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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料 > 令和6年度 国土交通省関係予算概算要求の概要

第1令和6年度予算概算要求の基本方針

(基本的な考え方)
○ 我が国は、気候変動による豪雨や大雪等の自然災害の激甚化・頻発化や新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえた持続可能な経済社会の構築、世界的な物価高騰と諸外国における金融引締めによる経済の下振れリスクへの対応、急速に進行する少子化への対応等、「時代の転換点」とも言える構造的な課題に直面している。
こうした状況に対応し、国民の命と暮らしを守り抜くとともに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたGX、イノベーション創出や新規創業に資するDXへの投資の加速、デジタル田園都市国家構想の実現等による「新しい資本主義」の加速、こども・子育て政策の抜本的強化や経済安全保障の強化、さらには、新たな国土形成計画に基づく「新時代に地域力をつなぐ国土」の実現にも取り組む必要がある。
そこで、次の3点を柱に概算要求に取り組む。
 
○ 第一に、激甚化・頻発化する風水害や切迫する地震災害等に屈しない、強靱な国土づくりをより強力に進める必要がある。
このため、東日本大震災や大規模自然災害からの復旧・復興を図るとともに、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」をはじめ、国土強靱化の取組を強力に推進する。
具体的には、気候変動による水害や土砂災害の激甚化に対抗する「流域治水」の加速化・強化、健全な水循環の維持・回復、広域的・戦略的なインフラマネジメントの視点も踏まえたインフラ老朽化対策の加速、地震、豪雨、豪雪等災害時における物流・人流の確保が図られる交通ネットワーク整備、盛土の安全確保対策の推進、線状降水帯、火山噴火等の観測・予測体制の強化等に取り組み、防災・減災が主流となる安全・安心な社会を構築する。
また、5か年加速化対策後の国土強靱化の着実な推進に向け、改正国土強靱化基本法に基づき、必要な検討を行う。
加えて、通学路等の交通安全対策、運輸分野の各モードにおける総合的な安全対策、海上保安能力の強化、国民保護・総合的な防衛体制の強化等に資する公共インフラ整備に取り組む。
 
○ 第二に、持続的な経済成長の実現のため、GX、DXの加速、生産性の向上や国際競争力の強化に取り組むことが重要である。
住宅・建築物の省エネ対策や木材利用の促進、まちづくりGXを含むインフラの脱炭素化、自動車の電動化等の促進、国土交通分野のDX、造船・海運業の競争力強化、持続可能な観光の推進等に取り組むとともに、国内投資の拡大、生産性の向上等に資する社会資本の重点整備、基盤となる地籍整備、インフラシステム海外展開等を積極的に進める。
加えて、物流や建設業に関するいわゆる「2024年問題」の解決、持続可能な産業の実現に向け、担い手の確保・育成や生産性向上に取り組み、物流の革新、建設業の環境整備を図る。
 
○ 第三に、デジタル技術の活用等によって、地域の個性をいかしながら地方を活性化するとともに、東京一極集中型から脱した分散型国づくりを推進する必要がある。
共生社会実現に向けたバリアフリー社会の形成、地方への人の流れを創出する移住等の促進による多様なライフスタイルの実現、条件不利地域の振興、スマートシティ等の社会実装、次世代モビリティの普及促進、コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくり、交通のリ・デザインによる豊かな暮らしのための交通の実現、多様な世帯が安心して暮らせる住まいの確保等を推進する。
加えて、子育てを住まいと周辺環境の観点から応援する「こどもまんなかまちづくり」等を推進する。
 
○ 以上の認識のもと、令和6年度予算は、「国民の安全・安心の確保」、「持続的な経済成長の実現」、「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」に重点を置き、「重要政策推進枠」も最大限活用して、メリハリを付けた要求を行うとともに、5か年加速化対策の推進や、物価高騰対策、国民保護・総合的な防衛体制の強化等に資する公共インフラ整備等を含めた重要政策のための所要の経費等については、予算編成過程において検討する。
加えて、水道整備・管理行政について、上下水道一体で取り組む体制を構築し、機能強化を図るなど、総合的な水行政を推進する。
(公共事業の適確な推進)
 
○ 社会資本整備は未来への投資であり、将来にわたり「真の豊かさ」を実感できる社会の構築に向けて、「総力」を挙げたストック効果の最大化に取り組む必要がある。
「インフラ経営」の視点に立ち、既存施設の計画的な維持管理・更新・利活用を図りながら、上記の3本柱の実現に資する波及効果の大きなプロジェクト等を戦略的かつ計画的に展開することが不可欠であり、中長期的な見通しの下、必要かつ十分な公共事業予算の安定的・持続的な確保を図る。
その際、資材価格の高騰等を踏まえて、必要な事業量を確保する。
 
〇 また、公共事業を効率的かつ円滑に実施し、引き続き順調な執行を確保するため、新・担い手3法も踏まえ、施工時期等の平準化や適正価格・工期での契約、国庫債務負担行為の積極的な活用、地域企業の活用に配慮した適正規模での発注等を推進するとともに、新技術の導入やi-Constructionの推進、災害等に備えた防災体制等の拡充・強化にも取り組む。
あわせて、建設資材価格の変動への対応、建設キャリアアップシステムも活用した処遇改善、現場技能者への賃金支払の適正化による建設産業の賃上げを図るとともに、週休2日の実現に向けた働き方改革の推進、外国人技能労働者の受入・育成等に取り組む。
 
 

第2令和6年度予算概算要求の概要

令和6年度予算概算要求額


1.国民の安全・安心の確保
(1)東日本大震災や相次ぐ大規模自然災害からの復旧・復興

⒜東日本大震災からの復興・再生[465億円]
(注)復興庁一括計上
「第2期復興・創生期間」における東日本大震災の被災地の住まいの再建や復興まちづくり、インフラの整備を着実に推進するとともに、福島県における被災者の暮らしを支える被災地の地域公共交通や、福島県の震災復興に資する観光関連事業等に対する支援を引き続き実施する。
 
⒝大規模自然災害からの復旧・復興
近年相次ぐ大規模自然災害からの復旧・復興に向けて、道路、河川、砂防、港湾、水道、下水道、公園、鉄道等のインフラの整備や被災地の住宅再建・宅地の復旧等に対する支援を着実に推進する。
 

(2)災害に屈しない強靱な国土づくりのための防災・減災、国土強靱化の強力な推進

※ 防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策については、事項要求を行い、予算編成過程で検討する。
 
⒜気候変動による水害や土砂災害の激甚化に対抗する「流域治水」の加速化・強化[8,002億円(1.26)]
気候変動による水災害リスクの増大に備えるために、流域治水関連法も踏まえた「流域治水」の考え方に基づき、堤防整備、ダム建設・再生などの対策をより一層加速するとともに、自助・共助・公助の観点に立って、国・都道府県・市町村、企業・住民など流域のあらゆる関係者で水災害対策を強力に推進する。
また、気候変動による集中豪雨の増加や火山噴火等により激甚化・頻発化する土砂災害に対して、ハード・ソフト一体となった総合的な対策を実施し、地域全体の安全性向上を強力に推進する。
 
⒝南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策等の推進[2,454億円(1.22)]
切迫する南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震などの大規模地震に備え、想定される被害特性に合わせた実効性のある対策を総合的に推進する。
 
⒞密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化の促進[81億円(1.17)]
大規模地震や大規模火災の発生時における人的・経済的被害の軽減を図るため、密集市街地の改善、住宅・建築物の耐震化や防火対策等を推進する。
 
⒟災害対応能力の強化に向けた線状降水帯等に関する防災情報等の高度化の推進[100億円(1.37)]
非接触・リモート型の新技術の活用や共有体制の構築により、線状降水帯、火山噴火等に関する防災気象情報や災害発生状況などの防災情報の適確な把握・提供を図り、行政や住民の災害対応能力を強化する。
 
⒠災害時における物流・人流の確保[4,968億円(1.19)]
災害発生時であっても輸送ルートが確保されるよう、啓開体制を構築するとともに、地震、豪雨、豪雪等を想定した防災対策を推進する。
 
⒡盛土の安全確保対策の推進 [9,943億円の内数]
令和5年5月に施行された盛土規制法に基づく都道府県等が実施する規制区域指定のための調査等の取組や盛土の安全性把握調査、対策工事等に対する支援措置を通じて、盛土の安全確保対策を推進する。
 

(3)インフラ老朽化対策等による持続可能なインフラメンテナンスの実現[9,074億円(1.23)]

 
インフラが持つ機能が将来にわたって適切に発揮できるよう、広域的・戦略的なインフラマネジメントの取組や、国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)に基づく取組など、インフラ老朽化対策等による持続可能なインフラメンテナンスの実現に向けた取組を推進する。
 

(4)地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援(防災・安全交付金)[9,943億円(1.20)]

激甚化・頻発化する風水害・土砂災害や大規模地震・津波に対する防災・減災対策、予防保全に向けた老朽化対策など、地方公共団体等の取組を集中的に支援する。

(5)交通の安全・安心の確保

⒜運輸分野の各モードにおける総合的な安全対策の推進[124億円(1.24)]
公共交通等における安全・安心の確保を図る取組を推進する。
※ 「一般会計から自動車安全特別会計への繰戻し」については、大臣間合意を踏まえつつ、さらなる増額を図るため、事項要求を行い、予算編成過程で検討する。
 
⒝通学路等の交通安全対策の推進[3,034億円(1.21)]
交通安全確保のため、生活道路対策や踏切対策、無電柱化等の道路交通安全環境の整備等を推進する。
 

(6)新たな国家安全保障戦略を踏まえた海上保安能力の強化等[2,739億円(1.13)]

厳しさを増す我が国周辺海域の情勢等に対応するため、新たな国家安全保障戦略を踏まえ、海上保安業務の遂行に必要な能力を強化するとともに、救助・救急体制等国民の安全・安心を守る業務基盤の充実を図る。
 

(7)国民保護・総合的な防衛体制の強化等に資する公共インフラ整備

令和4年12月に閣議決定された国家安全保障戦略等に基づく国民保護・総合的な防衛体制の強化等に資する公共インフラ整備に取り組む。
※ 国民保護・総合的な防衛体制の強化等に資する公共インフラ整備に要する経費については、事項要求を行い、今後の関係省庁間での検討状況等を踏まえつつ、予算編成過程で検討する。
 

2.持続的な経済成長の実現
(1)ストック効果を重視した社会資本整備の戦略的かつ計画的な推進

我が国の経済を支える人流・物流ネットワークや、企業立地・設備投資を誘発するインフラなど、国内投資の拡大、生産性の向上等に資する社会資本を戦略的かつ計画的に整備する。
 
⒜効率的な物流ネットワークの早期整備・活用[4,471億円(1.20)]
大都市圏環状道路等の整備やピンポイント渋滞対策等を併せて推進し、交通渋滞の緩和等による迅速・円滑で競争力の高い物流ネットワークの実現を図る。
 
⒝地方都市のイノベーション力・大都市の国際競 争力の強化[156億円(1.20)]
イノベーション拠点の形成やデジタル技術等を通じた地方都市と大都市との交流・連携を推進するとともに、国際ビジネス拠点を支える都市基盤
の整備や優良な民間都市開発事業を推進する。
 
⒞航空ネットワークの充実[151億円(1.21)]
ポストコロナの経済社会の変化に対応するため、国際競争力の強化や訪日外国人旅行者の受入対応等に資する空港の機能強化等を計画的に推進する。
※ 航空・空港を取り巻く環境変化に対応するため、ポストコロナにおける持続可能性と利便性の高い空港業務等のあり方を実現するために必要な措置について、今後の予算編成過程において検討する。
 
⒟整備新幹線の着実な整備[804億円(1.00)]
我が国の基幹的な高速輸送体系を形成する整備新幹線について、着実に整備を進める。

* この他、北陸新幹線について、必要な調査等を先行的・集中的に行う。
 
⒠鉄道ネットワークの充実[206億円(1.14)]
大都市圏における地下高速鉄道ネットワーク等の都市鉄道整備や技術開発等を進めるとともに、東京圏における今後の都市鉄道のあり方や幹線鉄道ネットワーク等に関する調査を行う。
 
⒡国際コンテナ戦略港湾の機能強化[794億円(1.27)]
サプライチェーンの強靱化・安定化を進めるため、コンテナ船の国際基幹航路の維持・拡大に向けた取組を推進する。
 
⒢成長の基盤となる社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金)[6,563億円(1.20)]
将来の成長の基盤となる民間投資・需要を喚起する道路整備やPPP/PFIを活用した下水道事業や公園整備、地域の賑わいの創出に資する民間等と連携した河川の水辺整備など、地方公共団体等の取組を総合的に支援する。
 

(2)脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)の推進

 
⒜ ZEH・ZEBの普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化[1,225億円(1.25)]
我が国のCO2排出量の約3割を占める民生部門における省エネ、再エネ利用等を促進するため、カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の省エネ化や木材利用の促進を図る。
 
⒝グリーンインフラ、まちづくりGX等のインフラ・まちづくり分野における脱炭素化の推進[229億円(1.43)]
自然の持つ多様な機能を活用するグリーンインフラ等のインフラの活用、都市における緑地の確保やエネルギー利用の再エネ化・効率化等を進めるまちづくりGXの推進を図るなど、インフラ・まちづくり分野における脱炭素化を推進する。
 
⒞自動車の電動化等の促進 [38億円(1.21)]
自動車の電動化等の促進に向けた支援策を強化するとともに、自動車の電動化等に対応した道路インフラの社会実装に向けた検討を行う。
 
⒟カーボンニュートラルポートの形成等の港湾・海事分野における脱炭素化の推進[111億円(1.98)]
脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素等の受入環境の整備等を図る「カーボンニュートラルポート(CNP)」の形成を推進するとともに、炭素排出の少ないLNG燃料船の普及促進、温室効果ガス(GHG)排出ゼロの実現に向けた国際戦略の推進等による船舶の低・脱炭素化や洋上風力発電の導入等により、港湾・海事分野のカーボンニュートラルを推進する。
 
⒠持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進や空港の再エネ拠点化等の航空分野における脱炭素化の推進[26億円(1.28)]
航空分野における脱炭素化の実現に向けて、航空機の運航及び空港における脱炭素化の取組を推進する。
 
⒡鉄道資産を活用した再エネ導入や沿線地域と連携したグリーン電力の地産地消等の鉄道分野に おける脱炭素化の推進[6億円(2.81)]
鉄道分野における脱炭素化の実現に向けて、鉄道資産を活用した再エネの導入や、沿線地域と連携したグリーン電力の地産地消、鉄道車両の脱炭素化等の取組を推進する。
 

(3)国土交通分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)や技術開発、働き方改革等の推進

⒜ DXの推進等[11億円(2.48)]
ポストコロナの新たな経済社会に的確に対応する観点から、デジタルトランスフォーメーションの加速化を図る。
また、統計の抜本的な改革を推進するための「国土交通省統計改革プラン」(令和4年8月10日)に基づき、統計全般の省横断
的な企画立案、点検、品質改善を図る。
 
⒝ i-Construction、建築・都市のDX等の「インフラ分野のDXアクションプラン」の推進[222億円(3.11)]
新技術の活用拡大、ICT施工の地方公共団体への普及等によりi-Constructionを推進する。
また、建築物の3次元データと属性情報を併せ持つBIM、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を推進するProject PLATEAU、不動産の共通コードである不動産ID等について、活用・連携を行う建築・都市のDX及びこれらと地理空間情報を組み合わせた利活用の高度化を推進する。
これらも含め、「インフラ分野のDXアクションプラン(第2版)」等に基づき、インフラDXの推進に向けて取り組む。
 
⒞経済安全保障にも資する造船・海運の国際競争力強化や海洋開発等の推進[78億円(1.05)]
造船・海運の国際競争力強化・生産性向上、海洋資源・エネルギー等の開発・利用、海洋権益の保全・確保に関する取組等を推進する。
 
⒟運輸業、不動産鑑定業、造船・海運業、宿泊・観光業等における人材確保・育成 [306億円の内数]
現場を支える技能人材等の確保・育成や生産性の向上のため、適切な賃金設定等の処遇改善、教育訓練の充実等を官民一体で推進する。
 

(4)持続可能な観光の推進

⒜持続可能な観光の推進[236億円(2.37)]
我が国の成長戦略の柱、地域活性化の切り札である観光について、持続可能なあり方で、全国あまねくその効果を広めるべく、観光産業の「稼げる」産業への変革を進めつつ、持続可能な観光地域づくりや地方を中心としたインバウンド誘客、国内交流拡大に戦略的に取り組む。
 
⒝国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開[420億円(2.13)]
「国際観光旅客税の使途に関する基本方針等について」(令和4年12月観光立国推進閣僚会議決定)に基づき、より高次元な観光施策を展開する。
* 国際観光旅客税を充当する施策の考え方については、既存施策の財源の単なる穴埋めをするのではなく、
①受益と負担の関係から負担者の納得が得られること、②先進性が高く費用対効果が高い取組であること、③地方創生をはじめとする我が国が直面する重要な政策課題に合致することを基本とする。
* 国際観光旅客税を充当する具体的な施策・事業については、硬直的な予算配分とならず、常に上記の考え方を満たすものとなるべく、毎年度洗い替えが行えるよう、民間有識者の意見も踏まえつつ検討を行い、予算を編成する。
 
⒞社会資本の整備・利活用を通じた観光振興
観光資源としての既存ストックの公開・開放などの社会資本の利活用や、観光客の移動円滑化等にも資する社会資本の整備を通じて、地域の観光振興に貢献する。
 

(5)「2024年問題」の解決等に向けた物流の革新、持続可能な建設業の実現

令和6年4月から時間外労働の上限規制がトラックドライバーや建設業に適用され、影響が懸念される「2024年問題」の解決等に向けた取組を推進する。
 
⒜担い手の確保・育成や物流の効率化等による物流の革新[183億円(1.71)]
物流の「2024年問題」の解決等に向け、持続可能な物流を実現すべく、令和5年6月の関係閣僚会議にて決定された「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき、物流拠点・ネットワークの機能強化、物流GX・DX・標準化等による「物流の効率化」、「商慣行の見直し」、「行動変容を促す仕組みの導入」等の抜本的・総合的な対策を一体的に進め、物流の生産性向上等を推進する。
※ 「物流2024年問題」の解決等に向け持続可能な物流を実現すべく、モーダルシフトを強力に促進するための環境整備及び再配達削減に向けた取組に必要な経費については、事項要求を行い、予算編成過程で検討する。
 
⒝担い手の確保・育成や生産性向上による持続可能な建設業の実現[7億円(1.44)]
建設業の「2024年問題」の解決、持続可能な建設業の実現に向け、建設資材価格の変動への対応、建設キャリアアップシステムも活用した処遇改善、現場技能者への賃金支払の適正化による建設産業の賃上げ、週休2日の実現に向けた働き方改革の推進、外国人技能労働者の受け入れ・育成等により、担い手の確保・育成や生産性向上に取り組む。
 

(6)民間投資やビジネス機会の拡大

⒜ビジネスでの利活用に向けた地籍整備等の推進やデータ基盤・提供環境の整備[111億円(1.17)]
不動産投資市場の活性化等を通じたビジネスの機会拡大・効率化や新ビジネスの創出に向けた環境整備を推進するため、土地の適正価格の把握や社会資本整備の基盤である地籍整備について地域特性に応じた戦略的な推進を図る。
 
⒝ PPP/PFIの推進[66億円(2.73)]
民間の資金・ノウハウを活用した多様なPPP/ PFIを通じて、低廉かつ良質な公共サービスを提供するとともに、民間の事業機会を創出し、経済
成長の加速化や地域活性化を図る。
 
⒞インフラシステム海外展開の戦略的拡大[33億円(1.20)]
デジタル変革、カーボンニュートラルへの対応等を通じ、世界のインフラ需要を取り込んでいくため、「インフラシステム海外展開戦略2025」及び「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画」等を踏まえ、我が国の強みである質の高いインフラの海外展開に向けた取組を官民一体で推進する。
 

(7)2025年大阪・関西万博や 2027年国際園芸博覧会に向けた対応

令和3年8月に策定された大阪・関西万博に関連するインフラ整備計画に基づく会場周辺のインフラ整備や経済産業省からの委任を受けた「日本館」の整備等、2025年大阪・関西万博の円滑な開催に資する取組を関係省庁と連携し推進する。
神奈川県横浜市で開催される2027年国際園芸博覧会については、令和5年4月に関係閣僚会議を開催し、本博覧会の成功に向け、関係府省庁で一丸となって開催準備に万全を期することとされており、2025年大阪・関西万博とも連携して機運醸成を図るなど、着実な準備を進める。
 

3.個性をいかした地域づくりと分散型国づくり
(1)共生社会実現に向けたバリアフリー社会の形成と活力ある地方創り

⒜地域公共交通や観光地・宿泊施設等のバリアフリー化の推進とユニバーサルデザインのまちづくりの実現[333億円の内数]
誰もが安心して暮らし、快適に移動できる環境を整備するため、鉄道駅や地域公共交通、観光地・宿泊施設等のバリアフリー化を推進する。
また、全ての人に優しいユニバーサルデザインのまちづくりを実現するため、幅広い世代が利用する駅前広場や公園施設等のバリアフリー化を推進する。
 
⒝空き家対策、所有者不明土地等対策及び適正な土地利用等の促進[98億円(1.38)]
空き家・所有者不明土地等の適正かつ効果的な活用により地域の生活環境の維持・向上を図り、魅力・活力のある地域の形成を推進する。
 
⒞離島、奄美群島、小笠原諸島、半島、豪雪地帯等の条件不利地域の振興支援 [56億円(1.20)]
離島、奄美群島、小笠原諸島、半島、豪雪地帯等の条件不利地域について、地域資源や地域の特性、創意工夫等を活かした取組に対する支援を行う。
 
⒟民族共生象徴空間(ウポポイ)を通じたアイヌ文化の復興・創造等の促進[22億円(1.21)]
令和2年7月に開業した「民族共生象徴空間(ウポポイ)」への年間来場者数100万人を目指し、戦略的な誘客施策を実施するとともに、コンテンツの充実や地域との連携等の推進を図り、アイヌ文化の復興・創造等を促進する。
 
⒠首里城の復元に向けた取組の推進[47億円の内数]
関係閣僚会議で決定された「首里城正殿等の復元に向けた工程表」に基づき、首里城正殿の本体工事(令和4年11月着工)を引き続き実施し、令和8年の復元に向けた取組を進める。
 

(2)デジタル田園都市国家構想の実現に資する分散型国づくりや持続可能な地域活性化

⒜新たな国土形成計画の推進[2億円(1.37)]
新たな国土の将来ビジョンとして「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、「シームレスな拠点連結型国土」の構築を図る新たな国土形成計画(令和5年7月閣議決定)を実効的に推進していくため、広域地方計画の検討・策定作業を進めるとともに、新しい資本主義やデジタル田園都市国家構想を踏まえつつ、人口減少下においても地方において人々が安心して暮らし続けることができる社会の実現に向けた取組を推進する。
 
⒝地方への人の流れを創出する移住等の促進[2億円(皆増)]
新たな国土形成計画に掲げる「新時代に地域力をつなぐ国土」を実現するため、移住等をとりまく各段階での課題に対応した施策を講じ、地方への人の流れを創出する移住・二地域居住等の促進を図る。
 
⒞コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくりの推進[863億円(1.15)]
地域の生活機能の誘導・集約や防災指針を軸とした防災・減災を推進するとともに、多様なライフスタイルを支えるコンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくりを推進する。
 
⒟個性ある多様な地域生活圏の形成[241億円(1.04)]
デジタルとリアルが融合した「地域生活圏」の構築のためのモデルケースを創出するとともに、多様な公園緑地の整備や、固有の歴史・景観資源の活用等により、安全で魅力ある地域づくりを進める。
 
⒠スマートシティの社会実装の加速[10億円(2.07)]
デジタル田園都市国家構想の実現等に向けて、新技術や官民データを活用して地域の課題解決、新たな価値の創出を図るスマートシティの実装の加速化を図るとともに、その基盤となる3D都市モデルの整備等を推進する。
 
⒡次世代モビリティの普及促進[269億円の内数]
ポストコロナにおけるヒト・モノの移動ニーズの変化に対応するため、デジタル田園都市国家構想の実現に資するAI・IoT等の新技術を活用した次世代モビリティの普及等を促進する。
 
⒢地域・拠点の連携を促す道路ネットワークの整備[4,499億円(1.19)]
分散型国づくりへの転換を図るとともに、デジタル実装した社会を支え、人流・物流の円滑化・活性化を図るため、地域・拠点をつなぐ道路ネットワークを整備する。
 
⒣地域の暮らしと産業を支える港湾整備の推進[1,583億円(1.20)]
デジタル実装した社会を支え、民間投資の誘発、雇用と所得の維持・創出を図るため、地域の暮らしと産業を支える港湾の整備を推進する。
 

(3)デジタル田園都市国家構想の実現に資する交通のリ・デザイン[540億円(1.23)]

地域の多様な関係者が連携・協働し、デジタル技術も活用しつつ地域公共交通を再構築する「リ・デザイン」に向けた取組を支援し、持続可能な公共交通サービスの構築を推進するとともに、港湾等の人流ネットワークの早期整備・活用による広域圏の自立的発展と交流・連携の強化を図る。
* この他、交通DX・交通GXを通じた利便性向上と経営力強化を図る取組への財政投融資を活用した支援を行う。
 

(4)「こどもまんなかまちづくり」の推進等こども・子育て政策の抜本的強化

「こども未来戦略方針」(令和5年6月閣議決定)を踏まえ、こどものための近隣地域の生活空間を形成する「こどもまんなかまちづくり」を加速化するとともに、こどもや子育て世帯を社会全体で支える機運を醸成するための取組を実施する。

(5)安心して暮らせる住まいの確保と魅力ある住生活環境の整備

⒜多様な世帯が安心して暮らせる住宅セーフティネット機能の強化[859億円(1.26)]
高齢者世帯、子育て世帯など、住まいの確保に困難を抱えている世帯をはじめとして、誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保を図る。
 
⒝既存住宅流通・リフォーム市場の活性化[465億円(1.50)]
既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に向け、取引環境の整備や既存ストックの質の向上、住宅・建築分野のDXを推進する。
 

(6)豊かな暮らしを支える社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金)【再掲】[6,563億円(1.20)]

コンパクト・プラス・ネットワークの推進やゆとりとにぎわいのあるまちづくり、地域公共交通のリ・デザイン(再構築)など、地方公共団体等の取組を総合的に支援する。
 
※ 計数については、一部重複がある。
 
[参考]デジタル庁一括計上[391億円]
国土交通省が所管する政府情報システムに係る予算については、デジタル庁に一括計上した上で、国土交通省において執行する。(一括計上されたシステム)
・国土交通本省行政情報ネットワークシステム
・次世代河川情報システム
・特殊車両通行許可システム
・海事局情報連携等基盤システム
・地方整備局等行政情報システム
・火山監視情報システム 等
 
 

第3令和6年度国土交通省関係予算概算要求総括表

第3 令和6年度国土交通省関係予算概算要求総括表
国土交通省関係財投機関財政投融資計画要求総括表

 
 

第4公共事業予算の一括計上

○北海道総合開発、離島振興、奄美群島振興開発の推進地域の総合開発等の推進を図るため、北海道、離島及び奄美群島に係る公共事業予算は、農林水産省及び環境省関係を含めて国土交通省に一括計上を行っている。

第4 公共事業予算の一括計上
東日本大震災復興特別会計(復旧・復興)予算概算要求事業費・国費総括表
公共事業関係費(政府全体)の推移
公共事業関係費(政府全体)の推移

 
 
 

国土交通省 大臣官房 会計課

 
 

【出典】


積算資料2023年11月号
積算資料2023年11月号

最終更新日:2024-03-25

 

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