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(独)土木研究所舗装走行実験施設での載荷試験風景
概要
「フェロニッケルスラグ」は、ステンレス鋼の製造に用いられるフェロニッケルを製造する際の副産物で、生産量は年産約200万トン。
粒子が堅硬で、吸水率が低いという特長を有する。
粒子密度は2.8~3.1g/㎤で、一般的な中詰砂(2.6~2.7g/㎤)と比べて重く、重量が必要な消波ブロックやケーソン中詰材に適している。
循環型社会形成への寄与を目的に用途開発が行われ、2015年9月に「港湾・空港工事における非鉄スラグ利用技術マニュアル」が発刊された。
特長
- 高い安全性
フェロニッケルスラグの主成分は、珪酸がおよそ半分、酸化マグネシウムが約30%などで、土壌含有量試験および溶出試験では無害の材料である。
- 路盤・路床材としての高い性能
道路用フェロニッケルスラグの特性値は、すり減り減量が50%以下、修正CBR値が路盤材は80%以上、路床材は50%以上と締め固め性能が高い特長がある。
また、水硬性や膨張等のない安定した道路材料である。
- アスファルト舗装の長寿命化
フェロニッケルスラグ骨材を使用したアスファルト混合物は、その耐久性について工学的な検証がなされていなかった。
そこで、(独)土木研究所舗装走行実験施設において耐久評価を行った。
舗装の種類を表1に、載荷試験の結果を図1に示す。
わだち掘れ性の大きな改善が観られ、舗装ライフの30%延長を可能とするもので、かつ、ひび割れ性も約20%減少した。
この結果より、フェロニッケルスラグ骨材は舗装の長寿命化に大きく寄与することが分かったが、なお、施工方法は天然骨材と同一条件で一般道路全般および高速道路へ適用が可能である。
フェロニッケルスラグ骨材の使用によるアスファルト舗装の長寿命化は、道路舗装コストの削減への大きな寄与が期待される。
表1 舗装の種類
工 区 |
表 層 |
基 層 |
工区延長 |
1 |
再生密粒度As舗装(20)、 フェロニッケルスラグ10%配合 |
再生粗粒 As(20) |
24 M |
2 |
再生密粒度As舗装(20) |
再生粗粒 As(20) |
24 M |
図1 120万輪走行試験のわだち掘れ量(mm)
導入のメリット
- 品質が安定している
工業製品なので成分や粒度のばらつきが小さいという特長があり、用途に応じて形状などを加工し、より使いやすい製品が開発されている。
- 環境保全への貢献
フェロニッケルスラグを使用することで天然砂の使用量を削減でき、山、川、海等における砂、砂利採取による環境破壊を抑制する。また、金属製錬の副産物を有効利用することで、循環型社会の形成に寄与する。
「フェロニッケルスラグ(骨材/路盤材/路床材)|骨材・砕石|日本鉱業協会 スラグ委員会」の資料請求はこちらから
最終更新日:2024-03-25