それぞれの良さを生かしたハイブリッド工法を紹介したい。
外壁タイルの落下事故は、特に庇やバルコニー部といった張り出し部下部において発生することが多く見られる。
そこで当組合では、下部をGNSピンネット工法で安全性を極限まで高め、下部から上はGNSアンカー工法を施工することで、経済性を高め、改修工事を発注しやすい工法も提案している。
こうした居住者やマンション管理組合と同じ立ち位置から建物の価値の低下を防ぎ、安全で環境負荷の低減を図る建築物のストックマネジメント型社会の実現に取り組んでいく。
 
 
 

全国ビルリフォーム工事業協同組合 技術委員会

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2026年11月号


積算資料公表価格版2026年11月号

最終更新日:2026-10-22

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