- 2025-06-30
- 積算資料
国土交通省は令和7年度の公共工事設計労務単価を決定した。
全国・全職種の単純平均で前年度比6.0%上昇し、過去11年で最大の伸び率となった。
物価上昇率(消費者物価指数)の令和6年平均2.7%を上回っている。
引き上げは、単価算出手法を大幅に変更して必要な法定福利費相当額を加算するなどの措置を講じた平成25年度から13年連続となる。
全国・全職種の加重平均値では2万4,852円に上り、設計労務単価の公表を始めた平成9年度以降の最高値を7年連続で更新した。
国交省は例年と同様、3月1日以降に契約する直轄工事から前倒しで適用している。
■全都道府県の全職種で上昇
設計労務単価は、国や地方自治体などが公共工事の予定価格積算に用いるもので、公共事業労務費調査によって把握した労働市場の実勢価格に、建設業を取り巻く状況変化への対応に必要な経費などを反映した上で、47都道府県別・51職種別に算出している。
今回は、調査で十分な有効標本数を確保できなかった建築ブロック工を除く50職種で設定した。
最新の労働市場の実勢価格をベースとしつつ、令和6年4月から建設業に適用されている時間外労働の上限規制への対応に必要な措置をさらに講じ、新単価を設定した。
その結果、全国・全職種の単純平均が3年連続で5%以上の高い伸び率となった。
現行の単価算出手法に見直される前の平成24年度と比べると、これまでに85.8%伸びている。
■西日本地域の伸び率高く
ブロック別に全職種の金額を単純平均で見ると、全8地域で上昇した。
最も高い伸び率を示したのは中国と四国の7.7%。
これに近畿(6.7%)、九州・沖縄(6.6%)を加えた4ブロックが、全国・全職種単純平均伸び率の6.0%を上回っている。
西日本地域の伸び率が東日本よりも高い。
公共工事に広く従事して現場労働者の8割以上を占める主要12職種は、全国の単純平均で5.6%上昇し、加重平均値の金額は2万3,237円になった。
主要12職種の単純平均伸び率が5%を超えるのも3年連続。
職種別の伸び率は、軽作業員と左官が6.8%で最も高く、その後を大工の6.3%、鉄筋工の5.9%が続いた。
国交省の北海道開発局、8地方整備局と、内閣府の沖縄総合事務局が設置されている10都道府県を対象に、主要12職種の新単価を見ると、香川県の型わく工、大阪府の大工、福岡県の大工で伸び率が2桁になった。
■民間工事への賃上げ波及で官民申し合わせ
中野洋昌国交相は2月14日の会見で、新単価が全国・全職種の単純平均で6.0%伸びたことを説明し、「今回の改定率は、時間外労働の上限規制への対応に必要な費用も反映をした上で、最新の賃金上昇の情勢等を十分に踏まえた数字になっている」と強調した。
「長時間の残業をしなくとも、しっかり賃金が確保されるようにするための措置も講じている」とも述べた。
また、「現場の技能者の賃上げに向けて、公共工事設計労務単価が果たす役割は極めて重要」と指摘し、「これは公共工事の単価だが、民間工事の賃上げにまで、しっかり波及をしていくように業界に対して強く働きかけていきたい」と力を込めた。
国交省が新単価を発表した2月14日、賃上げなどをテーマに、政府と主要建設業4団体(日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会)による車座対話が首相官邸で行われ、石破茂首相出席の下、中野国交相と 4 団体トップらが、技能者の賃上げと生産性向上の2点で、令和7年に取り組む事項を申し合わせた。
賃上げは、設計労務単価の引き上げなどを踏まえて「おおむね6%」を目標に設定するとともに、官民双方が民間工事を含めて取り組みを強力に推進する。
4団体は、目標の達成状況をフォローアップし、その結果を令和8年に国交省へ報告する。
国交省は、中央建設業審議会による労務費の基準(標準労務費)の作成・勧告、標準労務費を参考指標に活用する予定の「著しく低い労務費等※による見積り提出(受注者)や見積り変更依頼(注文者)を禁止」など、令和7年中に全面施行される改正建設業法を運用しながら、設計労務単価の引き上げによって賃上げが行われ、労働市場の実勢価格が上がって設計労務単価がさらに上昇するという「好循環」の継続を目指す。
※施工に通常必要な労務費等を著しく下回るもの
(編注)
各都道府県の令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価については、本誌929~940頁をご参照ください。
【出典】
積算資料2025年4月号

最終更新日:2025-06-30
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