はじめに
本稿は一般社団法人日本建築ドローン協会が2025年1月23日に行った賀詞交歓会の講演を基に作成している。
少子高齢化と労働人口が減少する中、ドローン技術とAI技術を組み合わせて建設業界における生産性を向上させることが重要であり、新しい技術の導入には法改正と社会の受容性を考慮する必要がある。
安全性を担保しつつ、未来の建築物の進化も考慮してドローン技術を活用することが求められる。
1. 日本建築ドローン協会の活動
一般社団法人日本建築ドローン協会は2017年に設立され、建築分野でのドローンの実装化を進めている。
特に、建物の点検においては、国土交通省告示282号で定められているテストハンマーによる打音診断に代わり、ドローンと赤外線を活用することで、効率的かつ安全な点検が可能となっている。
関連して「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」には協会が提供する安全教育講習の修了者が含められる等、安全性の確保にも注力している。
2. 建築とドローンの共生関係
建築物の点検におけるドローンの活用が進む中、将来的にはドローンが人々のライフスタイルに直接関与する時代が来ると考えられている。
建築とドローンの共生関係は、点検だけでなく、さまざまな場面で進んでいく可能性がある。
日本では、ドローン技術の社会実装を進めるために、官民協議会が設置されている。
建築分野においても、ドローンを活用した新しい技術の導入が進められており、法改正や社会の受容性を考慮した取組みが行われている。
3. 建築業界における安全技術と新しいチャレンジ
建築業界では安全活動が日常的に行われており、更なる安全に向け新しいチャレンジが期待されている。
安全技術を共有し、業界全体で活用してもらうために産総研先進ドローン技術コンソーシアムが立ち上げられ、今後活発な意見交換がなされることが期待される。
またドローン技術は新しい産業として国家プロジェクトで支えられており、建築物の中での人の移動や居住空間の進化に寄与する可能性がある。
高層化が進む都市では、建築物の価値が変化し、空中居住空間の可能性も考慮されている。
4. 官民協議会と建築とドローンの政策
2024年11月15日の小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(第20回)にて建築分野のドローン環境整備と活用について議題が挙げられたことは、業界にとって勇気を与えるものである。
これにより、未来の建築物の進化を考えながら活動を続けることが可能となった。
おわりに
官民協議会にて初めて建築分野の施策が盛り込まれたことは、国の動向も含まれ新たな展開へ向けて期待が持てるものとなった。
ドローン技術とAIなどを融合させながら適切に管理をし、生産性の向上を図ることが喫緊の課題となっている。
新技術の導入には、法改正と社会の受容性を考慮することが重要であり、業界全体で活用されることを期待したい。
【参考URL】
「空の産業革命に向けたロードマップ2024」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/pdf/roadmap2024.pdf
小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(第20回)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/kanminkyougi_dai20/gijiyousi.pdf
【出典】
積算資料公表価格版2025年6月号

最終更新日:2025-06-02
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