Park-PFIの運用改善のポイント〜公園緑地公民連携研究会の議論を踏まえて〜
1. Park-PFIの最近の動向
平成29年の都市公園法改正により公募設置 管理制度(Park-PFI)が創設されてから、今年で10年目を迎える。
Park-PFI制度とは、都市公園法第5条に定める設置管理許可制度(公園管理者以外の者(民間事業者など)が公園施設を整備・管理することができる仕組み)を基に公園施設の公募手続きを定めたもので、公募で選定された民間事業者の計画を認定し、認定された計画(以下、「認定計画」という)に基づき設置・管理される飲食店や売店などの公園施設について、収益の一部を公園再整備へ還元することを前提に、設置管理許可期間の更新保証や建ぺい率の特例措置などを講ずる制度である。
行政の財政的負担を軽減しつつ、民間事業者の創意工夫を活かした都市公園の魅力の向上と持続可能な運営が期待されるため、行政・民間事業者双方の関心は高く、令和8年1月時点での公募事例は230件、供用開始済みは127件にのぼっている。
2. 制度の円滑な運用の視点
制度創設後10年が経過したとはいえ、同制 度を活用する行政・民間事業者にとっていまだ手探りな部分も多い。
筆者が所属する一般社団法人日本公園緑地協会では、制度創設の翌年度から「公園緑地公民連 携研究会」(以下、「研究会」という)を設立し(図- 1)、Park- PFIに関心のある民間事業者、オ ブザーバーの行政担当者とともに、事業推進上の 課題について検討を重ねてきている[1]。
Park-PFIの取組みを進める地方公共団体や事業者へのアンケートや意見交換、先進事例調査などから、制度の円滑な運用のためにはおおむね以下のような課題が浮かび上がっている(図- 2)。

図-1 公園緑地公民連携研究会の体制

図-2 研究会のこれまでの提言事項(主な項目)
2-1. 民間事業者の問題意識
民間事業者の問題意識はさまざまであるが、 主なものは以下の3項目に分類される。
1) 公民のリスク分担
第一に事業リスクが不明瞭あるいは民間事業者に対して片務的である、との問題意識である。
民間事業者が設置する公募対象公園施設は、Park-PFIが想定する20年の間に投下資金の回収が行えなければ事業は成立しない。
このため、Park-PFI参入を経営判断するために必要な条件は公募段階で全て開示されていることが不可欠であるが、リスクに対する公民の責任区分が民間に多くを委ねる片務的な内容であったり、協議事項とされていると、参入判断が困難となる。
2) 認定計画の変更に対する柔軟な対応の必要性
第二に認定計画の変更に対し行政が慎重で、協議に多大な時間を要している、との問題意識である。
公募時に提出した計画は限られた時間と情報の下に作成された企画レベルの計画であり、事業を進めながら熟度を向上させ、より良い計画に高めていくためには当初計画の修正・変更は避けられない。
一方で、いったん認定された計画の変更に対する行政の対応は慎重で、内部調整などに多大な時間を要し、その間にもコスト(人件費、金利、固定費など)が発生し続けるため、事業者にとって大きなリスクになる。
3) パートナーシップの構築
第三に公民連携によりPark-PFIを進めるための相互理解と協力体制に関する問題意識である。
Park-PFIは公園利用者サービスの質を高め、住民の満足度向上を目指すものであり、公民が協働して作り上げていくものである。
発注者・受注者といった構図、責任区分が曖昧なまま事業者が責任を負う構図が少なからず散見され、公民が対等な立場で事業を進める必要がある。
2-2. 行政(公園管理者)の問題意識
行政側の問題意識は、おおむね次のように分類される。
1) 行政処分に対する説明責任
第一に行政処分を伴う制度の運用に関する問題意識である。
Park-PFIは、公募により選定された事業者に対して都市公園法第5条に基づく設置管理許可を与える仕組みである。
設置管理許可とは、公園管理者が特定の事業者などに対して特別の使用権(排他的利用)を認める行政処分であり、その運用には高い透明性・公平性が求められる。
2) 認定計画の変更手続き
第二に認定計画の変更手続きが行政処分の変更であることに関する問題意識である。
Park-PFIが行政処分に直結する以上、いったん認定した計画の変更は内容の妥当性だけでなく、変更手続き(関係者への再説明など)にも留意する必要がある。
また、変更内容には計画の根幹に関わるものから軽微なものまでさまざまあるが、軽微な内容のものまで変更手続きを要するのか判断に迷う。
以上のような問題意識は、初めてPark-PFIに関わる自治体や民間事業者だけでなく、既に複数の活用事例を有する自治体や民間事業者にも課題と認識されており、Park-PFIの推進に向け、一つ一つ改善方向を検討していくことが必要であろう。
3. 当面解決すべき課題
令和7年度に開催された研究会では、以下のような改善方向が議論されている。
3-1. 認定計画の変更に対する柔軟な対応
1) 認定計画の変更協議における迅速な対応
民間事業者からは認定計画の変更協議に多大な時間を要し、事業中断によるコストが大きなリスクになるとの問題意識がある。
一方、行政からは当初の認定計画から大きく変更してしまうと当初計画の評価の正当性が揺らぐとの懸念が示されている。
認定計画の変更が行政処分を伴う以上、慎重な対応が避けられないのであれば、あらかじめ公募の段階で、認定計画の変更には時間を要することを事業者に周知することが望まれる。
また、国ガイドライン[2]に記載のとおり、公募時の選定委員会などを活用した変更協議の迅速な対応が望まれる。
2) 当初計画の認定時期に関する工夫
認定計画の変更手続きの負担を減らすために、認定時期の工夫(基本設計の成果などを踏まえ計画内容が固まった段階で認定する)、施工中に発生した変更は供用開始後に一括して変更手続きを行う、などの運用が望まれる。
3) 認定計画への記載事項の工夫
認定計画の変更内容は、計画の根幹に関わる内容から軽微な内容までさまざまだが、行政か らは軽微な内容まで変更手続きが必要か判断に迷う、との意見も多い。
変更手続きに要する負担を軽減するため、公募対象公園施設に求められる機能に直結しない内容については認定計画に詳細な記載を行わない(例えば、「カフェ」の記載に留めればテナントが変更になっても変更手続きを要しない)、あるいは「予定」「など」「ほか」といった表現を用いて運用の幅を残すなど、認定計画の記載方法の工夫が望まれる。
4) 供用期間(営業期間)確保への配慮
公募対象公園施設の供用期間(営業期間)は事業性に大きな影響を与え、変更協議に時間を要すると供用期間に影響が出る場合がある。
事前協議・設計期間、工事期間や原状回復期間は認定期間から除外し、別途の占用許可で対応するなど、供用期間(営業期間)を最大20年確保できる配慮が望まれる。
3-2. 急激な物価上昇などへの対応
近年の社会情勢の変化に伴う資材や労務単価の高騰は、民間事業者が想定していたリスクの範囲を大きく超えており、公募対象公園施設の仕様の見直しや収益性の高い業態への変更など認定計画の変更に迫られる状況も生じている。
Park-PFI事業に取り組む自治体においては、認定計画の変更協議への対応、公共施設部分(電気設備、給排水設備など)に関する負担軽減に加え、整備後に公共移管される特定公園施設の建設・維持管理に係る物価・金利上昇分は、原則行政負担とすることが望まれる。
3-3. 事業運営の円滑化に向けた対応
1) イベント実施における手続きの簡素化
公園利用者サービスの一環として実施されるイベントは、行政からも積極的に開催することを望む声があるが、開催に要する手続きが煩雑であり、手続きの簡素化を望む声も上がっている。
民間事業者が提出する年間管理運営計画に記載されたイベントに対する一括した行為の許可(使用許可)や管理許可など、手続きの簡素化が望まれる。
2) 屋外広告物の取り扱いに関する事前説明
多くの地方自治体では、都市公園は屋外広告物条例に定める禁止地域(原則として屋外広告物の表示が禁止される地域)に含まれており、一般の許可基準よりも厳しい基準が適用されている。
店名を示す屋外広告物の設置はテナント誘致に直結する重要な要素であり、屋外広告物の取り扱いについて公募の段階で丁寧に整理・明示することが望まれる。
3-4. 認定期間終了後の取り扱い
Park-PFI事業の多くは認定期間終了までに原状回復することが原則とされているが、一部の事例では認定期間終了後も事業継続の可能性を残すものとなっている。
民間事業者は、利用者ニーズの変化への対応や収益性の確保、耐用年数を迎える設備の更新のため、数年に一度、継続的な追加投資を行う必要があり、認定期間終了後の取り扱いは追加投資計画に大きな影響を及ぼす。
認定期間終了時より一定期間の余裕をもって、認定期間終了後の取り扱いについて協議する場を設けることが望まれる。
3-5. 公民連携事業を進めるための対応
1) パートナーシップの確立
Park-PFIは、公民連携により公園利用者サービスの質を高め、住民の満足度向上を目指すものであり、いわば公民は「ビジネスパートナー」とも表現できる。
事業を円滑に推進するために、定期的な意見交換の場の確保にあわせて、都市公園の管理運営に精通し、かつ民間事業への理解を備えた専門技術者が行政内部において担当する体制の構築など、パートナーシップの確立に向けた取組みが期待される。
2) 事例集や国主導による勉強会の開催
Park-PFI創設から事業実績も多数に上り、さまざまな課題解決事例も蓄積していると考えられる。
より良い制度運用のため、参考事例集の整備や国が主導する勉強会の開催が望まれる。
4. 柔軟な制度運用のために
Park-PFIは、行政の財政負担を軽減しつつ、民間の創意工夫により公園利用者サービスの向上や老朽化施設の更新を図る制度である。
しかし、行政が公物管理責任を負い、事業者が採算性確保を追求するという構造上、両者の間にはさまざまな調整事項や解決すべき課題が生じる。
研究会ではこれまで、この緊張関係を建設的な協働関係へと転換するため、事業条件やリスク分担の事前明示により調整を円滑化する方策を提言してきた。
一方、飲食店のメニュー構成・価格設定、物販店の取扱商品など、民間事業者による提供サービス内容については、事前明示が困難な課題として残されている。
これらは事業化の過程で変動する要素であると同時に、地方自治法第244条が定める「公の施設」の一般条件(公平性・平等性など)から一定の制約が求められるものである。
これらの課題の解決には、当該公園でPark-PFIにより何を実現するかについて、その事業目的を公民で明確に共有し、それを判断の拠り所とする仕組みが必要であると考えられる。
研究会では今年度、この判断の枠組みについて検討を深める予定である。
Park-PFIは、究極的には、住民・市民がそこに住み続けたい・訪れたい、と思う環境を実現するための政策ツールである。
制度創設から早くも10年。
これからもPark-PFIが各地で活用され、地域の課題解決に役立つことを期待したい。

久屋大通公園(愛知県名古屋市)
【中心市街地の立地に合わせた
さまざまなテナントが導入されている】

代々木公園(東京都渋谷区)
【都立公園の一角に、さまざまな
アーバンスポーツ、ランニングやヨガ、
食、音楽、アートなどが楽しめる施設を整備】

学びの森(岐阜県各務原市)
【木材を活用した屋内型子どもの遊び場】

代々木公園(東京都渋谷区)
【広場・テラスの劇場型利用】

難波宮跡公園(大阪府大阪市)
【遺構や芝生広場を眺めながら飲食が楽しめる】
参考文献
[1]研究会における検討結果は提言に取りまとめて公表している。
公園緑地公民連携研究会提言(第1次~第7次)https://park-pfi.com/pos-ppp/
[2]「都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用ガイドライン」(平成29年8月10日制定、平成30年8月10日、令和5年3月31日、令和7年5月30日改正:国土交通省都市局公園緑地・景観課)
【出典】
最終更新日:2026-07-22

