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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > BIM > BIMで積算が変わる!-BIM連携積算への取り組みと双方向連携への実現に向けて-

はじめに

株式会社日積サーベイでは、BIMを活用した積算の普及を目指し、BIM対応建築積算システム「ΗΕΛΙΟΣ(ヘリオス)」を開発・提供しており、2023年12月には、最新版「ΗΕΛΙΟΣ 2024」をリリースした(図-1)。
 
この「ΗΕΛΙΟΣ 2024」では、イメージ入力・3次元表示のスピードアップ、配置画面などを大きくして確認できる拡大鏡、複雑な計算式をポップアップで直感的に作成する補助機能など、全26項目において機能改良を実装している。
 
また、このΗΕΛΙΟΣは、各種BIMソフトとの連携として、2011年にはIFCファイルを中間ファイルとした「IFC連携」を、2016年にはBIMソフトのデータを直接ΗΕΛΙΟΣのデータ形式に変換する「ダイレクト連携」を実現している。
これらのBIM連携機能をリリースして以降、多くの方々に活用いただいており、弊社でもBIMを活用した積算業務を行っている。
 
さらに2022年1月には、BIMソフト上で利用可能なアドイン概算システム「COST-CLIP(コストクリップ)」を販売開始し、2024年2月にはバージョン3.0をリリース予定である。
 
今回は、国土交通省官庁営繕部が2023年度から試行したBIM連携積算に伴う弊社の取り組みと、現在開発を進めている各種BIMソフトとの双方向連携への挑戦を紹介する(図-1)。

図-1 ΗΕΛΙΟΣ 2024
図-1 ΗΕΛΙΟΣ 2024

 
 

国土交通省BIM試行に伴う弊社の取り組み

ご存じの方も多いかと思われるが、本年4月「官庁営繕のBIM連携積算、試行業務を複数件発注」と題する記事が掲載された。
近年、大手ゼネコンを中心に、BIMモデルを積算業務に活用する動きが活発化しているが、今回の施行により、さらにΗΕΛΙΟΣでのΒΙΜ活用に関するお問い合わせを多くいただくようにもなった。
 
そこで、弊社では8月31日に「BIM連携積算セミナー」と題してWebセミナーを実施。
その中で、BIM連携積算の概要や、始め方・取り組み方法、今までの積算との違いなどを説明した。
特に、BIM連携積算のワークフローとして、BIMを全く知らない方でも理解できるように弊社なりの図解を付け加えて丁寧に説明するように心掛けた(図-2)。
 
その結果、600名以上もの方が視聴され、大きな反響をいただいた。
またアンケートにおいても、多くのお客様からBIM連携積算への支援を望まれる声をいただいている。
弊社では、これからもBIM連携積算に関する情報を発信していき、BIM活用に関する相談にも積極的に対応していく予定である。

図-2 BIM連携積算のワークフロー
図-2 BIM連携積算のワークフロー

 
 

双方向連携へのニーズ

そんな中、今度はΗΕΛΙΟΣから各種BIMソフトに戻す案が浮上した。
これはデータ連携を双方向にさせることにより、さらなる業務負担を減らして生産性を向上させる狙いがある。
つまり、積算システム側でのモデルの修正や補正作業を設計ツール側にも生かすことで、設計モデルそのものの精度向上につなげられると考えた。
近年、積算業務における設計者への質疑や訂正作業は年々増加傾向にあり、積算工程へ流れてくる図面や設計モデルは完成版ではない場合が多い。
逆に積算者が扱うモデルは、質疑や変更を盛り込まれた最終形態であるため、より正確なモデルであると言える。
当然であるが、そのモデルを戻してほしいというニーズは自然な流れである。
 
また、この積算者が扱うモデルは施工図にも利用可能と考える。
特に、躯体のフカシや増し打ちに関しては、設計段階ではまだまだ考慮されていないこともあり、設計者が扱うモデルより積算者が扱うモデルの方が、施工図として利用するには、より正確で現実的だと考えられる(図-3)。

図-3 双方向連携の運用イメージ
図-3 双方向連携の運用イメージ

 
 

双方向連携の開発

そこで、弊社では、まずはオートデスク社のBIMツール「Revit」に絞り、ΗΕΛΙΟΣのデータを戻せないか、2022年から研究開発を実施してきた。
「Revit」では、ぶつかり合う部材同士のレベルが合わないなど、整合性が取れていないだけでエラーが表示されてしまうこともあり、試行錯誤の連続ではあったが、ようやくリリースできうるレベルにこぎ付けた。
当機能は、2024年春リリース予定の「HeliosLink2024」に搭載予定。
ただし、この機能はあくまでも初弾であり、柱・梁・壁・スラブ・基礎・建具に限られる。
また、配筋情報もマッピングテーブルを利用して変換させることも可能である(図-4)。
 
弊社では、今後もこの機能を継続的に開発し、グラフィソフト社「Archicad」、福井コンピュータ社「GLOOBE」にも展開させる予定。
また、対象部位に関しても前述の部材だけでなく、部屋や間仕切壁などにも順次対応させていく。
さらには、現在提供中の連携機能と組み合わせて、差分連携にもつなげられるよう模索中である。

図-4 逆変換のイメージ図
図-4 逆変換のイメージ図

 
 

今後の展開

2019年に国土交通省が設置した「建築BIM推進会議」では、BIMを活用した概算やコストマネジメントが、主要なテーマに位置付けられており、「BIM活用概算/積算」の流れは広まりつつある。
弊社もそれに呼応し続けていくことが重要であり、今後もΗΕΛΙΟΣのBIM連携を拡張させていくことは言うまでもない(図-5)。
 
また、今回の双方向連携に関しては、積算事務所側にとっても大きな付加価値を生み出せるツールになり得ると考える。
従来、積算事務所からの成果物は積算結果だけであったが、その積算結果を算出させるために使用した積算モデルも価値のある成果物と言える。
ただし、この成果物はΗΕΛΙΟΣの配置(モデリング)拾いを使用した場合のみに限られ、現在、表形式による拾い方(ΗΕΛΙΟΣでは個別拾いと呼ぶ)をされている積算事務所様には、ぜひ配置およびこのBIM連携機能をご使用していただきたい。

図-5 HELIOSのBIM連携図
図-5 HELIOSのBIM連携図

 
 

会社概要

会社名:株式会社日積サーベイ
所在地:大阪市中央区大手前1-4-12大阪天満橋ビル8F
創業:1964年(昭和39年)10月
URL:https://www.nisseki-survey.co.jp/
資本金:2,000万円
従業員数:43名(2023年4月現在)
主な事業内容:建築積算、コスト算出、コンピューターシステムの開発
 
 
 

株式会社日積サーベイ システム開発部
辻尾 勇人

 
 
【出典】


建設ITガイド 2024
特集2 建築BIM
建設ITガイド2024


 

最終更新日:2024-09-10

 

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