建設情報クリップ

「労務費に関する基準」を踏まえた「労務費の基準値」について

1.基準値の位置づけ

労務費の基準値(以下「基準値」という。)は、建設工事の請負契約における価格交渉において適正な労務費(賃金の原資)の確保を円滑ならしめるため、建設業法に基づく「労務費に関する基準」において定めることとされた、職種分野別の適正な労務費の目安である。
 
基準値は、「労務費に関する基準」において定められた各専門工事業団体・元請団体・国土交通省による「職種別意見交換会」や、受発注者・有識者からなる中央建設業審議会「労務費の基準に関するワーキンググループ」による意見聴取を経て、国土交通省が決定し、公表されている。
 
請負契約の当事者においては、適正な水準を著しく下回る労務費等による見積り・見積り変更依頼等が建設業法違反となることも踏まえつつ、「労務費に関する基準」の考え方に沿って、基準値を参考として、適正な労務費の確保を図る必要がある。
 
 

2.基準値の性質

「労務費に関する基準」において、適正な労務費は、公共工事・民間工事、下請取引の別を問わず、「適切な職種の公共工事設計労務単価(円/人日(8時間))×施工条件等に照らして適正な歩掛(人日/単位施工量)」によって導かれる「単位施工量当たりの労務費」に、「必要な数量(施工量)」を乗じる式によって算出される額として位置づけられている。
 
基準値は、これを踏まえ、職種分野別、都道府県別に、標準的な作業内容・施工条件等を前提とした適正な労務費の具体的な数値を、t当たり、m²当たり等の「単位施工量当たり労務費」の形で示すものである。
 
基準値を示すことにより、職種分野ごとに、一般に適用されることが想定される公共工事設計労務単価を明らかにするとともに、価格交渉において、適正な歩掛の一定の目安として機能することが期待される。
 
基準値は、あくまで、標準的な作業内容・施工条件を前提とした場合の適正な労務費の目安であり、個別の請負契約における労務費の計算に当たっては、基準値をそのまま適用するのではなく、施工条件等の違いを踏まえ、基準値を適切に補正する必要があることに留意が必要である。
 
 

3.基準値の定め方

基準値は以下の原則を踏まえて、職種分野ごとに作成され、次頁に掲げる統一様式によって示されている。

  • 労務単価(円/人日(8時間))×歩掛(人日/単位施工量)の計算式によって算出。
  • 労務単価については、各都道府県の公共工事設計労務単
    価を適用。
  • 歩掛については、原則として、標準的な施工条件等における歩掛として、便宜的に、国土交通省直轄工事で用いられている歩掛を活用し、基準値を設定。
  • 基準値の細分化を避ける観点から、基準値を設定する工種(作業)は職種分野ごとに最小限とし、国土交通省直轄工事における積算時の最頻のもの等の標準的な規格・仕様についてのみ基準値を設定。
  • 標準的な歩掛の特定が困難な職種分野においては、定性的な形で基準値を設定。
  • 個別の請負契約において基準値を適切に補正するため、基準値の前提となる施工条件等に加え、補正の際に留意すべき点を留意点として併記。

 
 

4.基準値を個別の請負契約に当てはめる際の留意点

  • 労務単価については、公共工事設計労務単価を下回る水準を設定しないこと(上回る水準を設定することが必要なときは、受注者が割り増して見積り、適切に価格交渉すること)が必要。
  • 歩掛については、基準値に付記されている条件・留意点等を適切に参照した上で当該工事の作業内容・施工条件等に照らして適切に補正し、受注者として責任を持って施工できる水準を設定することが必要。
  • 公共工事設計労務単価の構成(929頁)を参照し、技能者の賃金相当分以外の経費等、公共工事設計労務単価に含まれない要素については、別途必要額を適切に見積ることが必要。

 
 

5.その他の留意点

基準値は職種別意見交換の準備の整った職種分野から順次作成することとされ、令和7年12月時点において13職種分野の99工種について基準値が設定されている。
 
なお、基準値の定めのない職種分野においても、本基準の基本的考え方に沿った「適正な労務費」を確保する必要性に変わりはない。
 
この他、制度の概要を含め、職種別の基準値の詳細については、国土交通省ホームページにおいても閲覧できる。
 
 
参考国土交通省ホームページ
https://roumuhi.mlit.go.jp/
 
○問合せ先
国土交通省 不動産・建設経済局 大臣官房参事官
(建設人材・資材) 付 TEL : 03-5253-8283
 
 
 

国土交通省 大臣官房参事官(建設人材・資材)付

 
 
【出典】


 積算資料2026年1月号
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最終更新日:2026-03-30

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