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GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)の開催に向けて

はじめに

日本で開催された6回目の万博として2025年に大阪市・夢洲で開催された大阪・関西万博は、半年間の会期に約2,900万人の入園者を集め、成功裏に終了した。
次の7回目の万博として神奈川県横浜市において2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027。以下、「GREEN×EXPO」という)の準備が着々と進められている。
これは博覧会国際事務局(BIE)認定の万博であり、かつ国際園芸家協会(AIPH)承認のA1クラスの国際園芸博覧会として、日本では1990年の大阪開催の「花の万博」以来、37年ぶりに開催されるものである。
 
 

1. GREEN×EXPOの経緯とテーマ

1-1 GREEN×EXPOの経緯

GREEN×EXPOは、神奈川県横浜市の瀬谷区と旭区にまたがる旧上瀬谷通信施設(約240ha)の一部、約100haで開催される。
この場所は、2015年に米国から日本に返還され、横浜市の施行による土地区画整理事業を実施している。
土地利用計画においては、北側に物流地区、中央に観光・賑わい地区、西側に農業振興地区、南側に公園・防災地区を配置し、南側の公園は、GREEN×EXPOの会場とし、博覧会の開催後はレガシーを継承する横浜市の防災公園として開設されることとなっている。
 
会場は、横浜市の土地区画整理事業で基盤整備を行い、博覧会会場となる区域のほとんどを横浜市の都市公園事業として、主要園路や高木植栽、パークセンターを整備する。
さらに当協会が博覧会のための細園路や庭園植栽、また博覧会の会期中に活用する仮設建築を整備することとしている。
 

1-2 テーマおよび理念

BIE認定の万博では、テーマが極めて重要である。
1994年のBIE総会において、「全ての博覧会は、現代社会の要請に応えられる今日的なテーマがなくてはならない。」とされ、愛知万博(2005年開催)以降の万博では、この決議によりテーマの位置付けが明確になり、万博の目的が人類の課題解決という形で整理された。
 
GREEN×EXPOにおけるテーマ「幸せを創る明日の風景」は、横浜市の基本構想案において当初からメインテーマとして提示されていたものであり、豊かさの再定義により、これまでの経済的な豊かさを主体とした対比的な充足から、自然との共生やシェア、つながりがもたらす幸福感を深めていく社会を目指し、心の豊かさである「幸せ」、空間・環境・時間が織りなす「風景」、次世代や未来の「明日」を重ね合わせたものとなっている(図- 1)。

図-1  GREEN×EXPO 2027キービジュアル「地球と。咲きに行こう。」
図-1  GREEN×EXPO 2027キービジュアル「地球と。咲きに行こう。」

 
 

2. 会場計画

2-1 会場計画の概要

会場計画は横浜市の公園計画と並行して進められた。
計画にあたっては、横浜の丘陵地に位置し、中小河川の流域が南北に伸びるエリアに位置する会場の持つ地形・土壌の特徴や、相沢川や和泉川の流域としての水循環を考慮し、夏期の日中の南風が卓越する風環境の特徴を理解しながら、会場区域に残る既存樹木や市民の森との関係を踏まえた緑のネットワーク形成に配慮した設計としている。
そのため、旧上瀬谷通信施設にもともとある樹木を保存するとともに、博覧会場に積極的に移設し、相沢川には水田や畑を整備し、和泉川の流域は流路や湧き水に影響を与えないような園路計画としている。
 
会場は北西と南東に2区分されるが、ゲートを北西部に1カ所設置し、北西部と南東部の結節点に公園計画でパークセンターをそれぞれ整備し、博覧会の「テーマ館」、「園芸文化館」として活用する主要施設を集約化した。
それぞれのエリアには回遊動線を設定し、北西部のエリアの中心には「国際ゾーン」、南東部のエリアの中心には「日本ゾーン」として政府出展(日本政府苑)や自治体出展を配置した(図- 2、3)。
 
さらに、「Urban-GX」、「Craft」、「Farm&Food」、「Kids」、「SATOYAMA」の5つのコンセプトに基づき、企業、市民と当協会の共創で世界観を作り出す5つの「Village」を配置している。

図-2 会場イメージ(2026年6月現在)
図-2 会場イメージ(2026年6月現在)
図-3 会場イメージ(2026年6月現在)
図-3 会場イメージ(2026年6月現在)

 

2-2 テーマ館

テーマ館は、横浜市の都市公園事業で整備されるパークセンター1を活用するもので、GREEN×EXPOラボ(創成組織)のマスターアーキテクトである隈研吾氏のデザイン監修により、植物が成長するようにCLT(直交集成板、Cross Laminated Timber)の木材を組み合わせた建築となっている。
 
テーマ館のディレクターは2025年大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「Dialogue Theater -いのちのあかし-」計画統括ディレクターを務めたアートイベントプロデューサーの杉山央氏。
コンセプトは「全ての生命はつながっている。植物を中心に」とし、最新の科学で分かってきた地球を支える命の根源である植物の真の姿を紹介する。
 
展示には、岩手県陸前高田市の協力により、東日本大震災の復興の象徴となった「奇跡の一本松」の根を、植物における根と菌糸ネットワークの関係性の展示に活用する。
また、人類と植物とのつながりを理解してもらうために、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなど、自然の力による課題解決の先端事例を紹介する予定である。
 

2-3 園芸文化館

園芸文化館は、テーマ館と同様、横浜市が都市公園事業で整備するパークセンター2の建物を活用するもので、日本の独自の伝統的な桔木構法を用いながら、既存地形に沿った雁行形式とし、屋根を緑化しながら大地と接続させることで、周辺環境と調和するデザインとしている。
 
ここでは、日本で開催される国際園芸博覧会にふさわしく、江戸時代から受け継がれてきた日本人の園芸に対する美意識と技術を、実物や体験を通して体感できる。
 
今や国外からも非常に人気のある盆栽をはじめ、日本を代表する文化の一つとなっている数々の伝統園芸植物が、日本全国の園芸団体や愛好家の協力により展示される。
建物の外では、身分の隔てなく自然や花を楽しむ憩いの場として親しまれた江戸時代のテーマパーク「花屋敷」を再現し、江戸の当時の雰囲気を感じることができる。
 

2-4 日本政府苑

日本政府苑は、2.5haに及ぶ本博覧会の区域内最大の出展である。
旧上瀬谷通信施設の南東部にある和泉川の流頭部という極めて重要な場所に立地し、その環境の保全と活用の両立を図るため、自然環境への負荷低減に配慮した庭と展示館から構成されている。
 
コンセプトは「日本の自然観を再考し、未来へ進む」であり、日本の伝統的な庭園技術を踏まえた「令和日本の庭」では、伝統ある日本庭園文化と技術を踏まえつつ、水循環への配慮や地域の植生の回復などグリーンインフラを実装。
展示館は、流頭部への配慮から東西分棟の高床式木造建築とし、土壁などにより景観になじむ建築としている。
 
屋内展示では、日本各地の自然風土を体感型のシアターで展示するほか、自然との関わりの中で暮らしの中に取り入れてきた知恵や技、各流派の家元などによるいけばなや宮内庁所蔵の盆栽などの日本文化の展示を行う。
 
また、近年の地球規模の環境問題や身近な自然環境の変化について来場者に気づき、考えていただく展示を行うとともに、これらの課題解決に貢献する我が国の技術や取組みを、実機や屋外展示も交えて紹介する。
 

2-5 企業・団体出展

GREEN×EXPOでは、企業・団体出展として「Village出展」「テーマ営業出店」「花・緑出展」の3種類の出展形式があり、前述の5つのVillageに出展されることとなっている。
 
「Village出展」は、前述の共創事業Villageごとのコンセプトに基づき、新たなグリーン社会を示す1,000~3,000m2の区画からなる大規模な企業出展で、12企業・団体が出展予定である。
 
「テーマ営業出店」は、同じく共創事業Villageにおいて、「幸せを創る明日の風景」の創出に資する、エシカル消費や食育などをテーマとした独自の飲食や物販など、企業・団体による出店で、4企業・団体が出店予定である。
 
「花・緑出展」は、庭園や花壇、いけばなや盆栽、新品種・希少種など、多種多様な花・緑の作品を出展するものであり、屋外出展と屋内出展がある。
造園会社、種苗会社、資材会社、花緑関連団体、学校、自治体など、屋外179件、屋内(全期間)21件、屋内(短期間)216件、全体で381件の出展が予定されている。
特に自治体は、地元の神奈川県、横浜市を含むすべての都道府県、政令市が出展予定である。
 

2-6 国際出展

BIE認定の万博として、これまで外交ルートによる出展招請を行った結果、2026年6月現在で政府目標の70を上回る国と国際機関からの参加が予定されている。
出展形式は、各国が個別に庭園や展示館を出展する屋外出展と共同館内の2種類があり、また途上国向けに当協会が出展施設を用意するものである。
 

2-7 協賛

GREEN×EXPOでは、協賛を共創事業の一つと位置付け、「プロジェクト協賛」という形で共創パートナーの募集を行っている。
「プロジェクト協賛」は、当協会との対話を通じてGREEN×EXPOのコンテンツを共創する協賛制度で、本制度では、資金・物品・役務の提供に加え、参加いただく企業・団体などが有する理念や技術を当協会が理解し、GREEN×EXPOの背景を踏まえながら、会場内のコンテンツを共創している。
 
 

3. 機運醸成と来場促進

3-1 ロゴマークとマスコット

GREEN×EXPOの公式ロゴマークは、公募により1,204件の作品の中から、喜多祐子さんの作品が選ばれた(図- 4)。
このロゴマークのデザインを活用したVI(ビジュアルアイデンティティ)をさまざまに活用している。
 
また公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」は人と地球の自然との、新たな関係を育むコミュニケーターであり、「地球がきれいだとうれしくなって花を咲かせて踊ったり、地球が汚れると悲しくなって元気がなくなったりする、人間と自然をつなぐ決意をしたキャラクター」である(図- 5)。
これらロゴマーク、マスコットについては、2027年国際園芸博覧会マスターライセンスオフィスにおいて商品の開発を行っており、大阪・関西万博のキャラクター「ミャクミャク」をはじめとするさまざまなキャラクターとのコラボレーション商品も開発している。
2026年6月現在、丸善丸の内店(東京都千代田区)をはじめ関東で9店舗、関西で3店舗のオフィシャルストア、およびオンラインストアで公式ライセンス商品を販売している。

図-4  公式ロゴマーク©Expo 2027
図-4  公式ロゴマーク©Expo 2027
図-5  公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」©Expo 2027
図-5  公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」
©Expo 2027

 

3-2 公式クリエイターと公式アンバサダー

GREEN×EXPOの公式クリエイターとして写真家・映画監督の蜷川実花さんに就任いただいている。
蜷川実花さんは花や蝶をモチーフとした写真や世界観が高く評価され、公式クリエイターとしてポスターを作成いただいた。
今後、会場内で展示コンテンツを制作予定である。
 
公式アンバサダーには俳優の芦田愛菜さんと、ミュージシャンの「ゆず」に就任いただいた。
芦田さんにはGREEN × EXPOの理念や魅力などを広く発信いただくこととしており、さまざまな機会に博覧会を紹介いただいている。
また「ゆず」のお二人には、会場に柚子の木を植樹いただいた。
今後、GREEN×EXPOとのコラボレーションソングを作曲していただく予定である。
 

3-3 ボランティア

GREEN×EXPOのボランティアは、花・緑の魅力を来場者に紹介する「花・緑ガイドボランティア(約200人)」、会場での花がら摘みや除草などのサポートを行う「植物管理ボランティア(約2,000人)」、来場者の案内や運営のサポートを行う「運営ボランティア(約10,000人)」の3つの区分の募集を実施した。
募集は2026年4月30日で終了したが、北海道から沖縄まで全国からの応募総数が計32,679人、2.7倍の応募となるなど、GREEN×EXPOへの関心の高まりがみられる結果となった。
 

3-4 チケット

GREEN×EXPOの入場チケットは、開幕1年前の2026年3月19日より前売り券などの販売を開始した。
「1日券」のほか、いつでも何度も来場できる「通期パス」や「夏パス」を、公式チケットサイトのほか、当協会が契約している旅行代理店やプレイガイドなどの販売事業者から購入することができる。
また、来場者の皆様に安全かつ快適にお楽しみいただくために、来場日時予約制度を導入することとしている。
予約開始は2026年秋頃を予定している。
 
 

4. 交通計画

会場となる旧上瀬谷通信施設から最も近い駅は相模鉄道本線の瀬谷駅である。
相模鉄道本線瀬谷駅・三ツ境駅、JR横浜線十日市場駅、東急田園都市線南町田グランベリーパーク駅の4駅から会場までは予約制のシャトルバスを運行することとしている。
併せて会場に隣接して約6,500台分の駐車場を確保するほか、来場ピーク時期には生活環境への影響を低減するために、2カ所のパークアンドライド駐車場を確保する。
なお会場隣接駐車場やパークアンドライド駐車場はシャトルバスと同様に予約制となる。
 
加えて、上瀬谷周辺の日常的な渋滞解消、GREEN×EXPO開催時の円滑な交通の確保、新たなまちづくりに向け、横浜市の土地区画整理事業において、環状4号線の拡幅整備や地区内道路の新設のほか、周辺の八王子街道の4車線化や目黒交番前交差点の立体化などの整備を行っているところである。
 
また最寄りの瀬谷駅から徒歩での来場も想定し、高揚感の高まる装飾や、暑さ対策も行う予定としている。
 
 

おわりに

GREEN×EXPO開幕まであと1年を切っており、出展者も含めた現場での工事も着々と進められている。
一都三県初の万博として、大阪・関西万博の盛り上がりを引き継いで、着実に準備を進めていくこととしており、引き続き多くの方々の参加、協力をお願いしたいと考えている。
 
 
 

公益社団法人 2027年国際園芸博覧会協会(GREEN× EXPO協会)

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2026年8月号


積算資料公表価格版2026年8月号

最終更新日:2026-07-22

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