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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料公表価格版 > 特集 雪寒対策資機材 > 新潟県における担い手確保に向けた取組み ~第4回ニイガタ除雪の達人選手権2023

 
新潟県では、将来にわたり現状の道路除雪体制を維持していく上で、除雪オペレーターの高齢化や、新たな担い手不足によるオペレーター数の減少が大きな課題となっています。
 
このため、除雪業務に携わるオペレーターのさらなる操作技術、モチベーションの向上を図るほか、新たな担い手確保につながる取組みの一環として、「ニイガタ除雪の達人選手権」と称した除雪技術の競技会を令和2年度から毎年開催しています。
 
ここでは、新潟県の上越・妙高地域において初開催となる第4回大会(以下、本大会)についてご紹介します。
 

1. 開催報告

(1)日時および会場

日時:令和5年8月26日(土)
時間:正午~午後3時
会場:キューピットバレイスキー場(駐車場)

(2)参加チーム

上信越道、国道18号や地域の生活道路である県道、市道など各地域、路線を担当するオペレーターの代表14名が集い、日頃から鍛え上げた除雪車の操作技術を競い合いました。
・国交省1チーム ・NEXCO東日本1チーム
・新潟県3チーム ・上越市2チーム
(1 チーム2名で合計14名が参加)

(3)競技内容

競技は、きめ細やかな操作技術が必要とされる前半A種目と、ダイナミックな操作に注目が集まる後半B種目に分け実施しました。
 
① クランクの達人(A種目)
特設クランクコースに設置されたコーンなどの障害物に接触しないよう注意しながら前進し、操作の正確性とスピードを競いました。
 

写真-1 クランクの達人
 
② 雪だるま帽子おとし(A種目)
大中小3つの雪だるまにかぶせた帽子を排土板で落とす本種目は、きめ細かな操作技術が求められる新競技です。
 

写真-2 雪だるま帽子おとし
 

③ 寸止め車庫入れ(A種目)
正確な機械操作と空間把握が求められる車庫入れでは、後進しながら除雪車と壁までの距離の近さを競いました。
 

写真-3 寸止め車庫入れ
 
④ 雪室スラローム(B種目)
天然雪を排土板で運搬しながら特設されたS字コースを走行し、操作の正確性や作業スピードに加え、除雪の出来栄えを競う本種目は、本大会ならではの新競技です。
 

写真-4 雪室スラローム
 
⑤ ピタ止めの達人(B種目)
後進しながら走行し、目標ラインに排土板をどれだけ近づけられるかを競いました。
 

写真-5 ピタ止めの達人
 
⑥ その他(体験ブース)
新潟県建設業協会安塚支部(以下、建設業協会)の企画・運営で、子供たちに土木を身近に感じてもらい、興味を持ってもらうためにミニバックホウによるスーパーボールすくいや、仮桟橋の製作体験を実施しました。
 

写真-6 仮桟橋の製作体験
 
 

2. 本大会の工夫点

本大会を開催するに当たり、「限られた時間で、開催目的をいかに達成するか」を課題とし、関係機関との調整を進めました。
また、建設業協会から「やるなら本気の勝負がしたい!」という熱い思いも受け、大会に向けた準備が本格始動しました。
 
以下に工夫した点を報告します。

(1)地域特性を生かした新競技の設定

新潟県上越市の安塚地区は、雪室による農産物の貯蔵、施設の冷房など、全国に先駆けて雪冷熱エネルギーの活用が進んでいる地域です。
 
本大会では、「雪だるま帽子おとし」や「雪室スラローム」など雪室で貯蔵されていた天然雪を活用した新競技を実施しました。
 
「真夏の除雪イベント!?」と注目を浴び、テレビや新聞などのマスコミに取り上げられたことで、幅広く県民から除雪に興味を持ってもらう良い機会になりました。
 

写真-7 雪室の天然雪を活用
 

(2)地元高校生を対象とした見学会

将来の担い手の確保を目的として、地元の高校生を対象とした見学会を企画しました。
 
開催日が夏休み期間中であり参加人数は限られましたが、普段はじっくり見ることができない除雪車の運転技術を間近で体験できたことや、除雪に従事するオペレーターの熱い思いを感じられたことは、高校生にとって良い経験になったのではないかと思います。

(3)山のうえ真夏の雪まつりとの同時開催

「山のうえ真夏の雪まつり(以下、雪まつり)」は、地元企業などが実行委員となり、天然雪を活用した催しやキッチンカーの出店があるなど、毎年8月にキューピットバレイスキー場で開催される人気イベントです。
本大会は、雪まつりと同時開催することで、集客面での工夫を図りました。
 
事前に雪まつりの実行委員と打合せを行い、雪合戦やそり遊びなど例年のイベント以外に、「建設機械ブース」を設けることで、土木の仕事や建設機械の迫力を間近に感じてもらうことができました。
 

写真-8 雪まつりの建設機械ブース
 
同時開催により高い集客力が得られたことは、本大会にとって大きなメリットとなりました。
両会場は隣接し徒歩で移動可能なため、雪まつりで「遊び・食べ」、そして本大会で「見て・体験する」という両イベントの相乗効果が生まれました。
 
その結果、当日の来場者数は約2,500名と過去に開催された大会の記録を大きく更新することができました。
 

写真-9 選手権会場から雪まつり会場を望む
 

(4)除雪業務におけるSDGsのPR

オペレーター担い手確保協議会の上越地域協議会では、除雪業務とSDGsを関連付けてPRする取組みを進めており、本大会ではその一環として競技車両に「除雪SDGsマグネットステッカー」の試作品を貼り付けてPRを行いました。
 
大会後も、マグネットステッカーの完成品を除雪車に貼り付けるなどしてPRを継続しています。
 

写真-10 マグネットステッカー試作品
 
 

3. 最後に

本大会を通じて、オペレーターの除雪技術やモチベーションの向上を目指していましたが、当日は各オペレーターのプライドや卓越した除雪技術がぶつかり合い、熱戦が繰り広げられたことで大きな成果が得られました。
 
大会に出場したオペレーターからは「やるからには本気でやりたいと思った」、「賞がもらえて良かった」などうれしい感想を聞けたほか、「管内の代表として平場のオペレーターには絶対負けたくなかった」と語り、除雪に対する強いプライドを覗かせました。
 
また、オペレーターの家族にとっても普段見ることができない「除雪」という仕事を間近で見ることで、大きな重機を操作しながら、安全・安心を第一に地域を支えている姿に、改めて誇りを感じたという声も聞けました。
 
高校生をはじめ若い世代に向けて開催した見学会・イベントでは、除雪に興味を持ってもらうきっかけの場として、新たな担い手の確保に向けた第一歩となりました。
また、メディアに取り上げられたことで、県民へ改めて除雪の重要性を広く認識してもらう機会となりました。
 
今後、ニイガタ除雪の達人選手権が、持続可能な取組みとなり将来的な除雪体制の確保や将来を担う若い世代が「除雪」という仕事に興味を持つきっかけにつながることを期待しています。
 
本大会の開催に当たり御協力いただいた関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。
 

写真-11 大会後の集合写真
 
 
 

新潟県 土木部 道路管理課
 小宮 和樹

 
 
【出典】


積算資料公表価格版2024年7月号
積算資料公表価格版2024年7月号

最終更新日:2024-07-26

 

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