仕様断面図
施工例
概要
ジックボードGR工法は、高耐食性のビニルエステル樹脂を用いたFRP板と、裏面に取り付けられた立体クロスにより防食被覆工法に求められる、以下の特性を併せ持つ工法である。
・遮断性:コンクリートへの硫黄(硫酸)浸入を遮断する
・耐硫酸性:硫酸腐食環境下で曲げ強度を維持する
・接着安定性:竣工時の接着強さを維持する
そのため、厳しい環境下でも竣工時の要求性能を50年間維持することが可能となる。
特長
- 耐環境性:ビニルエステル樹脂FRP成形板による優れた耐薬品性
日本下水道事業団「コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル」のシートライニング工法に該当し、厳しい環境下にある施設や長期の耐久性が求められる施設に適応可能。
- 環境遮断性:ビニルエステル樹脂FRP成形板による優れた遮断性
ジックボードは、工場成形品であり、均質高密度で遮断性が高く、従来工法のようにピンホールや気泡などの被覆欠陥から侵食物質を浸透させることがない。
- 接着安定性:立体クロスと無機質材料による乾湿条件に左右されない接着安定性
ジックボード裏面に一体成形された立体クロスは、未硬化の無機質グラウトまたはコンクリートと強固に絡み合い、硬化後にジックボードとコンクリート躯体を一体化させる。
無機質系グラウトは対象コンクリートの吸水状態や環境湿度に左右されない良好な接着特性を有す。
- 施工性:施工時期と対象構造物の形状の自由性を確保
①「後貼り工法」「型枠工法」での施工が可能。
②角形構造、円形構造(1号マンホール(φ900mm)以上、管渠(呼び径1200mm以上))に施工可能。
③ジックボードは、軽量で加工性に富む特性を持ち、取り扱いが容易で部位形状に合わせて切断加工が可能。
耐用年数50年の検証結果
ジックボードGR工法は、20数年の施工実績を有し、供用開始後の施工実績の追跡調査と促進試験の結果による検証の結果、厳しい腐食環境下でも竣工時の要求性能を50年間維持できることが確認された。
- 耐環境性:耐硫酸性で検証
高温(80℃)の硫酸水溶液に試験体浸漬した促進試験を実施し、50年経過後も設計曲げ強度以上の強度を有する検証結果となった。
供用中の施設から採取したサンプルでの曲げ強度試験結果でも、充分な強度を保持しており、促進試験の有効性が確認された。
- 環境遮断性:硫酸浸入深さで検証
公的機関での硫黄浸入深さ(硫酸浸入深さ)と、施工後14年および20年の硫黄浸入深さの結果では、ジックボードでの硫黄浸入は見受けられず、目地部では、若干硫黄の浸入が認められたが、被覆厚さを考慮して検証すると、50年後も遮断性を保持していることが確認された。
- 接着安定性:接着強度の経年変化で検証
公的試験機関での材齢28日の接着強さと、施工後14年および20年の接着強さ試験の結果では、竣工時の規格値(1.5N/㎟)以上の接着強度以上を保持しており、近似式で50年後の接着強さを検証すると、50年後も規格値以上を保持していることが確認された。
- ライフサイクルコストの低減
シートライニング工法「ジックボードGR工法」は50年間の耐用年数を有することから、塗布型ライニング工法に比べてライフサイクルコストの低減に寄与する。
用途
・下水道関連施設のコンクリート製処理施設、下水道管渠、人孔などの新設および補修工事。
・その他の激しい腐食環境に曝されるコンクリートの保護。