- 2025-06-30
- BIM/CIM&i-Construction | 建設ITガイド
はじめに
四国地方整備局ではデータとデジタル技術を活用し、社会資本整備や公共サービスの改革を推進するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、働き方を改革し、建設業の生産性の向上を図りつつ、インフラへの住民理解を促進し安全・安心で豊かな生活を実現するため、「四国地方整備局インフラDX推進本部会議」を設置し(図-1)、「四国地方整備局インフラDX推進ロードマップ」に基づき(図-2)、各部局が横断的に連携してインフラ分野のDX推進に取り組んでいる。
BIM/CIM取り組み状況
2023年度からのBIM/CIM原則適用により、四国地方整備局直轄事業における同年度のBIM/CIM活用件数は業務89件、工事110件と、前年度実績の約3倍へと急増している(図-3)。
しかし、現段階では発注者から提供できる3次元データは限られており、設計間や設計~工事の間のデータ連携は十分ではない。
これを補うため、スピード感を持ってストックの拡大に努めていくとともに、それを確実に後工程へ引き継ぐデータシェアリングを徹底する。
BIM/CIM活用事例
四国地方整備局の直轄工事におけるBIM/CIM活用事例を紹介する。
橋梁下部工事において、鋼矢板設置箇所付近に存在する既設の平張りコンクリートが、鋼矢板圧入時の施工機械と干渉することが判明した。
そこで、GNSSアンテナで取得した位置情報をARに反映させて正確な位置でBIM/CIMモデルの対象物を現地に反映させることができるシステムを採用し、3Dモデルの施工機械をARにより可視化し現地で支障状況を確認した(写真-1)。
その結果、CAD図面による資料作成や測量による杭打ち作業などを省力化できたことで、従来の作業工数と比較すると約7割の縮減効果が図られ、受発注者間の協議も円滑に進めることができた。
また、別の工事では3次元計測技術を用い、出来形管理に活用した(写真-2)。
少ない人数で計測できること、写真としての活用もできることから、管理の効率化につながるなど、施工現場での、省力化・効率化に向けたBIM/CIM活用が始まっている。
さらに、法面工の工事の例では、吹付 法枠工の出来形管理に3次元計測技術を活用した(写真-3)。
従来はロープによる高所作業者4名でテープ測量を行っていたが、3次元計測では2人での作業と大幅な省力化とともに測量時の安全性向上につながった。
人材育成
BIM/CIM原則適用を効果的に進めるためには、それぞれの役割を担っている発注者、コンサルタント、建設会社が一体となって取り組む必要がある。
四国地方整備局においては、職員向けBIM/CIM研修に加えて、受注者(設計者、施工者別)向けのBIM/CIM講習会のほか、次世代の担い手となる学生向けのDX体験学習や出前講座も実施している(写真-4)。
今後もデジタル技術を十分に理解し、日常使いできるスキルを身につけることを目的に人材育成の取り組みを充実させていく。
i-Constructionモデル事務所の取り組み
四国地方整備局のi-Constructionモデル事務所である松山河川国道事務所においては事業情報プラットフォームを活用し事業監理の効率化を図っている(図-4)。
従来、用地・調査設計・工事の各担当課で、協議事項などを保存しており、担当者不在の場合に最新の情報を入手するのに時間がかかるなど、業務遂行が非効率となっていた。
そこで各段階の協議事項などをBIM/CIMモデルとともにGISツールを用いてクラウド上で一元的に管理・共有することにより、「事業情報の可視化」、「確実な情報共有・管理」が可能となった。
今後は事業進捗管理での活用や維持管理などの場面を踏まえた高度なデータ活用の検討を行っていく予定である。
おわりに
BIM/CIMの活用を加速させるには、受発注者共にその有用性を理解し、活用していくことが重要である。
3次元モデルの視覚的な活用による合意形成や理解促進については一定の効果が得られているが、3次元設計データのICT建機や施工管理での活用など後工程での活用に加えて、属性情報を活用した数量自動算出や3次元モデルと2次元図面の連動、鋼橋の設計から工場製作へのデータ連携などの各種試行により作業の自動化、効率化を推進する。
これまでに得たBIM/CIMを活用したマネジメントの知見を地域のコンサルタントや建設会社、地方公共団体とともに展開することで、建設業の働き方改革を進め、中長期的な担い手確保など四国全体の建設業界の課題解決に向け取り組んでいきたい。
【出典】
建設ITガイド2025

最終更新日:2025-06-30
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