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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 昇降機設備のBIM -三菱エレベーターの取り組みと事例の紹介-

 

はじめに

近年、BIMを利用した建築物の設計・施工業務の効率化が推し進められている。設計段階ではレイアウト検討を行うために簡易的なBIMモデルを利用し、施工段階では工種間の調整を行うために詳細なBIMモデルを利用している。それらの業務において、昇降機設備のBIMモデルも必要になるケースが増加している。
 
昇降機設備は製品・オプションが多岐にわたり、建物により採用される仕様も異なる。また、建築との位置関係も物件ごとに違うため、全く同じ寸法・仕様のエレベーターを納入することは稀である。そこで、BIMモデルにおいても仕様や寸法を変更できることが必要となる。
 
ここでは当社のエレベーターのBIM取り組みの現状と活用事例について紹介する。昇降機設備にはエスカレーターや小荷物専用昇降機も含まれるが、今回はエレベーターについて紹介する。
 
 

昇降機BIMモデルの構成

当社のエレベーターBIMモデルの構成を図-1に示す。乗場三方枠や乗場機器、支持部材は建物により異なる。そこで、ライブラリを昇降路内機器・乗場三方枠・乗場機器・支持部材ごとに分類し、各パーツの整備を行っている。
 
特に施工BIMにおいては現場のスケジュールの都合上、エレベーターBIMモデルにおいてもタイムリーな作成が必要となるケースが多い。そこで、あらかじめ基となる各種パーツを整備することにより、BIMモデルが必要になった場合は各ライブラリのパーツを組み合わせて物件用のBIMモデルを作成し、対応に要する時間の短縮化を図っている。さらに、基となるパーツがあれば、熟達したBIMオペレーターでなくとも一定の水準のエレベーターBIMモデルを作成できるため、品質面でのメリットもある。
 

図-1 エレベーターBIMモデルの構成




 

寸法のパラメーター化

建物により採用されるエレベーターの各寸法は異なる。例えば乗場三方枠などは、建築物の壁仕上厚によって枠巾が変化する。そこで図-2に示すように、変更が想定される箇所についてはパラメトリックなデータ(パラメーターで指定可能なデータ)として、BIMモデルを整備している。乗場三方枠であれば、出入口巾・出入口高さ・枠奥行などをパラメーター化しており、数値的に指定できる。このようなBIMモデルとすることで、パラメーターの変更のみで枠形状を変更することができ、関連する2次元図面を修正していた従来の方式と比較し、効率的に修正に対応することが可能となる。
 



図-2 パラメーターによるモデル修正


 
 

建築構造(鉄骨工事)との連携例

エレベーターは立柱やファスナー等を介して建物で支持する必要がある。このような支持部材は鉄骨工事で加工・施工するため、昇降機工事から鉄骨工事に対して必要な支持部材の位置や部材について具体的に伝えなければならない。そのため、BIM導入後も伝達手段として2次元図面が必要になる。鉄骨工事との連携例について、図-3に示す。BIMモデルを使って連携する具体的なメリットは以下の3つが挙げられる。
 
①2次元図面作成の効率化
②BIMモデルと2次元図面間の差異防止
③関係者間での打合せの効率化
 
①2次元図面作成の効率化
鉄骨工事から提供された鉄骨モデルを、BIMソフト上でエレベーターBIMモデルと重ね合わせを行った。重ね合わせたモデルはBIMソフト上の2次元図面にも表示されるため、昇降機設備工事では鉄骨を作図する必要がなくなった。
 
②BIMモデルと2次元図面間の差異防止
BIMソフト上で作成された2次元図面は、BIMモデルを修正した際に図面にも自動的に反映される。そのため、図面側に修正内容を反映し忘れてしまうミスを予防することができる。
 
③関係者間での打合せの効率化
他工種工事箇所を示す際、従来の2次元図面打合せでは蛍光マーカー等で色を付けて他工種に提示していたが、BIMモデルならば色分けした表示が容易で、確認しやすい。また、鉄骨工事でもリンク可能なBIMソフトを使用している場合は、エレベーターBIMモデルを鉄骨工事に提供すれば、鉄骨側にエレベーターBIMモデルの内容が反映される。
 
従来は各業者にて図面化し、お互いに確認し合うという業務を行っていたが、このようにBIMモデルを提供し合うことで、重複して図面化する必要がなくなり、作成した図面をおのおの確認する作業を削減することができた。
 

図-3 鉄骨工事との連携例




 

問題点の早期抽出・共有化

実際に作成した資料例を図-4に示す。BIM導入前は、問題となる箇所を明示するためにいくつかの図面やスケッチ等を作成していたが、エレベーターBIMモデルや受領したモデルを使うことで、それらの作成作業を削減することができた。加えて、図面よりもイメージが容易なため、社内・社外関係者間で共通認識を持てる点でも有用であった。結果的に、問題点の確認・方向性の確認を早期に行うことができた。
 

図-4 モデルを活用した資料例




 

今後の課題

これまでの取り組みにより、エレベーターBIMモデルの構造やパラメーターについて検討を進め、関係者間調整の効率化や資料削減時間の短縮に効果があることを確認できた。今後は、BIMモデルの整備と2次元図面化の2点について進めていきたいと考えている。
 
BIMモデルの整備については、まだBIMモデルが整備できていない製品も多く、そのような製品のBIMモデル要求があった場合には一から作成しなければならないため、作成に時間を要する。まずは、製品のBIMモデルを拡充することで、要求があった場合の対応時間短縮化を図りたい。
 
2次元図面化については、BIMモデルから打合せ図レベルの図面を作成することはできるものの、現状の詳細な2次元図面レベル(施工図レベル)の図面を生成するためには不足している点も多く、別途2次元図面を作成しているのが現状である。そのため、2次元図面とBIMモデルの二重管理になってしまい、BIMモデルで打合せした内容を2次元図面に反映し忘れてしまう可能性がある。今後はBIMモデルをそのまま施工図として使い、モデルと2次元図面間の整合性を確保する方法について検討する。
 
 
 

三菱電機株式会社 昇降機営業技術部 営業技術支援第一課 梅木 偉斗

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集2「進化するBIM」



 

 

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